見出し画像

大河ドラマ感想記『豊臣兄弟!』桶狭間!


大河ドラマ感想記「豊臣兄弟!」
第一回:二匹の猿
第二回:願いの鐘
第三回:決戦前夜
第四回:桶狭間!
第五回:嘘から出た実(まこと)
第六回:兄弟の絆(きずな)
第七回:決死の築城作戦
第八回:墨俣一夜城
第九回:竹中半兵衛という男
第十回:信長上洛

《目次》



視点が交錯するドラマ性


複数の視点や時間軸が交錯するドラマはいくつもあるが、「桶狭間の戦い」と「豊臣兄弟の仇討ち」が同時進行の大河ドラマはなかなか興味深くて面白かった。

これは豊臣兄弟が桶狭間の戦いにおいて、どう戦ったのか史実にないからこそ、仇討ちという要素を入れることができたのだ。

桶狭間の戦いは、歴史ファンにとって見慣れた合戦なので、視聴者の中には退屈を感じる者もいただろう。だからこそ、仇討ちという別視点を取り入れることで、観ている者を飽きさせることはなかった。



仇討ちの意外な結末


仇である城戸小左衛門は、藤吉郎と小一郎の父親から手柄を奪った卑怯者で性格は最悪だが、槍の腕は確かなので合戦の場では英雄であることに間違いない。現場指揮官としても周りの兵たちの士気を上げているので、生き残っていれば、かなりの出世を果たしたであろう。

ただ、人は恨まれると因果応報の結末を迎えることになる。豊臣秀次(自害)事件がなければ、また石田三成が嫌われ者でなければ、関ヶ原の戦いは別の結末を迎えていたに違いない。

城戸小左衛門は豊臣兄弟に仇討ちを果たされると思っていたが、それはさすが八津弘幸さんの脚本である。

いくら槍の腕前が一流でも、矢に射られるとあっけなく死んでしまうのだ。戦争というものは古今東西を問わず無情なもので、戦場では味方による同士討ちで死ぬ人数はかなり多い。死ぬ覚悟で戦っていても、味方に射られて死んでしまうのは、あまりに悲しくて、あまりに虚しい。

城戸に矢を放った者についての描写はなかったが、乱戦の戦場で矢を放つこと自体、味方討ちの可能性が高まるので、それだけ今川本陣は混乱していたのだろう。小一郎に諭されて、藤吉郎は「偉くなって城戸をこき使ってやる」と豪語していたが、当の城戸はあっけなく戦死した。

戦争の無情さを象徴する一幕だった。



鳶と鉄砲


前回、「鳶が低く飛ぶと雨が降る」という農家の知恵を披露した小一郎。

今川軍の鉄砲が雨で使えなくて、織田軍の鉄砲が使用できたという謎は、今川義元だけでなく視聴者も困惑したことだろう。その理由が明かされる構成は実に見事で、物語全体の緊張感を高めていた。小一郎の観察眼の鋭さが、ここでも視聴者に伝わった。



今川義元の最期


この演出には本当に驚かされた。

豊臣兄弟が主人公なので、今川義元が討ち取られたシーンは必要ないと言えばないのだが、首級のみが描かれて戦が締めくくられたのはさすがに意表を突かれた。

『まーちゃんごめんね』(通称:まーごめ)で知られる大鶴義丹さん。城戸小左衛門以上の見せ場を得られぬまま、静かに退場した。



天運と計略


桶狭間の戦いにおける総括で、藤吉郎と小一郎の対比はとても面白かった。

藤吉郎は「織田信長様の天運のおかげ」と言い、小一郎は「信長様の計略のおかげ」と見抜いていた。鳶が低く飛ぶと雨が降ることを信長に伝えていた小一郎。

藤吉郎は「人柄」で、小一郎は「観察眼と機転」で、戦乱の世を生き抜くことになるだろう。



怒涛のフラグ回収


『VIVANT』を彷彿とさせる終盤のフラグ回収に心が震えた。

佐久間盛重が丸根砦で討ち死にしたことは、歴史ファンの間で知られているところだが、ドラマでは今川家に寝返ろうとした盛重を簗田政綱やなだ まさつなが背後から刺して、盛重の首を敵方に献上して降伏した。この功績により、簗田は勲功第一を挙げた。そして、今川義元の首を取った毛利新介が「第二」で、鳶の習性を信長に伝えた小一郎が「第三」となった。

小一郎は、近習の地位を断り、藤吉郎の配下、つまり信長の直臣ではなく、陪臣の立場と銭の褒美を望んだ。今回いくつかのフラグを回収したが、また新たなフラグが打ち立てられた。

なぜ小一郎は銭を望むのか。

今はまだ謎である。ちなみに、銭50貫は今の価値だと「約500万〜700万円」だとされている。いくら尾張国が栄えているからといって、国内はまだ安定しているわけではない。家臣団の側近たちがうろたえたのも当然と言えるだろう。



信長の行く末


桶狭間の戦いが終わり、若者らしさを見せた信長だが、弟・信行との骨肉の争いなど、彼の心の傷は大変深く、徐々に第六天魔王の片鱗を見せていくことになるだろう。豊臣兄弟の絆の深さと対比する形で物語は進んでいくに違いない。

信長の物語がどのように描かれていくのか、こちらも期待が高まる。



むすび


脚本家や演出家が途中で交代しない限りは、最終回まで楽しめそうな予感がした第四回だった。

『VIVANT』では設定の甘さが指摘されていたが、『豊臣兄弟』は史実という原作ありきの作品なので、整合性はいくらでも取れるだろう。今回のように多少の創作があっても面白ければ、アンチが騒いだところで評価が揺らぐことはないはずだ。

物語は美濃国攻略へと進む。次回の展開も楽しみである。



《了》

いいなと思ったら応援しよう!

ヤマダナガヲ / 文学・創作 サポート大歓迎。活動の励みになります。コメントは基本不要です。スキとフォローをして頂ければそれだけで充分です。