【フェーズ3-7】 フェーズ3の歩き方。JDから始まる、100→30→20→10→5→1〜3のお見合いの旅 【ITエンジニアの卵に贈る、就活の書】
この記事は「ITエンジニアの卵に贈る、就活の書」シリーズの一本です。シリーズ全体の目次はこちら(扉記事)からご覧いただけます。
エンジニアを目指す学生のみなさん、こんにちは。クオリティアーツの池田です。
ITエンジニアの卵に贈る、就活の書・フェーズ3-7の記事です。前回までのフェーズ3では、総論、方向づけ、5つの観点の各論と、7本にわたって、双方のポートフォリオが対等に接続するお話をしてきました。JDの読み方、技術発信の裏取り、採用ページと中途JDの読み方、数字での確かめ方、対面でのお見合い。
今回はフェーズ3の締めくくりとして、これら5つの観点をどう束ね、どう歩いていくかというお話です。フェーズ3-1でお伝えした「対等な接続」の思想と、フェーズ3-2〜3-6でお伝えした5つの観点の実践を、時系列の一つの流れとして束ねます。
新卒の就活中の方はもちろん、第二新卒として他社の面接に臨む場面でも、フェーズ3の総合的な歩き方は、そのままフェーズ4以降の面接での話の広さと深さに直結します。
1. 5つの観点を、時系列で束ねる
フェーズ3の5つの観点は、それぞれ独立して使える形で書いてきました。ただ、就活の実務で強く効くのは、5つの観点をバラバラに使うときではなく、時系列の順序で束ねて使うときです。
学生さんが企業と出会う順序は、次のとおりです。
観点1・JD:最初の入口。企業と最初に出会う場所
観点2・技術発信:JDに興味を持ったら、次に見る場所
観点3・採用ページ・中途JD:技術発信をまとめて確認し、入社後のキャリアを読む場所
観点4・数字:さらに調べたくなったら、確認する場所
観点5・対面:応募を決める前の、最後のお見合いの場所
同じ5つの観点でも、この時系列で順に使うと、応募先の絞り込みが自然な流れになります。フェーズ3-2〜3-6の各論を、この順序で束ねる視点が、フェーズ3の歩き方の骨格です。
2. 就活の絞り込みの流れ:100→30→20→10→5→1〜3
時系列の流れを、具体的な数字で描きます。100社から始まって、本命の1〜3社を含む5〜10社に応募を決めるまでの、段階的な絞り込みです。目安の数字ですが、フェーズ3を歩く上で参考になります。
先に、各層の意味を整理します。
100社:世の中にある会社を広く見る段階
30社:応募候補。最初の目利きで残らなかった70社は応募する必要がない。ここから先を5つの観点で丁寧に絞り込む
20社:採用ページ・中途JDまで読み込んで、キャリアの具体像が見えた会社を残す
10社:妥協点を見出せれば応募する。情報が足りない部分があるが、面接の場で確かめる価値がある
5社:応募する。5つの観点のうち3つ以上で手応えがある
1〜3社:何としても応募したい本命。JD・技術発信・採用ページ・中途JD・数字・対面のすべてが揃っている
100社から1〜3社への道のりは、各層がそれぞれの意味を持つ段階的な絞り込みです。以下、各層を順に見ていきます。
2-1. JDで100社を見る
新卒応募の候補として、まず100社程度のJDに目を通すことを目安にしてください。マイナビ、リクナビ、Wantedly、Green、Findy、企業の採用ページ。数字が多く感じる方もいると思いますが、1社5分で読めば、100社で約8時間。数日〜1週間で終わります。
100社の目安の内訳(あくまで目安):
気になる会社を、大学のキャリアセンターや就活サイトで50〜80社
大学の先輩が入社した会社を、10〜20社
気になる技術ドメインの会社を、業界の技術ブログや勉強会主催企業から10〜20社
地方や海外接続のある会社を、10〜20社
100社のJDを読むときは、フェーズ3-2の9つの危険信号を照合します。9つの信号のうち、1つでも重い信号があれば、いったん候補から外して、他の会社と比べる。
2-2. 技術発信で30社に絞る
100社から30社に絞り込むとき、技術発信の厚みで絞ります。フェーズ3-3で扱った企業ポートフォリオの技術文化面の視点です。
公式技術ブログが直近6ヶ月以内に更新されている
経営層や部課長の個人発信に技術の話が登場する
社員のカンファレンス登壇が直近1年以内にある
GitHub Organizationに活動がある
この4つのうち、複数のチャネルで発信がある会社を、30社に残します(フェーズ3-3では、これにPodcast・YouTubeを加えた5つのチャネルを扱いました。絞り込みの段階では、検索だけで確かめられるこの4つで十分です)。1社30分で技術発信を読むと、30社で約15時間。数日〜1週間で終わります。
ここで、立ち止まって確かめてほしいことがあります。4つの発信チャネルのすべてがゼロ、つまり企業ポートフォリオが実質ゼロの会社は、この段階でいったん外すことを検討してください。技術ブログを書く、登壇履歴を残す、GitHub Organizationを動かす。いずれも、いまの時代、高いコストを要求するものではありません。それを1つも示せていない会社は、エンジニアという職能に日常的に時間を割いていない可能性が高く、有力な危険信号です(フェーズ3-2の危険信号9、フェーズ3-1で扱った対等性の議論を参照)。
ただし、機械的に切り捨てる必要はありません。創業間もない会社や、SES・受託中心で対外発信をしにくい事情がある会社も現実にあります。技術発信がゼロの会社を候補に残す場合は、30社の枠とは別に「要確認」の欄を作り、次のフェーズ3-6の対面の場で、なぜ発信していないのかを直接尋ねる、という扱いをおすすめします。その問いへの答え方に、対等性への姿勢が表れます。
もう1つ、この段階で見分けてほしいことがあります。技術発信が「最初から一度もない」会社と、「以前は活発だったのに、途中で止まった」会社は、別のシグナルとして扱ってください。フェーズ3-3でお話ししたとおり、発信の失速は、CTOやテックリードの離脱、エンジニアの大量流出、経営の傾きといった深刻な変化と重なって起きることがあります。技術ブログや登壇履歴の投稿日を年次で遡り、直近1〜2年だけでなく3〜5年分の更新頻度を確認してください。ある年を境に発信がぱたりと止まっている会社は、最初から発信がない会社よりも、注意深く扱うべき候補です。
2-3. 採用ページ・中途JDで20社に絞る
30社から20社に絞り込むとき、採用ページと中途採用のJDを使います。フェーズ3-4で扱った、技術発信をまとめて確認できる入り口の視点です。
独立した「エンジニア向け採用ページ」があり、継続的に更新されている
採用ページに、技術ブログへのリンクや登壇実績、社員インタビューが集約されている
新卒向けのページから、学生への真摯さが伝わってくる
中途採用のJDを複数横断して読むと、入社後のキャリアパスの具体像が見えてくる
コーポレートサイトの片隅に採用情報が埋もれているだけなのか、独立したページが作り込まれているのか。この見分けが、投資の本気度を映します。ただし、フェーズ3-4でお話ししたとおり、専属の技術広報を置けるかどうかは、会社の規模や採用予算に大きく左右されます。ページの厚みそのものを合否の基準にせず、薄いページに書かれた少ない言葉が、他の観点と一貫しているかで見てください。新卒向けのページだけでなく、中途採用のページも忘れずに開いてください。中途採用ページには、経験を積んだエンジニアが実際に任されているポジションや、マネージャー・テックリードといった上位ポジションの年収レンジが、新卒向けより具体的に書かれています。この情報は、その会社が上位の役割にいくら払うのかという、待遇の目線を端的に映します。募集の理由が組織強化なのか欠員補充なのか、正社員比率、転職サイトの退職者コメントも、あわせて確認する材料になります。
採用ページと中途JDを読んで、入社後の姿がある程度具体的に見えてきた会社を、20社に残します。1社20分で確認すると、20社で約7時間。数日で終わります。
2-4. 数字で10社に絞る
20社から10社に絞り込むとき、数字で絞ります。フェーズ3-5で扱った企業ポートフォリオの数字面の視点です。
中途採用求人票の技術スタックが、新卒JDと一貫している
離職率や平均勤続年数が開示されている
上場企業なら、有価証券報告書が読める
ユースエール認定を受けているか、開発生産性の数字を自ら公開しているかを確認できる
数字を開示する姿勢を持つ会社を、10社に残します。1社1時間で数字を確認すると、10社で約10時間。数日〜1週間で終わります。
2-5. 対面で5社と接続する
10社から5社に絞り込むとき、対面のお見合いを使います。フェーズ3-6で扱ったカジュアル面談・OB訪問・企業説明会の視点です。
カジュアル面談を申し込む
OB訪問の申し込みをする
企業説明会に参加する
オフィス訪問・オンラインイベントに参加する
対面の場で、双方のポートフォリオを持ち寄って対等に確かめ合う。5社と1回ずつ対面すると、1回2時間として約10時間。1〜2週間で終わります。
企業説明会や合同説明会では、会社パンフレットやチラシが配布されることがあります。フェーズ3-6でお話ししたとおり、こうした資料は企業が良く見せるために作り込んだものです。良いことだけが並んでいないか、社員インタビューの人選に偏りがないか、技術の話が具体的かを、差し引いて読んでください。パンフレットで受けた好印象は、技術発信や数字という動かせない事実で、そのつど裏取りをします。
2-6. 本命として応募を決めるのは、1〜3社
5社と対面してお見合いを終えたあと、本命として応募を決める会社は、1〜3社です。JD・技術発信・採用ページ・中途JD・数字・対面のすべてが揃っている会社です。
2-7. 現実的な応募社数は、5社から10社
ただし、本命の1〜3社だけに応募するのは、現実的ではありません。5社圏の「5つの観点のうち3つ以上で手応えがある」会社も、応募先に入ります。さらに、10社圏の中にも、情報が足りないものの面接の場で確かめてみたい会社が出てきます。
ここで、ひとつ補っておきます。10社圏の会社は、対面のお見合いをまだ済ませていない会社です。応募すると決めたなら、できるかぎり、応募の前後どちらかで対面の場を1回は持ってください。カジュアル面談の申し込みが間に合わなければ、企業説明会でも、オンラインイベントでも構いません。フェーズ3-6でお話ししたことは、対面の場を一度も持たないまま選考に入ると、確かめる手段が面接まで得られない、ということでもあります。
結果として、現実的な応募社数は、5社から10社の間になります。本命の1〜3社を含む5〜10社に応募し、フェーズ4「確かめ合う」で面接に進みます。
100社から始まって、5〜10社に応募する。読み込みそのものに必要な時間を積み上げると、合計でおよそ50時間。学業やアルバイトと並行することを考えると、週に5時間ずつ進めて2〜3ヶ月、少し余裕をみて、7章で示す大学3年目の秋から大学4年目の冬までの半年ほどの中に置くのが現実的です。
3. 絞り込みの道具は、確率を上げる道具である
ここで大切なことをお伝えします。フェーズ3-2〜3-6の5つの観点は、確率を上げる道具であって、確実に見抜く道具ではありません。
たとえば、JDに具体的な技術名(Java、Spring Boot、AWS等)が書いてあっても、それが自社プロダクトの技術スタックなのか、派遣先案件の技術スタックなのかは、JDだけでは判断しきれないことがあります。同じ「Java, Spring Boot, AWSを使った開発」という文言でも、自社サービスの開発環境を示す場合と、客先常駐で派遣される先の案件の技術環境を示す場合とでは、入社後の働き方がまったく異なります。
また、技術ブログが見つからないからといって、ダメな会社とは限りません。ただし、裏取りの手段が減るため、面接の場でより注意深く確かめる必要があります。
だからこそ、面接もスクリーニングの一部として機能します。フェーズ3の絞り込みで見抜けなかったことを、フェーズ4の面接の場で確かめる。応募したからといって最後まで進む義務はありません。面接の途中で、この会社は自分と合わないと判断したら、辞退してもいい。これは、双方向のスクリーニングの対等性の一部です。
4. 直感で「ここは受けてみたい」と思う会社があるとき
5つの観点で整理しきれなくても、直感で「ここは受けてみたい」と思う会社があれば、こだわらずにチャレンジしてみてください。
理屈で説明できない引力は、自分の中のまだ言語化できていない価値観が反応していることがあります。5つの観点は「最低限確かめるべきこと」であって、「5つの観点でしか判断してはいけない」ではありません。
直感でチャレンジした結果、不合格になることもあります。それでも、チャレンジしたこと自体が財産になります。面接で感じたこと、聞けた話、自分の力が及ばなかった悔しさ。その経験は、次の会社の面接での対話の深さに、確実に反映されます。
5. 大学推薦・教務課紹介という経路
就活の応募経路は、自由応募だけではありません。大学の推薦や教務課からの紹介という経路もあります。
先生方や大学が長年かけて築いた信頼の上に立っている経路で、貴重な接続先です。ただし、推薦だからといって5つの観点を省略しないことが大切です。推薦で紹介された会社も、同じ物差しで丁寧に確かめます。
推薦での応募には、受かったらオファーを断りにくいという制約があります。推薦を出した先生や大学の信頼に関わるためです。この制約を理解した上で、自由応募と推薦応募を使い分ける判断が必要です。推薦を見送ることも正当な選択です。自分で選ぶ道を選ぶことが大事です。
6. 双方向の絞り込みの、対等性
フェーズ3総論とフェーズ3-1でお話しした双方向のスクリーニングの対等性を、この絞り込みの流れで確かめます。
学生側の絞り込みが、100→30→20→10→5→1〜3社の段階的な流れであるのと同じように、企業側も応募者を絞り込んでいます。
100人が応募 → 応募者の一部が書類選考を通過
30人 → 10人が一次面接通過
10人 → 5人が二次面接・技術面接通過
5人 → 1〜3人が内定
学生側の絞り込みと企業側の絞り込みが、対称的に動いています。学生さんが100社から1〜3社に絞るように、企業も100人から1〜3人に絞る。この対称性が、健全な就活市場の姿です。
企業が書類選考で応募者をスクリーニングするのと同じ論理で、学生さんも入口でJDをスクリーニングする。双方向の絞り込みは、対等な行為です。応募先を絞ることに、罪悪感を持つ必要はありません。学生さんが自分の時間を守るのと同じように、企業も自分たちの時間を守っています。
7. 時系列の目安:大学3年目の秋〜冬にかけて
フェーズ3を歩く時期の目安を、月別に整理します。あくまで一つの目安です。学年や状況に応じて、柔軟に読み替えてください。
7-1. 大学3年目の9月〜10月:JDで100社
就活情報サイト、企業サイト、Wantedly、Green、Findyで、100社程度のJDに目を通す
フェーズ3-2の9つの危険信号を照合しながら読む
気になる会社をリストにまとめる
7-2. 大学3年目の10月:技術発信で30社
100社から30社に絞り、技術発信を読み込む
公式技術ブログ、経営層のnote、Speaker Deck、GitHub Organizationを確認
気になる技術ブログ記事を、実際に読んでみる
7-3. 大学3年目の10月〜11月:採用ページ・中途JDで20社
30社から20社に絞り、採用ページと中途採用のJDを読み込む
独立したエンジニア向け採用ページの有無、新卒ページの作り込みを確認
中途採用のJDを複数横断して眺め、キャリアパスの具体像を確かめる
7-4. 大学3年目の11月〜12月:数字で10社
20社から10社に絞り、数字を確認する
EDINETで有価証券報告書を開く(上場企業)
厚生労働省のユースエール認定データベースを検索
開発生産性の数字を公開している会社なら、その数字を確認
7-5. 大学3年目の12月〜大学4年目の1月:対面で5社
10社から5社に絞り、対面の場を使う
カジュアル面談を申し込む
OB訪問を申し込む
企業説明会・オフィス訪問・オンラインイベントに参加
7-6. 大学4年目の1月〜2月:応募を決めて、フェーズ4へ
本命の1〜3社を含む5〜10社に応募を決める
応募先が決まったら、フェーズ4「確かめ合う」の面接に進む
修士進学、第二新卒、社会人経験からの学び直し、その他のパスの方は、自分のライフステージに合わせて、この目安を柔軟に読み替えてください。焦る必要はありません。1社を丁寧に読み込むほうが、100社を流し読みするより、就活の質が上がります。
8. フェーズ2で積んだ成果物を、フェーズ3のどの段階で使うか
フェーズ2で1年以上かけて積み上げてきた成果物は、フェーズ3の各段階で使います。フェーズ2の努力が、フェーズ3のどの段階で活きるかを、時系列で整理します。
8-1. JD閲覧の段階:応募フォームの入力欄で
100社のJDを見るとき、応募フォームにGitHub URL・ポートフォリオ URL・Speaker Deck URLの記入欄があるかを確認します。フェーズ2で積み上げたポートフォリオを受け止める設計になっている会社を、優先的に候補に残します。
8-2. 技術発信の裏取り段階:共通言語で対話するために
技術発信を読み込むとき、フェーズ2-8「技術ブログで学びを言語化する」で身につけた書き手の視点が活きます。他社の技術ブログを読むとき、書き手の意図や実装の判断が、フェーズ2で自分が書いてきた経験から自然に読み解けます。
8-3. 採用ページ・中途JDの確認段階:エントリーの経験がそのまま活きる
採用ページと中途採用のJDを読み込むとき、フェーズ2でエントリーシートや自己PRの文章に触れてきた経験が活きます。新卒向けのページからは学生への真摯さが、中途向けのページからは入社後のキャリアと待遇の具体が見えてきます。中途JDを複数横断して眺めると、その会社にどんなキャリアパスが実在するかが分かります。
8-4. 数字の確認段階:フェーズ2-11で見てきた実務の視点で
長期インターン(フェーズ2-11)で企業の内側を見てきた学生さんは、有価証券報告書の数字や離職率の意味を、実務の視点で読めます。実際の企業でエンジニアがどう働いているかを、数字を通して立体的に理解できます。
8-5. 対面のお見合い段階:フェーズ2の成果物を持ち込む
カジュアル面談・OB訪問・企業説明会の場で、フェーズ2で積み上げたポートフォリオを、話題として持ち込む。GitHubのURL、Speaker Deckのスライド、技術ブログの記事を、対等な対話の材料にします。企業側は、成果物を持ってくる学生さんに対して、真剣に応答してくれます。
8-6. 応募の段階:フェーズ2の全てを、応募書類に反映
応募を決めた5〜10社に、フェーズ2で積み上げた成果物を、応募書類に丁寧に反映します。GitHubのURL、Zennのプロフィール、Speaker Deckのアカウント、OSSへのPR、長期インターンの経験、コミュニティでの活動履歴。本命の1〜3社には特に時間をかけて、フェーズ2で積んだ全てを応募書類に集約する時期です。
9. フェーズ3で積み上げた成果を、フェーズ4以降にどう活かすか
フェーズ3で本命の1〜3社を含む5〜10社に応募を決めたあと、フェーズ4以降にどう活きていくかを、整理します。
9-1. フェーズ4・確かめ合う
フェーズ3で集めてきた企業ポートフォリオの情報が、そのまま面接の対話の素材になります。「御社の技術ブログのこの記事を読みました」「有価証券報告書の平均勤続年数について、聞かせてください」「カジュアル面談で伺った内容について、深く聞きたいことがあります」。フェーズ3で丁寧に読み込んできた分だけ、面接の対話が深くなります。
9-2. フェーズ5・決める
複数の内定を得た場合、フェーズ3で集めた企業ポートフォリオの情報が、比較の材料になります。技術発信の厚み、数字の実態、対面での対話の印象。フェーズ3で5〜10社に絞る前の段階で見てきたものを、内定選択の場面で改めて振り返ります。
9-3. フェーズ6・歩き出す
内定先が決まって入社準備に入るとき、フェーズ3で集めた企業ポートフォリオの情報が、入社後のイメージを支えます。技術スタック、開発文化、経営層の言葉、現場エンジニアの姿。フェーズ3で見てきた企業の姿と、入社後の実態が一致する会社は、フェーズ3の観点の一貫性を持っていた会社です。
10. プロフェッションとして育つ環境を持つ会社は、100→30→20→10→5→1〜3のどの段階でも一貫している
シリーズ全体を貫く上位原則を、この記事でも確認します。その会社は、エンジニアをプロフェッションとして育つ環境を持っているか。
プロフェッションとして育つ環境を持つ会社は、100→30→20→10→5→1〜3のどの段階でも一貫しています。JDが接続の入口として書かれ、技術発信が厚く、採用ページや中途JDに入社後の姿が具体的に書かれ、数字が開示され、対面での対話が誠実。フェーズ3の5つの観点のすべてで、同じ姿勢が映る会社が、100社から本命の1〜3社に絞る旅の中で、自然に残っていきます。
100社のJDから始まる段階的な絞り込みを歩いた後に、本命として残った1〜3社は、フェーズ3の全過程を通して姿勢が一貫していた会社です。応募を決める前の最後の対面で、双方のポートフォリオを持ち寄って対等に確かめ合った結果、応募を決められた会社です。この絞り込みの過程そのものが、みなさんの対等に見極める側の物差しを、育てていきます。
まとめ
本記事では、フェーズ3の総まとめとして、時系列の歩き方をお話ししました。要点は次のとおりです。
5つの観点は、JD→技術発信→採用ページ・中途JD→数字→対面の順で時系列に束ねて使います。100→30→20→10→5→1〜3の段階的な絞り込みは、JDで100社、技術発信で30社、採用ページ・中途JDで20社、数字で10社、対面で5社、本命は1〜3社という流れ。各層には意味があり、100社は広く見る段階、30社は応募候補、20社は入社後の姿がある程度見えた段階、10社は妥協点を見出せれば応募、5社は応募、1〜3社は何としても応募したい本命です。技術発信を確認する段階では、発信が最初からない会社と、以前は活発だったのに止まった会社を、別のシグナルとして区別してください。採用ページの充実度、新卒・中途それぞれのページ、募集の理由や正社員比率、パンフレットの読み方も、この段階であわせて確認する材料になります。現実的な応募社数は、本命の1〜3社を含む5〜10社になります。学生側も企業側も対称的に絞り込みをしているので、これは双方向の絞り込みの対等性であり、応募先を絞ることに罪悪感を持つ必要はありません。
5つの観点は確率を上げる道具であって、確実に見抜く道具ではありません。JDだけでは判断しきれないこともあり、面接もスクリーニングの一部として機能します。応募したからといって最後まで進む義務はなく、途中で辞退してもいいのです。5つの観点で整理しきれなくても、直感で受けてみたいと思う会社にはチャレンジしてください。大学推薦・教務課紹介という経路もありますが、推薦でも5つの観点は省略せず、受かったらオファーを断りにくい制約を理解した上で判断してください。
時系列の目安は、大学3年目の9月〜大学4年目の2月にかけてですが、柔軟に読み替えてください。フェーズ2の成果物は、JD閲覧、技術発信の裏取り、採用ページ・中途JDの確認、数字の確認、対面のお見合い、応募の全段階で活きます。そしてフェーズ4以降も、確かめ合う→決める→歩き出す、すべての段階でフェーズ3の情報が土台になります。
これで、フェーズ3「接続する」が総論1本、方向づけ1本、各論5本、歩き方まとめ1本の合計8本で完結します。次のフェーズ4「確かめ合う」では、本命の1〜3社を含む5〜10社の応募先に、いよいよ面接で進みます。カジュアル面談との違い、面接で語る自分のプロフェッションの物語、技術面接の対策、オファー面談の確かめ方。フェーズ3で見えてきた双方のポートフォリオの対等性を、応募後の選考の場でも保ちながら、対等に確かめ合う旅です。
エンジニアの卵のみなさんへ、エール
フェーズ3の8本を、方向づけ1本、各論5本、歩き方1本と合わせて、通しでお話ししてきました。JDの読み方、技術発信の裏取り、採用ページと中途JDの読み方、数字での確かめ方、対面でのお見合い、そして時系列の歩き方。多く感じた方もいると思います。すべてを完璧に歩き切る必要はありません。自分のペースで、自分の判断が最大化される順序と深さで、100社から5〜10社への絞り込みを進めてください。
私自身、25年近く前、就職氷河期のど真ん中で就活をしました。当時の私は、100社のJDから始まる段階的な絞り込みの視座を持っていませんでした。数社の会社に応募して、面接に呼ばれた会社に入社を決めていました。あの頃の私に、フェーズ3の8本の視座を渡せていたら、私はもっと自分の目で会社を選び取れていたと思います。この記事は、あの頃の自分に贈るような気持ちで書いています。
そして、フェーズ3で積み上げてきた企業ポートフォリオを読み込む経験は、就活のためだけの準備ではありません。社会人になってからも、転職を考える場面、社外の会社と協業する場面、経営の視点で他社を見る場面で、企業ポートフォリオを読み解く力は、そのまま活きていきます。フェーズ3の観点は、就活の観点であると同時に、プロフェッションとして生涯使う観点でもあります。
今週、なにか一つ、始めてみてください。過去に気になった会社のJDを1つ選び、フェーズ3-2の9つの危険信号と照合してみる。フェーズ3-3〜3-6でお話しした企業ポートフォリオの4つの観点(技術発信・採用ページ+中途JD・数字・対面)のうち、まだ試していない観点を1つ選んで、実際に確かめてみる。今月中に取り組む1社を、絞り込みシートに書き出してみる。どれか1つで、本記事の1歩目です。
そして、フェーズ4「確かめ合う」で、応募を決めた会社との面接の場で、また会いましょう。
一緒に歩きましょう。ボン・ボヤージュ。素敵な旅を。
次の記事はフェーズ4「確かめ合う。応募後の選考の中でも、対等な対話を保つ」です。
#エンジニア就活 #新卒エンジニア #就活タイムライン #企業ポートフォリオ #エンジニアの卵に贈る就活の書
