留置場での耐えられない日々


📖『こころにしみる日々(上) 〜 愛と喪失と再生の獄中272日間 〜』

🏆この作品は 4部作として note創作大賞2025【オールカテゴリ部門】に応募しています

①「💠コラム的な:誰とも連絡が取れない恐怖」
②「留置場での耐えられない日々」
③「使い物にならない国選弁護士」
④「🌈【(上)・最終回】空が青みがかって次第に夜が明けていく」
✉️【🎯審査員の皆様へ】
ここに並ぶ4つの短編は
いずれも “物語”ではなく “記録”です
社会の底で
制度の隙間で
声にならない心が どんなふうに崩れていくか
それを たしかな温度で ことばに残しておきたかった
連絡が取れない不安
留置場という密室
弁護という名の無関心
それでも 空は青みがかって 次第に夜が明けていく
一片の希望もないと思っていたその場所で
もしも 誰かの記憶に
「たしかに生きていたこころ」が刻まれるなら
それだけで この作品たちは 救われます
📖本シリーズを含めて『こころにしみる日々(ここしみ)』は
note連載を土台に構成され、(上)(下)の2冊構成・各300ページ規模で書籍化される予定です
また、司法制度を扱った関連作群は
📖『ここしみ 外伝』として独立展開する構想です
✉️【現代ビジネスさんへ】
このシリーズは、制度の裏側で “静かに壊れていく心”を描きました
表向きには支援されているはずの人間が、実際にはどこまで孤立し 無視されているのか
現場にいたからこそ書ける声なき声を、社会構造とともに記録しました
貴誌が扱う「社会の裏と表」の問題群と、きっとどこかで地続きにあると信じています
✉️【インプレスさんへ】
日常から一歩足を踏み外したとき、
生活者は何を感じ、どんな目線で世界を見るのか――
この4作は「ふつうの人の目線」で描かれた、“制度の中にいる側”からのレポートです
技術や知識ではなく、リアルと実感のドキュメントとして
貴社読者にも届くと信じて、静かに届けます
✉️【オレンジページさんへ】
家族や隣人が“ある日突然”留置され、連絡が取れなくなる
そんな非日常がふいに生活のなかへ入り込んだとき、どうなるのか
これは、生活者視点で記された「静かな緊急事態」の記録です
料理や暮らしの合間に、この物語がそっと入り込むことを願っています

🎙️前回の勾留時もそうだったのだが、留置場ではこれといってやることがなく、

3食の弁当を食べる以外は、横になるか、ノートに何かメモをするくらいで、イベントと言えば、運動と称する野外での10分間の髭剃り、20分間の風呂が週3回、それに約1、2時間くらいの刑事の取り調べが週3回くらい、弁護士の面会が30分弱で1から2週間に1回といったところで、特に当初は新聞や本を読むこともなかったため、時間の流れが気が遠くなるくらい緩やかで長く遅く感じられた。後に同室になった長髪のおっさん曰く、
「拘置所はもっと時間が経つのが速いですよ。」
とのことだった。後でわかったことだが、その通りだった。
留置場では当初単独室だったが、起訴されるころに突然雑居に移される。

そこで痩せぎすのJと同室になる。Jは50歳で鬱病のため仕事を辞め、生保暮らしだったが、万引きをして逮捕されたとのことだった。後に別の部屋で同室になったRさんに聞いた話では、J.はホームレスで、逮捕された頃、
「髭がぼーぼーで」
J・Nに似ていたことでJと呼ばれるようになったらしい。Jは同室になると、すぐにトイレのドアの閉め方や、自分が寝る場所(👉つまり縄張り)を私に示した。神経質な奴だなとは思ったが、適当にあしらうことにした。
次の夜には、後に便秘になってご飯を食べなくなる変なじじーが加わる。

じじーは夜中に泣きそうな声で突然うなされたように、
「すみません。ベッドの下にあります。」
とひとりごとを言い出した。私は、
じじーは殺人を犯したのではないか
と思った。つまり、ナイフか何かがベッドの下にあるという。。。その後じじーは変な演歌を歌い出し、隣の部屋にいた気の荒い男に怒鳴られる。次の朝じじーに話を訊くと、じじーは、
「無銭乗車で逮捕された。」
とのことだった。さらに話を訊くと、これまでにも何回か逮捕されていて、方々に迷惑をかけているという。自分も人のことを言う資格はないとは言え、ろくな奴はいないと思った。前回、前々回もそうだったが、まさにカルチャーショックである。

リンク元コンテンツ 🔗📖「🤸♀️体のことは体に訊け」
さらにその次の日には、なぜか便秘じじーが別室に移動になり、代わりに長髪のおっさんが同室に。

おっさん曰く、
「刑務所でもここでもそれぞれの部屋にはそれぞれのオキテがある」
とのことで、おっさんも昔刑務所で2年間気の合わないじじーと同室になり、そのおかげで鬱病になったという。その他、昔の刑務所ではタバコを1日に2本吸うことができたという話も聞いた。おっさんはJとは気が合っていたが、私に対しては最初は好意的に見えたものの、次第にそうではなくなっていく。例えば、私が冷房による寒さ対策のために足首にトイレットペーパーを巻いているのを注意したりしてきた。おっさんは器物破損で逮捕されたとのことだったが不起訴となり、一週間後には釈放された。
入れ替わりに外国人がやってくる。
外国人は結婚をしていて幼い子供がいるが、友人の恋人に手を出し、それが理由で友人とケンカになり、殴ってしまったため逮捕されたという。2、3日前から私が留置されていた寮では、ときどきすすり泣く声が聞こえていたのだが、その犯人は彼であることが判明した。あるとき急に何の脈絡もなしに泣き出したのだ。この後どうなるのか不安でたまらないということだった。出たら祖国に帰るという。家族はバラバラでいろんな国にいるとのことだった。
その後Jは裁判で執行猶予をもらうと同時に追起訴され、さらに次の裁判まで1ヶ月半追加で勾留されることになる。

その場合、執行猶予は取り消されるのかどうか心配したが、六法を見る限り、📚併合罪(刑法第45条)になるので大丈夫のような気がする(🙏もしも弁護士の方がこれを読んでらっしゃったら、ご教示いただければ幸いです)。この辺りのことは刑事にも訊いてみたが、
「知りませんね。」とのことだった。
Jはその後2、3日ひどくふさぎ込む。Jは、
「こんなところにいたら気が狂いますよ」とぼやく。
Jが追起訴になったことを知ったのは何日かしてからだった。彼が逮捕されてからすでに2ヵ月近く経過している。
「この時間はいったい何だったのか。。。」と彼はつぶやいた。
外国人が保釈された後、ふたりきりになった部屋で、ある夜Jがふと漏らした言葉がなぜかその後私のどこかに残ることになる。
「寝てるときはパラダイスですよ」

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留置場では他にぷーさんという40過ぎの男がいて、彼は再犯が重なり、350mlのペットボトル1本を万引きしただけだが、
恐らく今回は4年くらいの懲役になるだろうとのことだった(📚再犯:刑法第56条、📚再犯加重:刑法第57条)。ぱっと見にはとても悪いことをしそうな人間には見えなかった。
Kさんという20代前半の青年は、腕に刺青が入っていたものの、見ためにはフツーで、

「ここではみんなが家族ですから」
と言っていて、私が事情を話すと、
「最悪で懲役1年くらいでしょうね。」と教えてくれた。
さらに、留置場には暴力団の幹部もいて、

何も知らなければ、ぱっと見そこそこのイケメンで言葉使いも品も悪くない初老の男なのだが、ふとした瞬間に見せる表情が明らかにそれとわかるくらい険しくゾッとした。
Iくんは逮捕されるのは初めてで、目が澄んでいて悪人には見えなかったが、

弁当のおかずを畳の下に隠したり、トイレで水浴びをしたり、奇行が目立ち、挙動不審で精神的な部分の問題が疑われた。彼も便秘じじー同様、無線乗車で逮捕されたということだったが、初犯なのでまず間違いなく釈放になると思われた。私がいろいろと事情を話すと、示談金 + 保釈金 + α = 150万円を貸してくれるという。Iくんは不動産会社を経営していて、経営状態は悪くないらしく、
「金は返さんでええで」と言う。しかしそれはとんでもないので、
「いや、必ず返す」と私は約束した。
私は一気にこころが晴れかける。彼が釈放され、お金を貸してもらえればとりあえず保釈請求が可能になる。私はすごい出会いで、すごいストーリーだなと思った。人生はわからないとも思った。しかし、その後Iくんがお金を貸してくれることはなかった。
もうひとり、新たに同室になったRさんもKさんと同じく22歳で、暴力団組員ではないものの、

かなり危ない筋の人間で、その一方で、自ら会社と飲食店を経営している信じられない若者だ。しかも私の事情を知ると、出所後に、
「俺の会社で働かへんか?」と誘ってくれた。
私は出所後のことは不明だが、まずは連絡することを約束し、
「場合によっては相談させてほしい」とお願いした。
Rさんは傷害の容疑で逮捕されたが、巨額の示談金を用意し、本来なら懲役7年くらいのところだが、示談が成立しているため釈放されるとのことだった。私は、すごい話だなと思った。

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また彼はインターネットを利用した詐欺の手口に関しても詳しく、私が事情を話すと、それは
「間違いなく詐欺やで」と指摘した。
私の中にはそれでも、それを信じたくない心理があった。そこで、桃子が白なのか黒なのか、それぞれ思い当たる理由をノートに書き出すことにした。

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しかし、その後も私は彼女が白なのか黒なのか判断がつかず、揺れるこころをどうすることもできなかった。そして桃子が白と黒の間を行ったり来たりすることになる。
その頃、私は、釈放された外国人を担当していたAW弁護士宛てに手紙を送っている。
AW弁護士宛て
✉️私は今、◯◯警察署の留置場におります。KZ先生にお世話になっておりますが、KZ先生はガラケーしか使えず、スマホを操作することができないため、家族や恋人、友人の連絡先さえ見てもらえず、たいへん困っております。
必要なのは、
1. メモ帳アプリを立ち上げ、家族と恋人の電話番号と住所をメモること
2. LINEで友人の電話番号と住所を訊き出すこと
3. キャッシュカードで銀行口座からお金をおろすこと
です。
そこでご無理を承知の上での相談なのですが、AW先生に、前述の3つのことを何とかお願いできないでしょうか?
同様のことを、◯◯警察署 相談課、◯◯地方法務局にも相談しましたが、返答をいただくことはできませんでした。
何卒よろしくお願いいたします。
🔗️📖P.9『2022.8.22~』「AW弁護士宛て」


📢コンテンツを読んでくださった方へ

これは実は、全体でひとつのリアルなストーリーになっています。
🔰📖『ここしみ』 超・あらすじ
👉ざっくりと全体を把握したい方へ
❓📖『ここしみ』って?
👉全体像。壮絶な日々の果てに綴られた“特別な一篇”。こころに灯る何かを感じてもらえたら。。。
壊れた人生。それでも生かされた。だから今語り始める。「罪と罰」、「愛と絆と再生」、そして「本当の自由」の物語。私があそこで過ごした272日間と、その後の壮絶な日々を綴っています。
また、獄中「🏛️訴訟ゲーム」を通じて、冤罪、死刑制度、司法の闇など、現代社会の深い問題についても斬ります。他に、「🏰ムショトピ」といったゆるーいコンテンツも。
そんな風に、ひとつの人生の軌跡を通じて、「生きるとは何か?」「愛とは?」を問いかけます。
👉気になるコンテンツだけでもOK
👉だいたいの話は各話ごとの短編としても(多分)お読みいただけます
📖『こころにしみる日々(上)~ 愛と喪失と再生の獄中272日間 ~』
📖『こころにしみる日々(下)~ 灯りを求めて。出所、そして壮絶な日々 ~』
『💠コラム的な:』 👉📖『ここしみ(上)(下)』から抜粋したエッセイ集
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