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Apple値上げ、次の標的はどれか——iPhone・Watch・AirPodsが「残った」理由を原価から予想する

はじめに

6月25日の深夜、僕はリビングの自作PCでApple公式ストアを開いて、しばらく画面を見つめていました。

きっかけは、ある読者の方からのコメントです。「はたけっちさんの記事で気になっていたMacBook Neoが、いつの間にか2万円も上がってるんですけど…」。あわてて確認してみると、確かに上がっています。99,800円だったMacBook Neoが、119,800円になっていました(※1)。それだけではありません。MacBook AirもiPad ProもVision Proも、ストアに並ぶほとんどの製品に、見たことのない幅で値札の貼り替えが起きていました。

総務職として日々モノの値段を見ている僕からすると、これは「ちょっとした改定」では片づけられない規模です。一方で、ひとつ妙なことに気づきました。iPhone、Apple Watch、AirPodsだけが、きれいに値上げを免れているのです。

この記事では、まず今回の一斉値上げで「何が・どれだけ・なぜ上がったのか」を一次情報で整理したうえで、本題である「では次に値上げするのはどの製品で、幅はどのくらいか」を、僕なりに原価の構造から予想していきます。結論を先に言うと、僕は「次の本命はiPhone、そして最大の伏兵はサービス(iCloud+やAppleCare)」だと見ています。その理由を、順番に説明させてください。

※この記事の価格・改定幅は2026年6月25日〜27日時点の各社報道に基づきます。

予想部分はあくまで筆者個人の推測であり、Appleの公式発表ではありません。


まず事実:6月25日に「何が」上がったのか

予想の前に、土台となる事実を固めます。ここを曖昧にしたまま未来を語っても、ただの当てずっぽうになってしまうからです。

2026年6月25日(木)、AppleはMac・iPad・Vision Pro・Apple TV・HomePodなど、ホーム製品まで含めたほぼ全ラインを世界同時に値上げしました。日本だけでなくグローバルのオンラインストアで即日反映されています(※1)。

幅はこれまでの「数千円の改定」とは桁が違います。日本円ベースで見ると、製品によって20〜75%もの上昇です(※2)。

価格変更の一部

(※2。米国でも最大300ドル増、Apple TVは129→199ドル、HomePodは299→349ドルなど、ホーム製品まで一斉に上がっています(※1))

理由は、関税でも単なる円安でもありません。中心にあるのはメモリとストレージ半導体(DRAM・NAND)の歴史的な高騰です。生成AIのデータセンターが世界中で建ち、計算に必要なメモリを企業が奪い合った結果、PC・スマホ向けの一般メモリにまで供給不足が波及しました(※1)。そこへ円安(1ドル161円水準)が重なり、Appleは「自社で吸収しきれない」と判断したわけです(※2)。Apple自身が「これほど急激な部品の値上がりは見たことがない」とまでコメントしています(※1)。

ここまでは、6月19日に書いたApple製品の値上げニュースから読み解く、スマホの買い替え時の続報にあたります。あのとき「値上げの正体は関税ではなくメモリ高騰だ」と書きましたが、それが現実の値札として、想像より早く、想像より大きく着弾しました。

そして今回いちばん重要なのは、Appleが値上げ発表の中で「今後、追加の製品でさらなる価格調整があり得る」と明確に示唆したことです(※1)。つまりこれは「終わり」ではなく「第一波」です。だからこそ、次を予想する意味があります。


なぜ"今回"iPhoneは見送られたのか——予想の土台

「メモリ高騰が原因なら、メモリをいちばん積んでいるiPhoneこそ真っ先に上がるはずでは?」。

そう思った方は鋭いです。実は、そこが今回いちばんの読みどころだと僕は考えています。

総務の調達目線で値札を眺めると、Appleがどの順番で値上げするかは「原価の重さ」だけでは決まらないのがわかります。もうひとつ、「いつ上げると、客が納得しやすいか」という時間軸の都合が効いてくる。iPhoneが今回外れたのは、原価が軽いからではありません。むしろ逆で、原価が重すぎるからこそ、別の機会に回した——これが僕の読みです。理由は2つあります。

ひとつ目は、iPhoneには9月という「値上げを溶かせる日」があること。新モデルの発表日です。人は、同じ製品が値上がりすると「損した」と感じますが、新モデルが高くなると「新しくなったから」と受け入れます。同じ千円でも、貼り替えと新発売とでは心理的な抵抗がまるで違う。Appleはこの差を熟知しています。だから、iPhoneの値上げは6月の貼り替えではなく、9月の新発売に織り込むほうが摩擦が少ない。Apple Watchも同じ秋サイクルなので、同じ理由で今回は温存されたと見ています。

ふたつ目は、iPhoneが値上げで失うものが大きすぎること。iPhoneはAppleの利益の柱であり、エコシステム全体への入口です。ここで「高すぎる」とそっぽを向かれると、AppleCareもiCloudもApple Payも一緒に逃げていく。だから一番慎重に、一番うまいタイミングで上げたい。逆に言えば、Macやホーム製品は「先に上げても客が離れにくい」から第一波の的にされたわけです。

この2つの軸——「原価の重さ」と「値上げを溶かせる機会があるか」——を掛け合わせると、次に何が上がるかが見えてきます。


原価から読む「次の標的」ランキング

ここからが本題の予想です。メモリ・ストレージへの依存度(=原価の重さ)と、Appleにとっての上げやすさを掛け合わせて、僕なりに「次に来る順」を並べてみました。確度(★3つが最大)と上げ幅は、すべて筆者個人の推測です。

第1位:iPhone(2026年9月の新モデル)── 確度★★★/幅:大

本命です。iPhoneは大容量のストレージと、Apple Intelligence対応のために増えたメモリを積んでいて、メモリ高騰の影響を全製品で最も強く受けるカテゴリです。前回の記事を書いたとき、調査会社TechInsightsの試算で「iPhone 18 Proは200ドル前後の値上げ余地があり、メモリだけで原価が39ドルから145ドルに膨らむ」という数字を紹介しました(※3)。今回の一斉値上げで、その試算はむしろ現実味を増したと感じています。

僕の予想は、9月発表のiPhone 18シリーズで、本体価格が1〜3万円ほど引き上げられる。特にメモリを多く積むPro系の上げ幅が大きいと見ています。形としては「値上げ」ではなく「新モデルの新価格」という顔をしてやってくるはずです。

第2位:iCloud+/Apple One/AppleCare(サービス)── 確度★★★/幅:中

ここが、今回いちばん伝えたい伏兵です。多くの人は「次に上がるのはハードのどれか」と考えますが、メモリ・ストレージ高騰の直撃を、ハード以上にまともに受けるのはサービスだと僕は見ています。

理由はシンプルで、iCloud+はストレージそのものを売る商売だからです。あなたの写真やバックアップを預かるデータセンターは、まさに今いちばん高くなっているNAND・DRAMの上に成り立っています。原価が上がっているのに月額が据え置きなら、利益は確実に削れていく。総務の感覚で言えば、これは「いずれ必ず転嫁される」コスト構造です。

しかもサービスの値上げは、ハードと違って新モデルを待つ必要がありません。Appleがその気になれば来月にでも改定できる。だから「幅は中くらいでも、時期はいちばん早いかもしれない」というのが僕の読みです。iCloud+の各容量プラン、サブスクを束ねたApple One、保証のAppleCareあたりは、静かに、しかし着実に上がると予想します。

第3位:AirPods(次世代モデル)── 確度★★/幅:小〜中

AirPodsは内蔵メモリこそ小さいものの、チップとバッテリー、そして円安の影響は受けます。ただ、AirPods Pro 3が比較的最近に出たばかりなので、現行品の値札貼り替えではなく、次のモデルチェンジで上乗せという形が濃厚だと見ています。僕自身はAirPods 4のANCモデルを毎日使っていて、この価格帯の完成度には満足しているのですが、次世代が出るときには素直に「少し高くなった」と感じる準備はしています。

第4位:Apple Watch(次期Ultra系など)── 確度★★/幅:小

Apple Watchも秋サイクルなので、iPhoneと同じく新モデルにそっと織り込まれるパターンと予想します。メモリ依存度はそれほど高くないので、幅は控えめ。むしろ上がるとしたら、原価よりも「ブランドのプレミアム維持」を理由にした、Ultra系の小幅な調整になるのではないかと見ています。

第5位:Mac/iPadの「第2波」── 確度★/条件つき

今回ガツンと上げたMac・iPadですが、メモリ不足が2026年後半も解消しなければ、もう一段の改定もあり得ます。Appleが「今後さらに調整があり得る」と言ったのは、ここも含んでいると読むのが自然でしょう。ただ、さすがに第一波の直後に同じ製品をもう一度上げるのは反発が大きいので、確度は低めに置いています。


総務職の僕なら、何を"今"押さえるか

予想を並べたところで、いちばん知りたいのは「で、結局いま何をすればいいの?」だと思います。ここは正直に、意味のある駆け込みと、意味のない駆け込みを仕分けします。総務の発注でも同じで、「在庫があるのに慌てて買う」のがいちばんのムダだからです。

意味のある駆け込みは、「1年以内に買うと決まっていて、かつ次の波で上がる確度が高いもの」だけです。具体的には、9月までにiPhoneの買い替えを考えている人。今のうちに型落ち(iPhone 16eや整備済製品)を確保するのは、9月の新価格を回避する合理的な動きです。これは6月に書いた妻のiPhoneは値上げ前に買い替えるべきかの結論とも一貫しています。

逆に意味のない駆け込みは、「まだ要らないのに、値上げが怖いから買う」パターン。AirPodsもApple Watchも今回は据え置きなので、現行品を今すぐ慌てて買う理由はありません。むしろ、本体の値上げを避けるよりも、メモリ高騰の影響をほとんど受けない周辺アクセサリ——充電器やケーブル、保護フィルム、スタンドの類い——を、セールのタイミングで賢く整えるほうが家計には効きます。このあたりは7月のプライムデーが狙い目です。

僕自身は5月末にiPhoneからPixel 10aへ機種変したばかりなので、今回の値上げを少しだけ「外から」眺めている立場です。妻と出産準備の予算を相談する中でも、「値上げが来る前に何を確保すべきか」はよく話題に上ります。そのとき僕がいつも言うのは、「慌てて全部揃えるより、本当に上がるものだけ先に押さえよう」ということです。


値上げを"外から"眺めて思うこと

最後に、少しだけ予想から離れた話をさせてください。

今回の一斉値上げを見ていて、僕が改めて感じたのは、Appleが「高くしても客が逃げない」という確信を持っていることの凄みです。普通の会社が20〜75%も値上げしたら、客は一斉に他社へ流れます。でもAppleの製品を一度買った人は、写真もメッセージもアプリも、そのエコシステムの中に資産として積み上がっているので、簡単には外に出られない。だから多少高くても買い続ける。

僕はLinuxとAndroidを愛していて、Appleの「箱庭」からは少し距離を置いて暮らしています(その距離感はスマホに自由を求めてAppleからGoogleに引っ越したけど、結局おなじ「箱庭」だった話に書きました)。

けれど、外から眺めているからこそ、この値上げの構造がよく見えるのも事実です。値段が上がってもAppleを選ぶ人がいて、その選択を支えているのは、スペックではなく「安心」という名の依存です。それを良いか悪いかで断じるつもりはありません。ただ、自分が何にお金を払っているのかを、値上げのたびに一度立ち止まって考えること。それだけは、テクノロジーと付き合ううえで手放したくないと思っています。

おわりに

まとめます。6月25日の一斉値上げは「第一波」であり、Apple自身が次を示唆しています。僕の予想は、本命はiPhone(9月の新モデル)、伏兵はサービス(iCloud+・AppleCare)、そして秋にAirPodsとApple Watchが新モデルで静かに上乗せ。判断の軸は「原価=メモリの重さ」と「値上げを溶かせる機会があるか」の掛け算です。

この予想が当たるかどうかは、9月にまた答え合わせをしたいと思います。値段の話は気が重くなりがちですが、構造がわかると、慌てずに動けるようになります。あなたの「次の一台」のタイミングを考える材料になれば、うれしいです。


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出典

  • ※1:Apple、メモリ不足を理由にMac・iPad・ホーム製品・Vision Proを世界同時値上げ(2026-06-25)。最大300ドル増、Apple「これほど急激な部品高騰は見たことがない」とコメント、追加製品の価格調整も示唆。Bloomberg/CNN/CBS News(2026-06-25)

  • ※2:日本国内の改定幅は20〜75%。MacBook Air M4 13インチ+6万円、MacBook Pro 14インチ+9.1万円ほか。理由はメモリ・ストレージ半導体高騰+円安(1ドル161円水準)。GIGAZINE/テクノエッジ/ケータイ Watch(2026-06-26)

  • ※3:iPhone 18 Proの値上げ余地(約200ドル)とメモリ原価試算(39ドル→145ドル)はTechInsightsの試算(前回記事Apple製品の値上げニュースから読み解く、スマホの買い替え時の出典より再掲)



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