【創作裏話】企画・お題参加まとめ #001
こんにちは。財布野紐ゆるみと申します。
この記事では、アップ済みの「企画・お題に参加して書いた記事」10作品についての裏話を書こうと思います。
以下のような視点から、ゆるく振り返っていければと考えています。
・なぜこのお話を書こうと思ったか、またはどこから着想を得たのか
・ボツ案や悩んだ部分があればその話
・込めたテーマやメッセージ、お気に入りのポイント等
また、この場を借りて、企画に参加させていただいている主催者のみなさまへ感謝申し上げます。いつもありがとうございます。
1.推しの青と頬の紅
【片想い文芸部】
テーマ:色にまつわる片想い
公開:2025年10月4日
こちらは、「片想い文芸部」さまの企画、「色にまつわる片想い」に参加させていただいた際のものです。「推し活の思い出」と、「名前を持たなかった自身の感情」とのすれ違いを描いたお話になります。
私としては、noteにおける企画初参加のお話です。
そもそも、企画参加をはじめてみた発端として、「みんながやっているから、まあそういうものなのかな……」という少し軽薄な気持ちが先にありました。すみません。
noteの文化に不慣れだったこともあり、黙々と投稿しているだけでは記事がほとんど読まれないという特性を理解しはじめていた時期でもありました。ですので「何かやらなきゃな」という焦りもあったと思います。
それでは、どの企画に参加すればよいのだろう……となったときに、目についたのがこちらの企画で、純粋に面白そう、でも難しそう、というバランスが私の中で丁度よく、心を動かされたことが印象に残っています。
さてその内容ですが、「色にまつわる」ということで、なんらかお話のテーマとなるカラーを持たせる必要があるかと思いました。そこで思い至ったのが、アイドルグループのメンバーが持つイメージカラーをモチーフに重ねられないか、ということです。そこから、「推しの男性アイドルがいる女の子」を主人公に据えました。
個人的に、応援しているものやハマっていることに対する「熱」には、一過性のものと永続的に続くものの二種類があると思っています。
その考えから生まれたのが、このお話のテーマになります。
「応援していたはずの人よりも、一緒に応援している友人との関係の方がずっと心に残っている」という感覚。
友人の真咲が、どのように考えていたかの詳細は明かしていません。「あんたが好きなんだもん」の言葉には、複数の捉え方があると思います。
このときの真咲の頬の色もまた、企画のお題に沿ったものであったため、その色と対にするかたちで、ユウマくんのイメージカラーは後付けで「青」としたのでした。そのあと、最後にタイトルを決めています。
なおSuizという名前の由来は正直なところ思い出せません。四人組とのことなので、それぞれの頭文字がメンバーの名前になっていて、ユウマくんは「u」を担っていたりするのでしょうか……?
2.月の味
【シロクマ文芸部】
お題:「月の味」から始まる文章
公開:2025年10月7日
企画参加の二度目は、「シロクマ文芸部」さまに参加させていただきました。400字にも満たない、短いお話です。指定されている言葉が「月の味」という幻想的で曖昧なものであるところに、強い魅力を感じました。
味覚の「味」として月を描くことも考えられましたが、私は「味」を「趣」という意味でとらえて、書きはじめてみることにしました。
月見をしている三人のやりとり。会話文のみとなったのは、書きながら「そのほうがいいかな」と思いつき、多くを語らず余韻を残す方向性へと舵を切ったためです。三人がそれぞれ月についての趣を語る構図だったので、この場合は、詳細に地の文を書くよりも味がありそうだと感じました。
登場人物の考え方はそれぞれ違い、彼らは同じ時間を不完全なまま共有しています。「月の味」の解釈が途中で何度も揺れながらも、最後まで結論を言い切らないところが、このお話で気に入っているところです。
月は満ち欠けしますが、欠けたまま戻らないものも、世の中にはある。その「どうしようもなさ」が末っ子の「つまんない」の言葉に集約されているように感じていただけたなら、うれしく思います。
3.五つ足りない、海と空
【あなたの旅ショートストーリー】
お題:「旅」にまつわるショートストーリー(2,000文字以内)
公開:2025年10月11日
こちらでは「旅」をテーマにしたショートストーリーを書く企画に参加させていただいております。このお話は、ふらりと九州へ旅行しようと考えた女性が、列車を間違えて四国に行ってしまう……という内容になっています。
旅がテーマとなると、実体験を元にしないとリアリティをもって書きづらい部分があると感じました。
というわけで、恥ずかしながら、列車を間違えて四国に行ってしまったのは私の実体験から書いています。とはいえ、お話の中に出てくる高知も香川も、行けてよかったと思っています。
高知で桂浜水族館に行ったことや金刀比羅宮でイノシシを見たことなど、実際の旅で体験したことで書けていない部分がたくさんあります。書き上げたあとに、いろいろと文章を削っているのです。
仮に説明的な文章が続いても、情景とともに五感や手触りを意識して書けば、読み手としてはそこまで疲れずに読めるとは思うのですが……当時そこまで頭が回らなかったのと、字数の制約の関係で、削ることになりました。
アンパンマン映画の「シャボン玉のプルン」のくだりは主人公の心情と重ねるのに必要だと思い、どうしても削りたくなかったので残してあります。個人的には、ここが一番のこだわりポイントです。
4.水色はいつも
(詩)【シロクマ文芸部】
お題:「水色は」から始まる文章
公開:2025年10月13日
こちらも「シロクマ文芸部」さまに参加させていただいたものです。こちらは「詩」として出してみました。このころはお題の参加にまだ慣れておらず、色々と試行錯誤をしていたので、その結果このかたちになったのだと思います。
「水色」って、明るくてやさしい色のイメージが強いですが、同時に少し冷たくて、つかみどころのない印象もあったりしますよね。
色でイメージするものを並べていくうちに、同じひとつの「水色」を軸に、時間や感情や、関係性の変化を積み重ねていくような書き方ができないかな、と思いました。
……というよりは、「水色は」「水色は」と下書きをたくさん重ねるうちに、「詩」のようなものが仕上がったという格好でした。手が先に動いてお話が仕上がる感覚、わかっていただける方も多いのではないでしょうか。
とはいえ、詩はどうやって書けばいいのか、定石があるのかも、未だにわかっていません……。読むのも書くのも、手探りでした。
このお話では、「説明しすぎない・理由を語りすぎない・感情を決めつけすぎない」……という、小説を書くときにも気を付けていることをいっそう意識して、文字数を必要以上に増やさないように書いていたと思います。
そういった意味で、具体的な出来事として「きみ」がどうなったかを詳しく書かなかったのは正解だったかもしれません。読む人それぞれの「水色」がそっと入り込む余地が生まれていれば、何よりです。
5.黒子たちの舞台
【せりふ三題噺 / いちごオレスポーツ黒子】
お題:いちごオレ / スポーツ / 黒子
せりふ:理由が必要?
公開:2025年10月14日
こちらは「せりふ三題噺」にはじめて参加させていただいたときのお話です。三つのお題か、せりふのいずれかを任意で組み込むという企画設計自体がすでに面白く、強く惹かれました。
多くの参加者の方が三題とせりふの両方を含めたお話を作られていて、毎回感心させられるとともに、刺激にもなります。三題噺というからには、私としては無理やり文中に言葉を組み込むのではなく、お題の単語を自然に置きたいという気持ちが強くあります。……果たして、うまくいっているでしょうか?
さて、このお話ではまず「黒子」を登場させるため、劇に焦点を当てたものにしようと思いました。こちらも、私の実体験をベースにして書いています。
「きょうりゅうのたまご」は小学生のころに生徒会で演じた劇の名前を、少しもじって使わせていただきました。また、きょうりゅうのたまごのようなものを舞台裏で作ることになったのも、大声で歌って新聞紙の音をかき消しながら制作したのも。似たような出来事が実際にあり、それを下敷きに書いています。
しかし書いてみて、意外と小説としては良いテーマになっていると感じました。「裏方が一瞬だけ舞台になる感覚」や「舞台に立たない人たちの時間」がここでは主役であり、劇の成功は関係ない、という構図が気に入っています。
……というより、私自身が「舞台裏」のことばかりが記憶に残っていて、当時の劇本番の記憶がないのですが。
劇成功の部分をお話の中で描くことも考えてはみましたが、このお話ではやめておきました。「裏方の活躍が、表舞台の成功につながった!」とすると、やっぱり引き立て役になってしまう感じがします。胸を張って、裏方をやりきって舞台袖で成功する姿が、私には必要だと感じたのです。
6.薫る風の妖精
【シロクマ文芸部】
お題:「コーヒーに」から始まる文章
公開:2025年10月19日
こちらも「シロクマ文芸部」さまに参加させていただいたお話になります。
このお話を書いたころ、よく通っていた飲食店が閉まることになりました。仮に通っていなくても、見知ったお店や場所がなくなることを寂しく思う性分ですので、とても残念でした。
気持ちが揺れることがあった場合、物書きの方たちの中には、その気持ちを創作にかえて昇華される方も多いのではないかと思います。私もその例にもれず、お題が「コーヒーに」でしたので、喫茶店を舞台として、お店の閉店を描いたお話でこのお題に挑んだ次第です。
最初に書いた、なくなってしまったお店も、やはりおじいさんひとりできりもりされていました。妖精のような存在が、気づかれないまま彼やお店を支えてくれればいいのに……という願いから、このお話を書きはじめた記憶があります。
私は、コーヒーもレトロな喫茶店の雰囲気も好きです。「店そのもの」よりも、「そこにいた人や空気」が後から思い出されるような感覚がたまにあって、そんな、かつて訪れた喫茶店のイメージとともに書き進めていました。
女性店員の正体をはっきりさせなかったところ、がこだわりポイントでしょうか。店主との関係性を明かしたり、主人公への好意を持たせたりすれば、もちろんドラマを作ることはできたと思います。
しかし、最後の「さよなら」と聞こえたかもしれない声を静かな余韻として残すには、先ほどの案はノイズになると考えました。
ホラーとも、ファンタジーとも違う、あたたかい読み味になっていればうれしく思います。
7.ドライバーの仕事
【シロクマ文芸部】
お題:「手を洗う」から始まる文章
公開:2025年10月26日
こちらも「シロクマ文芸部」さまに参加させていただいたお話になります。
「手を洗う」から始まる文章を、不穏なものとして描きたかった、というのがお話づくりの出発点でした。
結果「愛されたいと強く願うわけでもなく、ただ関係を終わらせるきっかけが欲しい」という欲望を抱えた女性の視点で展開するお話になりました。
「彼」の職業はドライバーであり、いつも不在で彼女のそばにはいない。どうしようもないことと彼女も理解しているものの、それが徐々に関係性を壊していき、最終的に血や匂いとなって現れることとなります。
とにかくこのお話では「どこまで明示するか」を迷いました。具体的に明かしていない部分が多くあるかと思いますが、読み手が不安を感じるギリギリのラインを攻めようとして描いた経緯があります。
関係が終わるとき、人はいつも悲劇的にふるまうとは限りませんよね。そんな彼女の姿こそが、私がいちばん描きたかった部分かもしれません。
8.揺れても、倒れない
【虹色創作部 / すすき】
テーマ:すすき
公開:2025年10月30日
こちらは、「虹色創作部」さまの企画に初参加させていただいたお話になります。テーマが「すすき」ということで、すすきが秋の七草のひとつであり「尾花」という呼称があるという点から考えはじめました。
かつて知り合いに「尾花さん」という人がいたな、と思い出したことで、飛躍的にアイデアが広がっていきました。
最終的には、尾花という苗字を持って生まれた主人公が「嫌いだった自身の名前とどう折り合いをつけていくか」というお話で展開させていくことに決まります。
そのまま素直に書けば「すすきを意味する自身の名前に肯定的になる」という結論に落ち着きそうですが、今回は「選びきらない、決意の手前」に焦点を当てて描くことにしました。
結婚や就職という、自身で生き方を選択できる大事な局面にあえて置くことで、名前そのものを肯定するのではなく「その名前のまま立つことを引き受ける」主人公の姿を描いた方が、「自分でどうにもならない属性問題」がより引き立つと考えたからです。
悩んだのは彼との結婚の扱いや、最終的に彼とどうなるのかの明示をするかどうか、です。価値観のズレははっきり描きたかった反面、彼を悪者にしたくはありませんでしたので、バランスをとって電話の直前まで……というかたちにしました。
面接での回答も、もう少し語らせてしまうとやりすぎのような気がして、静けさをキープするよう抑えたつもりです。
与えられそうになるラベルを、あえて選ばない。そんな彼女の選択を、自分の力でたしかに立つ、すすきの姿に重ねていただけたらうれしいです。
9.湯気とおでんと氷の音
【せりふ三題噺 / 爆弾低気圧マティーニ六法全書】
お題:爆弾低気圧 / マティーニ / 六法全書
せりふ:問題ありません
公開:2025年11月1日
このお話も、「せりふ三題噺」に参加させていただいたときのお話です。
大学生のころ、法学部の学生が持っていた「ポケット六法」を思い出したこと。それが、このお話を書きはじめたきっかけだったと思います。
大学生たちのお話にしよう。爆弾低気圧は天気の話で消化できる。となるとマティーニをどう出すか……で、「飲み会を家で開くとマティーニが出てきた」という案になりました。
おでんは完全に私の好みで出しています。ひとり暮らしでも余裕で大鍋でつくるので、お話の中の藤原もそのタイプの学生だったのでしょう。おでんとマティーニの組み合わせは、ちぐはぐのようでありながら「学生らしい揺らぎ」にもなっていて、気に入っています。
「六法が鍋敷き。諦めた夢というのは、生活の中でこうして沈むのだろうか。」
この文章は、お話の背骨の部分ですね。最後の「沈む」という言葉は、はじめは別の言い回しをしていました。マティーニのオリーブのモチーフと重ねたくて、書き上げる手前でこの表現に変えたのを覚えています。
また、説明になってしまっては余白を奪うと考え、藤原の事情を書きすぎないように意識したつもりです。
このお話で気に入っているのは、生活の中で好きなものを手放さなかった藤原を、竹井や河野が「成功者」として見上げるのでなく、「同じ時間をかつて共有した友人」として最後に扉を開けるところです。
理由はおそらく、私が「対等な関係」が好きだからだと思います。
10.華のないふたり
【アマノ文筆クラブ】
お題:「華のないふたり」というタイトル
公開:2025年11月2日
こちらは、「アマノ文筆クラブ」さまに初参加させていただいたときのお話です。タイトル変更不可でのお話づくり、という制限も面白いですね。
タイトルが同じだと、他の方とテーマが被ってしまわないかが心配でした。参加者のお話を読ませていただきながら内容を考えていた記憶があります。
華がないもの、で思いつく、裏方の雑務・表に出ずに名前の残らない仕事などをいろいろ考えた結果、「選挙の裏方」でいくことに決めました。
今回、多くは語らず会話だけの文章で進めるスタイルとしましたが、正直に言うとこの業界にあまり詳しくないため、こうならざるを得ませんでした……。
意識したのは、政治の是非や思想を語らないことです。ここも、詳しくはないというのもありますが「どの陣営か」などはこのお話に関係なく、焦点を当てるべき部分ではないと考えたからです。
十年という長い月日を、冷たい風当たりとともにやってきた、華はないけれど今日も続けている彼女らの境遇に重ねていただければと思います。
関西弁を使うからには……と、ちょっとした冗談をひとさじ入れてみているのがこだわりポイントでしょうか。
終わりに
今回は以上となります。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
気が向けば、第2弾も出せればと思います。
企画に参加されているみなさんは、「他の人がどうやって書いているのか」などは気になったりするのでしょうか。その反応も含めて、少し興味があります。
これからも5分程度で読める短編小説をアップしてまいります。
また、のぞきに来ていただけたら嬉しいです。
【これまで書いたすべての記事は以下にまとめてあります】
財布野紐ゆるみ全記事まとめ
※普段の企画参加以外の小説の創作裏話については、有料で出しています。
【雑談】
「なんと呼べばいいですか?」というご質問をいただきました。
ありがとうございます。
私は「財布野紐」が苗字で、「ゆるみ」が名前です。
財布でも、ゆるみでも、呼び方はなんでも大丈夫です!
これからもどうぞよろしくお願いします。
財布野紐ゆるみ
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書いてる人も偉い。書いてないけど考えてる人も偉い。まぶしい。