見出し画像

街歩きで出会った、二つの古着屋。



最近、函館の街を歩くことが増えた。

街を歩いていると、不思議と気になるお店が増えてくる。

この日も、二つの古着屋さんに立ち寄った。

どちらも古着屋。

でも、同じ古着屋なのに、まったく違う空気が流れていた。

一軒目は、インスタで見つけてから気になっていた、小さな古着屋さん。


場所がよく分からず、街歩きをしている途中でようやく見つけた。

路地を少し入ったところにある、本当に小さなお店。

店主さんが笑いながら、

「なんでこんな場所に店を出したの?って、お客さんによく言われるんですよ」

と話してくれた。

確かに、街を歩いていなければ気づかなかったかもしれない。

そんな、

隠れ家のようなお店だった。

店内に入ると、目に飛び込んできたのが一着のアーミージャケット。

薄手のリップストップ生地。

使い込まれた風合い。

胸や袖に残されたワッペン。

一着の服なのに、「誰かが着ていた時間」が、そのまま残っているように感じた。

試着すると、

「前を開けて着た方がいいですね」

店主さんも私も同じ意見で、思わず笑った。



そして、もう一軒。

以前、ラルフローレンの白いビッグシャツを買った古着屋さんへ。

ここへ行くと、毎回思う。

「この人、本当に古着が好きなんだな」

いや、好きというより……。

古着オタク。

そのくらい、古着への愛情が伝わってくる。


ラルフローレンの話になると、生産国やタグ、年代、オックスフォードとブロードの違いまで、次々と話が広がっていく。

私は、そこまで詳しいわけではない。

それでも、

「この生地が好き」

「この形が好き」
そんな私の話にも、店主さんはきちんと付き合ってくれる。

「ビッグシャツなら、これもありますよ」

そう言って、お店の奥から何枚も出してきてくれた。

ラルフのアロハシャツ。

深緑のシルクシャツ。

ポロスポーツ。

どれも本当に素敵で、心は動いた。

でも、「素敵」と「自分が実際に着る」は、また別の話。


合わせ方が難しいかもしれないと思い、その日は見送った。

以前の私なら、「欲しい」という気持ちだけで買っていたかもしれない。

最近は少しずつ、「ちゃんと着るかな」と考えられるようになった。

服の話をしているうちに、もうすぐ始まる函館港まつりの話にもなった。


古着屋さんの真ん前は、パレードの会場になる。

花火大会の日にも、通りは大勢の人で埋め尽くされる。

それだけ人が集まるなら、お店も大忙しになるのかと思ったら、店主さんは笑いながら、

「人はいっぱいいるんですけど、仕事にはならないんですよ」
と話していた。

確かに、目の前を歩く人がみんな古着を見に来ているわけではない。

街は大にぎわい。

でも、お店の中は案外静か。

「それなら、その日はお店の皆さんも一緒にパレードを楽しめたらいいですね」

そんな話をして笑った。

私は今年も、子どもの送り迎え担当かな。

古着の話から、気づけば地元のお祭りの話になっていた。



そして、店内で一番印象に残ったのは、

Taylor SwiftのツアーTシャツだった。

2023〜2024年のツアーT。

古着屋に並んではいるけれど、まだ新しい。

店主さんは
「デザインとか色味とかが良いものを仕入れるんです。そのうちヴィンテージになりますしね」
と話していた。

その言葉が、なんだかとても古着屋さんらしいと思った。

古着は、昔のものだけではない。

今作られ、今誰かが着ている服も、時間を重ねれば、いつかヴィンテージになる。

この人は、服の「今」だけではなく、その先に流れていく時間まで見ているんだろうなと思った。



同じ古着屋でも、

一軒は、街歩きの先でようやく見つけた、隠れ家のようなお店。

もう一軒は、古着の話が止まらない、古着オタクの店主さんがいるお店。

どちらも服を売っている。

でも、私が持ち帰ったのは、服だけではなかった。

「前を開けて着た方がいいですね」

「そのうちヴィンテージになりますしね」

そんな何気ない一言や、お祭りの話をしながら笑った時間。

古着には、それまで誰かが着てきた歴史がある。

そして古着屋さんには、そのお店ならではの物語がある。

だから私は最近、服を買いに行っているというより、

その店だけの物語を受け取りに行っているのかもしれない。



#CoinBridge (コインブリッジ)
構造を言語化し、現場と制度をつなぐ

現在は療養中のため、無理のない範囲で地域活動やボランティアに関わりながら、日々感じたことを発信しています。

現場で感じた違和感や、制度との間にあることを、少しずつ言葉にしています。

はじめて読んでくださった方へ。私の活動やCoinBridgeについては、こちらをご覧ください。

いいなと思ったら応援しよう!

貴美子|構造を言語化する人 よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費や将来の居場所カフェ運営に使わせていただきます。

この記事が参加している募集