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【フェーズ2-14】 フェーズ2の歩き方。点で作らず、線で。そして面まで。その先に立体がある 【ITエンジニアの卵に贈る、就活の書】

 この記事は「ITエンジニアの卵に贈る、就活の書」シリーズの一本です。シリーズ全体の目次はこちら(扉記事)からご覧いただけます。


 エンジニアを目指す学生のみなさん、こんにちは。クオリティアーツの池田です。

 ITエンジニアの卵に贈る、就活の書・フェーズ2-14の記事です。フェーズ2-1で「なぜ作るのか」の方向づけをし、フェーズ2-2で共通軸となる「強いポートフォリオの作り方」をお伝えし、フェーズ2-3から2-13まで実践各論11本を歩いてきました。授業と卒業研究、技術書、GitHub、ハッカソン、時間設計、技術ブログ、勉強会での発表、バイト、長期インターン、社外コミュニティ、大学における研究。

 今回はフェーズ2の締めくくりとして、これらの各論をどう束ね、どう積み上げていくかというお話です。フェーズ2の目次で予告してきた点で作らず、線で。そして面までという視座を、ここで初めて本格的に広げます。そして、その先にある立体の世界にも、少しだけ触れておきます。

 新卒の就活中の方はもちろん、第二新卒として他社の面接に臨む場面でも、フェーズ2の総合的な整え方は、そのままフェーズ3以降での話の広さと深さに直結します。


1. フェーズ2各論を、点として並べたら弱い

 フェーズ2の各論は、それぞれ独立して取り組める形で書いてきました。ただ、就活の書類選考や面接で強く効くのは、各論を点として並べたときではなく、線でつなげたときであり、さらに面として広がったときです。

  • :授業で1本のコードを書いた。技術書を1冊読んだ。ハッカソンに1回参加した。GitHubに1つリポジトリを置いた。技術ブログに1本記事を書いた

  • :授業で書いたコードを、技術書の別実装で書き直し、GitHubに公開し、READMEにフェーズ2-2の6要素を添え、そのプロセスをZennに1本記事にした

  • :この1本の線から、勉強会でLTデビューし、Speaker Deckにスライドを公開し、そのテーマで長期インターンの選考に応募し、OSSに関連するPRを1本送り、社外コミュニティで先輩と知り合った

 同じ時間の投下でも、点/線/面のどれで積み上げるかで、卒業時の成果物の厚みが、何倍も違ってきます

2. 線をつくる。1つの活動から複数の成果物を派生させる

 フェーズ2-7で触れた「1つの活動から、複数の成果物を派生させる」という時間設計の型は、線をつくる基本の型です。具体的には、次のような派生パターンがあります。

2-1. パターン1:授業→GitHub→技術ブログ→LT

 大学の授業で書いたコードを1つ選び、READMEをフェーズ2-2の6要素で整えてGitHubに公開する。その実装の学びを、Zennに1本の技術ブログにする。その記事のエッセンスを、5分のLTスライドに切り出して、勉強会でデビューする。

 同じ1つの学びが、GitHubリポジトリ、技術ブログ記事、勉強会での登壇、Speaker Deck上のスライド、勉強会の公式ページに載る自分の名前という、5つの公開の場に残ります。フェーズ2-2で扱った第三者の目利きが、そのうち3つの場所で働くことになります。

2-2. パターン2:技術書→スクラッチ実装→OSS PR→技術ブログ

 技術書を1冊選び、フェーズ2-4で扱った3拍子(読む→作る→書き残す)で読み進める。書きながら、書籍の題材となっているOSSに、typo修正や小さな改善のPRを1本送る。読み終わったあとに、書籍の学びと、実装で詰まった箇所、OSSに送ったPRの経緯を、1本の技術ブログにまとめる。

 技術書、実装コード、OSSへの貢献履歴、技術ブログ記事、これらが1本の線でつながる形で、あなたの学びの深さが可視化されます。

2-3. パターン3:ハッカソン→技術ブログ→登壇→長期インターン応募

 フェーズ2-6で扱ったように、ハッカソンで48時間で作った成果物を、GitHubにREADMEを整えて公開する。ハッカソンの技術判断と学びを、はてなブログに1本の振り返り記事にする。その記事とスライドを持って、勉強会で20分の一般セッションに応募する。登壇履歴と技術ブログを添えて、志望する会社の長期インターン枠に応募する。

 ハッカソン成果物、GitHub、技術ブログ、勉強会登壇、長期インターン内定、これらが1本の長い線でつながる形で、ハッカソン1回の経験が、就活で強く効く連鎖に変わります。

3. 面をつくる。線を複数持ち、束ねて見せる

 線が1本できたら、次は面を作ります。同じ技術ドメインで、線を複数持ち、それらを束ねて見せるという視座です。

 たとえば、志望する技術ドメインがWeb + AI 系の場合の面の例:

  • 線1:授業で作ったNext.jsアプリを、Vercelで公開+Zennで振り返り+LTで発表

  • 線2:機械学習の授業課題を、PyTorchで再実装+Hugging Faceで公開+技術ブログ2本

  • 線3:Anthropic APIとLangChainで個人プロダクトを立ち上げ、GitHub+Zenn+connpassでLT

  • 線4:Web + AI 系のOSS(LangChain、LlamaIndex、Vercel AI SDKなど)へのPR 3本

  • 線5:長期インターンで、Web + AI 系のプロダクト開発に半年間参加+公式技術ブログ寄稿

 これら5本の線を、GitHubプロフィールREADMEで束ねて見せるフェーズ2-5で扱った「公開の場のハブ」としてのGitHubに、5本の線が集約されている形になります。書類選考の担当者があなたのGitHubプロフィールを開いたとき、Web + AI 系のエンジニアとしてのあなたの厚みが、1画面で伝わります。

 面まで到達すると、あなたの志望領域と実力が、他の学生さんと比べにくいほど明確な形で伝わります。技術ドメインを絞り、線を複数積み、面として束ねる。この3ステップが、フェーズ2の総合的な成果物としての強さを決めます。

3-1. LAPRASなど、活動を客観的な可視化に変えるサービス

 面まで積み上げた線を、GitHubプロフィールで自分の手で束ねる以外にも、知っておいてほしい選択肢があります。LAPRASのような、エンジニアの技術活動を可視化するサービスです。

 LAPRASは、GitHubなどのアカウントを連携させると、コミット履歴や技術記事、登壇実績といった活動データを解析し、スコアや強みとして可視化してくれるサービスです。フェーズ2の各論で積み上げてきた点や線が、自分の言葉で説明する前に、第三者的な指標としてすでに可視化されている状態を作れます。

 このようなサービスを使う意味は、GitHubプロフィールを自分の手で編集する手間を省けることだけではありませんフェーズ2-2で触れた第三者の目利きという観点から見ると、外部サービスが独自の基準でスコアリングしているという事実そのものが、もう一つの客観的な裏付けになります。

 ただし、注意点もあります。スコアや可視化の見え方は、サービス側のアルゴリズムに依存します。スコアを上げることを目的化せず、フェーズ2で積み上げてきた実質的な活動の副産物として、スコアがついてくるという順序を忘れないでください。スコアを稼ぐために表面的な活動を増やすのは、本末転倒です。

4. 立体を歩く。学生起業家という一つの姿

 面までの積み上げの、そのさらに先に、立体の世界があります。ここに触れておきます。

 立体を歩いている学生さんの、いちばん典型的な例が、学生起業家です。

  • 大学在学中に、株式会社を設立し、共同創業者と一緒にプロダクトを立ち上げる

  • 個人開発の枠を超えて、法人としてのプロダクトを、実際のユーザーに届ける

  • 資金調達、雇用、税務、法務、契約、コンプライアンスを、実際の意思決定として担う

  • GitHub、技術ブログ、登壇、OSS、コミュニティ、すべてが自分の会社の技術資産と重なる

  • プロダクトのユーザー数、売上、資金調達額、雇用人数が、明確な数字として残る

 学生起業家は、フェーズ2の各論のすべてを、業務の一部として立体的に歩いています。GitHubは会社の主要リポジトリ、技術ブログは公式ブログ、登壇はプロダクトの発信、OSSは自社プロダクトの周辺技術、コミュニティは採用のリファラル。フェーズ2の実践各論11本が、学生起業家の中では、すべて一つの立体としてつながっています。

 この立体を歩いた経験のある学生さんが、就活の書類選考や面接で他の学生さんと比べにくい強さを持つのは、当然のことです。ただし、これは万人におすすめする道ではありません。学生起業には、法務・税務・資金・時間・精神的な負荷が、面までの積み上げとは違う次元でかかります。人によっては、大学院進学、大企業就職、スタートアップ入社、フリーランス、公務員、研究職などのほうが、生き方として合っています。

 立体は、正解の姿ではなく、ひとつの可能な姿です。フェーズ2-1で紹介した4軸立体地図(ビジネスモデル/成長ステージ/技術ドメイン/地理・組織文化)の中で、自分がどの座標に立ちたいかを、面まで積み上げてから、じっくり考えればよい。この記事でお伝えしたいのは、そういう道があることを、視野の中に置いておくと、フェーズ3以降での会社選びの解像度が上がる、ということです。

5. フェーズ2をどこから始めるか。学年別の入口

 フェーズ2の各論をどこから始めるか、学年別の一つの入口を紹介します。あくまで一つの目安です。

5-1. 1〜2年生

  • フェーズ2-3(学業)を軸にする:情報系の基礎をしっかり土台にする

  • フェーズ2-5(GitHub)で公開の場を整える:アカウントを作り、プロフィールREADMEを書く

  • フェーズ2-4(技術書)を1〜2冊、3拍子で丁寧に

  • フェーズ2-12(コミュニティ)の層1(参加)から入る:connpassで学生歓迎イベントに顔を出す

5-2. 3年生前期

  • フェーズ2-3(学業)を続けつつ、演習・課題をGitHub公開の形で残す(テストコードを添えられれば、なお良い)

  • フェーズ2-8(技術ブログ)で週1本のリズムを作る

  • フェーズ2-6(ハッカソン)に1〜2回参加してみる

  • フェーズ2-10(バイト)またはフェーズ2-11(長期インターン)の応募を検討し始める

5-3. 3年生後期〜4年生前期

  • フェーズ2-11(長期インターン)または2-10(バイト)でIT企業の内側に入る

  • フェーズ2-9(勉強会LT)でデビューする

  • フェーズ2-12(コミュニティ)で層2(発信者・貢献者)に入る:OSSに小さなPRを送る

  • 面までの積み上げを意識し、GitHubプロフィールで束ねて見せる

5-4. 4年生後期

  • フェーズ2-3(卒業研究)を、履歴書に書ける成果物として仕上げる

  • これまでのフェーズ2の各論をポートフォリオサイトで束ねる

  • フェーズ3・接続する以降のフェーズに軸足を移していく

5-5. 修士進学後

  • フェーズ2-13(大学における研究)の物差しで、指導教員から持ちかけられた案件の型と実態を確かめる:企業と関わる研究に声がかかったら、まずこの記事の質問リストと10の観点を使う

  • 共著論文・学会発表・査読・質疑応答の経験を、それまでの各論と同じ線でつなげて語る

 修士進学、第二新卒、社会人経験からの学び直し、その他のパスの方は、自分のライフステージに合わせて、この目安を柔軟に読み替えてください。焦る必要はありません。1本の線を丁寧に育てるほうが、点を11個並べるより、就活で強く効きます。

6. フェーズ2の成果物を、フェーズ3以降にどう活かすか

 フェーズ2で積み上げた成果物は、次のフェーズ以降で、そのまま活きていきます。

  • フェーズ3・接続する:志望する会社を選んでいくとき、フェーズ2で作った成果物の厚みが、フェーズ2-5のGitHubプロフィール、フェーズ2-8のZennやQiitaのプロフィール、フェーズ2-9のSpeaker Deckアカウントとして、選考の初手から働きます

  • フェーズ4・確かめ合う:面接では、フェーズ2で積み上げた線と面を、20〜30分の対話の素材として使います。担当した機能で何を工夫したか、どうしてこの技術を選んだか、どこで詰まって、どう乗り越えたかを、点ではなく線で語れます

  • フェーズ5・決める:内定を得たあと、複数社を比較する段階で、フェーズ2で見てきた育つ環境の判定材料が、そのまま活きます

  • フェーズ6・歩き出す:入社後の1〜3年目に、フェーズ2で身につけた3拍子(読む→作る→書き残す)、時間設計、公開の場のハブとしてのGitHub、書く発信、話す発信、コミュニティ参加が、業務の中でそのまま続いていきます

 フェーズ2は、就活のためだけの準備期間ではなく、社会人になってからも続くプロフェッションの土台そのものです。この土台があると、入社後の1〜3年目の成長が、明確に加速します。

7. プロフェッションとして育つ環境を持つ会社は、フェーズ2の成果物を丁寧に読んでいる

 シリーズ全体を貫く上位原則を、この記事でも確認します。その会社は、エンジニアをプロフェッションとして育つ環境を持っているか

 プロフェッションとして育つ環境を持つ会社は、多くの場合、候補者のフェーズ2の成果物を、書類選考の段階で丁寧に読んでいます。GitHubのContributionsグラフ、READMEの整え方、ZennやQiitaの記事の質、Speaker Deckのスライド、OSSへのPRの内容、Discord/Slackコミュニティでの発言、Xでの技術発信。これらを1画面で辿れる形で整えている候補者と、履歴書と職務経歴書だけの候補者では、書類選考のスタートラインが違ってきます。

 募集要項の中に、GitHub URL、技術ブログ URL、Speaker Deck URL、ポートフォリオサイト URLの記入欄が用意されているかどうか選考プロセスに、候補者のOSS Contributions を評価する仕組みが自然に組み込まれているかどうか。これは、その会社がフェーズ2の成果物をどう見ているかの、いちばん静かで正直なシグナルです。

まとめ

 本記事では、フェーズ2の総まとめとして、点・線・面・立体の視座をお話ししました。要点は次のとおりです。

 点で作らず、線でつなぐとは、1つの活動から複数の成果物を派生させることです。線を複数積み、面として束ねて見せるには、フェーズ2-5のGitHubをハブにします。LAPRASのような可視化サービスも、活動を客観的なスコアとして見せる選択肢の一つです。面の先には、立体があります。学生起業家は、立体を歩いているひとつの姿ですが、万人向けの道ではありません。学年別の入口の目安は、1〜2年生は学業+GitHub+技術書、3年前期は演習公開+ブログ、3年後期以降はインターン+LT+OSS、4年後期は卒研+束ねる、という流れです。フェーズ3以降も、接続する→確かめ合う→決める→歩き出す、すべての段階でフェーズ2の成果物が土台になります。育つ環境の会社は、フェーズ2の成果物を書類選考で丁寧に読み、選考プロセスに評価の仕組みを組み込んでいます。

 これで、フェーズ2「作る」が総論1本と各論14本の合計15本で完結します。次のフェーズ3「接続する」では、フェーズ2で積み上げた成果物を持って、企業のポートフォリオと対等に接続していく旅に出ます。

エンジニアの卵のみなさんへ、エール

 フェーズ2の各論を、方向づけ1本、共通軸1本、実践各論11本、あわせて13本にわたってお話ししてきました。多く感じる方もいると思います。すべてを完璧にやり切る必要はありません。自分のペースで、自分の学びが最大化される順序と深さで、線と面を積み上げてください

 私自身、25年歩いてきて、いま思うのは、技術者としての強さは、点の数ではなく、線の長さと、面の広がりで決まる、ということです。GitHubのContributionsグラフに緑のマスがたくさん並んでいることも大切ですが、その中の1本の緑のマスから、技術ブログの1本、勉強会のLT1本、OSSのPR 1本、長期インターンの経験、コミュニティでの1人の先輩との出会いに、線でつながっている。この線のつながりが、あなたを他の学生さんとは比べにくい存在に育てていきます。

 そして、面までの積み上げの先に、立体の広がりがあることも、視野の中に置いておいてください。学生起業、大企業、スタートアップ、フリーランス、研究職、公務員、大学院、海外。フェーズ3以降で、あなたが立ちたい座標を、面まで積み上げた自分の足で選んでください。

 今週、なにか一つ、始めてみてください。過去に作ったGitHubリポジトリを1つ選び、フェーズ2-2の6要素でREADMEを整え直す。フェーズ2-5のGitHubプロフィールREADMEに、フェーズ2で書いた技術ブログや登壇スライドへのリンクをまとめる。今月中に取り組む1本の線を、Notionに書き出してみる。どれか1つで、フェーズ2の総まとめの1歩目です。

 そして、フェーズ3「接続する」で、また会いましょう。

 一緒に歩きましょう。ボン・ボヤージュ。素敵な旅を。


次の記事はフェーズ3「接続する。JDから始まる、あなたと企業のお見合い。1年間積んできたポートフォリオを、対等に持ち寄る時期」です。


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