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銀河フェニックス物語<出会い編> 第十六話(6) 永世中立星の誕生祭

第一話のスタート版
第十六話(1)2)(3)(4)(5

「わたしはマイヤさんに案内してもらいたいの」
「あんたは俺の警護対象者だ」
「きょうは仕事じゃありません」

「そうだよここは二人で、な、な」
 ガロンさんが必死にレイターをなだめている。
「それに、レイター、君はきょうアルバイトが入っているじゃないか」

 レイターがマイヤさんをにらみつけた。

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「・・・俺のティリーさんに変な真似をしたらただじゃおかねぇからな」

* *

 誰とも一切口をきかない、と言ったガロンさんの言葉がまるで嘘のようだ。

 「ここが国民議会、その隣が大統領官邸です」
 高層の神殿がそびえたつ街の中心部、一ノ丸をマイヤさんが丁寧に案内してくれる。
 建物が新しい。

 すぐ横が公園になっていた。
「もともとここは王室の所有地だったんです。今は平和公園として国民に開放されています」
 誕生祭だからか、人出も多い。

 神殿へ続く道の途中に政変の犠牲者を追悼する記念碑が建てられていた。碑の横に献花用の白い花が用意されている。
 マイヤさんは花を手にしてその前にひざまずいた。
 わたしも献花台に花を手向けた。

 マイヤさんは花を見つめたまま石像のように、しばらくそこから動かなかった。
 彼女を失うってどんなに辛いのだろう。
 想像する。近しい人の死。

 おととし、母方の祖母が病気で亡くなった。
 初孫だったわたしをかわいがってくれて、わたしもおばあちゃんが好きだった。
 もう会えないんだと、悲しかった。

 一生懸命に想像力を働かせる。けれど、マイヤさんの深い悲しみと痛みにはたどり着けない気がする。

 マイヤさんが口を開いた。
「僕の彼女のカトリーヌはこの広場で近衛兵に撃たれたんです。あの日、教皇が勅令を発したあの日、僕は空港の警備にあたっていて彼女を守ることができなかった」

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 身体が震えた。

 あの日というのは『あの日』のことだ。
 一年前、混乱する空港でマイヤさんに助けてもらった『あの日』。

 彼がわたしを守っている間に、彼の愛する彼女は凶弾に倒れていたのだ。
 彼女のための時間をわたしが奪ってしまっていたということ?

 マイヤさんはわたしを責めているわけではない。
 けれど、胸が詰まって苦しい。罪悪感に襲われる。

「彼女と僕はラールシータの未来を信じていました。だけど彼女のいない僕の前に未来はない」
 マイヤさんが表情のない顔で記念碑を見上げた。悲しみすらどこかへ置いてきてしまったようだ。
 
 声をかけた方がいいのだろうか。
 マイヤさんはわたしとだけ話しをする。何かをわたしに求めている。
 でも、わたしが発するどんな言葉も表面を滑り落ち、おそらくマイヤさんには届かない。

 わたしたちは、公園の中を二の丸へ向かってゆっくりと歩いた。

 ただ、並んで歩く。それしかできない。
 わたしたち二人の周りだけ空気が薄いような気がする。

 特設会場のステージからマーチングバンドの演奏が響いてきた。
 誕生祭のメイン会場だ。

 音楽に吸い寄せられるように人が集まっていく。

「行ってみましょうよ」

n11ティリー口少しひらく普通逆

 わたしはマイヤさんを誘った。
 呼吸のための空気穴を開けないと、わたしの方が倒れてしまいそうだ。


  特設ステージで行われていたのはチャリティーオークションだった。
 有名人の服やアクセサリーが次々と競り落とされていく。

 と、その時、黒塗りのリムジンがわたしたちの目の前の車寄せに止まった。
 人々が一斉に携帯カメラを向ける。
 ゲストの有名人が到着したようだ。

「特別ゲスト、アドゥール大統領夫人の到着です」
 アドゥールさん?

 司会者のアナウンスと同時にボディーガードが素早く車のドアを開ける。
 アドゥールさんが姿を現した。

n170アドゥール手

 深いブルーのスーツに身を包んだ彼女は美しかった。

 アドゥールさんが手を振るとカメラのシャッター音と拍手が一気に沸き起こる。
 国民議会が支持されていることの証だ。

 アドゥールさんを見ていたわたしは思わず息を飲んだ。
 彼女の隣にいるボディーガードに目が釘付けになった。        (7)へ続く

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48ノ月(ヨハノツキ) ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」 レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」 ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」 レイター「なんか、すげぇな……」