WEEK6 人生において、緊急なことよりも重要なことを優先せよ/A Year with Peter Drucker - 52weeks of Coaching for Leadership Effectivenessを読む その6
「河童の目線で人世を読み解く」市井カッパ(仮名)です。
「すべての組織と人間関係の悩みを祓い癒し、自然態で生きる人を増やす」をミッションに社会学的視点から文章を書いております。
御覧いただき、ありがとうございます。
noteのできるだけ毎日更新を実践しています。現在の曜日ごとのテーマはこちら。金曜は「ドラッカー・コーチングの日」のテーマとなります。内容はというと、下記の書籍を毎週、一週分ずつ読んでいく、というものです。
こちら、ドラッカーの正当な後継者であるマチャレロ先生が、ドラッカーの言葉を使って1年間のコーチングプログラムにしてみた、という本で、毎週毎週のコーチングを想定しているので52週間のプログラムになっているという本です。これを毎週、翻訳しつつ紹介していくという企画をやりたいと思っています。
前回の記事はこちら
以下、今回の内容です。
章タイトル 人生において、緊急なことよりも重要なことを優先せよ
今回はWEEK6を読んでいきます。今回から「SETTING YOUR SIGHTS ON THE IMPORTANT, NOT THE URGE(緊急ではなく重要なことに目を向ける)」というパートの初回です。
WEEK6のタイトルは、Make the Important Rather Than the Urgent Your Priority in Life、となっています。直訳すると「人生において、緊急なことよりも重要なことを優先せよ」となります。
Introduction はじめに
いつものようにこちらの部分は、マチャレロ先生の説明になっています。翻訳したものをAIに要約させたものが下記になります。
ピーター・ドラッカーは、限られた人生の時間において「緊急なこと」ではなく「重要なこと」に集中することを徹底しました。彼は晩年、自身のエネルギーに限界があることを自覚し、他人の本の序文執筆や大学の委員会といった重要度の低い依頼を断固として断る一方で、自らの使命である執筆や後進の指導には全力を注ぎました。
詳細なカレンダーを用いて厳格に時間を管理し、自らの人生の目的に基づいて優先順位を付け続けた結果、彼は亡くなる直前まで「やるべきことをやり遂げた」という強い確信を持って人生を全うすることができました。ドラッカーの生き方は、私たち一人ひとりに対しても、限られたリソースの中で常に優先順位を決断し、真に価値のある活動に集中することの重要性を説いています。
要約からは漏れていますが、元の文章では、ドラッカーが2005年11月11日に亡くなったこと、その2週間前に彼の最後の著書『The Effective Executive in Action』(2006年)の試読版を見て満足そうであったことが書かれています。この本は日本語版では下記のように翻訳されています。
日本語からはわかりにくいですが、英語のタイトルを見る限り、これは、こちらの本の再編集版です。
もともと『The Effective Executive』を『経営者の条件』と訳してしまったので、in Actionがつくとさらに訳しにくかったのかもしれませんが、『経営者の条件 実践編』と訳してしまうと『経営者の条件』の売れ行きが下がってしまうことを心配したのかもしれません。本来は『効果的に成果を出す人の実践』とでも訳した方が良さそうです。
前にこの記事で、『経営の神髄』がドラッカーの大著『マネジメント』のリバイバル版であることも併せて指摘しました。また、なんで野田一夫先生が『経営者の条件』と訳してしまったのか、という話も書いています。
この時には内容までは触れませんでしたが、こちらの『The Effective Executive in Action』は95項目のチェックリストのような構成になっていて、非常にわかりやすい内容になっています。マチャレロ先生のドラッカー思想の体系化のお仕事のひとつの成果ですし、個人的には、授業「非営利組織の経営」で使えるテキストを作成したいと考えていたので、改めて見てみると、この本はとても参考になります。
さて、話を戻して、続いて「Read」の部分を訳していきます。
I Read 読む
今回の引用文は短いです。1989年のピーター・F・ドラッカー、ジェームズ牧師とのインタビューから、となっていて、その前後にマチャレロ先生の文章が続きます。こちらも要約したものを紹介します。
ピーター・ドラッカーは、かつて長期的な重要事項よりも目の前の緊急事項を優先し、本来書くべきだった本の執筆などを後回しにしてしまったことを深く後悔していました。その反省から、彼は晩年の20年以上の歳月をソーシャルセクターの支援に捧げ、リーダーシップ、組織、そしてマネジメントという各プロセスの改善に注力しました。具体的には人材育成やコミュニティ構築、後継者計画といった根幹的な課題に取り組み、指導したリーダーたちと共に目覚ましい成果を上げました。
興味深いのは、マチャレロ先生の言葉として、「1989年までに、ドラッカーはキャリアの初期にソーシャルセクターの組織の経営にもっと時間を費やすべきだったと後悔していました。彼はこの後悔を、2005年に亡くなるまで断固として持ち続けました。」と明確に書いていることです。もしかしたら、マチャレロ先生による一連の著作の整理も、ビジネスセクターではなくソーシャルセクターの人にとって読みやすくわかりやすく、という配慮があったのかもしれません。
II Reflect 考察
こちらはマチャレロ先生による考察部分ですが、今回は冒頭に一文だけのメッセージがコメントされています。訳します。
あなたには自分の人生を配分する責任があります。
そして、今回の見出しはこちら。
1. 「障害者から学ぶ:重要なことと緊急なことを区別する方法」
2. 「何をしたいかではなく、何をする必要があるかを問う」
3. 「すべてが、ある事柄ほど重要ではないかもしれない」
1. 「障害者から学ぶ:重要なことと緊急なことを区別する方法」は、『経営者の条件』からの引用です。ルーズベルト大統領の顧問を務めたハリー・ホプキンスが、激しい痛みのための1日おきに数時間しか働けなかったにもかかわらず、チャーチルも評価するような目覚ましい活躍をしたエピソードが語られています。
マチャレロ先生のコメントです。
ドラッカーは作家、教師、そして経営幹部のコンサルタントとして大成功を収めましたが、成功の絶頂期には、他の多くの機会を断ったにもかかわらず、緊急の事柄から重要と考える事柄へと方向転換することができました。これは、私たち一人ひとりが重要なことに集中するための力強い例です。
2. 「何をしたいかではなく、何をする必要があるかを問う」は、フランシス・ヘッセルバインらが編集した論文集(アンソロジー)である『未来型リーダーの条件(原題:The Leader of the Future)』(1996年)にドラッカーが寄せた文章である「Not Enough Generals Were Killed(戦死した将軍が少なすぎた)」の一部が紹介されています。短いので、こちらは全文を載せておきます。
性格、スタイル、能力、そして興味に関して、ほぼ無限の多様性にもかかわらず、私が出会い、共に働き、観察してきた効果的なリーダーたちは、ほとんど同じように行動していました。彼らは「私は何を望んでいるのか?」「何をする必要があるのか?」という問いから始めました。
問いかけを抜き出しておきます。
・私は何を望んでいるのか?
・何をする必要があるのか?
その上でマチャレロ先生はコメントで、こう書いています。
「もし効果的な『秘訣』があるとすれば、それは集中力だ。」これは、他者からの時間の要求が絶え間なく続く傾向がある幹部にとってはなおさらです。したがって、幹部にとってマルチタスクを行う必要性は現実のものとなりがちですが、複数の要求がある中で、緊急なことよりも重要なことに優先順位を置き、必要な時間と集中力を割くことを学ばなければなりません。
3. 「すべてが、ある事柄ほど重要ではないかもしれない」は、1968年のピーター・F・ドラッカー、ビデオテープシリーズのトランスクリプトからの引用です。こちらも全文訳しておきます。
成果を出す人であることは時間がないことを意味します。それは、誰もがあなたの時間を奪い合うことを意味します。誰もがあなたの時間を欲しがり、1日の時間よりも多くの仕事が常に存在します。そして、すべての作業は本来あるべき時間よりもはるかに長くかかります。そして、上司が考えるよりも2倍の時間がかかります。効果的な成果を出す人の時間の使い方と、私たちのほとんどの時間の使い方には違いがあります。重要なのは、実際にどれだけの時間があり、それらをどこに費やしているかを把握することです。すべてが、実際にはそれほど重要ではないかもしれません。本当にそれに値する活動にどれだけの時間を費やしているか、本当に知っていますか?多くの時間が指の間からすり抜けている可能性はありませんか?
問いかけが出てきたので抜き出しておきます。
・本当にそれに値する活動にどれだけの時間を費やしているか、本当に知っていますか?
・多くの時間が指の間からすり抜けている可能性はありませんか?
これに対するマチャレロ先生のコメントです。
フィードバック分析は、聖イグナチオ・デ・ロヨラが自身とイエズス会の司祭たちを成長させるために用いた非常に古い手法です。彼の瞑想とその現代版のそして世俗的な適用は、結果と期待を比較することで、私たちのパフォーマンスを時折分析するためのツールを提供してくれます。これは、私たちの強みと、最も貢献できそうな分野を特定するために使用できるツールです。これらは、私たちが時間を割り当てることを検討すべき分野です。
またまた宗教的な要素が出てきました。このあたりの話を解説した記事を発見しましたので、リンクしておきます。
フィードバック分析については、下記の章でも出てきましたので、再登場ですね。
III Practicum-Prompts 実践のきっかけ
今回も問いかけというよりも提案が多いです。こちらは全訳してみますが、だいたい「人事が重要だという話」「重要度と緊急度の見極めの話」「フォードバック分析の話」「何によって憶えられたいか?」の4つの内容になっています。
「人事決定」(採用、昇進、解雇)は、ほとんどの場合、あなたが下す必要がある最も重要な決定の一つです。これらの決定には時間をかけてください。なぜなら、間違いを犯すと、長い間後悔し、やり直すことになるからです!
私は、チャールズ・ハメル著の小冊子『緊急の暴政』を使って、緊急なタスクと重要なタスクの違いを思い出すようにしています。私はこの時間管理の特定のアプローチで成功を収めてきましたが、時間の要求が来る重要な場所に独自のプロンプトを配置することを検討し、時間に対する重要な要求と緊急な要求を区別するために一時停止する習慣を身に付けましょう
ドラッカーはフィードバック分析を用いて、人生をどのように配分するか、そして何によって記憶されたいのかを決める際に役立てました。あなたは何によって憶えられたいですか?
「私は何によって憶えられたいか?」という質問への答えは、年齢とともに変化します。ですから、人生の中で何度も自問自答し、答えることが重要です。その答えは、人生に焦点と目的を与えてくれます。特に日々の活動に没頭していると、この質問を避けてしまう傾向が強くなります。危機は、私たちが立ち止まってこの質問に取り組むのに大きな役割を果たしますが、そのために危機は必要ありません。私は、新年の最初の数日がこの質問をするのに良い時期だと感じています。しかし、まだ答えていないのであれば、今答えてみてはいかがでしょうか?
問いかけを抜き出しておきます。
・何によって憶えられたいか?
こちらは『非営利組織の経営』のこちらの部分で出てくる問いかけです。
6週目の内容はこちらで終わりです。ちょうど昨日の記事で、「何によって憶えられたいか?」の重要性について実感したところでしたので、個人的にタイムリーな内容でした。
さて、いつものように、せっかくのドラッカー先生によるコーチングですので、自分も考えてみました。今回は「何によって憶えられたいか?」の先にマチャレロ先生の「あなたには自分の人生を配分する責任があります」があり、さらにその先に「何をしたいかではなく、何をする必要があるかを問う」があるのだ、ということに気づかされました。
以前、マイコーチから、「人生管理ガントチャート」というオリジナルの手法を教えてもらい、時期によってガッチリ使ったり使ってなかったりしていましたが、忙しくないとつい放置しがちでした。今年からはちゃんと使おうということで真面目に取り組んでいますが、マチャレロ先生の言う通り「危機は、私たちが立ち止まってこの質問に取り組むのに大きな役割を果たしますが、そのために危機は必要ありません」にかなり納得しましたので、もう少し真摯に取り組もうと決意を新たにしました。
これは、月の初めに予定を入れ、それに基づいて日々を過ごすというものなのですが、目標設定をなんとなくやっている気もします。「何によって憶えられたいか?」に基づいた月の、日々の目標設定に直していく必要があるな、と思いましたので、これに取り組んでみます。
あなたにとっては、何か響く問いかけ/提案はありましたか?
今回の章は以上です。
現場からは以上です。お読みいただき、ありがとうございました。面白かった、参考になった、という方は是非、高評価いただけると嬉しいです。フォローも大歓迎ですし、もちろん記事の引用・紹介も嬉しいです。
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