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【第363回】 新機能 Winter '26 ハイライト:Marketing Cloud Engagement

Marketing Cloud Engagement の Winter '26 新機能リリース の情報が公開されましたので、今回はそのハイライトをまとめてみたいと思います。

今回のリリース期間は 2025 年 10 月 3 日から 11 月 1 日 にかけて順次行われます。この記事を公開している現時点では、まだ機能はリリースされていませんのでご注意ください。

今回の注目ポイントは、Marketing Cloud Next for Engagement と呼ばれる Marketing Cloud Next と Marketing Cloud Engagement の連携機能です。

ただし、発表内容自体は Connections 2025 のセッション「The Future of Marketing Cloud Engagement」を超えるものではなく、そこで紹介された機能が 2025 年 11 月以降に正式リリースされる という内容でした。

また、ジャーニー履歴ダッシュボードから「すべての」ジャーニー履歴を直接ダウンロードできる機能は、間違いなくゲームチェンジャーです。これまでは、画面に表示された分のデータしか CSV でダウンロードできず、すべての履歴を取得するには Journey History Download API を使う必要がありました。しかし今後は、ダッシュボードから直接すべてのデータを CSV で取得できるようになります。

これをどのように活用できるかと言えば、特定のパスを通過した連絡先を抽出し、データエクステンションにインポートすれば、すぐに別のシナリオで配信リストとして活用できます。その他、ジャーニーを停止した後に、別のシナリオで再起動したい場合などにも使えます。

さらに、Marketing Cloud Next を利用している場合 は、ジャーニー履歴を Data Cloud に取り込み、セグメントのフィルターとして活用することも可能です。こちらの場合はダウンロードを介さずに直接分析や施策に反映できるため、利便性はさらに向上します。

そのほか、今回は WhatsApp 関連のアップデート も数多く含まれています。日本国内では LINE の方が主流であるため、利用シーンは限られるかもしれませんが、WhatsApp を活用している企業にとっては見逃せない改善といえるでしょう。

それでは、さっそく今回の新機能をリリース順に確認していきましょう。




Marketing Cloud Next for Engagement 関連

Marketing Cloud Engagement 管理者は、個々のユーザーに対して、これらの機能へアクセスするためのナビゲーションボタンを「オン」または「オフ」にしてアクセスを制限することができます。

時期:この機能は、2025 年 11 月から段階的に利用可能になります。

① Agentforce を活用したダイナミックな顧客体験の創出

Agent Builder では、Journey Builder 内の既存のジャーニーに関連する特定のタスクやユースケース向けた「Journey Decisioning エージェント」を設定できるようになりました。

このエージェントは、各個人に合わせてカスタマイズされたメッセージコンテンツを作成し、どのジャーニーが最も関連性の高いかを判断できます。コンテンツとジャーニーの選択内容はデータエクステンションに保存され、マーケターは Journey Builder で使用できます。

具体的には以下のアクションが提供されます。

  1. Evaluation Journey

    • 顧客の現在のジャーニーステータスを分析し、エンゲージメントやコンバージョン率を向上させるための調整や最適化が必要かどうかをエージェントがガイドします。

  2. Trigger Journey Entry Event

    • 顧客の行動データやキャンペーンロジックを基に、適切なジャーニーへのエントリーをエージェントがトリガーします。

  3. Create Content

    • GenAI を活用して、ブランドトーンや顧客データ、キャンペーン目標に基づいたメールや SMS のカスタマイズコンテンツを作成します。

  4. Send Copy to Data Extension

    • 作成されたコンテンツを適切な Data Extension に送信し、選択したチャネルでのパーソナライズと配信が行えるようにします。

対象:この変更は Marketing Cloud Next for Engagement のみに適用されます。MC Agent Actions User 権限を持つユーザーのみが、ジャーニーで Agentforce 機能を利用できます。


② フローで Journey Builder のイベントを受け取る

連絡先が目標条件を満たしたり、ジャーニーにエントリーしたり、ジャーニーから終了した時に、フローをトリガーできるようになりました。

Journey Event トリガーの種類

  1. Entry Journey

    • 連絡先がジャーニーにエントリーした際にフローをトリガーします。

  2. Exit Journey

    • 連絡先がジャーニーを終了した際にフローをトリガーします。

  3. Goal Met

    • 連絡先が目標を達成した際にフローをトリガーします。

これらのジャーニーのイベントを使用して、顧客をフローに追加したり、フロー内の「Wait Until Event」待機アクティビティから顧客を解放したりできます。


③ フローからジャーニーへ連絡先を挿入する

フローの新しい「ジャーニーに送信アクションを使用して、フロー上の連絡先をジャーニーに挿入できます。1 つのフローで複数のジャーニーへの挿入を処理できます。

マーケターは、コードではなくクリック操作で、単一のフローキャンバスビューからジャーニーを連結できます。この機能強化により、顧客の属性や行動に基づいて、特定のジャーニーを優先順位付けできるようになり、エンドツーエンドの顧客体験が実現します。


④ ジャーニーとキャンペーンを結び付けてレポートを強化

Marketing Cloud Engagement の既存のジャーニーをキャンペーンに追加することで、組織化と分析の強化を実現できます。

Marketing Cloud Next のキャンペーンは、アクティビティとデータのための接続されたワークスペースであり、Salesforceプラットフォーム全体のマーケティングアクティビティに関する唯一の信頼できる情報源となります。

ジャーニーをキャンペーンに接続すると、Marketing Cloud Next によってそのジャーニーのメトリクスがキャンペーン全体のデータに自動的に集計されます。Journey Builderでは、接続されたジャーニーにはキャンペーンの一部であることを示すアイコンが表示されます。さらに、マーケティングユーザーは、Marketing Cloud Next のキャンペーンページでもジャーニーをキャンペーンに接続できます。


⑤ ジャーニー履歴のデータを使用した レポートとセグメント

ジャーニー履歴のデータを Data Cloud に追加することで、カスタマージャーニーをより深く理解できるようになりました。

Marketing Cloud Next の「分析」タブでは、このデータを使用して、ジャーニーのエントリ、ジャーニーの終了、目標条件、メッセージングアクティビティに関するカスタムレポートを作成できます。

さらに Data Cloud では、このジャーニー履歴を使用して、セグメントの作成、データ変換、高パフォーマンスでコピーゼロのエクスポートを実行することもできます。


⑥ メッセージ使用状況が画面上で確認可能に

Marketing Cloud Next for Engagement にはデジタルウォレットが含まれており、日別、チャネル別、Marketing Cloud Engagement ビジネスユニット別のメッセージ使用状況を把握できます。請求を簡素化するため、送信するすべてのメッセージにSalesforceメッセージクレジットが消費されます。

この機能は、2025 年 7 月 15 日にリリースされています。


Automation Studio 関連

① クエリアクティビティオプティマイザーダッシュボードの登場

SQL クエリアクティビティオプティマイザーダッシュボードから得られるインサイトを活用することで、Automation Studio の SQL クエリパフォーマンスを向上できます。各クエリにはパフォーマンスリスクスコアと実用的な推奨事項のリストが付与され、効率性の向上と実行時間の短縮に役立ちます。


② Automation データビューのデータ保持期間が 6 か月に延長

Automation 関連のデータビューのデータ保持期間は、これまでは当日分も含め、31 日間のみでしたが、6 か月まで延長 されました。これにより、より深い洞察を得ることができ、パフォーマンス確認やトラブルシューティングをより効率的に行うことができます。

参考:オートメーションアクティビティの実行時間を一括取得する方法


③ オートメーション開始時間の推奨事項を改善

統計データに基づき、最適なオートメーションの開始時間を提案するレコメンデーション機能 が機能改善しました。自動化をスムーズに実行するために、最も効率的な開始時間を確実に選択できるようになります。

リリースされたら内容を確認して、以下の記事の内容を変更する予定です。


④ オートメーショントリガーの実行を強制停止する

「停止」ボタンを使用すると、キューに登録されているすべてのオートメーションをクリアできます。これにより、前のオートメーションが完全に停止する前に新しいオートメーションの実行が開始されることがなくなり、システムの安定性とデータの整合性が向上するとのことですが、内部の挙動が変わったというイメージでしょうか。


Journey Builder 関連

① ジャーニー履歴ダッシュボードの結果をダウンロード

ジャーニー履歴ダッシュボードから、フィルター条件に一致するすべての履歴イベントを直接ダウンロードできるようになりました。さらに、アクティビティ ID を指定して検索することも可能になりました。

これまでは、ダッシュボードに表示された分のデータしか CSV でダウンロードできず、スクロールするのが大変でした。そのため、すべての履歴を取得するには、下記の記事で解説しているように Journey History Download API を利用する必要がありましたが、今後は、マーケターなどがダッシュボード上から簡単にダウンロードできるようになります。

この機能は非常に便利です。これまでは、特定のパスを通過した連絡先を取得するために、あらかじめ「連絡先の更新」アクティビティを配置し、データエクステンションに記録しておく必要がありましたが、今後は、そのような準備をせずに、対象のパスを通過した連絡先を直接ダウンロードできます。このダウンロードしたデータをデータエクステンションに取り込めば、SQL クエリでの分析や追加処理も容易に行えます。ただし、取得できるのは過去 30 日間のデータに限られる点には注意が必要です。


② ジャーニーダッシュボードの表示機能拡張

ジャーニーダッシュボードに新しいアイコンが追加され、より多くの情報を一目で確認できるようになりました。

接続されたキャンペーンの新しいアイコンは、どのジャーニーがキャンペーンの一部であるかを示します。HTS アイコンは、ジャーニーで高スループット送信が有効になっていることを示します

また、「最終アクティビティ日」列には、ジャーニーで最後にコンタクトが処理された日付が表示されます。複数のフィルターを適用すると、ジャーニー数が更新され、選択したフィルターに一致するジャーニーの数が表示されます。


③ MMS メッセージで旅をパーソナライズ

Journey Builder が MMS(マルチメディアメッセージングサービス)のサポートにより、メッセージング機能が拡張されます。テキストに加えて、画像、GIF、音声、動画を送信することで、メッセージをパーソナライズし、エンゲージメントを促進できます。

※ 日本で利用できるかは今後発表されると思います。


④ ジャーニーの一時停止におけるデフォルト選択の中止

ジャーニーを一時停止する意図が本当にあるかどうかを確認するため、一時停止のモーダルからデフォルトの選択を削除しました。変更を保存する前に、一時停止の動作を明示的に選択する必要があります。


⑤ デフォルトでハイスループット送信(HTS)を有効にする

すべてのジャーニーに「ハイスループット送信」が確実に搭載できるようになります。管理者は、ビジネスユニット内のすべての新規ジャーニーに対して、デフォルトの HTS を有効にすることができます。セットアップの「メールオプション機能」で、この機能をオンにしてください。

※ これまでは、デフォルトでオンにするには、サポートケースに申請する必要ありました。

ちなみに、ジャーニーで一度 HTSを有効にすると、その特定のジャーニーに対して HTS を無効にすることはできません。HTS はデータビュー、配信時間枠の設定、送信ログなどのよく使用される機能には影響しませんが、一部のトラッキング機能や送信機能に影響する可能性があります。

  • Journey Builder のメール送信サマリーレポートや日別レポートでは HTS メールは追跡されませんが、メトリクスは Journey Builder 分析や Intelligence Reports で利用可能です。

  • HTS 有効時には Email Studio のジャーニートラッキングフォルダは作成されませんが、メトリクスは Journey Builder 分析や Intelligence Reports で利用可能です。

  • メールアクティビティでエラーや抑制が発生しても、購読者はジャーニーに残ります。但し、メールは配信されません。

  • HTS のメール送信エラーはジャーニー履歴に表示されません。確認するには、ジャーニーキャンバスから該当アクティビティを開き、「詳細を表示」→「未送信」タブを参照します。Automation Studioの「NotSent 抽出」で送信されなかった購読者を確認することもできます。

  • フィールドレベルの暗号化が有効な場合、HTS は利用できません。

  • HTS 有効時にはメッセージの優先度は認識されません。

  • HTS はトリガー送信における購読者エラーしきい値を認識しません。


⑥ Salesforce データエントリーソースの精度向上

この変更は Spring '26 リリースです。この機能を事前にテスト目的で有効化するには、Salesforce カスタマーサポートにお問い合わせください。

Journey Builder の Salesforce データエントリーソースの精度が Spring '26 で向上します。エントリ条件で選択する「Is Updated」は、フィールドの前後の値を比較することで、CRM オブジェクトの変更をより正確に検出できるようになりました。

これにより、より多くの連絡先が 適切なタイミングで ジャーニーにエントリできるようになります。例えば「ステータス」フィールドが、「進行中」から「完了」に変更された連絡先は、ジャーニーエントリの対象となるため、特定の顧客ライフサイクルの変化に基づいた自動化が可能になります。


Contact Builder 関連

① データエクステンションから消去されたデータを復元する

Contact Builder の [ごみ箱] に新たに「消去済みデータ」フォルダが追加されました。データエクステンションで [レコードの消去] ボタンを使用してすべてのレコードを削除した場合、そのデータはこの「消去済みデータ」フォルダに移動し、30 日間保持されます。

誤ってデータエクステンションのデータを消去してしまった場合でも、新しいデータエクステンションとして復元することができます。

操作方法:
1. Contact Builder の [データエクステンション] タブから、
2. [ごみ箱] > [消去済みデータ] を選択します。
3. 復元したいデータを選択し、[復元] をクリックします。


WhatsApp 関連

① ブロックアウト時間枠によるコンプライアンスの確保

特定の時間帯にメッセージの配信を制限するには、ブロックアウト時間枠を設定します。不要なコミュニケーションや潜在的な苦情のリスクを軽減し、メッセージングの運用が地域の規制や顧客の好みに準拠していることを保証します。


② 時間制限のあるオファーを送信する

WhatsApp を通じて、時間制限のあるプロモーションやクーポンを直接顧客に提供し、エンゲージメントを高めることができるようになりました。この新しいインタラクティブメッセージテンプレートには、オファーの有効期限設定機能が搭載されており、行動を促して売上を伸ばすことができます。


③ WhatsApp ステッカーを使って会話を盛り上げる

WhatsApp セッションメッセージを、厳選されたステッカーでさらに魅力的にすることができるようになりました。楽しく視覚的に顧客への返信を表現できます。

ステッカーは .webp 形式で作成し、Content Builder またはパブリックホスティングサービスにアップロードして、安全な URL を取得してください。送信したステッカーは、顧客がダウンロードして転送できます。


④ ビジネス拠点を顧客へ共有する

位置情報を送信することで、顧客が簡単にアクセスできるビジネス情報を提供できます。WhatsApp セッションメッセージとテンプレートメッセージで位置情報を送信できるようになりました。位置情報、緯度、経度などの詳細情報を追加して、顧客をビジネスまで誘導しましょう。


⑤ 新しい Meta API にアクセスする

WhatsApp Direct のユーザーは、マーケティング向けに特別に設計された Meta の最新 API セットが利用できるようになりました。これにより、キャンペーンの実行を効率化し、配信率を向上させることができます。


Einstein 関連

① Einstein エンゲージメントスコアリングの柔軟性改善

Einstein エンゲージメントスコアリングがより柔軟になり、ビジネスユニット単位で「有効化」または「無効化」を選択できるようになりました。

また、Web エンゲージメントのトラッキングを制御するには、Einstein エンゲージメントスコアリングで Web コンバージョンの「有効化」または「無効化」を切り替えることができるようになりました。

※ この機能は、2025 年 7 月 31 日にリリースされています。


監査履歴 関連

① 詳細監査履歴(有償版)で自動化アクティビティの洞察を獲得

高度な監査証跡のアップデートにより、Automation Studio アクティビティを作成、更新、または削除したユーザーを追跡できるようになりました。

ファイル転送、クエリ、データのコピーまたはインポート、スクリプト、抽出、レポート、待機、データ検証、ジャーニーイベントに関する詳細なアクションログにアクセスできます。


② 基本監査履歴(無償版)でパッケージの変更を追跡する

基本監査履歴に、インストール済みパッケージに関する変更が含まれるようになりました。これにより、ユーザーがパッケージの内容(コンポーネント、権限、クライアントシークレットなど)を変更したタイミングを監視できるようになりました。


いかがでしたでしょうか。

やはり、Marketing Cloud Next for Engagement 関連のリリースは注目ポイントですね。すでに Marketing Cloud Engagement+ の販売は始まっていますが、単にライセンスを購入すれば既存環境のまま利用できるのか、それとも新しい環境へ データ移行や環境構築が必要になるのか が気になるところです。もし後者だとすると、ややハードルが上がる印象です。

今回の Winter ’26 リリースは 2025 年 10 月 3 日から 11 月 1 日の間に順次展開されます。この記事を公開した現時点では、まだ新機能は反映されていませんのでご注意ください。

今回は以上です。


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