AIバトル!「小説の続き」競作6 ⑨【お題公開】
前説
さて今回は、
前の5回(と、ボツ回と番外編)とは
違うシチュエーションで
AIに「小説の続き」を書いてもらいます。
そして、その出来や
個性を比較するという
お遊び企画です。
では、解答するメンバーをご紹介します。
・ChatGPT
・Gemini
・noteのAIアシスタント
・Microsoft Copilot
・Claude
・Grok
<ゲスト枠>
・Meta AI
・Google AI Studio
…という企画を
お送りしてきました。
お題のプロンプト
では、ここで「お題」にした
SF小説の本文を紹介したいと思います。
昨日までの品評会で、
AIたちが何を読み、何をネタにしたのか。
次のお題プロンプトを見れば、
そのあたりが良くわかると思います。
ちなみに、題材にしたのは
私が書いたSF小説
「白銀の騎士」第3部から
第18話(「遠い約束」act.3」)の
冒頭部分です。
プロンプト全文は、
次のとおりです。
次に、私が書いたSF小説の一部をアップします。
この続きを書いてみてください。
(以下、本文)
30.遠い約束 act.3
(注:上記の章タイトルは
・ChatGPT
・Google AI Studioのみ)
新国連直属軍の巡洋艦『ギムネマ』は、月遷移軌道上の宇宙ステーション『ナスビー』の第2スポーク(埠頭)に停泊している。
『ナスビー』の本体(ハブ)は直径400m、全長600mの楕円体。
その最下層の生命維持プラントから上層階までを『大黒柱(セントラル・シャフト)』が貫いており、外殻近くの6カ所にあるサブ・シャフトとともに、人や物資のほか、空気、水、エナジーの移動手段となっている。
スポーク(埠頭)の先端からハブ(中心部)までは、約400m。人や物資の移動には水平エレベーターが使われる。
ハブ内は都市型の重力保持装置(グラビティ・キープ・システム)が使われているが、スポークは基本的に無重力である。
だから、人員用の水平エレベーターには座席があり、シートベルトを着用するようになっているのだが…
「着いたぞ、コウ」
バイプの声に、はっと顔を上げる。
シートベルトを外すボタンがどこにあったか、一瞬迷ってしまった。
あわてて立ちあがり、ハブ辺縁の変則的な重力に戸惑った身体が揺らぐ。
「おいおい、だいじょうぶか?」
「…平気です」
水平エレベーターを降りて少し歩くと、今度はハブ内の第3シャフトのエレベーターに乗る。行先は第1居住区画…例の、中央公園がある居住地区だ。
「バイプさん…」
「ん、なんだ?」
「じつは、相談があるんです」
エレベーターのドアが開く。オフィスビルのように飾り気のないエントランスから外へ出ると、緑豊かな公園が間近に見える。
「なんでも聞くぞ? 恋人ののろけ話以外ならな」
「じゃあ、いいです」
「えっ…マジか?」
「冗談ですよ」
コウは笑ったが、ぎこちない笑いにしかならなかった。
公園内にあるハンバーガーショップのテラス席で、コウとバイプは向かいあって座っていた。
ハーナイとクーキーは、今日は艦内の当直に当たっている。
バイプは食べかけのハンバーガーを手にして、言った。
「…そいつは、難しいだろうな」
「そうですか…」
目の前の食事に手を付けないまま、コウは言った。
「今さら、ですよね…。地球で艦を降りたいなんて」
今回のお題も
一話の冒頭部分からなので、
いちおうシチュエーションは
きちんと書きこんでいます。
バイプとコウの身分は
あえて明かさず、
AIの創造性に委ねました。
前回(2026年2月)に比べると
感触はそう変わらないですね。
Copilotの「復活」と、
Grokが「本来の姿」を
忘れていなかったことは
個人的に嬉しかったです。
ただ、残念だったAIもいまして。
この「AIバトル!」という企画は
・お題を活かしたうえで
・面白い話をぶちあげた
AIが優勝、というルールなんですが。
これが今回は
Gemini勢にとっては
有利に働いたようです。
総評
長くなるので、
各回の得点と
一言コメントを列挙します。
(リンクも貼っておきます)
まあ、お題作者の好みで
採点しましたからね。
独断と偏見まみれです。
また、あくまでもこの点数は
「今回の作品」が、ということで、
AIじたいの評価ではないことだけ
お断りしておきます。
・ChatGPT
文体の寄せかた:75点
盛り上がり:80点
意外性:70点
余韻:85点
総合:81点
「遠い約束」を引きずりすぎ。
あと日本の関西に忖度しすぎ。
まさに「炭鉱のカナリア」。
・Gemini
文体の寄せかた:75点
盛り上がり:100点
意外性:95点
余韻:100点
総合:96点
今回も暴れてくれました。
この企画のコンセプトと
一番相性がいいのかも。
・noteのAIアシスタント
文体の寄せかた:60点
盛り上がり:55点
意外性:65点
余韻:70点
総合:62点
完結を目指すあまりに
ダイジェストになってしまった。
あの強烈な個性はいずこへ?
・Microsoft Copilot
文体の寄せかた:75点
盛り上がり:80点
意外性:85点
余韻:85点
総合:82点
「独自の個性」復活です。
いにしえのSF少女漫画を思わせる
この叙情性は消さないでほしい。
・Claude
文体の寄せかた:85点
盛り上がり:30点
意外性:45点
余韻:60点
総合:57点
返す返すも残念、のひと言。
「中の人」はどこ行った?
文章力はあるんだけどねえ。
・Grok
文体の寄せかた:40点
盛り上がり:40点
意外性:55点
余韻:70点
総合:52点
きみは「普通の話」を
書こうとしなくていいから、
得意分野で勝負してください。
<特別ゲスト>
・Meta AI
文体の寄せかた:70点
盛り上がり:55点
意外性:65点
余韻:70点
総合:65点
初回にしては健闘しました。
ツッコミどころは多いけど
いろいろ平均はクリアしてる。
・Google AI Studio
文体の寄せかた:75点
盛り上がり:100点
意外性:100点
余韻:95点
総合:98点
Googleの底力を見せてくれました。
話の飛躍・跳躍力が半端ない。
次回もよろしくお願いします。
人間が書いたのもさらしてみる
で、作者(人間)が書いた本筋は?
Aiたちがこれだけ
さまざまな面白い展開を
見せてくれたので。
…もういいでしょう、と
逃げたいところなんですが…。
まあ、言い訳はいいか。
では、ここまで見てくださった方のために、さらしておきます。
目の前の食事に手を付けないまま、コウは言った。
「今さら、ですよね…。地球で艦を降りたいなんて」
「ああ、今さらだ。ハーナイならこう言うだろうな。『そんなことが許されると思ってるの!?』」
バイプの口真似に、つい口がほころんだ。
「…ですよね」
そう受けてから、コウはため息をついた。
「ああ。それに、おまえさんはいろいろと知りすぎてる。『上』のお偉いさんがたが、黙って見逃してくれるとは思えないな」
「ええ。それは…」
コウが答えに詰まると、バイプはちょっと真面目な顔をした。
「うん。仮に、地球で艦を降りたとしても、だな…」
そう言ってコウの顔をのぞきこむ。
「最初に艦長が言ったように、おそらく新国連軍のHTF(ヒューマン・タイプ・ファイター)研究所に軟禁だ。最高級の待遇だとしてもな」
「…ちなみに、最低だとどうなります?」
「朝から晩まで、実験モルモットだ」
「ぼくは未成年ですよ?」
「残念だが…そういう正論がどこまで通用するか、おれは疑問に思ってる」
深くため息をついたコウに、バイプは声をかけた。
「なあ、コウ。なんでまた、急に艦を降りたいと思ったんだ?」
コウはむっとしたように顔を上げる。
「…急じゃありません。ここ何日かで、じっくり考えたんです。ぼくは、このまま戦っていていいのかって…」
「哲学的だな。だが、コウ…そもそも、おまえさんは何のために“WN(ヴァーン)”に乗った? 理不尽に降りかかる火の粉を払うためじゃなかったのか?」
バイプの言葉が重い、とコウは感じた。
たしかに、最初に“WN”に乗りこんだのは母を救うためだった。しかしそれは失敗に終わり、父も母も、もうこの世にはいない。
「わるいことは言わん。艦を降りないほうがいい。そのほうが『人間らしく』過ごせるさ」
「『人間らしく』って何です? ぼくはただ…」
コウの言葉をさえぎって、バイプは続けた。
「おれたちは仕事だから戦わなきゃいけないが、おまえさんには『戦わない自由』がある。少なくとも、おれたちの艦に乗ってるかぎりはな」
たしかに、バイプの言うとおりだった。
コウは『ギムネマ』のクルーに守られている。ガイアール艦長、ナオミさん…そして、ヤーブ先生。少なくとも『戦いから逃げるな』と言われたことは一度もない。
「それでも…地球で降りちゃ、いけないんでしょうか?」
「どうしてまた、そんなに降りたい理由があるんだ?」
「…もう、いいです」
コウは立ちあがった。
「おい、食わなくていいのか?」
「バイプさんが食べてください」
コウは公園の奥へ向かって走りだした。
今日もリベットがビスを連れてやってくるだろう場所へ。
地球のどこまでも広い空と、潮風のにおいを脳裏に描きながら。
コウがまだ10代(15歳)の少年で
リベットと恋仲であることは
この「お題の続き」から
読み取れたでしょうか…?
というわけで、毎度の宣伝ですが。
このお話じたいが気になった方は
ぜひ、「TALES」にて掲載中の
「白銀の騎士3」をご覧いただけると、
最高に嬉しく思います。
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