🎢『隣の席のレフェリー』
「……ごめん。やっぱり、無理だ」
観覧車の前で、生まれたての小鹿のように膝を震わせる彼。
私の愛する拓海(たくみ)くんは、
とびきり優しくて、とびきりイケメン。
けれど、
公園のジャングルジムですら顔面蒼白になるほどの重度の高所恐怖症。
「いいよ、拓海くん。無理しないで。チュロス食べて待ってて?」
私は仏のような微笑みで彼をベンチに誘導した。
しかし、私の内なる魂は叫んでいた。
(違う!私が今食べたいのは小麦粉の棒じゃない!重力からの解放よ!!)

一週間後。
私は「実家の手伝い」と嘘をつき、
一人で絶叫の聖地『ハイパー・ランド』に降臨した。
目的はただ一つ。最大傾斜121度、
垂直落下の怪物コースター『ディープ・フォール』。
「ふふ、ごめんね拓海くん。でも、これだけは我慢できないの……!」
一人で並ぶ列。
周囲のカップルが「怖い〜♡」
「大丈夫、俺が守るから」なんてイチャつく中、
私はフルフェイスのヘルメットでも被りたいくらいの
ガチ勢の顔をしていた。

「あ、あの。一人ですか?」
隣の列から声をかけてきたのは、シュッとした細身の男性。
「ええ、まあ。……あなたも?」
「はい。僕の彼女、コーヒーカップですら酔っちゃう人で。
内緒で来たんです」
その瞬間、運命の歯車が『ガシャン!』と噛み合った。
私たちは安全バーを降ろしながら、マシンガントークを開始した。
「わかります!あの落下直前のフワッとした浮遊感、最高ですよね!」
「そう!内臓が置いていかれるあの感じ!それを語り合えない寂しさ!」
コースターが頂上へ向かう。
カチカチという巻き上げ音が、私たちのボルテージを上げていく。
「僕は、絶叫は**『魂の洗濯』だと思ってます!」
「名言!じゃあ、私は『重力とのダンス』**だわ!」
最高到達点。
眼下に広がる絶景を前に、彼は叫んだ。
「ねえ!もしこのまま、僕と付き合ったら、
毎日一緒に落ち放題ですよ!?」
「ええっ!?」
その瞬間、世界が垂直に折れ曲がった。
「「イヤッホォォォォォーーー!!」」

✨審判の刻✨
フラフラになりながら降りた後、私たちはベンチでサイダーを飲んだ。
話せば話すほど、彼は「絶叫のパートナー」として完璧だった。
趣味、嗜好、絶叫するタイミングまで。
「……どうします? 僕、本気で君のこと、いいなと思っちゃいました」
彼は真っ直ぐに私を見た。
胸がキュンとする。
拓海くんとは味わえない、魂の共鳴。
「絶叫」というジェンダー(性)……ではなく「属性」を選ぶか。
それとも、地上で震えて待っている「愛しい彼」を選ぶか。
すると、彼は不敵に笑って言った。
「よし、僕が『審判』を下してあげましょう」
「えっ?」
「次、あそこの『超低速・メリーゴーランド』に乗りましょう。
あれに乗っている時の自分の顔を、鏡で見てください。それが答えです」
言われるがまま、私は彼と木馬に跨った。

優雅な音楽。
ゆっくりと回る世界。
ふと、通路の鏡に映った自分の顔を見て、私はハッとした。
私は……**「拓海くんに会いたい」**という顔をしていた。
この穏やかな速度。
拓海くんが「これなら乗れるね」と笑ってくれそうな、この優しい時間。
私が本当に帰りたかったのは、垂直落下する空の上ではなく、
彼が待つ地面の上だったのだ。
「……わかりましたか?」
彼は木馬の上で、おどけたように肩をすくめた。
「あなたの『恋』は、重力に負けないくらい、地に足がついてるみたいだ」
「……ありがとう。レフェリーさん」

私は遊園地を後にし、拓海くんの元へ走った。
駅前で待っていた拓海くんは、
私の顔を見るなり「実家の用事、大変だった? お疲れさま」と、
大好きな優しい笑顔で迎えてくれた。
「拓海くん! あのね、やっぱり私、拓海くんが大好き!」
「えっ、急にどうしたの?」
「いいの! ……あ、でも、来月また実家(という名の遊園地)の手伝いに行ってもいいかな?」
私の恋は、高度制限を無視して、今日も急上昇中だ。

💗柊紅葉💗

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いつも大変お世話になっております。
💖柊紅葉です💖
noteを、初めてからもうすぐ半年が経ちます。
少しずつフォロワーさんが、増えてきて、
今では1500人以上になりました。 🌸🎀😌🎀🌸
本当にありがとうございます。💕✨💕
私、柊紅葉が感謝の気持ちを込めて、
心を紡いでくれたフォロワーさんを
ご紹介させていただきます。💗💖🥰💖💗
今回は、こちらの方々です。😍🎊😍
引き続きよろしくお願い致します。✨💗🥰💗✨
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