【フェーズ3】 接続する。JDから始まる、あなたと企業のお見合い。1年間積んできたポートフォリオを、対等に持ち寄る時期 【ITエンジニアの卵に贈る、就活の書】
この記事は「ITエンジニアの卵に贈る、就活の書」シリーズの一本です。シリーズ全体の目次はこちら(扉記事)からご覧いただけます。
エンジニアを目指す学生のみなさん、こんにちは。クオリティアーツの池田です。
ITエンジニアの卵に贈る、就活の書・フェーズ3の記事です。前回までのフェーズ2「作る」では、総論1本と各論14本、あわせて15本にわたって、みなさんが作れる自分を作るための道筋をお話ししました。GitHub、技術ブログ、ハッカソン、勉強会での発表、長期インターン、社外コミュニティ、大学における研究。フェーズ2-14の歩き方では、点で作らず線で、そして面で束ね、その先に立体がある、という視座までお伝えしました。
今回からフェーズ3「接続する」に入ります。フェーズ2「作る」で1年以上かけて積み上げてきたみなさんのポートフォリオを持って、いよいよ会社と接続する時期です。
ここで、少し立ち止まって受け取っていただきたいことがあります。
フェーズ2でみなさんがポートフォリオを積み上げていた、その同じ時期に、企業側もポートフォリオを積み上げていた。技術ブログを更新し、経営層が発信を続け、社員がカンファレンスに登壇し、OSSに貢献してきた。フェーズ3は、この双方のポートフォリオが、対等に接続する時期です。
新卒の就活中の方はもちろん、第二新卒として他社の面接に臨む場面でも、同じ話が土台になります。
1. フェーズ3で、学生さんが企業と出会う場面
まず、実感の順序から確かめます。フェーズ3で、みなさんが企業と出会う場面は、多くの場合、次の並びになります。
JD(ジョブ・ディスクリプション)・求人票を開く
興味を持った会社の技術ブログ・経営層の発信を読む
採用ページと中途採用のJDで、まとめて確認し、入社後のキャリアを読む
その会社の数字(離職率、平均勤続年数、有価証券報告書など)を確かめる
カジュアル面談やOB訪問、企業説明会に進む
フェーズ3の各論記事は、この順序に対応しています。フェーズ3-2「JD」、フェーズ3-3「技術発信」、フェーズ3-4「採用ページ・中途JD」、フェーズ3-5「数字」、フェーズ3-6「対面(カジュアル面談・OB訪問・企業説明会)」。この5つを、私は5つの観点と呼んでいます。
ここで、先に大事なことをお伝えしておきます。この並びは、多くの学生さんに起きる順序であって、この順に進めなければならない、という話ではありません。逆求人イベントでスカウトをもらって先に社員と話した、サマーインターンで会社を知った、大学に来た説明会で初めてその会社を知った。対面が先に来ることは、就活では珍しくありません。
5つの観点は、どの観点から入っても構いません。大切なのは、入った観点から、他の4つへ戻れることです。先に会ってしまったなら、そこで聞いた話を持ち帰って、JDや数字を読み直せばいい。この記事の順番どおりに進んでいないからといって、焦る必要はまったくありません。
そして、この5つの観点の背後には、フェーズ3の思想があります。学生さんも企業も、それぞれのポートフォリオを持ち寄って、対等に接続するという思想です。JDはその接続の入口。技術発信・採用ページ・中途JD・数字は、JDに書かれていることを裏取りする材料。カジュアル面談・OB訪問は、応募前の実際のお見合いの場。JDから始まって、お見合いの場に進む、その全体がフェーズ3です。
2. JDは、企業との最初の接点。そしてお見合いへの入口
フェーズ3の入口は、JDです。
JD(ジョブ・ディスクリプション)と求人票は、多くの学生さんにとって、就活で初めて丁寧に読む文書です。マイナビやリクナビの企業ページ、企業サイトの採用ページ、Wantedly、Green、Findy。学生さんが企業と最初に出会うのは、いつもJDのある画面です。JDに書かれていることを読み、興味を持ったら次のステップに進む。この順序は、就活の実務そのものです。
JDは、ただの労働条件の一覧ではありません。JDは、企業側からの自己紹介であり、その先に広がるお見合いへの入口です。求人票が労働条件を定める契約の骨組みだとすれば、JDは、その会社で働く姿を伝える物語です。良いJDには、担当するプロダクトの具体、使う技術、チームの構成、育成の設計、そして給与や休日といった労働条件が、丁寧に書かれています。この丁寧さの度合いが、その会社の採用への本気度を映します。JDや求人票を初めてじっくり読む方に向けて、その基礎と読み方は、次のフェーズ3-2で丁寧にお話しします。
そして、JDの先には、カジュアル面談・OB訪問・企業説明会というお見合いの場が広がっています。JDで興味を持った会社に、実際に会いに行く。応募を決める前に、対等に対話する。この一連の流れが、フェーズ3の骨格です。
3. 接続する、というフェーズ3の意味
フェーズ3を、私は接続するフェーズと呼んでいます。
学生さんがフェーズ2で積み上げてきたもの。GitHubの緑のマス、技術ブログの記事、勉強会での登壇スライド、OSSへのPR、長期インターンでの成果、コミュニティでのつながり。その同じ時期に、企業側も積み上げてきたもの。企業の技術ブログ、経営層のnoteやX、社員のカンファレンス登壇、GitHub Organizationでの活動、有価証券報告書の数字、ユースエール認定の情報。どちらも、1年、3年、5年と、世の中に公開してきたポートフォリオです。
フェーズ3は、この双方のポートフォリオが、対等に接続する時期です。学生さんが自分のポートフォリオを持ってお見合いの場に行き、企業側もそのポートフォリオを持って学生さんを迎える。互いのポートフォリオを持ち寄って、対等に確かめ合う。この対等な接続の姿勢が、フェーズ3全体の土台になります。
そしてここで、大切なことをひとつ、先にお伝えしておきます。あなたの誠実さは、相手の誠実さの証明にはなりません。
4. あなたの誠実さは、相手の誠実さの証明にならない。企業ポートフォリオで、裏取りする
就活を始めたみなさんが持ちがちな、素朴な信頼があります。「こんなに丁寧に書いてある会社なら、きっと信頼できる」「募集要項の言葉が誠実そうだから、この会社は大丈夫」という感覚です。
この感覚は、みなさんの落ち度ではありません。むしろ、みなさんが誠実であることの表れです。ただ、25年近くいろいろな会社を内側から見てきた私が、正直にお伝えしたいことがあります。世の中には、結果的に応募者に誤解を与える書き方の技術が、思っている以上に広く使われていると、私は感じています。月給25万円と書いてあっても、内訳は基本給20万円と固定残業代5万円だった。「アットホームな職場」の一語だけで職場が語られている。こうした書き方には、25年のあいだ、本当に多くお目にかかってきました。額面を業界標準に見せて、内訳で実質を大きく落とす書き方は、ある意味、だまし討ちに近い、というのが正直な実感です。
みなさんが誠実に読もうとしても、相手の書き方の技術に欺かれることがあります。ここで大切なのは、あなたの誠実さと相手の誠実さは、別軸で確かめるという視座を持つこと。そして、その視座を支える道具が、企業ポートフォリオでの裏取りです。JDに書かれていることを、技術ブログや登壇履歴や数字で、一つずつ照合していく。書き方の技術に欺かれないための道具は、フェーズ3-2からフェーズ3-6までの各論で、一つずつお渡ししていきます。
5. 企業もポートフォリオを持っている、という気づき
企業もポートフォリオを持っている。これが、フェーズ3の入口で腹に据えておきたい、いちばん大事な一点です。
フェーズ2-2「強いポートフォリオの作り方」でお話しした強いポートフォリオの3要素(公開・質・第三者の目利き)は、そのまま企業にも当てはまります。技術ブログはあるか、経営層は発信しているか、社員はカンファレンスに登壇しているか。学生と企業は、ポートフォリオという同じ土俵で、対等に確かめ合います。この対等性が、フェーズ3の縦串です。
そして、企業も学生も、互いを対等にスクリーニングし合っています。企業は書類選考で当たり前に応募者を絞り込んでいます。同じ論理で、学生さんも企業を絞っていい。応募先を絞ることは、企業への礼儀違反ではなく、双方の時間を守る対等な行為です。
この2つ、ポートフォリオの対等性とスクリーニングの対等性が、フェーズ3の思想の骨組みです。なぜそう言えるのかを、序章からの縦串を辿って丁寧に降ろすのが、次のフェーズ3-1の仕事になります。この記事では、骨組みだけを頭に置いて先へ進んでください。
6. 5つの観点は、情報コストの安い順に重ねる
フェーズ3で使う道具立てを、もう一度整理します。5つの観点は、学生さんが企業と接続していく5つの場面にあたります。並べる順番は、情報コストの安い順です。
6-1. 観点1:JD(フェーズ3-2)
接続の入口。学生さんが企業と最初に出会う場所。JDには、その会社の採用への本気度が、率直に映ります。フェーズ3-2では、9つの危険信号で、JDが接続の入口として書かれているかを確かめます。給与欄の内訳、抽象語で語られていないか、技術スタックが具体的に書かれているか、育成の設計があるか。書き方の技術に欺かれないための道具が、9つの信号です。
6-2. 観点2:技術発信(フェーズ3-3)
JDの技術面の裏取り。企業ポートフォリオの技術文化面を確かめる観点です。公式技術ブログ、経営層のnote/X、社員のカンファレンス登壇履歴、Speaker Deck、GitHub OrganizationでのOSS Contributions。JDに書かれている技術スタックが、実際の技術発信で裏付けられているかを確かめます。技術発信の厚みは、その会社の技術文化の厚みを、いちばん正直に映します。
6-3. 観点3:採用ページ・中途JD(フェーズ3-4)
技術発信の集約点、そして入社後のキャリアの手がかり。採用ページは、技術ブログ・登壇履歴・GitHub・書籍出版といった発信をまとめて確認できる入り口です。あわせて、中途採用のJDを横断的に読むと、新卒のJDだけでは見えなかった、その会社に入社した先のキャリアや待遇の具体が見えてきます。募集の理由が組織強化なのか欠員補充なのか、正社員比率、転職サイトの退職者コメント。中途採用情報は、面接という対話の場に入る前に、企業の本当の姿を静かに映す情報源です。
6-4. 観点4:数字(フェーズ3-5)
JDの姿勢の数字での裏取り。企業ポートフォリオの数字面を確かめる観点です。中途採用求人票の技術スタックと年収レンジ、離職率、平均勤続年数、有価証券報告書の従業員数と平均年収、ユースエール認定の情報、そして開発生産性の指標を自社で公開している会社ならその数字。若者雇用促進法(応募者から求められた場合に、新卒採用における職場情報の開示を企業に求める法律)に基づく職場情報の開示姿勢を、数字で確かめます。数字を開示する姿勢は、その会社の透明性を映します。
6-5. 観点5:対面(フェーズ3-6)
応募前の実際のお見合い。カジュアル面談・OB訪問・企業説明会・オフィス訪問・オンラインイベント。ここは、他の4つの観点とは性質が違います。1〜4の観点が「情報の裏取り」だったのに対し、観点5は実際にその会社の人と対面で対話する場です。ここで、双方のポートフォリオを持ち寄って、対等に確かめ合います。そして対面は、確認の終点ではありません。会って初めて出てくる話を持ち帰って、JDや数字をもう一度読み直す。この往復までが、観点5です。
6-6. 5つの観点は、性質が3つに分かれる
順番だけでなく、それぞれの観点の性質の違いも知っておくと、使い方が変わります。5つは、3つの群に分かれます。
通過点が2つ(JD・技術発信):1社あたりが安く、自分の都合だけで進められます。100社を捌くための道具で、ここは順番に意味があります
道具が2つ(採用ページ・中途JD、数字):これは工程ではなく、何度でも引き直す参照先です。「20社の段でやったから終わり」ではありません。対面の翌日に開き直すのが、いちばん正しい使い方です
往復が1つ(対面):5つの中で唯一、相手のカレンダーに依存し、唯一、新しい事実が湧いてくる観点です。だから最後とは限らないし、一度で終わりでもありません
通過点2つ・道具2つ・往復1つ。この分け方を頭に置いておくと、「順番どおりに進めていない」という感覚に振り回されずに済みます。
この5つの観点を、情報コストの安い順に重ねていくことが、フェーズ3の骨格です。JDを1社読むのに5分、対面で1社と会うのに2時間。安いものを先に、高いものを後に。この並びは、みなさんの時間と、相手の時間の両方を守るための並びです。JDで100社見て、技術発信で30社に絞り、採用ページ・中途JDで20社に絞り、数字で10社を確認し、対面で5社と接続し、応募を決めるのは1〜3社。この歩き方の全体像は、フェーズ3-7「歩き方まとめ」で丁寧にお話しします。
7. 接続の場に、嘘を持ち込まない
フェーズ3の思想の中で、いちばん大切にしたいことがあります。接続の場に、嘘や騙し合いは、持ち込まない、ということです。
学生さんが自分のポートフォリオを持って企業と接続するとき、嘘は禁物です。作っていないものを作ったと言わない。書いていない記事を書いたと言わない。参加していない勉強会に参加したと言わない。フェーズ2で正直に積み上げてきた自分のポートフォリオを、正直に差し出す。それが、対等な接続の第一歩です。
同じ論理で、企業側も、接続の場に嘘を持ち込まないことが求められます。JDに書かれていることは、企業ポートフォリオで裏付けられていなければならない。存在しない技術文化を、あるように書かない。整っていない育成設計を、整っているように書かない。接続の場は、双方が正直に自分の姿を差し出す場であるべきです。
この倫理は、良い会社側から見ても、当たり前の姿勢です。良い会社は、書ける技術と、書けない技術を、正直に分けて開示します。育成に力を入れている領域と、まだ整えている途中の領域も、正直に語ります。正直に書ける会社は、社内の日常に正直さがあるからこそ、書けるのです。書き方の技術で応募者を集める会社は、接続の場そのものが成立しにくくなります。採用側として、こうした募集要項のすり合わせに関わってきた実感で言うと、「ここは正直に書けない」と社内で立ち止まる会社ほど、後から見ると、他の場面でも同じように立ち止まっていることが多いと感じています。
8. フェーズ3で持っておきたい、3つの姿勢
フェーズ3を歩く上で、私がみなさんにお伝えしたい姿勢が、3つあります。
1つ目は、自分のポートフォリオを、堂々と持ち込むこと。フェーズ2で1年以上かけて積み上げてきた成果物は、みなさんが対等な接続の場に立つための資本です。遠慮する理由は、どこにもありません。
2つ目は、企業のポートフォリオを、丁寧に読み込むこと。技術ブログを1本読む、経営層のnoteを1つ読む、登壇スライドを1枚見る。企業のポートフォリオを読む時間が、対等な接続の準備の時間です。
3つ目は、5つの観点の一貫性を、読むこと。JDに書かれた技術スタックが、技術ブログにも登場し、採用ページや中途JDの記述にも滲み、数字にも表れ、カジュアル面談での現場エンジニアの言葉にも生きている。一貫性のある会社は、社内の日常にも一貫性がある。この視座は、シリーズ全体を貫くフェーズ1-3「有名な会社と良い会社は違う」の実践編でもあります。
9. フェーズ3の全体像。総論1本+方向づけ1本+各論5本+歩き方1本、合わせて8本
フェーズ3は、次の8本で構成しています。
9-1. 総論(1本)
フェーズ3(この記事):接続する。JDから始まる、あなたと企業のお見合い
9-2. 方向づけ(1本)
フェーズ3-1:なぜ、双方のポートフォリオが接続するのか。JDから始まる対等なお見合いの、思想の土台
9-3. 各論(5本・5つの観点)
フェーズ3-2:そのJDは、接続の入口として書かれていますか。9つの危険信号で確かめる
フェーズ3-3:技術発信で、JDの裏取りをする。企業ポートフォリオの技術文化面
フェーズ3-4:中途採用情報で、面接前に企業の本当の姿を知る。採用ページと中途JDが映す、その先のキャリア
フェーズ3-5:数字で、JDの裏取りをする。企業ポートフォリオの数字面
フェーズ3-6:カジュアル面談・OB訪問・企業説明会で、応募前に実際に接続する。会って確かめ、持ち帰って確かめ直す
9-4. 歩き方まとめ(1本)
フェーズ3-7:フェーズ3の歩き方。JDから始まる、100→30→20→10→5→1〜3のお見合いの旅
フェーズ3-1で思想の土台を丁寧に降ろし、フェーズ3-2〜3-6で5つの観点の実践を扱い、フェーズ3-7でフェーズ3全体をどう歩くかをまとめます。
10. フェーズ3を、どう始めるか
「接続すると言われても、何から始めれば……」という学生さんに、いちばん軽い入口をお伝えします。
気になる会社の新卒募集要項を1つ開いて、そのJDを丁寧に読んでみる。それだけです。使われている言葉、技術スタックの記載、給与欄の書き方、応募プロセスの流れ。1つのJDを、これまでとは違う目で、10分だけ読み込んでみる。それだけで、フェーズ3の入口が開きます。
そのあと、余裕があれば、その会社の技術ブログを1本読んでみる。JDに書かれていた技術スタックが、技術ブログにも登場していれば、その会社は接続の入口として一貫していることが伝わってきます。JDでは華やかに書かれていても、技術ブログが空欄の場合は、企業ポートフォリオの側で立ち止まって考える必要が出てきます。この照合の感覚が、フェーズ3の実感の入口です。
11. プロフェッションとして育つ環境を持つ会社は、5つの観点のすべてで一貫している
シリーズ全体を貫く上位原則を、この記事でも確認します。その会社は、エンジニアをプロフェッションとして育つ環境を持っているか。
プロフェッションとして育つ環境を持つ会社は、5つの観点のすべてで一貫しています。JDに書かれた技術スタックが、技術ブログの1本にも登場し、採用ページや中途JDの記述にも滲み、有価証券報告書の数字にも表れ、カジュアル面談での現場エンジニアの言葉にも生きている。募集要項の1行と、技術ブログの1本と、採用ページの1文と、離職率の1つの数字と、カジュアル面談での1つの答えが、同じ姿勢を映している。この一貫性は、社内の日常があってはじめて生まれるものです。
募集要項の早い段階で技術スタックが自然に登場しているか。社員のカンファレンス登壇履歴に、直近1年間の登壇が残っているか。平均勤続年数が、業界水準と比べて健全な数字か。カジュアル面談で現場エンジニアが、自分の言葉で技術を語れるか。これは、その会社が新卒に対する姿勢をどう捉えているかの、いちばん静かで正直なシグナルです。
なお、平均勤続年数のような数字は、上場企業なら有価証券報告書で確認できますが、非上場の会社にはそもそも有価証券報告書がありません。その場合は、決算公告、ユースエール認定の公開情報、若者雇用促進法に基づく職場情報の提供(応募者から求めれば開示されます)が、同じ役割を果たします。確認の経路が違うだけで、数字を差し出す姿勢そのものは、会社の規模や上場の有無とは別の話です。
まとめ
本記事で扱ったフェーズ3「接続する」は、フェーズ2で積み上げた成果物を持って、企業と対等に接続する時期です。要点を整理します。
JDは接続の入口であり、学生さんが企業と最初に出会う場所です。フェーズ2で学生さんがポートフォリオを積み上げてきた同じ時期に、企業側もポートフォリオを積み上げていました。双方のポートフォリオが対等に接続する。それがフェーズ3の骨格です。JDに書かれていることは、技術発信・採用ページ+中途JD・数字・対面の4つの側面で裏取りできます。企業が書類選考で応募者を絞るのと同じ論理で、学生も企業を絞っていい。これが双方向のスクリーニングの対等性です。そして、接続の場に嘘を持ち込まず、双方が正直に自分のポートフォリオを差し出す。5つの観点はJD→技術発信→採用ページ・中途JD→数字→対面→応募の順で、時系列で歩いていきます。
次のフェーズ3-1では、なぜ双方のポートフォリオが接続するのか、その思想の土台を、序章からの縦串を辿りながら丁寧にお話しします。
エンジニアの卵のみなさんへ、エール
フェーズ3は、フェーズ2で1年以上かけて積み上げてきたみなさんの努力が、いよいよ企業と接続する時期です。緊張する方も、楽しみな方も、いろいろな気持ちがあると思います。
私自身、25年近く前、就職氷河期のど真ん中で就活をしました。当時の就活には、企業もポートフォリオを持っている、対等に確かめ合っていい、という視座を言葉にしてくれるものが、どこにもありませんでした。あの頃の自分に、この視座を渡せていたらと思います。この記事は、あの頃の自分に贈るような気持ちで書いています。
今週、なにか一つ、始めてみてください。気になる会社の新卒募集要項を1つ開いて、JDを丁寧に読んでみる。フェーズ2で積み上げた自分のポートフォリオのURLを1つ、応募フォームがどう受け止めているかを眺めてみる。フェーズ1-3で立てた3つの問い(技術の社外発信、募集要項の育成の記述、経営層・部課長の技術の言葉)を、気になる会社に対して自分で答えてみる。どれか1つで、本記事の1歩目です。
そして、フェーズ3-1で、対等な接続の思想の土台をお話しします。
一緒に歩きましょう。ボン・ボヤージュ。素敵な旅を。
次の記事はフェーズ3-1「なぜ、双方のポートフォリオが接続するのか。JDから始まる対等なお見合いの、思想の土台」です。
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