夜のカフェテラスより震えた一枚。ゴッホがアルルで見つけた「黄色の闇」-大ゴッホ展-
数あるnoteの中からご訪問いただきありがとうございます。
今回は大ゴッホ展(東京開催)のレポートを
お届けしたいと思います。
すでに行かれた
たくさんの方々が
・行き方(混雑状況)
・混雑や展示方法など、美術館に対するレビュー
・今回の目玉「夜のカフェテラス」や
全体の展示について
について詳細に書かれていらっしゃいますので
私の方は
ゴッホから受け取ったことをそのまま
書かせていただければと思います。
ゴッホ展慣れしていると、一言いいたい、はず。
「大」ゴッホ展では、、ないよね?
ゴッホの作品を日頃見ない方が
「大ゴッホ展」
と聞いて見に来ました!
ということでしたら
きっと満足いただけるかと思います。
レビューを読んでいても、
オランダ時代の絵がたくさんあってよかった!
などの声がちらほらと。
ここ数年の東京開催の
ゴッホ展にほぼ全部行ってます!
という方ですと
第一の感想として
「大」ゴッホ展では、、ないよね?
(だって今までのゴッホ展の方が大きかったし)
というところではないでしょうか。
「ゴッホ展ーアルルまでの道のりー」
とか
「初期ゴッホ展ー夜のカフェテラスをそえてー」
というあたりが
誠実なところではないかと思いました。。
ただ、すごい金額で
借りてきているかと思いますし
集客、収益を考えると
「大ゴッホ展」
というしかなかったのではと思います。
美術館・美術展の経営の難しさ。
そう考えると
今までのたくさんの
美術展のネーミング。
興味は誘いたいけれど
過剰にならないように
作品とまっすぐな目で向き合って
誠実な展示名をつけていらっしゃる
展覧会の多いこと。
愛らしくも思えて
敬いたいと、改めて思いました。
(最近は、三井・サントリー・根津あたりの
展示名、展示構成
作品解説などから漏れ出す
キュレーターさんたちの作品愛が
素敵で、大好きです。)
他にもあげたらキリがないくらい
素敵な展示がいっぱい。
収益計算と
作品への思いとの葛藤を
常に抱えながらも
作品へのリスペクトから
結果、誠実な展示名をとっていらっしゃる
美術館さんには
いつも頭が下がります。
1884〜
オランダ時代の作品は、
東京で開催されたいくつかのゴッホ展や
アムステルダム(オランダ)の
ゴッホ美術館などでも
数多く拝見してきたのですが
1884年あたりから
ちょっと、よくなってきたな
という発見がありました。
それ以前の作品は本当に
言葉に困る、あれなんですけども。
最近は、画家の年代で鑑賞する
という方向性がお気に入りで
1つ1つの作品と
制作年を確認しながら見ています。
ゴッホの活動期間は
わずか10年ほどだったわけですが
あそこまで行き着いて
本当に良かったなあ、と思います。
ゴッホの行き着いた先
現時点で
私の考える
ゴッホの行き着いた先とは
「明るい色を使って
闇を描けるようになった」
ことだと考えています。

「カラスのいる麦畑」ゴッホ 1890年
亡くなった月に描いています
空が暗いから、黄色も溟(くら)く見える?
いいえ。
黄色が「どす溟い」んです。

「刈り入れをする人々のいる麦畑」ゴッホ 1889年
うーん、溟い。
この絵の黄色も
「ああどす溟いわあ」と
感じるようになったら
あなたももう
こっちの世界の人です笑

アムステルダム ゴッホ美術館所蔵
そうなってくると
友がいなくなったあと
一人で描いたひまわりも
「どす溟いわあ」となるわけです。
アルルのお部屋に来てくれる
友人(ゴーギャン)のために
描いたひまわり
友人が去った後も
おなじ黄色を使って
描くのことをやめませんでした。
友に捨てられ
絵は一枚も売れない
何者にもなれないゴッホ。
そんな絶望の中で
溟い黄色を習得しはじめ
「何かを掴み始めている」
と感じたのかもしれません。
幸せだった時の明るいひまわりを
同じ黄色の絵の具をつかって
何枚も何枚も描き写していくのです。
物足りない黄色と
大満足の黄色
夜のカフェテラス。
私が美術展に頻繁に
出向くようになる前、
一番好きな絵でした。
星の照らす夜に
一段と明るい
カフェの光
あたたかくて
やさしくて
希望に満ち溢れるような
この絵が好きだったんです
しかし
今回、私のセンサーは
この名画を目の前にして
すん・・・という感じでした。
その前に見た絵に
大興奮してしまったから
かもしれません。
どす溟い黄色を使った隠れ名画発見!

色味はさすが公式ということで
下記サイトに使っている色が肉眼に近いかと。
明るい、と評されることが多い
こちらの絵ですが
いやいや、どす溟いですよ。
溟い黄色でいうと一番よく描けているかも。
この黄色に大興奮してしまいました。
しかも
こちらの絵はアルルに移った3月に描かれたもの。
つまり
夜のカフェテラスの
半年前に描かれたものです。
耳きり事件後の絶望期ではなく
希望溢れる時期です。
ゴーギャンからは
(共同生活の前ですが)
目に見えないものを描くのだ!と
言われていたでしょう。
ゴッホはうちなる黄色を
描いたのかもしれません。
絶望しなくても
「最初から溟さを持っていた」
という発見です。
辛い人生の中で狂気を
獲得したのではなく
ゴッホは最初から
内側に強烈な色彩を
持っていた人だったのかもしれません。
最初から溟い黄色を
中に持っていたのでしょう。
狂人だったのです。
天才たる所以ですね。
そんな発見をして
大興奮だったので
物足りない黄色へは
実はあまり目が
いかなかったのでした。。
まとめ
オランダ時代の絵が
多く展示されている
大ゴッホ展ですが
オランダ時代の暗い絵も
溟い黄色に繋がっているんだなあ
なんていう楽しみも増えました。
夜のカフェテラスは
やはりとても美しい作品でした。
ただ、
ゴッホの魅力は
あの明るい黄色だけではなく
その奥にある溟さまで含めて
楽しみたいな、と思いました。
最後にオランダの
ゴッホ美術館のレビューも
絵を多めで
ご紹介しておりますので
大ゴッホ展が
良かった方も、
もしかしたら
不完全燃焼だった方も、
そして、まだ行かれていない方も。
よろしければ
併せてお楽しみください。
↓ナショナルギャラリーの
ひまわりのレビューです。
↓東京都美術館のゴッホ展の
レビューです。
↓これからくるオルセー展の
ゴッホの絵について書いています。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
記事をまとめてみました。
ご興味のある記事がありましたらぜひお読みください!
はじめに01 -絵の声を聴く、アート鑑賞について- 好きな画家さん一覧
https://note.com/killamaru/n/n0cb504116a87
書き始めた経緯やこのNoteの説明など
はじめに02 -アートの声を聴く鑑賞について-
https://note.com/killamaru/n/n3b42879699f8
「はじめに」の続きですが、私のNoteの中では、♡率が高くて、ありがたいです。
はじめに03 -審美眼は何年で身につくもの?
https://note.com/killamaru/n/ne9792bc439fe
<ドイツ旅2026>
ドイツから戻ってきました -2026.01.13 近況報告-
https://note.com/killamaru/n/nce677f79afbc
デューラーと話したくて家に2回おしかけた話 - デューラーズハウス -
https://note.com/killamaru/n/n681100d72660
フェルメール報告会 - ドイツ旅で鑑賞した絵のレポート -
https://note.com/killamaru/n/n9509726b7b11
フェルメールに隠された法則 - 嫌いだったフェルメールが好きになれた秘密 - [ディープ]
https://note.com/killamaru/n/nab3fbbd02386
<若冲>
若冲からはじめて呼ばれた話 -泉屋博古館東京-
https://note.com/killamaru/n/n79a61287feed
若冲は、今日も私を呼ぶかしら - 三井記念美術館「円山応挙」展 -
https://note.com/killamaru/n/na07051e46676
若冲は、もう1人の天才にためらう、の話 - 東京藝大美術館 -相国寺展
https://note.com/killamaru/n/n85b940e93ef9
<ゴッホ>
[ディープ]ゴッホのひまわりって、おいしいの? - 西洋美術館 ロンドン・ナショナル・ギャラリー展
https://note.com/killamaru/n/n69330619f156
「あなたはどんな鑑賞タイプ?」と「ゴッホの死相」について ゴッホ展 -東京都美術館-
https://note.com/killamaru/n/na3e315c32ca0
ゴッホ美術館(アムステルダム)に行ってきた -美術館レビュー(絵多め)-
https://note.com/killamaru/n/n4e65dea66a63
おいしそうな絵はここにも(ピエール・ボナール) -「ひまわり」異変の後日談-
https://note.com/killamaru/n/n32920ae6c2de
<美術展>
ブラックホールを作りだせる画家 -仙厓展@出光美術館- [ディープ]
https://note.com/killamaru/n/n576fe4a903b7
絵から音がしない理由 -ユトリロ展(SOMPO美術館)-
https://note.com/killamaru/n/nd086f4b57077
定家にきゅんきゅん -国宝熊野御幸記と藤原定家展レポート(三井記念美術館)-
https://note.com/killamaru/n/ne15a8591b9e4
伊勢物語展 -根津美術館- 岩佐又兵衛に感じるもの
https://note.com/killamaru/n/n522358cdf891
僧侶の背中には、実は何があったのか -特別展「運慶 祈りの空間―興福寺北円堂」-
https://note.com/killamaru/n/nb87fb034c08e
マチュピチュの展示じゃない?!けど、興味深い -マチュピチュ展-
https://note.com/killamaru/n/n5dd9d6de4666
<岡本太郎とウォーホル>
岡本太郎の絵をめくってバックヤードをのぞいた話[ディープ] - ウォーホルの続き -
https://note.com/killamaru/n/ndd21dc5e0255
アンディ・ウォーホル「SERIAL PORTRAITS」展(ルイヴィトン) - 岡本太郎のために力をお借りします -
https://note.com/killamaru/n/ndd1a969b04ba
<ランキング>
[異変の起こった美術展ランキング]2025年行った美術展の中から)
https://note.com/killamaru/n/n853c88ce272c
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