【フェーズ2-1】 なぜ、作るのか。プロフェッションと企業JDが、同じ方向を指しているから 【ITエンジニアの卵に贈る、就活の書】
この記事は「ITエンジニアの卵に贈る、就活の書」シリーズの一本です。シリーズ全体の目次はこちら(扉記事)からご覧いただけます。
エンジニアを目指す学生のみなさん、こんにちは。クオリティアーツの池田です。
ITエンジニアの卵に贈る、就活の書・フェーズ2-1の記事です。前回のフェーズ1では、就活のいちばん最初の入口で立ち止まって見ておきたい3つのことをお話ししました。今回はフェーズ2「作る」の1本目として、各論すべてを貫く土台の考え方をお渡しします。学生時代に何を作るか、なぜ作るのかを、プロフェッションの視座と、実際の企業の募集要項の両側から、まっすぐに整理します。
フェーズ2「作る」は、就活シリーズ全体の中で私がいちばん大事だと考えているフェーズです。ここで積み上げたものが、フェーズ3の「接続する」、フェーズ4の「確かめ合う」、フェーズ5の「決める」、フェーズ6の「歩き出す」、そのすべてを支えます。だからこそ、各論に入る前に、なぜ作るのかを、一度きちんと言葉にしておきたいのです。
新卒の就活中の方はもちろん、第二新卒として他社の面接に臨む場面でも、この土台の考え方はそのまま活きます。
1. プロフェッションの側から見た「作る」の意味
序章-1〜3で、私はエンジニアという職業をプロフェッション(高潔な高度専門職業)として位置づけました。技術士法、技術士倫理綱領、IEEE-CS/ACM、IEEE。4つの独立した声が、同じ方向を指していました。
プロフェッションを支える国際的な知識体系として、SWEBOK(Software Engineering Body of Knowledge)があります。IEEE Computer SocietyとACMが共同で策定しているソフトウェアエンジニアリングの知識体系ガイドで、最新版のv4.0は2024年10月に発行されました。
要求、設計、構築、テスト、保守、構成管理、プロジェクト管理、品質、経済性、アーキテクチャ、セキュリティ、DevOpsなど、多岐にわたる知識領域を体系的に整理しています。世界のエンジニアが共通の土台として参照する体系です。
このうちテストと品質は、大学の授業では独立した科目として扱われることが少ない領域ですが、SWEBOKでは他の領域と並ぶ知識体系として、明確に位置づけられています。
さらにIEEE-CS/ACMは、2000年に採択されたソフトウェアエンジニア倫理綱領 (Software Engineering Code of Ethics and Professional Practice)で、エンジニアの職業倫理を8つの原則にまとめています。公衆の福利、依頼者と雇用主、製品、判断、マネジメント、専門職、同僚、そして自己。この8番目の「自己」は、生涯にわたる継続的な学習と自己研鑽の義務を意味しています。
序章-1でも触れましたが、エンジニアという職業は、技術と倫理を、一人ひとりが生涯かけて磨き続ける専門職です。そしてその生涯の磨きは、いつから始まるのか。プロフェッションの視座に立てば、答えははっきりしています。学生時代から始まっているのです。
学生時代に手を動かして何かを作ることは、就活のためだけの準備ではありません。プロフェッションとして生涯続く、自己研鑽のいちばん最初の1ページです。この視座を、まず持ってください。
2. 企業JDの側から見た「求められる作った経験」
企業の側は何を見ているのか。ここからは、実際のIT企業が新卒エンジニア募集で公開しているJDの言葉を、そのまま並べてみます。
JD(Job Description、ジョブディスクリプション)は、募集する職務の内容・役割・必要スキル・求める人物像などを具体的に記述した文書です。ジョブ型の人事制度を採る企業では、この文書がそのまま採用と評価の土台になります。学生さんの側から見ると、その会社がJDと呼べる粒度で職務を明示しているかどうかは、その会社の人事の考え方が、メンバーシップ型からジョブ型へどこまで進んでいるかを見立てる、ひとつの指標にもなります。この視点は、フェーズ3「接続する」でもういちど扱います。
プロフェッションの視座と、実際の企業JDが、驚くほど同じ方向を指していることが見えてくるはずです。
2-1. 「作ったもの」を、書類選考の段階から見ている会社
株式会社メルカリは、新卒エンジニア採用の書類選考について、公式サイトでこう書いています。
「みなさんのことを可能な限り理解した状態で面接に臨みたいため、ブログやGitHub、研究内容、作品など、ご自身のアウトプットを書類に添付してください。また、他社のインターンシップの経験をお持ちであれば、その内容や役割、定量的な成果などを記載してください。」
(出典:メルカリ公式採用サイト https://careers.mercari.com/new-graduates/ )
面白法人カヤックは、通常のエントリーシートに加えて「つくったもの選考」という独自の枠を公式に用意しています。エントリーシートも履歴書も不要で、GitHubやポートフォリオサイト、つくったもののURLだけで応募できる仕組みです。
サイボウズは、書類選考の提出物として、GitHubとポートフォリオとエントリーシートを、公式に明示しています。
2-2. 「作った経験」を、応募資格として明示している会社
サイバーエージェントの2027年度エンジニアコース新卒採用では、ソフトウェアエンジニアやインフラエンジニアの応募資格として、次のいずれかに当てはまることが必要とされています。
志望職種に関連した開発経験がある(個人開発・業務など)
3日間以上の企業の開発系インターンシップに参加したことがある、または予定
サイバーエージェントのエンジニア向けインターンシップに参加したことがある
サークル・部活・団体・友人同士など、志望職種に関連したチーム開発経験がある
(出典:サイバーエージェント公式採用サイト https://www.cyberagent.co.jp/careers/special/students/tech/ )
学年・学科・専攻等は不問。そのかわり、個人開発/企業インターン/チーム開発のいずれかは経験していることが応募資格そのものになっています。機械学習エンジニアやデータサイエンティストでは、学会発表や論文誌への投稿経験も選択肢に入ります。
2-3. 「ポートフォリオの中身」まで指定している会社
LayerXは、新卒エンジニア応募者に対して、ポートフォリオに含めるべき要素として、6つの観点を明示しています。
開発の背景と目的
使用技術
技術選定の理由
こだわりのポイント
直面した課題と解決策
今後の展望
(出典:LayerX新卒採用ページ)
このリストは、単に「何をつくったか」を見ているのではありません。なぜそれを作ったのか、なぜその技術を選んだのか、どんな課題にぶつかり、どう乗り越えたのかを見ています。プロフェッションとして、自分の判断と成長に責任を持てる人かを、丁寧に確かめているのです。
2-4. 「加点要素」として、活動の広がりを明示している会社
GMOペパボは、新卒エンジニアの選考で加点評価する要素として、次のような活動を公式に挙げています。
OSS(オープンソースソフトウェア)プロダクトへのコントリビューションまたは開発経験
技術書の執筆経験
ISUCON、ICTSC、CTF等のコンテストで優秀な成績
勉強会や技術イベントでの発表・運営経験
競技プログラミングのレート保持
(出典:GMOペパボ新卒採用サイト https://recruit.pepabo.com/graduate/ )
ここに並んでいるのは、プロフェッションの世界で普段行われている活動そのものです。OSSへの貢献、技術書の執筆、勉強会での発表、コンテストでの腕試し。プロのエンジニアが日常的に取り組んでいることに、学生時代から手を伸ばしている人を、企業は評価する。ここでも、プロフェッションの視座と企業JDの視座が、はっきり重なっています。
2-5. 「実装力・思考の深さ」を、明示的に求めている会社
LINEヤフーは、新卒エンジニア募集で、次のような人物像を求めていると明示しています。
「単なるコーディングスキルではなく、課題解決のための設計や、それに必要な技術を扱えるか、キャッチアップできるか、どこに配慮して開発に向き合うかといった、思考の幅や深さ」
(出典:LINEヤフー新卒採用ページ https://www.lycorp.co.jp/ja/recruit/newgrads/engineer/ )
3. 二つの視座が、同じ方向を指している
ここで、いったん立ち止まってみてください。
いま並べた企業JDの視座。書類選考で作ったものを見て、応募資格に開発経験を挙げ、ポートフォリオの中身を指定し、活動の広がりを加点し、思考の深さを求めている。
二つの視座は、同じ方向を指しています。
内側から見た「なぜ作るのか」と、外側から見た「なぜ作った経験を求めるのか」が、同じ地点で交わる。この交点が、フェーズ2「作る」を貫く上位原則です。
これは偶然の一致ではありません。企業側の言葉と、プロフェッションの体系が同じ方向を指しているのは、現代のソフトウェアエンジニアリングが、実装と設計と運用を切り離せない一つのサイクルになっているからです。要求を読み、設計を組み、コードを書き、テストで確かめ、運用で回し、そこから得た学びで次の設計を磨き直す。この一連のサイクルを、少人数で、あるいは一人で回せるエンジニアが求められる時代になりました。
SWEBOK v4.0でDevOpsが独立領域として追加されたのも、この変化を反映しています。企業が学生時代の「作った経験」を丁寧に見るのは、むしろ自然な帰結です。
もう一つ、大切な観察を書き添えます。技術と若手エンジニアへの向き合い方は、経営層や部課長の言葉のなかに、いちばん正直に表れます。募集要項の1行、選考プロセスの1手順、内定式の1コマ。学生さんの目には、それらを合わせて読んだときに、その会社が本当にエンジニアをプロフェッションとして育てようとしているかどうかが、じわりと見えてきます。
言い換えれば、その会社の言葉遣いを、あなたはこの土台の考え方を持って読める側になっているということです。
面接の場でも、この見え方は同じです。面接官である経営層や部課長が、なぜその技術を選んだのかを、自分の言葉で語れるかどうか。技術選定の理由を、外部のコンサルタントやベンダーの受け売りではなく、自社の課題と結びつけて語れる会社は、日頃から技術的な意思決定に経営が関わっている会社です。その1つの場面の答え方だけで、経営と現場の距離は、学生さんの目にもゆっくり見えてきます。
その会社は、エンジニアをプロフェッションとして育つ環境を持っているか。シリーズ全体を貫く上位原則の下で、あなたはプロフェッションとして育つための最初の一歩を、学生時代のうちに踏み出す。フェーズ2の各論はすべて、この一点に接続します。
4. そして、ポートフォリオが未来を分ける
もう一つ、フェーズ2「作る」の入口で、しずかに、しかし確かに、伝えておきたいことがあります。学生時代に作った経験は、束ねて、世の中に見える形で残しておくことで、就活の未来を大きく分ける、ということです。
多くのIT企業では、書類選考や面接の前に、候補者の名前とハンドルネームを、GitHub、技術ブログ、Qiita、Zenn、X(旧Twitter)、Speaker Deckなどで検索します。私自身、面接する側の立場で候補者の名前を検索したことは、数え切れないほどあります。世界に見える形で成果物が置かれていれば、動くコードと積み上がったコミットが、口頭の説明よりも10倍雄弁に、あなたを語ってくれます。
ただし、公開されていれば何でもよい、ということでもありません。公開の質、そして第三者の目利きが働く場所に自分の名前が載っているかという、もう一段の視点があります。この「強いポートフォリオの作り方」については、次のフェーズ2-2で丁寧に扱います。ここではまず、フェーズ2で作るすべては、束ねて、公開して、はじめて就活の場面で意味を持つ、という視点を持っておいてください。
5. 「作る」の土台には、学業がある
「作る」と聞くと、みなさんは、GitHubのコミット、個人開発、ハッカソン、長期インターンなどを思い浮かべると思います。それらはたしかにフェーズ2の中心です。ですが、その土台にあるのは、大学で学ぶ知識体系です。
SWEBOK v4.0の18の知識領域が支える土台は、大学の情報系の基礎にあります。データ構造、アルゴリズム、計算量、コンピュータアーキテクチャ、オペレーティングシステム、ネットワーク、データベース、離散数学、ソフトウェア工学といった科目です。
外資系の企業ほど、この土台を明確に見ています。Google Japanの新卒ソフトウェアエンジニア募集要項では、応募資格としてコンピュータサイエンスまたは関連分野の学士または修士が明示され、歓迎スキルには、データ構造、アルゴリズム、計算複雑性、分散システム、機械学習、TCP/IPなどの理解が並びます(出典:Google Careers)。
株式会社メルカリのエンジニア新卒選考では、コンピュータサイエンスや数学的な問題を解くコーディングテストが実施されます。情報系の基礎の知識と、それをコードにする力が、そのまま問われます(出典:メルカリ公式採用サイト、FAQ)。
企業側の動きも、この方向にはっきり傾いています。経団連が2025年11月に公表した「『労働移動の積極的な推進』実現に向けたアクションプラン」では、企業側の重点アクションの一つとして、採用時における成績証明書・マイクロクレデンシャルの活用が明記されました。マイクロクレデンシャルは、大学の学位より小さい単位で、特定のスキル・知識の習得を証明する認定です。学修歴を、より正面から評価に取り入れていく方向です(出典:経団連公式サイト)。
厚生労働省の「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査」(2024年3月)でも、大学で本気で学び切った人ほど、ITスキルの高さと転職後の賃金上昇が両立している傾向が、統計として現れています(出典:厚生労働省報告書)。
学生時代に、大学の授業を本気でやり切ること。レポートを流さず、自分の頭で解いて書くこと。卒論を、自分の問いとして本気で取り組むこと。単位を落とさず、成績表と真剣に向き合うこと。これは、就活のためだけではなく、プロフェッションとして生涯続く知識体系の土台を、いちばん最初の時期に築く行為です。
正直に言うと、私自身、若い頃を思い返すと、学業を丁寧にやり切れなかった科目もありました。あとから、実務で困った場面で「あのときちゃんとやっておけば」と何度も思い出しました。授業と学業を、本気で扱ってください。作ることの土台は、そこにあります。
6. 4軸のどこにいても、「作る」の意味は変わらない
フェーズ1-2でお話しした、IT業界を眺めるための4つの軸を覚えているでしょうか。
軸A:ビジネスモデル(自社プロダクト/受託開発/社内IT/公共・インフラ)
軸B:成長ステージ(大企業/中堅/スタートアップ)
軸C:技術ドメイン(Web/組込み/AI/インフラ/データなど)
軸D:地理・組織文化(都市部/地方/リモート/海外接続)
4軸のどこにいても、プロフェッション育成環境の有無は別問題。これがフェーズ1-2で確認した見立てでした。
フェーズ2の視点に翻すと、4軸のどこの会社に応募するとしても、学生時代に作る経験の意味は変わらない、ということです。
たとえば、地方の会社を志望する学生さんが、都会の大手Web系企業向けの活動をしても意味がないのでは、と迷うことがあります。そんなことはありません。プロフェッションとして育つ環境を持つ会社は、4軸のどこにも点在しています。そしてその会社たちは、あなたが学生時代に何を作り、何を積み上げ、どう考えてきたかを、じわりと見ています。
具体的な会社の例を、少しだけ並べてみます。
地方拠点で、自社プロダクトの中核開発に関われる会社。サイボウズ株式会社の松山開発部では、サイボウズ Officeやメールワイズの中核開発を松山を拠点として行い、技術広報・オンボーディング・成長支援のチームを開発本部内に置き、社外の技術イベント開催やコミュニティスポンサー、社内勉強会サポートを継続しています。
京都の株式会社はてなはHatena Developer Blogでの技術発信を長年続け、福岡の株式会社ヌーラボはBacklogやCacooといった自社SaaS製品を世界に届けています。
都会本社で、地方にも技術文化を届けている会社。クラスメソッド株式会社は東京本社と札幌オフィスを持ち、社員による技術発信のオウンドメディア「DevelopersIO」に3万本以上の記事を公開しています。
受託系の会社でも、学び続ける文化を掲げている会社。株式会社DTS(1972年設立)は「教える」のではなく「自ら考える」を育成方針として掲げています。株式会社ラック(1986年創業)は、学びや挑戦、成果に応じて待遇を決定する2段階制度を持ち、資格の取得費用も更新費用も会社が全額負担することを採用サイトで明示しています。
1970年設立の富士ソフト株式会社は「多様性は力」を掲げ、岡山の株式会社両備システムズ(1969年創業)は多様な働き方の導入とキャリア形成のバックアップを、公式に打ち出しています。
変革の潮流の中にいる会社。富士通株式会社は2026年度入社から新卒の一律初任給を廃止し、ジョブ型人材マネジメントを新卒採用にも適用することを公表しました。株式会社日立製作所は技術系新卒について2001年からジョブマッチング採用を行い、ジョブ型インターンシップを2023年卒300人から2025年卒930人へと拡大しています。名古屋のエイチームホールディングスは2025年8月に新卒一括採用を終了し、職務ベースの採用方針への移行を発表しました。(出典:各社公式サイト・公式リリース)
これらの会社の並びは、ひとつの事実をはっきりと指しています。プロフェッションとして育つ環境を持つ会社は、業界の形も、ステージも、技術ドメインも、地理も、越えて存在する。そしてそこにいる会社の姿勢は、経営層や部課長の言葉、募集要項の1行、選考プロセスの1手順、内定式の1コマに、驚くほど正直に映ります。
私自身、25年近くこの業界を歩いてきて、大企業から地方の中小企業、公共まで、多くの現場を内側から見てきました。地元・長崎では、NaITE(長崎IT技術者会)を2015年から代表として運営し、長崎QDGという地方カンファレンスを続けてきました。
その中で強く思うのは、プロフェッションとして育つ環境を持つ会社は、都会にも地方にも、じっくり、しかし確かに存在する、ということです。会社の名前や規模、地理の場所ではなく、経営層と部課長がエンジニアという職業をどう見ているか。その1点に、育つ環境の有無は宿ります。
7. フェーズ2の各論への案内
ここまでの土台の考え方を胸に置いて、フェーズ2の各論では、それぞれの「作る」を丁寧に掘り下げていきます。フェーズ2「作る」は、この総論のあとに、共通軸1本(2-2)、各論11本(2-3〜2-13)、歩き方まとめ1本(2-14)の計13本が続く形で、すべて、履歴書のポートフォリオ欄に書ける成果物として残ることを目指しています。
フェーズ2-3 学業で作ったものを残す:授業の課題と卒業研究を、履歴書に書ける成果物に育てる
フェーズ2-4 技術書を、血肉にする:読んで、作って、書き残す3拍子で身につける
フェーズ2-5 GitHubを、公開の場のハブとして育てる:フェーズ2の成果物を束ねて、世界に見せる(フェーズ2の公開場所のハブ記事)
フェーズ2-6 ハッカソンで、短距離の成果物を残す:参加ではなく、束ねられる作品として残す
フェーズ2-7 就活と学業と個人開発を束ねる時間設計:継続的に何かを残せる暮らしを作る
フェーズ2-8 技術ブログで、学びを言語化する:書く発信で、読める形の記事として残す
フェーズ2-9 技術イベントや勉強会で、発表する:話す発信で、第三者の目利きを通す
フェーズ2-10 学生時代のアルバイトを、IT企業で経験する:2,000時間のバイト選びに、本気度が表れる
フェーズ2-11 長期インターンで、企業内の実績を積む:担当したプロジェクトと成果を残す
フェーズ2-12 社外エンジニアコミュニティで、先輩・仲間の輪に加わる:参加・運営・つながりの履歴を残す
フェーズ2-13 大学における研究を知る。その研究、型と実態は一致していますか:企業と関わる研究の見極め方
フェーズ2-14 フェーズ2の歩き方。点で作らず、線で。そして面まで。その先に立体がある:作った経験を、次のフェーズへ持っていく
これらすべての各論を貫く原則は、この記事で確認した一点です。
プロフェッションの視座と、企業JDの視座が、同じ方向を指している。だから学生時代のうちに、その方向へ、そっと、しかし着実に、履歴書に書き残せる形の一歩を、踏み出しておいてほしい。
まとめ
本記事では、フェーズ2「作る」の各論すべてを貫く土台の考え方をお渡ししました。要点は次のとおりです。
プロフェッションと企業JD、2つの視座は同じ方向を指しています。生涯にわたる自己研鑽は学生時代から始まっており、企業もそれを見ています。作った経験は、束ねて公開されて初めて就活の場面で意味を持ちます。これが、ポートフォリオが未来を分けるということです。
強いポートフォリオの作り方は、次のフェーズ2-2で扱います。作ることの土台は、大学で学ぶ情報系の基礎にあります。フェーズ2のこの後に続く12本は、4軸のどこにいても意味は変わらず、すべて履歴書のポートフォリオ欄に書ける成果物として残ることを目指します。
次のフェーズ2-2以降では、この土台の考え方を胸に置いて、各論を1本ずつ深掘りしていきます。
エンジニアの卵のみなさんへ、エール
「作る」のプレッシャーを、必要以上に感じないでください。1つ何かを作り始めたら、それがフェーズ2の1歩目です。
「何から始めればいいか分からない」「時間がない」「自分には才能がない気がする」。フェーズ2の入口でこう感じている学生さんは多いはずです。私も若い頃、同じ気持ちで立ち止まっていた時期がありました。だから、いちばん最初に置いてほしい一歩は、大きな作品ではなく、小さくても、自分の頭で考えて手を動かした跡を、1つ残すことです。授業の課題をもう一段丁寧に書ききる。学んだ内容を1本の記事にまとめる。友達と小さなアプリを1つ作ってみる。そこから始まる道は、確かに、次の一歩に続きます。
私自身、若い頃はプロフェッションという言葉すら知らずに社会に出ました。25年歩いてきたいま、思うのは、もっと早くこの視座を持っていたら、もっと自由に、もっと楽しく、もっと遠くまで歩けた、ということです。みなさんには、それを、学生時代のうちに届けたいのです。
「作る」は、就活のための手段ではありません。学生時代のみなさんが、プロフェッションとしての自分を、確かに立ち上げていく行為です。その最初の一歩を、今週、なにか一つ、始めてみてください。
一緒に歩きましょう。ボン・ボヤージュ。素敵な旅を。
次の記事はフェーズ2-2「強いポートフォリオの作り方。公開と質、そして第三者の目利き」です。
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