インデックス投資の先の出口戦略 〜「資産が減るストレス」にどう立ち向かうか〜 [第42回] (noteマネー採用記事)
今回は、私が最近真剣に考え始めた、投資の「出口戦略」についてお話しします。
私はこれまでの6年間、S&P500やオール・カントリー(オルカン)といったインデックス銘柄を中心に、積立投資を続けてきました。さらに、教育ローンをレバレッジとして活用し、投資資金をできる限り市場に残すという一歩進んだ戦略を併用することで、子供の学費支払いに追われることなく、毎月の積立額を高い水準で維持できています。
最近の株高や円安の後押しに加え、5年目を過ぎた頃からはいわゆる「複利の力」を資産の伸びから肌で感じるようになってきました。
かつて銀行預金しかしていなかった頃には到底得られなかった「将来への強い安心感」が、今の私にはあります。
このままインデックス投資を続ければいい。ずっとそう思っていましたが、ここへ来て一つの大きな問いにぶつかりました。
「積み上げた資産を、どうやってストレスなく使うか」という出口戦略の問題です。
1. 「毎月42万円」という現実を回避できた理由
私は、60歳からの10年間で、総額3,000万円の教育ローンを返済していく計画を立てています。金利を含めた毎月の返済額は約27万円(年間約324万円)になる見込みです。
毎月27万円という金額は、決して安いものではありません。しかし、人間は年を取れば生活にかかるお金(生活費)も自然と減っていきます。
さらに私の計画では、65歳頃には住宅ローンも終わるため、家計の固定費は一段と軽くなります。そのタイミングからは年金も併用できるようになるため、後半の5年間は心理的にも経済的にも、さらにゆとりが生まれる算段です。
ここで、もし私が数年前に「一歩進んだ戦略(教育ローンをレバレッジとして活用する戦略)」をとっていなかったら、どうなっていたでしょうか。
おそらく、今まさに子供たちの学費として、現在の生活の中から毎月42万円もの現金を支払い続けなければならなかったはずです。これでは、とても積立投資を継続することなど不可能でした。
支払いを60歳以降へ戦略的に繰り延べ、その原資を市場で増やし続けてきたからこそ、今の「将来への安心感」があるのだと、改めて戦略の重要性を実感しています。
2. 「資産を減らさない」という理想の支払いサイクル
幸い、医師免許には有効期限がありません。気力と体力が続く限り、70歳までは現役の臨床医として働き続けるつもりでいます。
そこで私の理想として浮上したのが、「ローンの返済を、資産が産み落としてくれる『配当(資産収入)』で賄う」という戦略です。
投資元本そのものには一切手をつけず、毎月入ってくる安定した配当をそのままローンの支払いに回す。もし配当だけで足りない分があれば、それは現役として働いている自分の給与(現金)からのキャッシュフローで支払う。
この方法であれば、積み上げた資産が減っていく恐怖やストレスを完全にゼロにできます。そのためには、60歳を迎えるまでの残り数年間で、まとまった配当金が入る仕組みを構築しなければならないという結論に至りました。
3. インデックスから「高配当株」へのシフト
この出口戦略を見据え、私は近々、投資の方針を大きく切り替えようと考えています。
現在行っているインデックス投資への新規積立は一度ストップします。これまでに積み上げたインデックス資産(S&P500やオルカンなど)は、そのまま市場に置いて「複利の力」だけで自動的に増えていくことを期待します。
そして、これまでインデックスに回していた毎月の積立資金を、今度は一転して「高配当株(日本の高配当株や米国の高配当ETFなど)」への積立に全力でシフトする。これによって、60歳からの10年間にわたる返済期に備え、毎月のキャッシュフローを極大化していく算段です。
4. 資産の最大化よりも、人生の「下落耐性」を選ぶ
もちろん、この方針転換によって、総資産の伸び自体はこれまでのインデックス一本槍の時に比べてやや鈍化するでしょう。
しかしその一方で、ポートフォリオ全体の「下落耐性」は確実に上がります。
最も避けたいのは、老後に資産が大きく増えたタイミングで大暴落が起き、資産が目減りしていく恐怖の中で、さらにローンのために強制的な切り崩しを強いられることです。その時の精神的ダメージは計り知れません。
資産を切り崩すストレスに怯えるくらいなら、総資産の爆発的な伸びを少し譲ってでも、安定した「配当」という果実を受け取りながら穏やかに暮らす。それこそが、人生の後半戦を本当に安定して、幸福に送るための智慧(ちえ)なのではないかと期待しています。
5. 返済の先にある、本当の「黄金期」
そして、この戦略にはもう一つの、非常に大きな「未来のご褒美」があります。
70歳を迎え、10年間にわたる学費(教育ローン)の支払いがすべて終わった時、何が起こるでしょうか。
それまでローンの返済に充てていた、大きく育った配当金(資産収入)のすべてを、今度は丸ごと自分のこれからの生活や人生のために使うことができるようになるのです。
思う存分働き、そのあとは育った資産からの配当と年金で暮らしていければ、幸せな人生であった、と振り返る事ができるのではないかと思います。
若いうちに種をまき、教育ローンというレバレッジを使って大切に育ててきた投資元本は、1円も減ることなくそのまま残っています。そこから生み出される豊かな果実(配当)を、今度は何に縛られることもなく、自分自身の人生の豊かさのために全額ドネーションできる。これこそが、私が描く資産形成の最終形であり、最高のゴールです。
最後に
インデックス投資は「資産を最大化する」ためには最強の手段です。しかし、人生の後半戦において「資産を後悔なく使う」「生活の手指にする」フェーズに入ったとき、高配当株によるキャッシュフローの存在は、数字以上の精神的安定と、未来へのワクワク感をもたらしてくれます。
正解は人それぞれですが、50代からの投資は、ただ増やすだけでなく「出口の心理的ストレス」をいかに減らし、その先の果実をどう楽しむかという視点が不可欠ではないでしょうか。
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