【サレ妻大逆転ミステリ】8話 毒妻探偵〜サレ公爵夫人、愛人調査能力で殺人事件を解く〜
本編まとめ
1話
https://note.com/chisio777/n/nbeec187c83d8
2話
https://note.com/chisio777/n/n861a3b10a1b1
3話
https://note.com/chisio777/n/n023d5bb2820c
4話
https://note.com/chisio777/n/n09fb6cf9adbc
5話
https://note.com/chisio777/n/nfe8d3ff1d9c0
6話
https://note.com/chisio777/n/n06eca31500b0
7話
https://note.com/chisio777/n/nf889f3007d7f
8話
https://note.com/chisio777/n/nf3601cff0001
番外編短編・洗濯婦の暗躍
洗濯婦・エリサはゴシップが大好きだった。毎週、書店へゴシップ誌を買いに行き、職場でも噂話に花を咲かせる。
幸い、エリサは様々な貴族の住まいへ行き、洗濯をする仕事をしているので、耳だけは立派になっていった。見かけは小柄なおばちゃんだが、その耳は数々にゴシップで埋まっているのだ。
そんなある日。仕事で公爵のアガター家に関わった時、殺人事件に巻き込まれていると耳にした。
元々アガター家の公爵夫人、フローラはきつい見た目から誤解をうけ、よく噂をされていた。夫の公爵もかなりのイケメンな恋愛小説家。そんな夫婦は冷え切り、公爵も浮気をしまくっていた事はよく噂されていたが、想像以上だ。
フローラは公爵の愛人を調べ、一冊のノートにまとめていた。偶然、それを読む機会があったものだが、耳年増エリサもドン引きするぐらい細かく調査してあった。
「これは面白いかも」
エリサも真似して公爵家の愛人を調べたくなった。特に今は殺人事件に巻き込まれて、公爵はアリバイがないらしい。事件当日、女性にナンパをしていたらしいが、その人物が見つからず、困っているとも聞いた。
「だったらその女性を見つけてみようかしら」
エリサはそう決意すると、職場の貴族の家を渡り歩き、調査を始めた。
「という事で、奥様、何か知りませんか?」
「そうねぇ。あの伯爵家のご令嬢はモテるのよ。ストーキングされている噂」
仕事で向かった男爵家の奥様に気になる噂を耳にした。確かにその伯爵家の令嬢は、清楚な見た目の美人だと有名だ。
すぐにピンときたエリサは伯爵令嬢に会いにk行き、事件当日、公爵からナンパを受けたという証言も引き出した。
「アガター家の公爵様、本当にスケベな目で見てきて気持ち悪かった! あんな浮気相手は、マムみたいな極悪女でちょうどいいわ。一緒にしないでもらいたい」
伯爵令嬢の言い分は散々だったが、白警団にも証言させ、晴れて公爵のアリバイが成立された。
白警団のコンラッドはエリサが証人を連れて来た事に悔しそう。
「素人が首を突っ込むな!」
怒られたが、事件調査は全く進んでおらず、被害者であるマムを恨んでいる者は膨大に存在し、気が狂いそうだと吠えていた。
「まあ、コンラッド頑張れ」
「うるさい、この洗濯婦が!」
コンラッドに何を言われても気にするものか。エルサは白警団内部でもコソコソ噂を探り、コンラッドがコネで出世した事も聞いてしまった。
「ふふふ、洗濯婦を甘く見ていると酷い目に遭うよ」
エリサは今日も貴族の家を渡り歩きながら、噂を耳に入れていた。
「ああ、そうなの。本当?」
噂を聞くエリサは、まるで夢見る少女のように生き生きとしていた。
番外編短編・公爵家のお皿
僕は公爵家のお皿。
フローラがメンヘラヒステリーを起こすたびに、割られていました。まあ、新しい皿に転生し、結局後者家のキッチンの戸棚に戻ってしまう事も多いけれど。
どうも最近はフローラもメンヘラになる事が少なくなり、僕も割られる事は少なくなってしまったけどね。
公爵も家に帰って来るようになったから、僕の出番も増えた。昨日はサラダを乗せたよ。
新米メイドのフィリスは田舎者らしく、僕を洗うのも雑だ。ドレッシングのシミがまだ残っているのに、洗った事にされた時は参った。昨日もメイド頭のアンジェラが怒ってたよ。やれやれ。
「しかし最近の奥さんはメンヘラしなくなったので、お皿買わなくていいですね!」
僕を吹きながら、フィリスはアンジェラに話していた。
「そうよな。前は皿代だけで私の給料の半分ぐらい使ってから」
「えー、そんなにですか! 奥さんのメンヘラは筋金入りです!」
そう、それは僕が一番よく知ってる。
「でもよ、メンヘラ女辞めろっていうのもどうなんかね」
「アンジェラ、そうですか? マムもメンヘラ辞めろって本に書いてたよ」
「だって、自分でご機嫌とって物分かりよくニコニコして、見かけも美人で稼いで自立している女なんて、都合の良い女だよな。自己中のヒモ男か、クズモラハラ男しかよってこんだろ。それがモテるっていう事か? 私はわからない」
「まあ、確かにメンヘラ女でも許せる男はかなり良い男ですね!」
「まあ、うちの坊ちゃんはね?」
「まあ、公爵は単にメンヘラ製造機ってだけでしょね!」
公爵の悪口で盛り上がってメイド二人を見ながら、僕も笑いそうだ。確かにあの公爵はメンヘラ製造機だった。
「お、二人とも何を盛り上がってるんだ?」
そこに公爵が登場。紅茶のお代わりが欲しいとキッチンにやって来たらしい。
突然に公爵の登場に二人とも慌てふためき、僕を床に落とした。
ガッシャーン!
僕は粉々の砕けてしまった。
「おいおい、君達、なんか俺の悪口言ってただろ?」
公爵の猜疑心モードはオンになり、メイド二人はしばらく目を泳がせていた。
一方、僕は新聞紙にぐるぐる巻きにされ、ゴミとして回収されてしまった。
メンヘラ女が治ったと思ったら、うっかりメイドに粉々にされるとは予想していなかったが、仕方がない。
まあ、人生、いや、皿生はこんなものである。次も公爵家のキッチンに生まれ変わる事を望みながら、僕は意識を手放していた。
「ふふふ、ありがとう、お皿さん。今度メンヘラ女になったら、思いっきり割らせて貰うから。その時はよろしく!」
意識が消えかける瞬間、どこからかフローラの声が聞こえる気がした。
番外編短編・フィリスとお皿
新米メイド・フィリスは冷や汗を流していた。
「フィリス。あなた、一体何枚お皿を割っているの? お皿だけでなく、紅茶カップ、小皿、花瓶まで割ってるわね?」
ある日、フローラに呼び出されたら、今までに割った皿類の名称や金額を一覧にされ、見せつけられていた。
さらに冷や汗タラタラ。フィリスはうっかり者で、ここで働き始めてから、何枚も皿を割っていた。
「いや、でもメンヘラしている奥さんの比じゃないですよー。むしろ奥さんの方がいっぱい割ってません?」
「フィリス、黙って。アンジェラからも注意するよう言われてるのよ。あなたの田舎者らしさは全てが欠点ではないけど、何とかしてちょうだい」
久々にフローラに叱られ、フィリスはシュンとしていた。
とはいえ、自分のミスである事も確か。フィリスは弁償の為、庶民の市場に出向き、皿や紅茶カップをいくつか購入する事に決めた。
「わあ、可愛い皿!」
テーブルウエアの雑貨店に向かうと、可愛いデザインの皿も大く、フィリスのテンションは爆上がりしていた。
特にフチに向日葵の絵がデザインされた皿が可愛い。これだったらフローラの機嫌も回復しそうだし、自分も気をつけて仕事できるかも。
フィリスはニコニコ顔でこの皿を購入していた。
「きっと奥さん、喜ぶよ」
当初はトンデモブラック公爵家に来てしまったものだと後悔しかなかったが、事件を通し、フローラもただの変な女じゃない事を知った。
むしろ困難な時でも負けな毒入りの奥さんだ。つまんねー女なんかじゃない。強く根を張り、その毒で周囲を魅了していく毒草のような女だ。
「よし、はやく帰ろうー。仕事もうっかりしないで頑張るから!」
フィリスは皿を大事に抱え、公爵家まで走り続けていた。
ご覧いただきありがとうございます。元々別サイトにある作品を少し手直しして載せています。改題版です。内容は全く同じです。
今作をAIに読ませたら、コージーミステリというよりもサスペンス向けとツッコミを入れられ、イラストもシリアスっぽく描いてもらいました。一応続きも別サイトにあるんですが、文字数の関係上、今作(改題版)はここで完結です。
リアクション等もありがとうございました。
