【フェーズ2-3】 学業で作ったものを残す。授業と卒業研究を、履歴書に書ける成果物に育てる 【ITエンジニアの卵に贈る、就活の書】
この記事は「ITエンジニアの卵に贈る、就活の書」シリーズの一本です。シリーズ全体の目次はこちら(扉記事)からご覧いただけます。
エンジニアを目指す学生のみなさん、こんにちは。クオリティアーツの池田です。
ITエンジニアの卵に贈る、就活の書・フェーズ2-3の記事です。前回のフェーズ2-2では、強いポートフォリオの作り方(公開と質、そして第三者の目利き)をお話ししました。今回はフェーズ2「作る」の実践各論11本のうちの1本目として、学業で作ったものを、履歴書に書ける成果物に育てるというお話をします。
学業は、みなさんが大学生活で最も長い時間を割いている活動です。授業、レポート、演習、卒業研究。この4年間の膨大な時間から生み出されるものを、就活の場面で武器にできる形で残せるかどうかは、実はエンジニアの卵にとって、大きな分岐点になります。
新卒の就活中の方はもちろん、第二新卒として他社の面接に臨む場面でも、学業で積み上げたものは、そのまま活きます。
1. なぜ、学業を実践各論の1本目に置いたか
フェーズ2「作る」の実践各論を組み立てるとき、私は迷いなく学業を1本目に置きました。理由が3つあります。
1つ目は、学業がすべての土台だからです。フェーズ2-1でお話ししたとおり、ソフトウェアエンジニアリングは、要求分析、設計、構築、テスト、アーキテクチャ、セキュリティといった広い知識体系に支えられています。
この体系の土台は、大学の情報系の基礎にあります。データ構造、アルゴリズム、計算量、コンピュータアーキテクチャ、オペレーティングシステム、ネットワーク、データベース、離散数学、ソフトウェア工学といった科目です。GitHubを育てるにも、技術ブログを書くにも、ハッカソンで戦うにも、この土台が効いてきます。
2つ目は、学業で作ったものは、そのままポートフォリオになるからです。フェーズ2-2で扱った強いポートフォリオの3条件(公開されている、意図が追える、公開してよい質)を思い出してください。授業の課題、演習で書いたコード、卒業研究の実装は、少し手を入れれば、どれもこの3条件を満たす形で公開できます。
3つ目は、学業と就活を対立させる必要がないからです。学生さんの中には、「就活のためにポートフォリオを作らなきゃいけない、でも授業も卒論も忙しい」と、二重の負荷に悩む人が多くいます。私からの提案は、その対立をやめよう、ということです。授業と卒業研究そのものを、履歴書に書ける成果物として設計する。これが、限られた学生時代の時間を、いちばん効率よく使う道です。
2. 世界基準の会社ほど、学業を丁寧に見ている
序章-2でお話しした世界基準のエンジニアの視座から見ると、学業を丁寧にやり切った学生は、就活の場面で強く扱われます。実際、いくつかの企業のJDには、それがはっきり書かれています。
Google Japan の新卒ソフトウェアエンジニア募集要項では、応募資格としてコンピュータサイエンスまたは関連分野の学士または修士が明示されています。歓迎スキルには、データ構造、アルゴリズム、計算複雑性、分散システム、機械学習、情報検索、TCP/IPなどの理解が並びます。これらは、大学の情報系カリキュラムで学ぶ内容そのものです(出典:Google Careers)。
株式会社メルカリの新卒エンジニア選考では、書類選考の後にコーディングテストが実施されます。コンピュータサイエンスや数学的な問題を、想定される値を出力するプログラムとして書く、という内容です。情報系の基礎の知識と、それをコードにする力が、そのまま問われます(出典:メルカリ公式採用サイト、FAQ)。
さらに一段大きな流れとして、経団連が2025年11月に公表した「『労働移動の積極的な推進』実現に向けたアクションプラン」では、企業側の重点アクションの一つとして、採用時における成績証明書・マイクロクレデンシャルの活用(microcredential:大学の学位より小さい単位で、特定のスキル・知識の習得を証明する認定)が明記されました。学修歴を、より正面から評価に取り入れていく方向です(出典:経団連公式サイト)。
これらは、序章-1で語ったプロフェッションの姿と、じわりと重なります。エンジニアという職業は、生涯にわたる自己研鑽を義務とする専門職です。その自己研鑽のいちばん最初の場所が、大学の授業と研究です。プロフェッションの視座と、世界基準の企業の視座が、ここでも同じ方向を指しています。
3. 授業を、履歴書に書ける成果物に育てる
まず、大学の授業からいきましょう。
授業でやったことをそのまま提出して単位を取って終わり、というだけでは、履歴書には書けません。授業を成果物に育てるには、次のような一手間を加えます。
3-1. 演習・課題を、GitHubの Public リポジトリで残す
多くの大学の情報系授業では、演習として簡単な実装課題が出されます。ソート、探索、グラフ探索、DBMSの実装、コンパイラの部分実装、OSのシステムコール、ネットワークプロトコルの実装、機械学習アルゴリズムのスクラッチ実装。授業の系統によって内容は変わります。
これらの課題を、GitHub の Public リポジトリに、READMEを整えて公開します。TypeScript、Python、Go、Rust など、世界のエンジニアが今日使う言語で書き直す形も選択肢です。授業の言語がCやJavaでも、それをそのまま公開してもよいですし、後で書き直したバージョンを並列で公開してもよいです。
READMEには、フェーズ2-2で紹介した6要素(背景と目的、使用技術、技術選定の理由、こだわりのポイント、直面した課題と解決策、今後の展望)を短くていいので添えます。「授業の課題として実装した◯◯アルゴリズム。授業の実装はCで書いたが、TypeScriptでも書き直し、両者の計算量を比較した」というような1文が加わるだけで、単なる授業課題が、あなた自身の意図と学びを持つ成果物に変わります。
GitHubアカウントの整え方、リポジトリのREADMEの書き方、GitHub ActionsやDependabotの活用など、GitHubを公開の場として育てる細かな話は、フェーズ2-5・GitHubを公開の場のハブとして育てるに集約しています。あわせてお読みください。
3-2. 講義ノートを、技術ブログに再構成する
授業で学んだ概念を、自分の言葉で技術記事に書き直す。これは、学業を成果物に変える最も強い方法の一つです。プラットフォームは、Qiita、Zenn、はてなブログ、Medium、独自ドメインの静的サイトなど、世界に見える形で置ける場所ならどこでもかまいません。
「Bツリーとハッシュインデックスの使い分け」「TCP輻輳制御アルゴリズムの比較」「動的計画法の考え方を、実装例で丁寧に追う」「非同期処理をイベントループから理解する」。授業で扱った概念を、初めて学ぶ人にも読める形に書き直すと、あなた自身の理解が段違いに深まります。同時に、その記事は世界に公開された成果物として残ります。
大学の演習レポートを、そのまま技術記事にする、という手もあります。レポートで書いた内容を、読者を「授業の教員」ではなく「同じ分野に興味を持つ全世界のエンジニア」に想定し直して書き直します。図やコードスニペット、参考文献リンクを丁寧に整えると、成果物としての強度が一段上がります。
3-3. 授業で使ったコードを、モダンなツールで書き直す
もう一段深い活かし方として、授業で書いたコードを、世界のエンジニアが今日使うツールで書き直す、という取り組みがあります。
たとえば、授業で書いた小さなCLIツールを、Rust で書き直す。授業で作った Web アプリを、Next.js + TypeScript + Vercel の構成で公開し直す。授業で扱った機械学習のスクラッチ実装を、PyTorch や Hugging Face のライブラリで再実装して比較する。授業で組んだデータベースクエリを、PostgreSQL の実際のインスタンス(Neon、Supabase、Cloud SQL など)に投げて、実行計画を EXPLAIN で読む。
もう一手間として、演習コードに Jest や pytest でユニットテストを書き足すという選択肢もあります。ソフトウェアテストは大学の授業では深く扱われないことが多い分野ですが、演習の答え合わせをテストコードという形で残しておくと、README を読んだ人に、動くことの根拠を示せます。GitHub Actions で自動実行するところまで持っていければ、なお強い痕跡になります。
こうした書き直しは、授業で得た概念的理解を、世界標準の道具で実践に落とし込むという、プロフェッションの入口の作業そのものです。世界基準で育っている会社のエンジニアが、日々の仕事で自然にやっている思考の型でもあります。
4. 卒業研究を、履歴書に書ける成果物に育てる
授業と並ぶ、あるいはそれ以上の重みを持つのが、卒業研究です。卒業研究は、多くの学生にとって、学生時代でいちばん長い時間、いちばん深い集中を注ぐプロジェクトです。これを履歴書に書ける成果物に育てないのは、あまりにもったいない。
4-1. 実装は、GitHubで公開する
卒業研究の実装コードを、GitHubの Public リポジトリで公開します。研究テーマによっては、指導教員と研究室のポリシーを確認してから公開する必要がありますが、多くの場合は、卒業論文提出後に公開できます。
README には、研究の背景、目的、手法、実装、実験結果、考察、今後の課題を、卒業論文の要旨をベースに整理します。論文のPDFへのリンク、実験データの一部(公開可能な範囲で)、再現手順、動作環境も添えます。
技術スタックは、世界のエンジニアが今日使うものを選ぶと、成果物の強度が上がります。Python + PyTorch / Hugging Face(機械学習系)、TypeScript + Next.js + Vercel(Web系)、Rust + WebAssembly(システム系)、Go + Kubernetes(インフラ系)、Swift / Kotlin(モバイル系)。研究テーマに応じて、選択の幅は広く取れます。
卒業研究のリポジトリを、GitHubプロフィールREADMEでピン留めする方法、Releasesタグの打ち方、卒業論文提出時期に合わせた公開日設定など、**GitHubの運用の詳細はフェーズ2-5**にまとめています。
4-2. 学会・研究会で発表する
卒業研究のもう一つの大きな出口が、学会や研究会での発表です。フェーズ2-2で扱った「第三者が目利きした場所に、あなたの名前が載る」の代表格が、学会での発表です。
情報処理学会(IPSJ)、電子情報通信学会(IEICE)、日本ソフトウェア科学会(JSSST)、人工知能学会(JSAI)、日本データベース学会(DBSJ)など、研究テーマに応じて投稿先の学会は複数あります。研究会や全国大会は、修士や博士だけでなく、学部生の発表も歓迎する場です。ポスターセッションや学生セッションを設けている学会もあります。
発表の実績は、学会のプログラム、予稿集、論文誌のリストに、あなたの名前として残ります。これは、あなたが自分で公開した作品とは重みの違う、第三者の目利きを経た実績です。加えて、発表スライドを Speaker Deck や Docswell に公開しておくと、フェーズ2-2で扱った公開の3条件を満たす成果物として、ポートフォリオに加わります。
学部の卒業研究では、卒論の提出だけで終わってしまうケースが多い、というのが私の実感です。ここでもう一歩だけ、学会・研究会の学生セッションやポスター発表に持ち込むという選択肢を、頭の隅に置いてみてください。この一歩で、卒業研究は、履歴書に一段強く書ける成果物に育ちます。
4-3. 研究の記録を、技術ブログにする
卒業研究のプロセスを、技術ブログとして書き残すという方法もあります。研究の背景を短く整理した記事、実装で使ったフレームワークやライブラリの解説記事、実験でぶつかったデバッグの記録、結果の考察を初学者向けに書き直した記事。研究1本から、複数の技術記事が生まれます。
こうした記事の書き方は、フェーズ2-8「技術ブログで、学びを言語化する」で丁寧に扱います。ここでは、卒業研究は、技術ブログの豊かな素材でもあるという視座を、頭の隅に置いてください。
5. 成績表と、学修歴の意味
もう一つ、避けずに触れておきたい話題があります。成績表です。
先ほど紹介した経団連のアクションプランで、成績証明書とマイクロクレデンシャルの活用が明記されたことに、みなさんは気づいたはずです。これは、学修歴が採用の場面で、より正面から評価されていく流れを示しています。
厚生労働省の「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査」(2024年3月)でも、大学で本気で学び切った人ほど、ITスキルの高さと転職後の賃金上昇が両立している傾向が、統計として現れています(出典:厚生労働省報告書)。
私自身、若い頃を思い返すと、学業を丁寧にやり切れなかった科目もありました。あとから、実務で困った場面で「あのときちゃんとやっておけば」と何度も思い出しました。授業と学業を、本気で扱ってください。単位を落とさず、レポートを流さず、卒論に本気で向き合う。これは、就活のためだけではなく、プロフェッションとして生涯続く知識体系の土台を、いちばん最初の時期に築く行為です。
6. 良い会社は、卒業研究の中身を書類選考で読んでいる
もう1つ、就活の場面での卒業研究の重みについて、正直な話をしておきます。多くの学生さんは、履歴書やエントリーシートの「卒業研究テーマ」の欄に、1〜2行だけタイトルを書いて済ませています。これは、非常にもったいない書き方です。
良い会社の書類選考の担当者は、卒業研究のタイトルを見ただけで、次のような複数の観点でその学生を読み解こうとしています。
研究テーマの選び方:与えられたテーマをそのまま受け取ったか、自分で問いを立てて選んだか
研究の技術領域:応募先の業務との重なり、あるいは面接で対話できる素材があるか
手法の選び方:定番の手法を丁寧に運用したか、新しい手法に挑戦したか、複数の手法を比較したか
実装の深さ:手を動かした形跡があるか、既存ライブラリを組み合わせただけか
学会・研究会での発表実績:第三者の目利きを通したか
共同研究の姿:企業や他大学との共同研究に参加したか
これらの観点への答えが、履歴書の1〜2行では、まったく伝わりません。卒業研究の欄には、少なくとも4〜6行分の情報を書き入れてください。目安として、次のような要素です。
研究テーマ(1行)
研究の背景と目的(1〜2行)
使用した手法・技術スタック(1行)
主要な成果と、それを示すGitHubリポジトリのURL・学会発表実績・技術ブログ記事へのリンク(1〜2行)
指導教員名と研究室名(1行)
これに、面接では卒業研究について15〜20分は語れる準備をしておいてください。研究テーマの選定理由、手法の選択根拠、実装で詰まった箇所、実験の設計、結果の考察、次に発展させたい方向。これらを自分の言葉で語れる学生さんは、面接の場で強く評価されます。
良い会社の技術面接では、卒業研究の中身に踏み込んだ対話が展開されます。「なぜその手法を選んだのか」「他の手法と比較した際のトレードオフは」「実験の再現性はどう担保したのか」「研究の限界と、それを踏まえた次のステップは」。この対話は、応募者が研究を通じて何を学んだかを、実務でどう活かせるかの解像度を、面接官が測る場でもあります。フェーズ4-4の技術面接で扱う「対等な技術対話」の入口が、卒業研究の対話にあります。
7. 情報系以外の学部の学生さんへ
もう1つ、本記事で触れておきたい対象があります。情報系ではない学部・学科に所属していて、エンジニアを志望している学生さんです。文学部、経済学部、法学部、社会学部、心理学部、あるいは工学部の他学科(機械、電気電子、化学、材料など)、農学部、医学部、薬学部、看護学部、教育学部。エンジニアを目指す学生さんの中には、こうした情報系以外の学部から入ってくる人も、着実に増えています。
情報系以外の学部からエンジニアを目指す道は、決して不利ではありません。むしろ、情報系だけでは得られない専門領域の視座を持ち込める、という強みがあります。
金融の実務理解を持つ経済学部出身のエンジニア、法律とプライバシー保護の解像度を持つ法学部出身のエンジニア、ユーザー行動の理解を持つ心理学部・社会学部出身のエンジニア、医療ドメインの解像度を持つ医学・薬学・看護出身のエンジニア。これらは、専門特化型のドメインを持つ会社(フィンテック、リーガルテック、ヘルスケア、教育テックなど)にとって、貴重な人材です。
情報系以外の学部から就活を歩む場合、本記事の「学業を成果物に育てる」の実践は、次のように読み替えます。
自分の学部の学問領域を、エンジニアリングの視座で読み直す:たとえば、経済学部の学生さんが、計量経済学の実習で使ったStataやRのコードを、PythonとPolarsで書き直してGitHubに公開する。心理学部の学生さんが、実験のデータ解析で使ったSPSSの処理を、Pythonのpandas + Matplotlibで再実装する
卒業研究のテーマを、実装を含む形に設計する:文学部で言語学の研究をするなら、コーパス解析のスクリプトを自分で書く。社会学部で社会調査をするなら、データ収集と解析のツールを自分で作る。指導教員と相談して、研究の一部として実装を含める形が組めれば、卒業研究がそのままポートフォリオになります
自分の学部と情報系の交差点を、技術ブログで書き残す:「経済学部生がデータサイエンスを学び始めた記録」「法学部生が個人情報保護法の視座からデータベース設計を考える」「医学部生が電子カルテのUXについて書く」。これらは、情報系の学生さんには書けない、あなただけの記事になります
情報系の基礎科目を、自分で学び直す:大学の情報系の授業を副専攻や単位互換で取る、Coursera・edX・MITのOpenCourseWareで補完する、放送大学の情報コースで学び直す
情報系以外の学部から就活を歩む学生さんが不利になる場面は、実は多くありません。専門領域の視座と、情報系の基礎を自分で埋めた努力の証拠を並べれば、書類選考の担当者に伝わります。良い会社ほど、この「複眼の視座」を持つ学生を、意識的に採用しています。
8. プロフェッションとして育つ環境を持つ会社は、学業の重みを分かっている
シリーズ全体を貫く上位原則を、この記事でも一度確認しておきます。その会社は、エンジニアをプロフェッションとして育つ環境を持っているか。
プロフェッションとして育つ環境を持つ会社は、多くの場合、学生時代の学業と研究の重みを、正面から受け止めています。学会発表の実績をJDの加点要素として明示していたり、大学院進学者を積極的に採用していたり、社会人になってからも学び直しを支援する制度を持っていたり、社員がカンファレンスや学会に登壇するのを業務として支援していたりします。技術発信のオウンドメディアで、社員が学術的な知見と実務をつなぐ記事を発信しているケースもあります。
学業と研究への向き合い方は、経営層や部課長の言葉のなかに、いちばん正直に表れます。募集要項の1行、選考プロセスの1手順、技術発信の1本。それらを合わせて読んだときに、その会社が学生時代の学業と研究をどう見ているかが、じわりと見えてきます。
9. 履歴書に書けるようになる、具体的な形
ここまでの話を、履歴書に書ける形に落とし込むと、次のような1行になります。
「大学の情報系カリキュラムで、データ構造、アルゴリズム、OS、DB、ネットワークを履修。演習で実装したBツリーインデックスを、TypeScriptで再実装した成果物をGitHubで公開(URL)」
「卒業研究として、◯◯手法の改良を実装。情報処理学会全国大会の学生セッションでポスター発表。実装コードはGitHubで公開(URL)、発表スライドはSpeaker Deckで公開(URL)」
「機械学習の授業課題として、Transformer の scratch 実装をPyTorchで行い、Attention の可視化を含めた技術記事をZennで公開(URL)」
授業や研究の内容を、そのまま埋もれさせない。少しの一手間で、公開された成果物として履歴書に書ける形にする。それが、本記事の中心的な提案です。
まとめ
本記事では、学業で作ったものを、履歴書に書ける成果物に育てるお話をしました。要点は次のとおりです。
学業は、フェーズ2「作る」の1本目です。情報系の基礎は、フェーズ2の他のすべての各論の土台になります。
授業を成果物に育てるには、演習や課題をGitHub Publicで残す、講義ノートを技術ブログに再構成する、TypeScript・Next.js・PyTorch・Rustなど世界基準のツールで書き直す、といった方法があります。卒業研究を成果物に育てるには、実装をGitHubで公開する、学会や研究会の学生セッションで発表する、研究プロセスを技術ブログにする、といった方法が有効です。
成績と学修歴も軽視できません。経団連は成績証明書の活用を優先アクションに掲げており、厚労省の統計でも学業とスキルの相関が示されています。世界基準の会社ほど、学業と研究の重みを正面から見ている、というのが企業側の視座です。
次のフェーズ2-4では、この学業の土台をさらに広げる話として、技術書を、血肉にするというお話をします。読んで、作って、書き残す3拍子で身につけていく、という内容です。
エンジニアの卵のみなさんへ、エール
学業と就活の間で、しばしば板挟みになる感覚を持つ学生さんが多いと聞きます。私からの提案は、その対立を、いったん解いてみようということです。授業と卒業研究そのものを、履歴書に書ける成果物として設計する。この視座に立つと、学業の時間は、就活とは別の時間ではなく、就活の武器を作っている時間そのものになります。
正直なところ、私自身、大学時代の授業をもっと丁寧にやり切っておけばよかった、と何度も思い返します。25年歩いてきていま思うのは、大学の授業で扱う概念は、社会人になっても、そのまま実務で顔を出すということです。BツリーもTCP輻輳制御も動的計画法も、あの日の授業で会った顔と同じ顔で、いまも私の目の前に現れます。
今週、なにか一つ、始めてみてください。今学期の演習課題を、READMEを添えてGitHubに1つ公開する。授業で学んだ概念を、Zennに1本記事にする。卒業研究のテーマを、指導教員に相談して、学生セッションへの投稿を検討する。どれか1つで、本記事の1歩目です。
一緒に歩きましょう。ボン・ボヤージュ。素敵な旅を。
次の記事はフェーズ2-4「技術書を、血肉にする。読んで、作って、書き残す、3拍子で身につける」です。
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