なぜFCバイエルン・ミュンヘンはレヴァークーゼンに圧倒されたのか? FOKUS Bundesliga!!!#48
敵地バイ・アレーナでの頂上決戦

2月16日、ヴァンサン・コンパニ監督率いるFCバイエルン・ミュンヘンが、敵地バイ・アレーナでバイエル・レバークーゼンと対戦した。結果は0-0で引き分けに終わったが、試合内容は全く互角ではなかった。バイエルンはレヴァークーゼンに圧倒されたのだ。
差が如実に現れたのは、シュート本数。試合中、レヴァークーゼンが枠内シュート3本を含む15本のシュートを放ったのに対し、バイエルンは枠内シュートは1度もなく、シュート総数も2本のみだった。では両チームの明暗を分けた要因は、何だったのだろうか。

シャビ・アロンソ監督の包囲網

最大の要因は、レヴァークーゼンの守備戦術にある。シャビ・アロンソ監督はバイエルンの弱点を正確に分析し、的確に攻撃を阻害したのだ。その1つが、ヨナタン・ターによるジャマル・ムシアラへのマンマークだった。
バイエルンはビルドアップ時、ショートパスの受け手がマークされるとムシアラが中盤に下り、数的優位をつくりだす。バイエルンを敵陣に閉じ込めようと考えたアロンソは、そのムシアラの動きをターにケアさせた。
ダヨ・ウパメカノ、キム・ミンジェ、ヨズア・キミッヒ、アレクサンダル・パヴロヴィッチの4人に加え、ムシアラもマークされたことで、自陣からショートパスを繋ぐバイエルンのビルドアップは機能不全に陥った。

CBのターが大きく前に進出し、縦パスを受けたムシアラにタックルした。
レヴァークーゼンの守備ライン

またレヴァークーゼンは、前線からのプレスだけでなく、自陣に引いた後の守備も巧みだった。フローリアン・ヴィルツをトップ下に置く4-2-3-1を基本の布陣としたレヴァークーゼンは、バイエルンが自陣に侵入するとジェレミー・フリンポンが最終ラインまで下がって5バック化した。
両ウイングによるサイドの突破とムシアラの中央でのドリブル突破を局面打開の「鍵」とするバイエルンは、5バック、ときには6バック化するレヴァークーゼンの守備ラインに封殺された。とくにサイドでは2対1の数的不利を余儀なくされた。
前半のバイエルンに訪れた最大のチャンスは43分、キングスレイ・コマン、伊藤洋輝との連携でムシアラが突破し、エセキエル・パラシオスによるファウルでフリーキックを獲得したシーンだったが、それ以外に好機と呼べるシーンは無かった。

ヴィルツ、パラシオス、テラがボールホルダーと前線選手の導線を断つ位置に立ち、
強固な守備ブロックを形成した。
崩された続けたバイエルンの右サイド

レヴァークーゼンの優れていたのは、守備戦術だけではない。アロンソ監督率いるチームは、攻撃面でもバイエルンを凌駕したのだ。おそらく現在のブンデスリーガ最高の選手であるヴィルツを起点とし、様々な形でバイエルンの守備ラインを脅かした。
とくに明確に崩されたのは、バイエルンの右サイドだった。レヴァークーゼンの右SBノルディ・ムキエレはコマンがケアしたのに対し、マイケル・オリーセが守るべきバイエルンの右サイドは、ピエロ・インカピエに何度も侵入を許した。
インナーラップやアーリークロス、アレハンドロ・グリマルドへの縦パスやヴィルツへのスルーパスなど、様々な形でインカピエに崩されたバイエルンの右サイドは、オリーセに代わって出場したレロイ・ザネがケアするようになるまで、完全にバイエルンの弱点となっていた。

カウンターから左サイドに侵入したインカピエは、中央へアーリークロスを送る。
ウパメカノと伊藤の間を抜けだしたテラが足で合わせた。
中盤の覇者、グラニト・ジャカ

ター、ヴィルツ、フリンポン、インカピエなど出場する選手全員が活躍したレヴァークーゼンだったが、なかでもバイエルンを混乱に陥れた選手はグラニト・ジャカだった。パブロヴィッチとのマッチアップを制したジャカは、レヴァークーゼンのキーマンだった。
バイエルンのビルドアップ時、ジャカはプレスに参加して前に進出し、伊藤が攻撃の起点となることを妨害した。守備ブロックを形成する際には、ライン間でボールを受けようとするムシアラをケアし、攻撃の起点になることを防いだ。
攻撃時には後方でボールを捌く役割に徹し、サイドチェンジや縦パスで攻撃の起点づくりに努めた。試合中、フィールドプレイヤーとしては最多となる8本のロングパスを含む、63本のパスを成功させたことに、ジャカの影響力が現れている。
頂上決戦のMVP

バイエルンはレヴァークーゼンに圧倒された。ビルドアップが阻害されたうえ、得意のサイド攻撃は封殺された。右サイドは崩され続け、中盤でさえジャカに屈した。それにも関わらず、バイエルンがこの試合を無失点で切り抜け、勝ち点1を手にできたのはなぜか。
それはダヨ・ウパメカノがレヴァークーゼンの攻撃を阻み続けたからに他ならない。ヴィルツやエドモン・タプソバとのデュエルを制する対人能力、ミンジェやコンラート・ライマーの裏のスペースをサポートするカバー能力が冴え渡ったウパメカノは、この試合のMVPだった。
アロンソ監督にとって、唯一の想定外はウパメカノの披露した守備能力だっただろう。この試合で勝者に相応しかったのは、レヴァークーゼンである。バイエルンが勝ち点差8をたもったままこの試合を乗り越えたのは、クラブにとって大きい価値となるだろう。
レヴァークーゼンとは、チャンピオンズリーグのベスト16で再び対戦する。この試合ではアロンソのバイエルン対策に手を焼いたコンパニが、次の試合にむけてどのような準備を行っているのか楽しみでならない。
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