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【フェーズ3-1】 なぜ、双方のポートフォリオが接続するのか。JDから始まる対等なお見合いの、思想の土台 【ITエンジニアの卵に贈る、就活の書】

 この記事は「ITエンジニアの卵に贈る、就活の書」シリーズの一本です。シリーズ全体の目次はこちら(扉記事)からご覧いただけます。


 エンジニアを目指す学生のみなさん、こんにちは。クオリティアーツの池田です。

 ITエンジニアの卵に贈る、就活の書・フェーズ3-1の記事です。前回のフェーズ3では、対等に接続するフェーズの全体像と、JDから始まる5つの観点(JD/技術発信/採用ページ・中途JD/数字/対面)のフレームをお話ししました。今回はフェーズ3「接続する」の1本目、方向づけとして、なぜ、双方のポートフォリオが接続するのかという考え方の芯を確かめます。フェーズ2「作る」で1年以上かけて積み上げてきたみなさんの成果物を持って、いよいよ会社と対等に接続する時期です。この視座の転換の意味を、序章からの縦串を辿りながら、丁寧に確かめていきます。

 新卒の就活中の方はもちろん、第二新卒として他社の面接に臨む場面でも、同じ考え方が支えになります。


1. この記事の位置づけ:接続の思想を確かめる

 この記事では、まだ具体的な求人票の読み方や技術発信の見方には踏み込みません。フェーズ3-2からフェーズ3-6までの5つの観点の各論に入る前に、なぜみなさんが対等な接続の場に立つのか、その考え方を共有します。

 この考え方のないまま5つの観点の具体に入ると、単なるチェックリスト作業になります。ここを押さえておけば、5つの観点のひとつひとつが、姿勢を映す鏡として立ち上がります。

2. 就活によくある構図:選ばれる側という思い込み

 就活生の多くが、無意識のうちに持っている感覚があります。「企業に選ばれる側」という受け身の姿勢です。

 志望動機を書く。熱意を伝える。選考を通過する。書類選考、一次面接、二次面接、最終面接。この一連の流れのなかで、いつも主語は企業側にあります。企業がみなさんを選び、みなさんはそれに応える、という構造です。

 この受け身の構造は、みなさんの落ち度ではありません。社会全体が長い時間をかけて積み上げてきた「就活のお作法」で、みなさんはその流れのなかに立たされています。周りの友人も同じ姿勢で就活していて、就活情報サイトも「選ばれるための対策」を発信していて、大学のキャリアセンターも「選考通過のコツ」を教えています。

 でも、この構造のままでは、みなさんの5年後・10年後を、みなさん自身で選び取ることが難しくなります。フェーズ1-3でお話ししたように、有名な会社と良い会社は別軸で語られるべきなのです。他人の物差しで選んだ会社が、みなさんが伸びる場所になるとは限りません。就活は、企業がみなさんを選ぶ場ではなく、みなさんが企業を選ぶ場でもある。この視座を持つことが、フェーズ3の入口です。

3. なぜ、双方のポートフォリオが接続するのか。6つの視点から降ろす

 この考え方を、6つの視点から丁寧にお話ししていきます。序章からフェーズ2までの縦串を、ひとつずつ辿りながら受け取ります。

3-1. 視点1:プロフェッションの側から降ろす理由

 序章-1で、私はエンジニアという職業をプロフェッションとして位置づけました。技術士法、技術士倫理綱領、IEEE-CS/ACM、IEEEの4つの独立した声が、すべて同じ方向を指していました。エンジニアは、公衆の福祉に責任を負う、高潔な高度専門職業です。

 プロフェッションには、大切な特徴があります。依頼者や雇用者に対する独立性を保つ職業だ、ということです。技術士倫理綱領にもIEEE Code of Ethicsにも、この独立性の姿勢が書かれています。プロフェッションは、選ばれるだけの存在ではなく、自らの職業観に照らして、働き先を選ぶ主体でもあります。

 医師が勤務先の病院を職業観と照らして選ぶように、弁護士が事務所を職業観と照らして選ぶように、エンジニアも会社を職業観と照らして選ぶ。それが、プロフェッションとして働くということです。主体性を持って会社を見極めることは、その姿勢の一部にほかなりません。

 フェーズ1-2で立てた4軸の立体地図の上位原則を、思い出してください。その会社が、エンジニアをプロフェッションとして育つ環境を持っているか。この上位原則を、みなさんが自分のなかに立てて、会社を見極める物差しにする。それが、プロフェッションの側から降りてくる、対等な接続の理由です。

3-2. 視点2:企業のジョブ・ディスクリプション(JD)の側から降ろす理由

 フェーズ2-1でお話しした土台を、思い出してください。プロフェッションと企業のジョブ・ディスクリプションは、同じ方向を指している、という話でした。

 良い会社のJDは、応募者を一人のエンジニアとして、対等に受け止めようとしています。JDに書かれている「求める経験」「使う技術」「取り組む課題」は、企業側からの自己開示にほかなりません。企業側が、自らの技術文化と現場の実態を、応募者に対して差し出している。JDそのものが、企業側から始めている、対等な接続への招待状なのです。

 みなさんが企業を見極める側に立つのは、JDが応募者に対等に開かれているからでもあります。企業側が対等に開いてくる場に、みなさんも対等に立つ。これは、企業側の姿勢に応える誠実さの表れでもあります。

 ただし、ここで大切なことをお伝えします。JDの誠実そうな書き方が、そのまま社内の日常の誠実さを保証するわけではありません。この論点は、次のフェーズ3-2で丁寧に扱います。JDが対等に書かれている会社の中にも、結果的に応募者に誤解を与える書き方の技術を使っている会社が混ざっています。だからこそ、企業を見極める側に立つとは、書き方の技術に欺かれない姿勢を持つことでもあります。

3-3. 視点3:有名と良いの区別の側から降ろす理由

 フェーズ1-3で、有名な会社と良い会社は別軸で語られるべき、というお話をしました。有名度と、エンジニアとして育つ場所としての良さは、独立した2つの軸でした。

 有名度は、他人が決めた物差しです。テレビCMをよく見る、ニュースで話題になる、親世代が知っている。これらは、社会全体が積み上げてきた「有名度」の物差しであって、みなさん自身の物差しではありません。

 それに対して、育成環境の質は、みなさん自身で確かめる物差しです。技術ブログを読む、経営層の発信を読む、募集要項の育成の記述を確かめる。フェーズ1-3で立てた3つの問いを思い出してください。

  • この会社は、技術のことを、社外に発信していますか

  • この会社の募集要項には、エンジニアの育成についてどこまで書かれていますか

  • この会社の経営層や部課長は、エンジニアとして今も現役ですか。その証拠は、学生にも見えますか

 他人の物差しではなく、自分の物差しを持つこと。それが、企業を見極める側に立つということです。その物差しの立て方を、みなさんはフェーズ1-3ですでに学んできました。フェーズ3では、この物差しを、実際の会社に対して使います。

3-4. 視点4:世界基準の側から降ろす理由

 序章-2で、世界基準のエンジニアの視座をお話ししました。Engineerは世界の多くの国で独占された名前(一定の資格や登録を持つ人だけが名乗れる呼び名)であり、公衆の福祉に責任を負うプロフェッションとして扱われます。

 世界基準では、Engineerは会社を対等に見極める主体として扱われます。転職市場が流動的で、キャリアは自分で設計する。会社に長く縛られるより、自分の技術と職業観に合う場所を選び取る。これが、世界の多くの国で見られる、エンジニアの標準的な立ち位置です。

 日本の就活構造は、この世界基準の姿勢とは、少し違う形を持っています。新卒一括採用、終身雇用の名残、周りに合わせる同調圧力。この日本特有の構造の中に立ちながらも、世界基準の視座を借りて、企業を見極める側に立つことができます。フェーズ1-1でお話ししたように、いまの時代は、通年採用の広がり、ジョブ型雇用の浸透、エンジニアの待遇の柔軟化という追い風があります。世界基準の姿勢を借りることは、いまの日本のエンジニア就活で、十分に成立します。

3-5. 視点5:ポートフォリオの側から降ろす理由

 フェーズ3総論でお話ししたとおり、フェーズ2-2強いポートフォリオの3要素(公開・質・第三者の目利き)は、そのまま企業ポートフォリオにも適用できます。フェーズ2で学生さんがポートフォリオを積み上げてきた同じ論理で、企業もポートフォリオを持っています。学生と企業は、ポートフォリオという同じ土俵で、対等に確かめ合う。この対等性が、フェーズ3の思想の中心です。

 学生さんが自分のポートフォリオを堂々と差し出すのと同じ論理で、企業もポートフォリオを差し出す。だとすれば、こちらの読み手としての姿勢も問われます。企業ポートフォリオを丁寧に読み込むこと、それも企業を見極める側に立つということです。

 この対等性を、もう一段はっきりさせておきます。学生さんに1年以上かけたポートフォリオの提示を求めながら、企業側が自らのポートフォリオを何一つ示さないのだとしたら、それは対等な関係ではありません。企業ポートフォリオが実質ゼロであることは、単に「情報が少ない」という以上の意味を持ちます。対等性を欠く有力な危険信号として、いったん立ち止まってください。次のフェーズ3-2で、危険信号の一つとして具体的に扱います。

3-6. 視点6:スクリーニングの対等性の側から降ろす理由

 もうひとつ、大切な視点があります。企業も学生も、互いを対等にスクリーニングし合う、という現実です。

 企業側の書類選考の実態を、学生さんはあまり知る機会がありません。実際には、多くの企業で、新卒応募者の相当割合が書類選考の段階で不採用になります。企業は、応募者を明確な基準でスクリーニングしています。学歴、ESの記述の質、ポートフォリオの有無、GitHub Contributionsの継続性、応募資格の充足度。企業側は、当たり前のように応募者を絞り込んでいます。

 同じ論理で、学生さんも企業をスクリーニングしていい。世の中には無数の企業があり、みなさんの就活の時間は限られています。応募先を絞ることは、企業への礼儀違反ではなく、双方の時間を守る対等な行為です。フェーズ3-2でお渡しする9つの危険信号は、この入口のスクリーニングを支える道具です。

 応募先を絞ることに、罪悪感を持つ必要はありません。企業が書類選考でしているのと同じ論理で、学生さんも入口でスクリーニングする。この対等性を、思想として腹に据えておく。それが、フェーズ3を歩く土台になります。

4. 対等な確かめ合いとは、何か

 ここまで、対等に見極める側に立つ理由を6つの視点から降ろしてきました。ここで、対等な確かめ合いという言葉を、もう一度整理します。

 「選ぶ」という言葉は、少し傲慢な響きを持つ場合もあります。学生さんが企業を「選ぶ」というと、上下の関係を想起しやすい。実際には、良い会社側も、学生さんに対等に選んでもらいたい気持ちを持っています。企業側から見ても、合わない学生さんに応募されるより、合う学生さんに応募してもらう方が、双方の時間が守られます。

 対等な確かめ合いという言葉は、この双方向の姿勢を表しています。

  • 対等:企業と学生の関係は、上下ではなく横並び

  • 確かめ合い:企業も学生も、互いの姿勢を確かめる相互性

 対等な確かめ合いの場では、双方が自分のポートフォリオを持ち寄って、正直に差し出します。学生さんはフェーズ2で積み上げた成果物を差し出し、企業は技術ブログ・経営層の発信・登壇履歴・数字を差し出す。互いのポートフォリオが並んで、対等に照合される。それが、フェーズ3の場の姿です。

 そして、この対等な確かめ合いの視座は、次のフェーズ4「確かめ合う」に、そのままつながっていきます。フェーズ3で応募前のお見合いを終え、応募を決めた1〜3社に、フェーズ4で面接に進む。そこでも、対等に確かめ合う姿勢は続いていきます。

5. フェーズ2の成果物を持って、対等な接続の場に立つ

 フェーズ2で1年以上かけて積み上げてきた成果物は、みなさんが対等な接続の場に立つための資本です。

 GitHubのContributionsグラフ、READMEの整ったリポジトリ、Zennの技術ブログ、勉強会での登壇スライド、OSSへのPR、長期インターンの成果、社外コミュニティでのつながり。フェーズ2-14で扱った「点→線→面→立体」の視座で束ねられた成果物は、フェーズ3の場で、そのまま活きていきます。

  • JDの応募フォームに、GitHub URL・ポートフォリオ URL・Speaker Deck URLを提出する

  • カジュアル面談で、自分の成果物を話題にして対話する

  • 説明会の質疑応答で、自分が触ってきた技術と関連する質問を投げる

  • 面接で、フェーズ2で積んだ経験を、具体的な言葉で語る

 フェーズ2の努力は、フェーズ3で報われます。成果物を持っている学生さんは、対等な確かめ合いの場に、堂々と立てます。

 そして、対等な接続の場では、自分のポートフォリオを、そのままの姿で差し出すことが求められます。作っていないものを作ったと言わない。書いていない記事を書いたと言わない。参加していない勉強会に参加したと言わない。接続の場に、嘘や騙し合いは、持ち込まない。これは、双方に等しく求められる倫理です。

6. 対等な接続の場に、企業側が持ってくるもの

 ここまで、みなさんが対等な接続の場に何を持ち込むかをお話ししてきました。対等というからには、反対側の話もしておかなければ、片手落ちになります。企業側は、この場に何を持ってくるのか

 私が採用の側から見てきて、良い会社が応募前の段階ですでに差し出しているものを、7つ挙げます。特別なことは1つもありません。どれも、書こうと思えば書けるものばかりです。

  • 給与の内訳:基本給と固定残業代を分けて書き、固定残業代があればその時間数と、超過分を全額支給することまで明示している

  • 賞与と昇給の実績:「業績連動」で止めず、前年度の実績を「3.5ヶ月分」「昇給実績 年平均◯%」のように数字で書いている

  • 業務と就業場所の変更の範囲:2024年4月に明示が義務化された項目を、「業務全般」「全国」で済ませず、範囲を絞って具体的に書いている

  • 入社時点の雇用形態:正社員として入社するのか、契約社員からのスタートがあるのか。あるなら、正社員登用までの条件と期間を数字で書いている

  • 配属の決まり方と、決まる時期:どんな手順で決まり、本人の希望がどこまで聞かれ、いつ本人に伝えられるのかが書かれている

  • 育成の設計:最初の3ヶ月に何を学び、1年後・3年後にどんな役割を担うのかが、月単位の見取り図として書かれている

  • 技術の姿:使っている技術が言語名・フレームワーク名まで具体的に書かれ、それを裏付ける技術発信が、社外のどこかに1つはある

 この7つは、会社の規模や上場の有無とは関係がありません。予算も、専任の担当者も、要らないものばかりです。40名の会社でも、60名の会社でも、書くと決めれば書けます。

 だから、これは「大きな会社を選びなさい」という話ではありません。この7つを応募前に差し出している会社は、応募者を一人の対等な相手として扱う準備が、すでに社内でできているということです。そして、差し出している会社は、実際にあります。みなさんが探すのは、そういう会社です。

 7つのうちどれかが見当たらないとき、その場で候補から外す必要はありません。ただ、これは応募前に聞いていい種類のことなのだ、と知っておいてくださいフェーズ3-2からフェーズ3-6までの各論は、この7つを、どこで、どうやって確かめるかの手順書でもあります。

7. 対等に見極める姿勢を、育てる。3つのアクション

 ここまでの土台を、日常の姿勢として育てるための3つのアクションをお伝えします。フェーズ3-2〜3-6の各論に入る前に、みなさんの姿勢を整えるためのアクションです。

7-1. アクション1:気になる会社の技術ブログ・経営層の発信を、対等に見極める目で読み直してみる

 フェーズ1-1でお話しした準備アクションを、対等に見極める目で続けます。気になる会社の技術ブログを1本読んで、その会社が扱っている技術の厚み、社員の発信のトーン、経営層の言葉遣いを、対等に見極める目で確かめるフェーズ1では業界の空気に触れる時期でしたが、フェーズ3ではその発信を企業ポートフォリオとして読む時期になります。

7-2. アクション2:さきほどの3つの問いを、気になる会社に当てはめて自分で確かめてみる

 さきほど3章で立てた3つの問いを、気になる会社に当てはめて、実際に自分で答えを書き出してみます。

  • この会社は、Zenn・Qiitaなどの技術ブログや、登壇スライドで、技術のことを社外に発信していますか

  • この会社のJD・求人票には、エンジニアの育成についてどこまで書かれていますか

  • この会社の経営層や部課長は、GitHub活動や個人名義の技術ブログなど、エンジニアとして今も実践している証拠を持っていますか

 書き出してみると、答えが具体的に書ける会社と、書けない会社があります。書ける会社は、企業ポートフォリオが揃っている可能性が高い。書けない会社は、企業ポートフォリオの側で立ち止まって考える必要が出てきます。

7-3. アクション3:フェーズ2の成果物を、対等な接続の場でどう差し出すかを、一度書き出してみる

 フェーズ2で積み上げてきた成果物を、応募フォームに提出する場面、カジュアル面談で話題にする場面、面接で語る場面を、想像してみます。どのURLを、どの順序で、どんな言葉を添えて差し出すか。自分のポートフォリオを、対等な接続の材料として、堂々と差し出す準備を整えます。

8. 5つの観点:対等な接続の5つの場面を歩く地図

 フェーズ3総論で、5つの観点(JD/技術発信/採用ページ・中途JD/数字/対面)の中身を提示しました。方向づけの視点から言い直せば、5つの観点は、対等な接続を、5つの具体場面に落とし込んだものです。JDは企業側の自己開示の第一声、技術発信は技術文化の厚み、採用ページと中途JDは入社後のキャリア、数字は共通言語、対面は言葉の一貫性。そのすべてを、対等に確かめる場として歩きます

 5つの観点を歩くとき、みなさんは対等な接続の主体として立ちます。企業側が差し出したポートフォリオに対して、みなさんも自分のポートフォリオを差し出す。互いの姿勢を、対等に照合する。この姿勢を、フェーズ3-2から始めていきます。

まとめ

 本記事では、なぜ双方のポートフォリオが接続するのか、その考え方を6つの視点から降ろしてきました。

 プロフェッションの視座から見れば、対等に見極める主体性を持つことは、プロフェッションの姿勢そのものです。企業JDの視座から見れば、良いJDは対等な接続への招待状。有名と良いの区別は、他人の物差しではなく自分の物差しを持つことにあります。世界基準の視座では、Engineerは会社を対等に見極める主体。ポートフォリオの視座では、フェーズ2-2の3要素が、企業ポートフォリオにもそのまま適用される。そして、企業も学生も互いを対等にスクリーニングし合う、というのがスクリーニングの対等性です。

 そして、対等な確かめ合いの姿勢は、フェーズ2で積み上げた成果物を持って、対等な接続の場に立つことで生まれます。反対側から見れば、企業側にも、応募前に差し出しておくものが7つあります。給与の内訳、賞与と昇給の実績、業務と就業場所の変更の範囲、入社時点の雇用形態、配属の決まり方と時期、育成の設計、技術の姿。どれも、会社の規模や上場の有無とは関係なく、書くと決めれば書けるものです。最後に、3つのアクション(技術ブログを対等に見極める目で読む、3つの問いを投げる、成果物の差し出し方を書き出す)で、姿勢を整えます。

 次のフェーズ3-2では、1つ目の観点・JDの実践に入ります。JDが接続の入口として書かれているかを、9つの危険信号で丁寧に確かめていきます。

エンジニアの卵のみなさんへ、エール

 土台の話をたくさんしました。抽象的に感じた方もいると思います。でも、この土台があるのとないのとでは、フェーズ3-2以降の各論の受け取り方が、まったく違ってきます。

 私自身、25年近く前、就活の入口でこの土台を持っていませんでした。企業に選ばれる側という受け身の姿勢で、目の前の選考を通過することばかりを考えていました。あの頃の自分に、対等な接続の姿勢を伝えられていたら、私はもっと自分の目で会社を見られていたと思います。この記事は、あの頃の自分に贈るような気持ちで書いています。

 今週、なにか一つ、始めてみてください。気になる会社の経営層の発信を1本読み、対等に見極める目で受け止めてみる。フェーズ2で積み上げた自分の成果物を1つ選び、応募フォームで差し出す場面を書き出してみる。フェーズ1-3で立てた3つの問いを、気になる会社に対して自分で答えてみる。どれか1つで、本記事の1歩目です。

 そして、フェーズ3-2で、1つ目の観点・JDの実践でお会いしましょう。

 一緒に歩きましょう。ボン・ボヤージュ。素敵な旅を。


次の記事はフェーズ3-2「そのJDは、接続の入口として書かれていますか。9つの危険信号で確かめる」です。


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