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ととのえるとは、委ねること

ハイサイ。
ととのえ職人、五木田穣ごきたゆたかです。

ここまで、

「ととのえるとは何か」
「ととのえるとは、戻ること」
「ととのえるとは、足すことではなく引くこと」
「ととのえるとは、安心を思い出すこと」
「ととのえるとは、つながり直すこと」
「ととのえるとは、ゆるめること」
「ととのえるとは、休むこと」

と書いてきました。

整えることと、調えること。

頑張る前に、自分の場所へ戻ること。

足しすぎたものを少し引いて、
抱えすぎた力をほどいていくこと。

体が安心を思い出し、
ばらばらになっていたものが少しずつつながり直していくこと。

必要以上に入っていた力を少し下ろし、
ようやく休める状態へ戻っていくこと。

その流れで、もうひとつ書いていきます。

それは、
ととのえるとは、委ねること
だということです。



自分で何とかしなければ、と思ってしまう

多くの人は、苦しいときほど
「自分で何とかしなければ」
と思います。

ちゃんとしなければ。
崩れないようにしなければ。
相手に迷惑をかけないようにしなければ。
期待に応えなければ。

自分の機嫌も、仕事も、関係も、
全部うまく回さなければ。

そうやって、
自分で抱え、自分で支え、自分で整えようとする。

もちろん、
責任を持つことは大切です。
誠実であろうとすることも大切です。

でも、
何もかもを自分ひとりで握りしめ続けていると、
人は少しずつ固くなっていきます。

呼吸が浅くなる。
緊張が抜けなくなる。
力を抜くことが怖くなる。

誰かに頼ることも、
時間に任せることも、
流れに委ねることも、
難しくなっていく。

ととのえるということを考えるとき、
ただ頑張って整えようとするのではなく、

少し委ねられるようになることも必要です。


委ねられないとき、人は固くなる

人が委ねられないとき、
その体には、思っている以上に緊張があります。

先回りしてしまう。
全部見ていないと不安になる。
確認をやめられない。
頼むより、自分でやった方が楽に感じる。
少し止まるだけでも、
何かが崩れてしまいそうに思える。

こういうとき、
起きているのは、性格の問題ではなく、
安心できていない状態と言えます。

安心していない体は、
力を抜くことが苦手です。

力を抜くことが苦手な体は、
委ねることも苦手です。

だから、
委ねられないことを責める前に、

まずは
「どれだけ身構えてきたのだろう」
「どれだけ自分ひとりで抱えてきたのだろう」
と感じてみてください。

委ねられないのは、
あなたが弱いからではなく、
それだけ長く、自分で支えようとしてきたから。

私自身も、委ねられないひとりでした。


委ねるとは、投げ出すことではない

委ねる、と聞くと、
どこか無責任なことのように
感じる人もいるかもしれません。

任せること。
手放すこと。
あきらめること。
どうでもよくなること。

でも、
私が言う「委ねる」は、
そういうことではありません。

全部を放り出すことでもない。
責任をなくすことでもない。
何もしなくなることでもない。

そうではなくて、
必要以上に握りしめていたものを、少し緩めること
です。

結果の全部を、自分で管理し続けようとしないこと。
相手の反応の全部を、背負わないこと。
未来の不安の全部を、今の自分で何とかしようとしないこと。
自分ひとりで全部を、やろうとしないこと。

必要なことはする。
でも、
必要以上に抱え込まない。

それが、
ここで言う「委ねる」です。

だから、
委ねることは、

いいかげんになることではなく、
抱えすぎていたものを、自分に合う重さへ戻していくこと
と言えます。


安心して、はじめて委ねられる

前の記事で、
ととのえるとは、安心を思い出すことだと書きました。

そして、
ゆるめることや休むことも、
その流れの中にある
と書きました。

委ねることもまた、
安心の先にあるもの
です。

体がずっと身構えているとき、
人は委ねられません。

何かを任せるのが怖い。
止まるのが怖い。
待つのが怖い。

流れに乗るより、
全部を自分で抱えていた方がまだ安心だと感じる。

でも、

少しずつゆるめて、
少しずつ休めて、
少しずつ安心が戻ってくると、

「全部を自分で持たなくてもいいのかもしれない」
と思えるようになります。

つまり、
委ねるというのは、

気合いでやるものではなく、
安心できる状態の中で、自然に起きてくるものです。

委ねられない自分を、
無理に変えようとするより、

その前に

安心できているか、
休めているか、
ゆるめられているか、

を自分の心と体に問いかけてみてください。


委ねることで、流れが戻ってくる

ずっと握りしめていると、
流れが止まりやすくなります。

呼吸も、
時間も、
感覚も、
関係も。

何かを起こさないようにしようとする。
崩れないようにしようとする。
間違わないようにしようとする。
失わないようにしようとする。

その力は、
一時的には役に立つこともあります。

でも、
ずっと続くと苦しくなる。

委ねるというのは、
その止まっていた流れを、
もう一度、少しずつ動かしていくことでもあります。

息を吐けるようになる。
待てるようになる。
誰かの力も借りられるようになる。
今すぐ答えを出さなくてもよくなる。

少し先のことを、
少し先の自分や時間に任せられるようになる。

そうすると、
人は少し楽になります。

全部を支配し続けなくていい。
全部を把握し続けなくていい。
全部を背負い続けなくていい。

その感覚は、
人をだいぶ軽くします。

ととのえるとは、
呼吸や姿勢や思考だけではなく、
流れを取り戻していくこと
とも言えます。


委ねるとは、自分をなくすことではない

ここもまた、
大切に書いておきたいところです。

委ねるというと、
自分を消して相手に合わせることや、
誰かに依存することと混ざってしまうことがあります。

でも、
本来の委ねるは、
そういうことではありません。

自分の感覚をなくすことではない。
自分の意思を手放すことでもない。
「もうどうでもいい」と投げることでもない。

むしろ逆で、
自分の輪郭を持ったまま、全部は抱え込まないこと
です。

自分はどう感じているのか。
何が苦しいのか。
どこまでならできて、
どこからは一人で抱えすぎているのか。

それが少し見えているからこそ、
必要なところで人に任せることができる。
必要なところで時間に預けることができる。
必要なところで流れに委ねることができる。

だから、
委ねるということは、

自分をなくすことではなく、
自分を見失わずに、全部を抱えないことです。


すべてを委ねなくていい

委ねるというと、
全部手放せるようにならなければならない、
と思う人もいるかもしれません。

でも、
そんなふうに考えなくていいです。

いきなり全部委ねなくていい。
全部任せなくていい。
全部手放さなくていい。

ただ、
ひとつだけでもいい。

今すぐ決めなくてもいいことを、
少し時間に委ねてみる。

自分で抱え込んでいたものを、
少し誰かに相談してみる。

結果の全部を管理しようとするのを、
少しだけ緩めてみる。

そういう小さなことの中に、
委ねる感覚は育っていきます。

委ねることもまた、
急にできるようになるものではありません。

でも、
少しずつ「全部を持たなくていい」を
覚えていくことはできます。

ととのいは少しずつ。
小さなことから。できることから。


ワーク①|自分が握りしめているものを見る

ここで、
少しだけ自分を見つめる時間をとってみてください。

いまの自分が
「ずっと握りしめているもの」は何でしょうか。
たとえば、

  • ちゃんとしていなければ、という思い

  • 自分で何とかしなければ、という責任感

  • 相手にどう思われるか、という不安

  • 結果を出さなければ、という焦り

  • 失敗してはいけない、という緊張

  • 先に全部考えておかなければ、という警戒

  • 誰かをがっかりさせてはいけない、という思い

思いつくものを書いてみてください。

大事なのは、
「こんなもの持たなくていいのに」と責めることではなく、
自分が何を持ち続けてきたのかを見ることです。

見えるだけでも、
少し力は変わりはじめます。


ワーク②|ひとつだけ、委ねられるものを探す

次に、
今の自分が
ひとつだけ委ねられそうなものを探してみてください。

たとえば、

  • 今すぐ返事を出さなくてもいいこと

  • 一人で抱えず、相談してもいいこと

  • 完璧にやらなくてもいいこと

  • 相手の反応の全部までは背負わなくていいこと

  • 今日の自分にできる分まででいいこと

  • 少し先のことは、少し先の自分に任せてもいいこと

ここで大切なのは、
大きく変えることではありません。

ひとつだけ でいい。小さなことでいい。
それだけでも、
体の緊張は少し変わります。


おわりに

ととのえるとは、委ねること。

それは、
何もかもを放り出すことではなく、
必要以上に握りしめていたものを、
少し緩めていくことです。

ずっと自分で何とかしようとしてきた人にとって、
委ねることは、
少し怖いことかもしれません。

でも、
ゆるめて、休んで、安心を思い出していく中で、

人は少しずつ
「全部を自分で持たなくてもいいのかもしれない」
と思えるようになります。

それは弱さではなく、
回復のひとつの形であり、
ととのいの深まりです。

自分のままで、
全部は抱え込まない。
必要なところで、少し委ねられる。

それもまた
生きやすさにつながる大切な感覚だと思います。

あなたの安心が広がり、
ゆるみ、休まり、委ねられますように。

少しでもととのったなら、
それが私の喜びです♪

ととのえ職人、五木田穣ごきたゆたかでした。

また、次の記事でお会いしましょう。


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