(実践解説)「プロジェクト発信型英語プログラムProject-based English Program /PEP©鈴木佑治」(10)...DYOPIE Volume 1, PART 1, UNIT 2の活動:グローバル社会に向けてアッピール
表紙イメージ:グループ・プレゼンテーション/ディスカッション風景。アメリカの大学・大学院では普通に見られる。(imagesjpg)

PEPでもこれが習慣になる。
はじめに
「(実践解説)プロジェクト発信型英語プログラムProject-based English Program /PEP (6)...Volume 1, PART 1, UNIT 1の活動について,実践編(1回目|鈴木佑治 N.Yuji Suzuki」
「(実践解説)プロジェクト発信型英語プログラムProject-based English Program /PEP(7)...Volume 1, PART 1, UNIT 1の活動について,実践編(2回目|鈴木佑治 N.Yuji Suzuki」
に続き、使用テキスト『プロジェクト発信型英語プログラムDo Your Own Project in English Volume 1』のPART1, UNIT 2の実践活動。
PART 1, UNIT 1の活動で初めて英語で互いを知り合う機会を得た。試験のための英語から使って楽しむ英語にモードは変わった。次の授業、すなわち、UNIT2では、それぞれの関心事を披露し共有する。その為に、1週間の間にその準備をする。それぞれ約18年以上の人生を歩み、あれやこれや関心を注ぐ物事が多い。良いもの嫌なもの様々。一つ選ぶとしたら、これが以外に難しい。関心事に優劣は無いからだ。今回は何にするか、何せ、発表時間は数分。前回に友達となった人たちと話したくなる。そこで日本語による情報交換が行われる。それを基に自らの関心事を英語で2~3分のショート・スピーチにまとめる。時間が無い、一々言葉で説明したら大変だ。見せて、触れさせて、味わさせて、聞かせて、匂いをかがせることが出来れば、言葉の省エネができる。若者はこれが得意だ。
DYOPIE Vol. 1,PART 1, UNIT 2 Warming up, Appealing Yourselfの到達目標
UNIT 2で行うこと
1.英語で好きなこと、関心があることを中心に自己アッピールする。
2.他の人のアピールを聞き、互いの理解を深め、連帯感を高める。
3.プレゼンテーション・ディスカッションのフォーメーションを学び実践
する。
グローバル社会に向けてアッピールする重要性
PEPの最終的な目標は、グローバル社会に向けて発信することだ。それはPEP「クラスワーク」そして「クラス外ワーク」から始まっている。その都度その都度、関心事における問題発見・解決プロセスを発信することだ。それぞれのアッピールがそのままグローバル社会に届く。
横浜商科大学准教授の石田早苗先生の英語授業ではGoogle Sitesなど先端マルチ・メディア・アプリケーションを取り入れ、クラス全体のサイトを作成し、また、受講者もそれぞれサイトを作成し、プロジェクト活動を逐次uploadしているようだ。同じような英語活動をしている授業はこれから増えていくことだろう。
「グローバル時代に合った英語プログラム紹介:石田早苗先生のMulti-Productive English Program(MPEP)|鈴木佑治 N.Yuji Suzuki」
UNIT 2 での活動はその出発点だ。自らを訴えよう、近い将来の大学、大学院入学、企業採用は間違いなく試験という間接的方法ではなく、個々人のサイトを見ての評価に変わっていくであろう。英語に限れば、~テストで何点とか英語検定何級合格などという時代は終わり、英語で何ができるかを直接評価する時代はすぐそこに来ている。アメリカの主要大学はSATなどのスコアの提出はとっくにオプショナルになっており、フィールドワーク体験的独創力を何らかの形で直接示す成果型に変わってきている。
「SAT/ACTは不要!アメリカのトップ大学、創造力重視の選抜に踏み切る!(その1)|鈴木佑治 N.Yuji Suzuki」
今やアメリカではトップ大学を出たからと言って就職は全く保証されない。100社,200社にエントリーシートを出しても返事がないそうだ。Ivy校を出たから、理系卒だから就職は万全と思っていた矢先に、一昨年程前からジョブ・マーケットは変わった。以下のサイトをご覧あれ。
*Unemployment Crisis: Why College Graduates Are Struggling In 2025
*Harvard Grads Face Tougher Job Hunt with 25 Percent Still Seeking Work | The Next Gen Business
*MBA Grads From Top Schools Struggling to Find Work: Report
トップ大学を出ても実力があるかどうかは分からない。既に経験がある者を選ぶ。その経験が欲しいから仕事が必要なのに、その仕事の経験が求められるといった悪循環。まさしくCatch-22だ。
仕事を探す者ではなく、将来の仕事を作り出す者を求めているわけだ。日本も早晩そうなるだろう。PEPによるリアル・ライフ・プロジェクトは、関心事の探究が新たな関心事を創生し、それが未来の仕事を作り出す。大学時代から、いや、高校時代から始めその成果をサイトで発信していれば目に留まるだろう。UNIT 2はその小さな一歩だが、自己変革への大きな一歩だ。
クラスワーク
[Step 1】クラス全体が幾つかのグループ(1グループ5名程度)に分かれる。
PEPのプロジェクト授業の主役は学生。知識伝授型を脱却し、個々の学生がそれぞれの関心事をテーマにプロジェクトを組み、問題発見解決に挑む。教員はアカデミック・アドバイザー(academic advisor)であり促進役(facilitator)に徹する。学生の扱うテーマの多くは教員は知る由もなく、それについてはむしろ学ぶ立場だ。
筆者自身40年間学生のプロジェクトから実に多くのことを学んだ。筆者は、先達として学問、教育、研究、社会について豊富な知識と経験を有し、積み知識を持ち、時に応じてアカデミックなアドバイスを与え、教員としての責務と権限を、学生主体のプロジェクト活動促進に向けることができる。
PEP授業中に頻繁にある単純なアドバイジング例の一つ。「先生、~って英語でなんていうの?」などと言った、英語語彙、表現、文法、意味、発音に関する質問への対応だ。単純に答えを言わないこと。彼らが中高で習ったことを想起させ、できるだけ自力で辿り着くようヒントを与える。それで駄目なら、例えば、「海苔」は"nori"でいいんだよ、"see weed"という英語があるが、それは、海藻の総称、日本の海苔は大事に養殖されたものだ、よって、"nori"に映像を添えて発信しよう、などと答える。
クラスワークの大部分は学生主体で進行され行われる。まず、小グループは毎回一人のモデレーターModeratorを立て、グループの各メンバー―が一ずつ前回のクラス外ワークで行ったプロジェクト活動のプレゼンテーションを行う。モデレーター自身も最後に行う。プレゼンテーションを聞きながら不明な点があれば進行に支障が無いよう質疑応答し共有する。モデレーターはその分の時間はカウントしない。
【Step1】はまずグループ作りだ。全員席を立ち作業にかかる。教員はそれを見守る。やがて様々な背景で結びついたグループが出来る。仲良し、同じテーマ、何となく、様々だ。このグループで一学期を通す。自分たちの意思で出来上がったグループ、筆者の現役中、途中で仲たがいして空中分裂したグループは一つとしてなかった。
その日のモデレーターを決め、机をグループごとに並べて着席する。約15分の小ドラマだが、学生はコミュニケーションの場づくりの最初の一歩を踏む。
以下の写真は、筆者が2001年~2008年千葉商科大学(当時加藤寛学長/慶應SFC創始者)新学部政策情報学部で導入したPEPクラスの小グループ、"Activating Sports in Ichikawa"と称する千葉県市川市のスポーツを活性化するグループ・プロジェクトを立ち上げ、4月から8月の1学期を通し、結構の成果を出し英語で発信していた。スポーツ好きが集まり、これは8月末に行った最終成果発表用のスライドの一枚目だ。英語の資料、日本語の資料、実際の活動を英語にして発表していた。あれから約25年、現在43才位、社会に出て職場や地域社会できっと役立てていることだろう。

【Step2】グループごとモデレーターの指示で各自3分程度でUNIT 1のクラス外ワークで行ったプロジェクトのプレゼンテーション・ディスカッション
UNIT 1で習った自己紹介と他の人を紹介する表現を使い、モデレーターはグループメンバー1人ずつ紹介し、各自3分程度発表する。

人生初めての英語プレゼンテーション、準備してきた3分スピーチをする。趣味などの関心事についてあれやこれや全て述べようとすると時間が足りない。今回最も伝えたいこと1点に絞らないと散漫でインパクトが無い発表に終わる。今までの受験勉強では和文英訳など、あらかじめ、話したり書いたりする内容が与えられ、それを英語にするだけであった。ここでは膨大に膨れ上がった自らのコンテンツを筋だった一つのメッセージにしなければならない。日本の中高の英語教育ではほぼ訓練されたことがない。英語どころか日本語でさえそうした機会は少なかった。前週から一週間、伝えたいことを3分間でどう伝えるか、しかも英語で、でも、自らの関心事であることから伝えたいというモチベーションは高まる。
30人クラスなら5つくらいのグループから一斉に英語のスピーチが流れる。実演をしながら、見せながら、歌いながら、突然、教室は市場のような活気に見舞われる。”Thank you, Mr. X. Next Ms Y, please!" "Sorry, Mr. X, your time is up! Ms Y please start! Oh, stop please, Mr. X!"など時間を過ぎても止めない人も、あちこち。テキストの【Memorandums】の空欄は、他のメンバーのプレゼンテーション・タイトルやキーワード、そして、コメントなどのメモでビッシリと埋まる。

)
TOEFL、TOEIC、そして英検などは英語教育の到達目標ではなく能力診断だ。PEPの毎授業のクラスワークそしてクラス外ワークでこのように相当量の英語を聞き、話し、読み、書きする。それが1学期、2学期と積み重なり、結果これらのテストのスコアが上がる。TOEICの高得点者がこうした活動ができるとは限らない。逆に、こうした活動が出来る者は結果的にTOEFL そしてTOEICスコアを挙げている。参考資料にあるように、慶應SFC そして立命館大学薬生命科学部・学部で筆者実証済みだ。
UNIT 2【Step 2】の活動はまさにその出発点と言えよう。制限時間は20分、各グループのモデレーターが最後にプレゼンテーションし、各グループから一人ずつ【Step3】のクラス全体のプレゼンテーション・ディスカッション・セッションでのプレゼンターを選出する。手際よさが求められるが、全グループ、期待通りに終える。余韻を残して。PEPでは全員が必ず1度は英語でプレゼンテーションをする。最終発表、中間発表以外の全UNITにこの【Step】が設けられ、それを担保する。
続いて「Moderatorの重要性グローバル社会必須スキル第一歩:「(実践解説)プロジェクト発信型英語プログラムProject-based English Program /PEP(11)」を。
(2026年1月8日)
参考資料
『慶應義塾大学出版会 | 英語教育のグランド・デザイン | 鈴木佑治』
『 グローバル社会を生きるための英語授業: 立命館大学生命科学部・薬学部・生命科学研究科 プロジェクト発信型英語プログラム Project-based English Program eBook : 鈴木佑治:』
『プロジェクト発信型英語 Volume1―Do Your Own Project In En | 鈴木佑治 |』
『プロジェクト発信型英語 Volume2 | 鈴木 佑治 』
公式サイト:For Lifelong English 英語活動情報誌
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