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【フェーズ2-11】 長期インターンで、企業内の実績を積む。担当したプロジェクトと成果を残す 【ITエンジニアの卵に贈る、就活の書】

 この記事は「ITエンジニアの卵に贈る、就活の書」シリーズの一本です。シリーズ全体の目次はこちら(扉記事)からご覧いただけます。


 エンジニアを目指す学生のみなさん、こんにちは。クオリティアーツの池田です。

 ITエンジニアの卵に贈る、就活の書・フェーズ2-11の記事です。前回のフェーズ2-10では、学生時代のバイトをIT企業で経験する話をしました。今回はフェーズ2「作る」の実践各論11本のうちの9本目として、長期インターンで、企業内の実績を積むというお話です。

 短期バイトで業界の空気を確かめ、長期バイトで本腰を入れ、そしてこの記事で扱う長期インターンで、みなさんは「もう練習ではない」という自覚を持つ段階に入ります2-10を読んでいなくても読み進められますが、あわせて読むと、いまどの段階に立っているかがより鮮明に見えてきます。長期インターンは、長期バイトと重なりつつも、より深く企業の中に入り、担当プロジェクトを持ち、成果に責任を負うという点で経験の質が変わる、学生時代のうちに新卒入社に近い密度で企業の内側を経験できる貴重な機会です。

 新卒の就活中の方はもちろん、修士に進んで研究と両立している方、社会人経験を経て学び直している方にとっても、長期インターンは、志望領域を絞り込む場としても活きます。


1. 長期インターンは、もはや就職活動そのものである

 最初に、はっきりさせておきます。フェーズ2-10のバイトが企業や業界を身をもって知るための体験だったのに対し、この記事で扱う長期インターンは、もはや就職活動そのものです。多くの企業にとって、長期インターンは、すでに始まっている採用活動の一部であり、インターン中の取り組み方や成果は、社内の選考情報として、そのまま新卒選考に引き継がれることが少なくありません。体験として気軽に飛び込んでよかったバイトとは違い、練習のつもりで気を抜くよりも、本番の入口に立っているという意識で臨んだほうが、得られるものも大きくなります。

 この視座の変化は、2-10でお話しした言動一致という物差しにも表れます。短期バイトでは志望動機とバイト選びが一致しているかという入口レベルの話でしたが、長期インターンでは、担当プロジェクトを持ち、成果に責任を負うという行動そのものが、言葉の裏付けになります。確認の中心も、フェーズ2-10で鍛えた募集要項の読み方を土台にしつつ、書類選考から最終面接までの選考プロセス全体に広がります。企業側が学生に託す期間と裁量が、三段階の中でいちばん大きいからです。

2. 長期インターンとバイトの違い

 フェーズ2-10で扱ったバイトのうち、長期インターンと比べる対象になるのは、主に長期バイトです。この2つは、境界が曖昧なところもあります。同じ会社で、募集要項の呼び方が違うだけの場合もあります。大きな会社では「長期バイト」「インターン」が制度として明確に分かれていることが多い一方、少人数の会社では、呼び方は「バイト」でも、実態として大きな裁量を任せているところもあります。大切なのは、募集要項に書かれた名前ではなく、そこに書かれている担当の中身と裁量の範囲です。

 そのうえで、多くの場合、長期インターンには次のような特徴があります。担当プロジェクトを持つ(長期バイトが「先輩の作業を手伝う」に近いのに対し、長期インターンは「1つの機能や領域を、自分の担当として持つ」ことが多い)こと、業務の意思決定に参加すること、勤務時間が週20〜30時間、期間が3ヶ月から1年、あるいは2〜3年と長めであること、時給または月額報酬が高め(時給2,000〜4,000円、月額報酬15〜40万円という水準になることも)であること、そして就業条件が長期バイトより整っている(正社員に準じたSlackアカウント、社内Wiki、1on1の枠)ことです。

 長期バイトの延長線上に長期インターンがある、というよりも、設計思想として、正社員に近い育成を提供する枠組みが長期インターンです。募集要項の呼び方が「長期インターン」であっても、応募する学生さんの側が「時給の良いバイトの一種」という感覚のまま臨んでしまう場面を、私はこれまで何度か見てきました。この感覚のまま企業側の期待値とすれ違うと、任されている裁量に気づかず、受け身のまま時間が過ぎてしまいます。応募する前に、そこに何が期待されているかを、一度確かめてみてください。

3. 「担当」という言葉の中身を、見抜く目を持つ

 同じ「担当プロジェクトを持つ」という言葉でも、その中身は企業によって幅があります。長期インターンに応募する前に、まず持っておいてほしい視点があります。募集要項に書かれた「担当」という言葉が、どこまでの中身を指しているかです。

 「〇〇機能の実装を担当していただきます」と「〇〇機能の実装をお手伝いいただきます」は、似ている文章に見えて、そこに込められた期待値が違います。前者は、その機能の設計や実装方針について、あなた自身が考え、提案する余地がある書き方です。後者は、すでに決まった方針のもとで、手を動かす役割を期待する書き方です。

 同じように、「意思決定に参加」「設計レビューに加わる」「仕様を提案する」といった言葉が募集要項にあるかどうかも、確認したい観点です。これらの言葉があるということは、その企業が長期インターン生を、単なる作業の担い手ではなく、判断に加わる一人のメンバーとして迎える設計をしている、という表れです。

 この違いを、もう一段はっきり言います。その募集要項は、あなたを一人のエンジニアとして育てようとしているか、それとも、単なる作業の担い手として見ているか。「意思決定に参加」「設計レビューに加わる」といった言葉の有無は、この違いのいちばん分かりやすい手がかりです。

 この視点は、フェーズ3-2で扱う新卒採用のJDの読み方にも、そのままつながっていきます。

4. 長期インターンの選考は、新卒選考の縮図。軽く見てはいけない

 「担当」の中身を見抜く目は、募集要項を読むときだけでなく、選考の場でも確かめていくものです。長期インターンの選考は、書類選考、コーディングテスト、技術面接、カルチャー面接、最終面接という流れが標準的です。新卒選考の縮図とも言える構成です。

 長期インターンの選考を、単なる「バイトの面接」の延長として軽く捉えると、この縮図としての価値を取りこぼします。ここでの経験の一つひとつが、そのままフェーズ4で向き合う新卒選考の予行になります。フェーズ2-8の技術ブログ、フェーズ2-9の登壇履歴、フェーズ2-5のGitHubプロフィールが揃っていると、長期インターンの選考は、大幅に有利に進みます。長期インターンに応募することで、これらの成果物の整え方を、実践の中で磨けます。

 カルチャー面接や最終面接の場は、募集要項だけでは見えない実態を確かめる機会でもあります。ただし、長期インターンの選考は、企業にとっても、母集団形成や志望度の高い学生との出会いを期待する場であり、まだ実務経験のないあなたを試すような、厳しい選考ではありません。だからこそ、次の観点は、企業を問い詰める形の質問ではなく、企業に、誇らしく語ってもらう形の質問として、聞いてみてください。担当の中身をきちんと確かめようとする姿勢は、企業側から見れば、生意気にではなく、責任感の表れとして受け取られます。

  • 担当プロジェクトと意思決定への関わりが、具体的にどんな内容か:機能名や場面を挙げて答えられるか、曖昧な返答に終わるかで、担当プロジェクトを持つという前提が実態として整っているかが見えます

  • メンターや技術指導の体制、学業との両立への配慮が、どう設計されているか:誰が、どのくらいの頻度で指導してくれるか、試験期間の勤務調整はどうなるかを尋ねる

  • 「なぜ、この業務を私に任せてくれるのですか」と尋ねる:あなた自身の学びを主語にした答えが返ってくるか、それとも人手不足という会社側の都合だけが理由として返ってくるか

  • 「これまで担当した学生の方で、印象に残っているエピソードはありますか」と尋ねる:良い会社は、名前や近況まで含めて、一人の人物像として具体的に語れます。曖昧な一般論しか返ってこない場合、学生を一人ひとりの人として見てこなかった可能性があります

 これらは、すべて一度に聞く必要はありません。カルチャー面接や最終面接の逆質問の時間に、気になったものを1つか2つ、選んで聞いてみてください。

 残念ながら、募集要項の言葉を実態以上に良く見せる企業も、世の中には存在します。「長期インターン、成長できる環境です」と言いながら、実態は単純作業の繰り返しだった、という声も、実際に存在します。そのような募集を見抜くために、あなたが労働力として消費される必要はありません2-10でお話しした募集要項の見極めがそのまま活きるのは、ここでも同じです。この事実を知っているだけで、あなたは、その企業の言葉を鵜呑みにせず、確かめる側に立てます。担当プロジェクトや意思決定への関わりが曖昧なまま契約を結んでしまうと、それは学生を、成長機会を伴わない安価な労働力として使っている状態であり、実質的には搾取に近い構造です。「長期インターン」という名目のもとで、こうした扱いをする会社は、実際に存在します。募集要項と面接の両方で、その兆候を見抜く目を持ってください。

5. 長期インターンは、企業にとっても投資である

 長期インターンは、長期バイトと同じく、学生が一方的に育ててもらう関係ではありません。対等な関係というのは、双方が何を目的にしていて、何を得ているかが、お互いに見えている関係です。企業が長期インターンに時間とコストを投じる目的は、主に3つあります。新卒採用への直結(長期インターン経由での内定は、書類選考や一次面接を通過した状態に近い扱いを受けることが多い)、実務の一部を即戦力に近い人材に任せられること早期からの技術文化の定着です。

 この3つの目的をきちんと持ち、学生への育成投資として設計している企業は、募集要項や面接で、担当プロジェクトの中身、意思決定への関わり方、指導体制を具体的に語れます。反対に、これらの目的を持たず、単に安い労働力として長期インターン生を扱う企業も存在します。企業側の目的と学生側が得るものが釣り合っているかどうかが、良い長期インターン選びの本質です。

6. 長期インターンで積める、就活での強い実績

 長期インターンを経験すると、就活で強く効く実績が積み上がります。中心になるのは、担当プロジェクトの成果を、面接で語れることです。「担当した機能で、月間アクティブユーザー数が◯%改善しました」「バックエンドAPIのレイテンシを、Cloudflare Workers への移行で50ms短縮しました」「担当機能にユニットテストを追加し、テストカバレッジを◯%まで引き上げました」。具体的な数字とツール名と役割で語れることが、書類選考でも面接でも強く効きます。

 長期インターンでは、担当プロジェクトを持つからこそ、フェーズ2-10で扱った体系的なソフトウェアテストのプロセスに、実際に関わる機会も生まれます。リリース前の受け入れテストの基準づくり、テストケースのレビュー、バグのトリアージ会議への参加。こうした経験は、開発者テストとしてのユニットテストとはまた違う、テスト計画やテストレポートを扱うQAの視座を育てます。

 もう一つ大きいのが、正社員向けのオンボーディングと育成の枠組みを、正社員に近い密度で経験できることです。技術メンター、週次の1on1、社内技術勉強会、書籍購入補助やカンファレンス参加補助。これらは、フェーズ1-3で扱った「良い会社」の判定材料そのものです。加えて、志望領域が同じ他社の情報や業界の実像を社内メンバーから聞けるなど、就活の情報と社内ネットワークが手に入ることも見逃せません。

 さらに、担当プロジェクトを持つ長期インターンでは、成果と同じくらい、そこに至るまでの向き合い方も実績になります。メンターとの1on1、チームメンバーとのすり合わせ、時には意見の対立。バイトやインターンは、コミュニティ活動と同じく「相手がいる」活動であり、これにどう向き合ってきたかという経験は、就職してからの対人コミュニケーションや、将来マネジメントに関わる場面でも、そのまま活きてきます。

7. 長期インターンで、どこまで成果を残せるか

 フェーズ2-10で扱ったように、業務で書いたコードそのものは、会社の資産です。長期インターンでも、この前提は変わりません。ただ、長期インターンでは、自分が担当したプロジェクトの成果を、業務の一部として公開できる場合があります。会社の公式技術ブログに、自分が担当した機能や技術的な工夫を、著者として書く。社外カンファレンスでの登壇、OSS化された社内プロダクトへの貢献、機械学習・データサイエンス系のインターンでは研究論文の共著という道もあります。

 これらは、業務の中で得た成果を、会社の同意のもとで公開の場に持ち出す、という道です。応募時に、募集要項や採用ページでこの道が開かれているかを確認しておくと、後悔がありません。

 コードそのものを公開できない場合でも、成果を言葉にして残す道はあります。担当したプロジェクトと役割、そこで出した数字を、履歴書や職務経歴書に列挙する方法が、いちばん取り組みやすい道です。「〇〇社の長期インターンで、決済機能のバックエンドAPIを担当。設計レビューにも参加し、レイテンシを50ms短縮」のように、担当領域・役割・意思決定への関わり・定量的な成果をセットで書けるのは、担当プロジェクトを持つ長期インターンならではの強みです。フェーズ2-5で扱ったGitHubプロフィールREADMEにも、この実務経験の要約を載せておくと、個人開発だけでは示せない実績が伝わります。書く前に、社名や具体的な数字を出してよいか、所属先の技術広報や上長に確認してください。

 あわせて意識しておいてほしいのが、長期インターンでの経験を、断片的な技術キーワードの寄せ集めで終わらせず、一つの物語として積み上げていくことです。「最初に何を任され、途中でどんな判断を重ね、最終的にどこまで責任を負うようになったか」という時系列を持った物語を、技術ブログやGitHubのドキュメントに、期間を追って記録していく。長期インターンを終えるたびに1つの文書にまとめておくと、面接で「インターンで何をしましたか」と聞かれたときに、筋の通った1つの話として語れます。長期インターンを経験したという事実そのものを、価値のある1つの記録に育てるという視点は、フェーズ2-10のバイトでの記録づくりから、そのままそのままつながるです。

 働き始めてから、時々、自分自身に問い直してみてほしいことが一つあります。「この業務は、私でなくてもできるだろうか」。選考の場でこれを企業に尋ねる必要はありません。ただ、自分の中でこの問いを持っておくと、いま任されている業務が、あなた個人への期待から生まれたものか、それとも誰にでも置き換え可能な作業なのかが、少しずつ見えてきます。もし置き換え可能な作業ばかりが続いているなら、それは、担当プロジェクトの中身を、あらためて上司やメンターに相談してよい合図です。

8. 長期インターンの見つけ方と、募集要項の見極め

 フェーズ2-10で紹介したWantedlyやレバテックルーキーなどの入口に加えて、長期インターンではYOUTRUST、サポーターズといった、インターン・若手採用に特化したプラットフォームも主要な入口になります。世界基準の道具立てを持つ会社を選ぶには、フェーズ2-1で扱った募集要項の技術スタックの欄を、応募前に丁寧に確認してください。

 長期インターンには、フルリモートで参加できる募集も、この数年で広がっています。地方に住んでいるみなさんにとっては、通える範囲だけで選択肢を区切らず、全国の会社に目を向けてみる余地があるということです。同時に、この広がりは地方の会社にとっても同じです。リモートの仕組みを整えている地方の会社は、地元だけでなく全国の学生と出会えるようになっています。探せる範囲が広がったからこそ、この記事の前半でお話しした「担当」の中身や、オンボーディング・メンターの体制を確かめる目が、これまで以上に大切になります

 フェーズ2-10の長期バイト募集と同じく、長期インターンでも、募集要項でまず絞り込み、面接でさらに確かめるという二段構えの見極めが大切です。2-10で扱った長期バイトの基礎の見極め(技術スタックの具体性、育成の仕組み、募集の背景)に加えて、この記事の前半でお話しした「担当」という言葉の中身も、あわせて確認してください。この見極めは、フェーズ3-2で扱うJDの危険信号と同じ考え方です。

9. 時間を浪費させる1日インターン

 ここまでお話ししてきた長期インターンとは別に、1日、あるいは2〜3日で完結する短期のプログラムも、「インターン」と呼ばれて広く募集されています。この2つは、名前は似ていても、制度上の位置づけが異なります。先に断っておくと、1日インターンに参加したこと自体が、無駄だったという話ではありません。ただ、その1日で何が得られて、何が得られないのかを知らずに参加すると、限られた時間が意図せず薄まってしまいます。

 2023年の三省合意改正により、大学生向けのキャリア形成支援プログラムは4つの類型に整理されました。このうち「タイプ1・オープン・カンパニー」は、企業や業界の情報提供・PRが目的で、就業体験を伴うことは必須とされていません。正式に「インターンシップ」と名乗れるのは、就業体験が必須とされているタイプ3・タイプ4のみです。就業体験を伴わないタイプ1・タイプ2で得た学生の情報は、採用選考活動に使用しないことが基本ルールです。参加した1日プログラムでその後の選考に呼ばれなかったとしても、それはルール上想定されている姿であって、あなたの評価が低かったという意味ではありません

 採用に関する広報活動や選考活動には、大学3年3月1日、大学4年6月1日といった解禁日の目安が、政府主導で設けられています。ただし法的な拘束力や罰則はなく、この解禁日より前に採用活動を実質的に始めている企業が多いという指摘が、複数の情報源で確認できます。オープン・カンパニーの中には、募集要項に「早期選考直結」と明記して参加者を募る形式がある一方、そうした言葉が一切ないまま、参加後に個別の連絡が届く場合もあります。解禁日の建前と、こうした接点の生まれ方の間には、ギャップがあります。タイプ1で得た学生の情報を採用選考に使わないという基本ルールを踏まえたうえで、届いた案内が「情報提供」なのか「選考の入口」なのか、自分の目で見分けてください

 実際の実施日数を見ても、1日、あるいは2〜3日という短期日程が、もっとも多い形式です。その中身は、会社説明や社員による座談会、オフィスの見学にとどまり、就業体験がほとんどないケースがあると指摘されています。「1日のインターンは、会社説明会だけだったりする場合が結構あった」というエンジニア志望学生の声もあります。同じ学生は、「実際に働く経験ができると思って参加したら、説明会と変わらなかった」とも振り返っています。参加した1日の中身が、会社案内のパンフレットを読むのと大差なかった、という声も見られます

 参加する前に、次の観点を、募集要項から確認してみてください。

  • 募集要項に「就業体験」という言葉があるか、それとも「説明会」「座談会」「見学」といった言葉にとどまっているか:言葉そのものが、その日の中身を正直に語っていることが多いです

  • 当日の時間割が、具体的に公開されているか:時間の使い方まで明記している企業は、中身に自信を持っています

  • 参加後に何を持ち帰れるかが、明記されているか:フィードバック、成果物、次のステップへの案内など、参加した後に手元に残るものがあるかどうかです

 これらの兆候が重なっている場合、学生が投じた時間に対して、持ち帰れるものが乏しい構造になっています

 マイナビの調査によると、2026年卒向けの1日インターンのコース数は、前年から大きく増えています。募集の数が増えるほど、その中身に注ぐ準備の差は、参加する側からも見えやすくなります。実施日数の短さそのものは問題ではなく、その短い時間の中で何を提供しているかが問題です。実際に手を動かす簡単な課題や、社員からの個別フィードバックを組み込み、中身のある体験を設計している企業も存在します。ただ、準備がどれだけ丁寧でも、1日という時間の制約には、越えられない上限があります。長期インターンで得られる「担当プロジェクトを持ち、意思決定に関わり、成果に責任を負う」という経験は、時間の蓄積がなければ成立しません。これは、どちらが優れているかという話ではなく、時間の投資量に応じて、得られる経験の種類そのものが変わるという構造の話です。

 1日インターンで得られる情報の多くは、実は他の手段でも得られます。会社の雰囲気や事業内容を知りたいならカジュアル面談、実際に働いている先輩の話を聞きたいなら大学のOB・OG訪問やフェーズ2-12の技術コミュニティ経由の職場訪問、技術スタックや開発体制ならフェーズ2-1の読み方を使った企業HPやカンパニーデッキの確認でも、多くの場合、読み取れます。

 フェーズ2-10でお話しした2,000時間の話と同じく、大学生活の時間は有限な資源です。1日インターンへの参加自体を否定するものではありませんが、限られた時間をどう配分するかという視点で見たとき、その時間を長期インターンに振り向けたほうが、得られる経験の厚みは大きくなります。

10. 長期インターンの就業条件で確認しておきたい観点

 長期インターンは、長期バイト以上に、正社員の労働条件に近いものになります。契約前に、次の観点を丁寧に確認してください。

  • 雇用形態:業務委託か、労働契約(アルバイト)か。労働契約のほうが労働基準法の保護があります

  • 勤務時間・報酬:週何時間、コアタイムの有無、時給か月給か、賞与や交通費・食事補助の有無

  • 成果物帰属条項・副業条項:業務で書いたコードや資料の帰属先、業務外での個人開発の可否

  • 秘密保持契約(NDA)、就業規則:期間、範囲、対象情報

  • 社会保険・税金:週30時間以上の勤務では社会保険への加入が必要になる場合があります。年間103万円、130万円、150万円の壁も、家族と相談して整理してください

 契約書の内容が理解できない、あるいは違和感がある場合は、大学のキャリアセンターや学生相談窓口、労働基準監督署に相談することもできます。応募や契約の前に、ここまでの観点に募集要項と契約内容を照らし合わせて読み直す一呼吸の習慣は、フェーズ3-2・フェーズ4で向き合う新卒のJDや内定条件の確認でも、そのまま活きてきます

11. プロフェッションとして育つ環境を持つ会社は、長期インターンを丁寧に育てている

 シリーズ全体を貫く上位原則を、この記事でも確認します。その会社は、エンジニアをプロフェッションとして育つ環境を持っているか

 プロフェッションとして育つ環境を持つ会社は、長期インターン生を、将来の正社員と同じ視座で丁寧に育てています。オンボーディング資料、メンター制度、1on1、成果に対する正当な対価、そして卒業後のキャリア相談。これらが揃っている会社は、長期インターンの経験そのものが、新卒入社後の1〜3年目の学びを先取りする場になります。

 株式会社サイバーエージェント、株式会社メルカリ、株式会社サイボウズなど、多くの会社が、長期インターン向けの独自の育成プログラムを公開しています。ただし、これらは対外発信に積極的な会社の一例です。地元の中堅・中小企業でも、公式サイトには載っていない丁寧な育成プログラムを持つ会社は数多くあります。カジュアル面談や面接の場で、実際の育成の仕組みを直接尋ねてみてください。

 長期インターン経験者の卒業後の進路が、会社の公式サイトで丁寧に紹介されているかどうか。これは、その会社が長期インターンをどう捉えているかの、いちばん静かで正直なシグナルです。

 ここまでお話しした「担当」の中身を見抜く読み方は、フェーズ3-2で扱う新卒のJDの読み方に、そのままつながっていきます。何十社ものJDを読むことになる就職活動において、いま身につけている読む目は、そのままフェーズ3・4で使う武器になります

まとめ

 本記事では、長期インターンで企業内の実績を積むお話をしました。この記事のいちばんの核は、冒頭でお話しした位置づけです。フェーズ2-10のバイトが企業や業界を知る体験だったのに対し、長期インターンは、もはや就職活動そのものです。短期バイトで確かめた言動一致は、長期バイトで本気度に育ち、長期インターンでは「担当プロジェクトを持ち、成果に責任を負う」という、もう練習ではない自覚に変わっていきます。

 長期バイトとの違いは、担当プロジェクトを持ち、意思決定に参加し、勤務時間と期間が長く、就業条件が正社員に近いこと。「担当」という言葉の中身を見抜く目を持ち、選考は新卒選考の縮図だという意識で臨んでください。積める強い実績は、担当プロジェクトの成果、世界基準の育成の枠組み、就活の情報と社内ネットワークです。1日インターンは、長期インターンとは制度上の位置づけが異なり、多くの場合は働く体験そのものではなく会社や業界を知るための情報を得る場です。カジュアル面談や職場訪問、企業HPの確認でも得られることが多く、限られた大学生活の時間は、長期インターンに振り向けたほうが得られる経験の厚みは大きくなります。見つけ方は、2-10で紹介した入口に加えて、YOUTRUSTやサポーターズなどのプラットフォームです。就業条件の確認観点は、雇用形態、勤務時間、報酬、成果物帰属、NDA、社会保険、税金です。

 次のフェーズ2-12では、企業の外に開いた学びの場として、社外エンジニアコミュニティで、先輩・仲間の輪に加わるというお話に進みます。

エンジニアの卵のみなさんへ、エール

 長期インターンは、学生時代のうちに、新卒入社後の1〜3年目の日々を先取りできる、貴重な機会です。私自身が学生だった時代には、いまのような長期インターンの制度は、日本にはほとんどありませんでした。みなさんは、私たちの世代よりずっと恵まれた入口を持っています。

 同時に、長期インターンは、学業や生活とのバランスを丁寧に取る必要のある働き方でもあります。無理をせず、自分のペースで、自分の学びが最大化される時間と場所を選んでください。焦って多くの会社を掛け持ちする必要はありません。1社を1年、丁寧に歩くほうが、成果物としての厚みが増します

 短期バイトで確かめ、長期バイトで育てた言動一致は、ここで、もう練習ではない自覚に変わります。今週、なにか一つ、始めてみてください。志望する技術ドメインで、長期インターンを募集している会社の公式採用ページを、3社丁寧に読んでみる。募集要項の中の「担当」という言葉に、一度立ち止まってみる。どれか1つで、本記事の1歩目です。

 一緒に歩きましょう。ボン・ボヤージュ。素敵な旅を。


次の記事はフェーズ2-12「社外エンジニアコミュニティで、先輩・仲間の輪に加わる。参加・運営・つながりの履歴を残す」です。


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