【第248回】 Marketing Cloud Next : マーケティングフローの基本的な要素
Marketing Cloud Next Growth & Advanced Edition では、フローを活用してさまざまなシナリオを自動化できます。本記事では、フローを構成する基本要素(Element)について解説します。
待機要素
一定期間待機
次の日付まで待機 / 属性に基づく待機(Winter ’26 で追加)
イベントまで待機
分岐要素
決定
パス試験
Einstein 決定(Summer ’25 で追加)
Determine CRM Record for Individual(Winter ’26 で追加)
一定期間待機要素
「一定期間待機」要素に到達した連絡先は、指定した期間待機した後にフローを再開します。

間隔の指定
待機期間は以下の単位で設定できます。
※「年」の単位はありません。
分
時間
日
月
さらに「特定の時刻に再開」というオプションを指定することも可能です。この機能を使うと、メール送信のタイミングを柔軟に調整できます。
例:送信タイミングの調整
フローのエントリー時刻が 15:30 の場合、デフォルトでは 1 通目・2 通目ともに 15:30 に送信されます。しかし、2 通目を 15:00 に送信したい場合は「特定の時刻に再開」を活用します。
シナリオ
エントリー時刻:2025 年 3 月 12 日 15:30
待機期間:3 日
特定の時刻に再開:15:00
実際の進行
2025 年 3 月 12 日 15:30 にエントリー
3 日間待機 → 2025 年 3 月 15 日 15:30
この時点で「特定の時刻に再開」が適用され、2025 年 3 月 16 日 15:00 に送信が実行
→ この場合、実際の待機期間は「約 4 日間」となってしまいます。
解決策
例えば、2025 年 3 月 15 日 15:00 に送信したい場合は、待機日数を 2 日に設定する必要があります。この点は設定ミスが起きやすい箇所なので、事前に理解しておくことが重要です。
次の日付まで待機要素
「次の日付まで待機」要素は、連絡先がこの要素に到達した際に指定された期日まで待機し、その後フローを再開する機能です。
この機能では、以下の 2 つのパターンで 日付/日時 を選択できます。
① 固定されたスケジュールに基づく「静的な日付/日時」
②日付属性に基づく「動的な日付/日時」(Winter '26 新機能)

① 固定されたスケジュールに基づく静的な日付/日時
こちらは単純にカレンダーから選択する日時です。

Marketing Cloud Engagement との違いは以下です。
指定可能な日付範囲
Engagement:最大 5 年先までの日付を設定可能
Growth & Advanced Edition:2125 年 12 月 31 日まで設定可能。
② 日付属性に基づく「動的な日付/日時」(Winter '26 新機能)
「日付まで待機」は従来、固定された日付/日時のみをサポートしていましたが、Winter '26 移行、属性に保存された日付/日時 に基づいてフローを再開できるようになり、複雑な回避策を構築する必要がなくなりました。

これにより、ユーザー固有の属性(例:契約開始日や誕生日)に基づいた柔軟なフロー制御が可能になります。
オプションとして、属性の 日付/日時 を基準に 〇日前・〇日後、〇時前・〇時後といった日時を指定して再開することも可能です。

イベントまで待機要素
「イベントまで待機」要素は、顧客の特定の行動(イベント)をトリガーとして、フローの次のステップに進む機能です。

「イベントまで待機」要素を活用すると、例えば、以下のようなイベントに対応できます。
メールが開封された時
メールのリンクがクリックされた時
メールがバウンスされた時
メールに返信があった時(Spring '26 で追加)
指定した期間内に条件が満たされると 即時に待機が終了 し、次のステップに進みます。標準のイベントとしては、以下のようなものがあります。

重要:Winter '26(2025 年 10 月)以降は「エンゲージメントシグナル」で定義したカスタムイベントにも対応しました。これにより、特定の Web ページを閲覧したり、特定の Web ページ内のリンクをクリックしたタイミングで待機を解除するなど、より柔軟なジャーニー制御が可能になりました。

Tips: 時間帯に応じた対応の工夫
たとえば、深夜帯に顧客がリンクをクリックした時、即時にメールが送信されることで、その顧客からのクレームになる可能性があります。そのような場合には、以下のような調整が可能です。
後続のパスで、一定期間待機要素 を配置
配信時間を指定(例:2 通目のメール送信時間を 15 時に設定)

クリックが 15 時より前に発生した場合:当日の 15 時にメール送信
クリックが 15 時以降に発生した場合:翌日の 15 時にメール送信
顧客に対して即時送信することが問題ない場合は、この対応は不要ですが、タイミングをコントロールすることでエンゲージメントを最大化できます。
決定要素
「決定」要素は、属性データをもとに特定の条件を満たすターゲットを抽出し、メール配信などを出し分ける際に使用する要素です。

以下は、「決定」要素の条件設定画面のサンプルです。

データグラフの準備について
決定要素を使用する前に、Unified Individual オブジェクトをベースとしたデータグラフを作成し、[設定] > [Marketing Cloud] > [レポートと最適化] > [顧客エンゲージメント]にある「基本的なパーソナライズを設定」で、そのデータグラフを指定しておく必要があります。

データグラフとは「データモデルオブジェクト間の関係を視覚的に表現したもの」(ヘルプより引用)であり、これを事前に設定しておかないと、決定要素内でその属性を選択できなくなります。

この「データグラフ」の設定については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
追加情報
なお、Summer '26 新機能リリース では、データグラフなどから取得した関連属性(Related Attributes)の数値データに対し、以下の集計関数が利用できるようになりました。
平均(Average)
合計(Sum)
最大(Max)
最小(Min)
これまでは、「レコード数が 1 件以上(Count >= 1)」といった条件しか設定できませんでした。

また、日付(Date)データに対する条件も強化され、「今日と同じ記念日(Is Anniversary of Today)」「今日(Is Today)」「直近 ◯ 日間(Last Number of Days)」などの新しい演算子が 20 種追加されています。
Is Anniversary of Today
Is Not Anniversary of Today
Is Today
Is Tomorrow
Is Yesterday
Is This Month
Is Next Month
Is Last Month
This Year
Next Year
Last Year
Is On
Is Before
Is After
Greater Than Last Number of Days
Last Number of Days
Next Number of Days
Last Number of Months
Next Number of Months
Last Number of Years
注意:日時(Datetime)の項目は、これまで通りの 8 種からの選択となります。

従来は、関連属性に含まれる数値データや日付データに対して柔軟な条件設定を行うことが難しかったため、複雑な判定ロジックを実現するには事前のデータ加工やセグメント作成が必要になるケースもありました。
今回の機能強化により、例えば「平均購入額が 100 ドル以上で、かつ直近 14 日間購入がない顧客」や、「最終購入日が今日と同じ記念日に該当する顧客」といった条件をフロー内で直接判定できるようになり、これまで以上に高度で精度の高いオーディエンス制御が可能になります。
パス試験要素
「パス試験」要素 とは、Marketing Cloud Engagement で言うところの「ランダム分岐」と「Path Optimizer」機能を足したような機能になります。
※ このパス試験要素(Element)は Advanced Edition 限定です。つまり、ランダム分岐は Growth Edition では利用できないということになります。

この機能の詳細については、以下の記事で詳しく解説しています。
Einstein 決定要素
Summer '25 の新機能リリースでは、フローに新たな AI 活用型の決定要素の 「Einstein 決定」 が追加されました。この機能を利用することにより、Einstein Engagement Scoring や Einstein Engagement Frequency といった 2 種類の AI 分析結果をもとに、よりスマートな分岐を構築できます。

Einstein Decision を使えば、ボタン操作だけで最適なパスを自動生成できます。たとえば、Einstein Engagement Scoring の ペルソナ分岐 を選択すると、次のように自動的に分岐パスが作成されます。

この機能の詳細については、以下の記事で詳しく解説しています。
Determine CRM Record for Individual 要素
Winter ’26 新機能リリースでは、新たに追加された「Determine CRM Record for Individual」の分岐により、セグメントトリガーフロー内で流れてきた 統合個人が CRM 内で取引先責任者・リード・見込み客のどれに該当するかを自動で判定できるようになりました。


この機能の詳細については、以下の記事で詳しく解説しています。
いかがでしたでしょうか。
マーケティングフローには、今回紹介した要素のほかにも、「レコードの作成」「レコードの取得」「サブフロー」などの定番の要素も存在します。また、マーケティングフロー専用の「同意レコードを作成」する要素も存在します。しかし、フローのロジックを理解するうえでは、今回紹介した、最も基本的なマーケティング向けの要素を押さえておくことが重要です。
今回は以上です。
