WEEK1 リーダーを育成せよ/A Year with Peter Drucker - 52weeks of Coaching for Leadership Effectivenessを読む その1
「河童の目線で人世を読み解く」市井カッパ(仮名)です。
「すべての組織と人間関係の悩みを祓い癒し、自然態で生きる人を増やす」をミッションに社会学的視点から文章を書いております。
御覧いただき、ありがとうございます。
noteのできるだけ毎日更新を実践しています。現在の曜日ごとのテーマはこちら。金曜は【新設】で「ドラッカー・コーチングの日」のテーマとなります。内容はというと、下記の書籍を毎週、一週分ずつ読んでいく、というものです。
こちら、ドラッカーの正当な後継者であるマチャレロ先生が、ドラッカーの言葉を使って1年間のコーチングプログラムにしてみた、という本で、毎週毎週のコーチングを想定しているので52週間のプログラムになっているという本です。これを毎週、翻訳しつつ紹介していくという企画をやりたいと思っています。
前回はそのゼロ回目ということで、前書き(Introduction)を読みました。
章タイトル リーダーを育成せよ
今回はWEEK1を読んでいきます。WEEK1と次回のWEEK2は「EFFECTIVE LEADERS」というパートにまとめられています。effectiveという言葉を見ますと、謎の日本語訳の『経営者の条件』の原題、The Effective Executive が思い出されます。
『経営者の条件』の本の紹介はこちら。
なぜ、謎の日本語タイトルになったかの解明はこちら。
その理由は野田先生曰く「彼の学説体系のなかでの本書の位置づけを容易に理解する」ためだったらしいです。
さて、改めて「EFFECTIVE LEADERS」を訳すとして、直訳すると「効果的なリーダー」となりますが、よくわからないので、ここでは、「イケてるリーダー達」とでも訳しておきます。
WEEK1のタイトルは、Developing Leaders, Not Functionaries、サブタイトルもあって、Effective Leaders Get Right Things Done and You Can Trust Them、となっています。直訳すると「リーダーを育成せよ、役人ではなく」「効果的なリーダーは正しいことを成し遂げ、信頼できる」となります。「役人」ってなんだ?と思いつつ、内容を見ていきましょう。
前回の記事で構成を説明しましたが、まずはINTRODUCTIONが入ります。
Introduction はじめに
こちらの部分では、ドラッカーの初期の著作とその背景が語られます。曰く、
ピーター・ドラッカーは、アメリカの経営幹部に大きな期待を抱いていまし た。しかし、次々と起こるスキャンダルを目の当たりにし、リーダーたち が利己的であることに気づいたことで、その期待は徐々に薄れていきました。
ドラッカーの関心が最終的に『非営利組織の経営』に行った、という話はこちらに書きました。
この後、この話の流れで『経済人の終わり』(1939年)、『産業人の未来』(1942年)、『企業の概念』(1946年)『マネジメント』(1974年)が紹介されます。その後で、第1週に紹介されるテキストの紹介がなされています。
第1週では、ドラッカーが2002年初頭にワールド・ビジョン・インターナショナルの上級幹部と行った協議から始まります。彼のテーマは 「効果的なリーダーは、高業績組織を創造するために何をするのか?」でした。彼の目的は、彼が「役人」と呼んだもの ではなく、効果的なリーダーの育成を支援することでした。
この「役人=functionaries」には注がついていまして、これが1989年のジェームズ・フラミング牧師とのインタビューの中の発言から採られていることが示されています。曰く、
『私たちは、明日の機能するコミュニティと民主主義を育てているんです。ビジネスの世界ではありません。彼らにはチャンスがあったかもしれませんが、逃してしまったと思います。私たちは非営利セクターでそれを育てているんです』 と言いました。彼はまるで宇宙から来たかのような目で私を見まし た。そこで私は、『ビジネスの世界では、リーダーを育てているのではなく、 役人を育てているんです。コミュニティに責任を持ち、自治を築く市民を育てているのは、非営利セクターなのです』と言いました。
下記の記事でも書きましたが、ドラッカーが「役人」と言っているのは、別にガバメントセクターへの批判ではなく、いわゆる官僚主義にどっぷりハマったリーダーのことを言っているのではないかと思います。
そして、その逆の概念が「効果的なリーダー」、つまりは「イケてるリーダー」ということになるのだということがわかります。
続いて「Read」の部分を訳していきます。
I Read 読む
今回は、ピーター・F・ドラッカー著『エグゼクティブ・サマリー:ピーター・ ドラッカーとのリーダーシップと組織開発に関する対話』2002年2月5日、5ページ、著者編集、とされた文章が引用されています。全文だと長いので、Geminiに要約させました。
リーダーシップの本質とは
リーダーの唯一の定義は**「フォロワー(ついてくる人)がいること」であり、その根幹にあるのは「信頼」**です。
多様なスタイル: リーダーの性格や手法は千差万別であり、正解の型はありません。他人の真似ではなく、自分に合ったやり方で「正しいこと」を成し遂げることが重要です。
共通する2つの要素: 効果的なリーダーに共通するのは、性格の良し悪しではなく、**「物事を完遂すること」と「信頼に値すること」**です。
マーシャル将軍の例: 真のリーダーシップとは、部下が「この人は自分の言葉に責任を持ち、守ってくれる」と確信できる状態を指します。部下が正しい行動をした際に、背後の責任をすべて引き受ける潔さが、揺るぎない信頼を生みます。
【一言まとめ】 リーダーシップとは特定のカリスマ性ではなく、自分らしいやり方で成果を出し、部下から「この人なら信頼できる」と思われる一貫性の成果である。
ということで、リーダーシップの本質が、信頼によってフォロワーを得ることであることが語られています。
続いてReflectということで、マチャレロ先生による考察が語られます。
II Reflect 考察
まず、冒頭にまとめのような考察があります。
組織は信頼の上に築かれ、信頼はコミュニケーションと相互理解の上に築かれます。相互理解を達成するには、 同僚が職務を遂行するためにあなたからどのような情報を必要としているかを理解し、同僚もあなたが彼らに何を必要としているかを理解する必要があります。
その後、いくつかの見出しをつけた文章が出てきます。ここでの考察は4つですが、構成としては、マチャレロ先生による見出しの後、ドラッカーの別のところからの文章が引用され、さらにものによってはコメントが付されているという形になっています。まずはその4つの見出しを並べてみます。
1. 信頼を得ることは必須
2. 信頼と誠実さ
3. 責任を負うための訓練を受けた後、すべての従業員に責任を委任する
4. すべての人は社会の器官である
最後の「器官」がわかりにくいですが、こちらの原語はorganです。こちらはドラッカーの『マネジメント』からの下記の引用文のみとなっています。ちなみに上田先生の翻訳ではこの「器官」という言葉は訳されていません。
私たちの組織はどれも、それ自体で、それ自体を目的として存在しているわけではありません。すべての人は社会の器官であり、社会のために存在しています。ビジネスも例外ではありません。「自由企業」はビジネスにとって良いものとして正当化することはできません。社会にとって良いものとしてのみ正当化できるのです。
ピーター・F・ドラッカー著『マネジメント:任務、責任、 実践』、1973年、1974年、41ページ
このorganという言葉はorganization(組織)にもつながる面白い言葉で、西洋の人にとっては教会のオルガンの話ともつながって、とても意味のある言葉なのですが、今回は脱線になるのでまた改めて記事にします。organというのは「臓器」という意味もあって、つまりは全体のシステムを構成する大事な一部、というような概念の言葉です。
順番が逆になりましたが、2と3にはマチャレロ先生のコメントがつけられています。このうちの3を参考までに訳しておきます。
ビジネスリーダーが社会をリードするグループとしての地位を取り戻すには、公共の利益が自らの行動に反映される社会を目指しなければなりません。彼らは、自らの組織が社会と経済、 地域社会、そして個人のために機能するようにしなければなり ません。そのためには、組織のすべてのステークホルダーの利益に焦点を当てる必要があり、それはひいては、株主 価値と短期的な収益性を最大化し、企業の長期的 な富を生み出す能力を最大化すること。この焦点には、顧客、サプライヤー、株主だけでなく、 従業員と社会の福祉への配慮も含まれます。
こんな感じで、見出しはその週で伝えたいことのサマリーになっていて、さらに、その見出しに関するドラッカーの文章が引用され、必要に応じてマチャレロ先生のコメントがつく。こういう流れになっています。
お勉強としてはここまで、ということで、最後の部分は前回、翻訳で悩みましたPracticum-Promptsの部分です。
III Practicum-Prompts 実践のきっかけ
この部分は問いかけの連打なので、全部、訳しておきます。
あなたの組織では、リーダーを育成していますか?それとも、官僚的で規則に従う役人を育成していますか?
リーダーシップ育成を強化するために何ができますか?
組織への信頼を高めるために、どのような実践を導入または推奨できますか?
あなたは、市民権、共同体意識、そして個人的な責任感が育まれている、組織内で機能するコミュニティの一員ですか?
そうでない場合、何が欠けているのでしょうか?
組織内での影響力をどのように活用して、高度に機能するコミュニティを実現できるでしょうか?
あなたの組織におけるリーダーシップグループの権威は、 責任、誠実さ、そして奉仕に基づいていますか?
それは、各人の持つ強みを引き出していますか?
それは、共同体意識と市民意識を育んでいますか?
あなたの地域におけるリーダーシップグループの正当性を高めるために、何ができますか?
せっかくのドラッカー先生によるコーチングですので、自分も考えてみました。まずはこのいくつかの問いかけのうち、今の自分に響くものってどれかなーということを考えてみました。すると、
あなたは、市民権、共同体意識、そして個人的な責任感が育まれている、組織内で機能するコミュニティの一員ですか?
そうでない場合、何が欠けているのでしょうか?
これが響くなーと思いました。ちょっといろいろあって、自分(人)に「機能(Function)」だけが求めてくる組織と、そこに居る人たちの「偽善者ぶり」にかなり疲れてしまって、自分の心の声に従って、いろいろな組織や人たちとかかわるのを辞めようということで撤退している最中なので、なおさらそう思ったのかもしれないな、と自己分析しています。
撤退は良いけど、では、逆にそこに居たい、居続けたい、という「居場所」はどこなのか?
その大事な「居場所」について「市民権、共同体意識、そして個人的な責任感が育まれている、組織内で機能するコミュニティの一員」と思えるようになるためには、何が欠けているのか?
そういうことを、次週までに少し考えて、何か行動できることがあればしたいな、と思いました。さて、あなたにとっては、何か響く問いかけはありましたか?
現場からは以上です。お読みいただき、ありがとうございました。面白かった、参考になった、という方は是非、高評価いただけると嬉しいです。フォローも大歓迎です。
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