Chapter8. 微小発酵体の自律性④
↓の続き
だが主な相違点は以下の通りである。
卵黄微小発酵体は全ての動物組織の秩序的な始原であり、胚珠微小発酵体は全ての植物組織の始原である。一方、バクテリアの自己崩壊により生じる微小発酵体は、あらゆる有機的構造の秩序的終焉である。
そして驚嘆すべき事実がある!人工的白亜のそれと同様、地質的微小発酵体は秩序的な生命体である。それは単に形態の規定された独立した有形発酵体であるのみならず、第一章で紹介したフィブリンと同様、特定条件で発酵体機能を発現しつつバクテリア進化を遂げる為である。
また、微小発酵体は前述の如き永続性を享受するに止まらない。地質時代での岩石の形成時期から現在に至るまで生存し続ける驚異的なまでの長寿命を示している。これは即ち、微小発酵体が生理学的に不滅の存在であることを意味する。この最後の観察は、微小発酵体が真に秩序的な生命体であり、比類なき独自の存在だと完全に納得させるものである。
これぞ正に、微小発酵体が本質的かつ目的的な自律的解剖学元素である為であり、個体発生過程における解剖学的体系の発達に並行して、各々の微小発酵体は実質的かつ機能的成長により在るべき姿へと成熟する為であり、故に繰り返す通り、微小発酵体は比類なき秩序的生命体である。この新たな解剖学的、生理学的原理の正当性を裏付ける実験的証拠を以下に記す。
雌鶏卵の卵黄微小発酵体は卵胞に予存しない。その存在は卵胞微小発酵体の実質的成長と増殖の帰結である。その証明には、雌鶏卵の卵黄微小発酵体および直径僅か数mmのグラーフ卵胞に残る卵胞微小発酵体に元素分析を実施すれば十分である。以下は分析結果である。

炭素2%の差は、微小発酵体の近成分の性質にある多大な相違点に起因する。卵黄微小発酵体には卵胞のそれを遥かに上回る鉱物質が存在したと付言しておこう。従って卵胞微小発酵体は、自身の増殖と卵黄の成長に並行する実質的な成長を経て卵黄微小発酵体へ変化すると実証された。端的に、卵胞微小発酵体は卵黄微小発酵体へ成熟する存在だと言えよう。
この実験結果に加え、卵黄微小発酵体が胚発生に化学的、生理学的、組織学的な貢献を可能とする迄の、この成熟過程に発生する化学、生理学、解剖学的現象全てを考察対象とするのは余りに冗長であろう(Les Microzymas, p.487参照)。留意すべき重要事項は、如何なる段階にも卵胞には微小発酵体が存在し、これは卵黄には元々存在しないが、将来卵黄微小発酵体へと変化することである。
従って、私が提示する上記最新の観察も含む諸々の特殊な事実は以下の的確な実験的概念を一般的原理へと昇華させる。即ち、微小発酵体は解剖学的分析の究極単位であり、またビシャの生理学構想を充足させると共に「形態学的未定義な生物質」の構想を打ち砕く、正真正銘の単純な解剖学元素である。
だが筋として次の指摘をしよう。細胞学者は細胞が最も単純な解剖学元素だと認識し、”omnis cellula e cellula”、即ち細胞は必ず細胞より生じると信じている。そして細胞が生命単位であり、また本質的生命であり、生物全体がこの基本的単位の総体だと想像する。だがこれは不完全かつ表面的な観察に基づく推論であり、それは細胞が一過性の構築物である為であり、またそれ自体に解剖学元素として微小発酵体が存在する為である。従って、自律的に生きる解剖学元素の特徴を真に保有するのは微小発酵体のみであり、故に生命単位の認識に相応しい。私はかつてこれを以下の通りに表現した。
微小発酵体はあらゆる生体組織の始原と終焉に鎮座している。生物の細胞、組織、器官が有機的な構成を持つ為の基本的な解剖学元素である。
ではこの件を簡潔に説明しよう。基礎的な解剖学元素の構想を突き詰めると、単体の分子構造が物理学上の原子を構成要素とする如く、微小発酵体は有機的構造を構成する生ける原子だと示唆される。その単純な次元で静的であれば真実であろう。だが実際には、あらゆる有機的な物体と同様に本質的に無常の存在であり、特にその多種多様な機能を実現する上では猶更である。事実、同一生物種が持つ種々の解剖学的体系にその機能的相違がある。また、胚発生段階を含む全年齢層でも相違がある。これらを遡及すると、卵胞微小発酵体の実質的成長の帰結である卵黄微小発酵体である。故に、厳密な定義では原子ではない。解剖学的に常に単純構造ながら、解剖学的体系が其々の間断なき発生段階で要求する新たな存在条件への適応に応じ、微小発酵体は栄養現象を介して在るべき姿へと変貌する。従って、胚、即ち将来的な卵巣の中においても卵子微小発酵体が発生し、再度同じ循環が開始するのである。
付言しておこう。これは、総論ならびに細部において、一般解剖学、病理解剖学、生理学的な多数の事実により確認、検証され、確証のある理論であると。
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