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迷いながら、ここで育てている|ベトナムでナニーを雇うということ【前編】〜海外・多言語子育ての記録|家族の部屋

「ナニーさんが雇えるなんて羨ましい……」

日本にいる友人には、よくそう言われます。

実際、私の周辺を見回すと、

外国人同士のカップルの9割以上が、住み込みかフルタイムのナニーさんを雇っています。

そして我が家は、雇わなかった側です。

今日は、雇う前に知っておいてほしいリアルな話を書きます。


なぜナニーさんが必要になるのか。

理由はシンプルで、海外在住の外国人カップルには、

ナニーさん以外に子どもを預ける先がほとんどないからです。

幼稚園・保育園は一般的に3歳から。早いところで1歳から。

近くに家族もいない、0歳児保育という選択肢がほとんどない。

自由な時間を少しでも確保しようとすると、

必然的にナニーさんという存在が必要になります。

駐在員なら会社からの手当がある。

現地採用なら産休が終われば仕事復帰が必要で、

ビザを維持するためにも働き続けなければならない。

どちらの事情でも、ナニーさんを雇うことが「自然な流れ」になっていく。


楽になるのは、たしかに事実。

正直に言うと、ナニーさんがいた方が、生活は楽になります。

買い物、友人とのお茶、夫婦でのディナー、急な病気。

今まで何も考えずにやっていた些細な日常が、

新生児がいると一気にハードルが上がる。

常にバックアップがある状態は、

気持ちの余裕がまるで違います。


お金のこと。月6万円では、終わらない。

住み込みで24時間対応のナニーさんは、月6万円前後が相場です。

ただ、それだけでは終わりません。

旧正月前には毎年給与交渉があります。

大幅な引き上げを求められることも珍しくない。

地方から来ている方が多いので、

旧正月のお休みに帰省するための旅費も一般的に出します。

旧正月の賞与は1ヶ月分が相場です。

こちらの事情でお休みになる場合も、給与は払い続ける必要があります。

私たちのように外国人同士のカップルの場合、

一時帰国で数週間〜1か月程度、家を空けることがありますが、

その間も給与は発生します。

年に一度の昇給も、ほぼ前提条件。

英語が話せる人になると料金は1.5〜2倍。

「月5万円でフルタイムの人が雇える」と聞くと魅力的ですが、

実際に生活に入ってみると、想像以上に細かなお金の話と交渉がついてきます。


最初の契約が、全てを決める。

ベトナムでは、ナニーさんとメイドさんの役割は基本的に交渉次第です。

でも一度決めた内容を後から変えようとすると、

強く嫌がられることがほとんどです。

これはナニーさんに限らず、現地の方の気質でもあります。

たとえば、我が家の建物についている清掃サービス。

掃除には来てくれますが、食器洗いは契約外なので絶対に手を出しません。

キッチン掃除の流れで「洗ってほしい」と言って、大きなクレームになったことがあります。

洗濯を契約に入れていても、アイロンがけを途中で頼もうとすると、

追加の費用交渉になることがよくあります。

子どもが段階的に手がかからなくなってきた時に

「ついでにこの家事も」とお願いしようとしても、

「私の仕事はこれです」とはっきり線引きされる。

ナニーさんの場合、子供が懐いてしまうと、変えるにも変えれない。

だから、最初から「何をどこまでお願いするか」を

子どもの成長まで見越して細かく決めておくことが、本当に重要です。

後から変えることは、ほぼできないと思っておいた方がいい。


価値観の距離が、埋まらなかった。

ナニーさんは、子どもの安全と最低限のお世話をしてくれます。

でも「教育」や「躾」を担うのは、結局、親です。

他のお宅で、公園で、実際に面接をしてみて感じたのは、

子どもが隣にいても携帯を見ている、少し騒ぐとすぐテレビをつける、

ご飯の時間がダラダラ続く、生活リズムがその日その日でバラバラ。

地方都市の田舎から出稼ぎで来ているおばあちゃん世代の方が多く、

世代も、育児観も、文化も、言語も、日本人の感覚とはあまりにも違う。

自分たちの子育ての軸を、その距離を越えて正確に共有していく自信が、

正直、持てませんでした。


プライバシーは、ほぼない。

住み込みの場合、これは避けられません。

夫婦の会話、買い物の内容、家庭の内情。

ナニーさんは、家庭の事情を驚くほどよく知っています。

そうした話題が、コンドミニアムの遊び場で

噂話として交わされている光景を、私は何度も見てきました。

ただ、反対に言えば、プライバシーをあまり気にしないからこそ、

家族旅行にも頼めば嫌がらずついてきてくれる人が多いのも事実です。

一緒にいることやプライバシーがあまり気にならなければ、

とても心強い味方になります。


雇う前に、一度だけ立ち止まってほしいこと。

「安いから」「周りがそうしているから」という理由だけで流されるんじゃなくて、

自分は、どんな子育てをしたいのか。

ナニーさんを雇うことで、何を得て、何を手放すのか。

その軸だけは、しっかり持った上で決めてほしいなと思っています。

次の記事では、私がナニーさんを雇わなかった理由と、

1年間サポートなしで海外子育てをしてみて感じたことを書きます。


小さな手に、今日もたくさん教えられながら。

迷いながら、それでも前に進んでいく。

― 小さな手が教えてくれる、大きな世界。


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お読みいただきありがとうございます。

「何者かにならなくていい。全部の自分のままでいい。」

そう信じながら、等身大のまま書いています。

諦める前に、もう一回だけ試してほしい。

そのための実験を、私自身が続けています。

どこかの誰かのエールになれたら、嬉しいです。

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【この記事を書いた人】まなラボ

音楽フェスのステージを降りた瞬間に、フランス人の夫と出会いました。

自転車旅行の途中で家族になって、今はダナンで、3人で暮らしています。

国際結婚も、多文化の子育ても、うまくいく日ばかりじゃない。

産後には、家族がバラバラになりかけた時期もありました。

それでも、ぶつかって、話して、笑って。

何もない日常の中にある、小さな幸せを、ひとつずつ数えながら生きています。

完璧な妻でも、母でもないけれど。

この家族でよかったと、毎日思えるように。


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