Fungry! ② 【創作大賞2024 ホラー小説部門 応募作品】
Day4
「てな感じ」
私が話し終わると、海咲は不機嫌全開って感じで眉根を寄せて、私を睨んだ。
「今言うかな、それ」
そりゃごもっとも。
しつこいことも重々承知。
でも、もう一度あの時の感動を言って聞かせておきたかったの。
そしてそれは、今じゃなきゃ、意味がない。
「今言います。大切です」
私が言うと、海咲は不満そうに顔をしかめてソファの上にふんぞり返った。
そうしてだはーってため息一つ。
「おっさん」
「お前もだろ」
私もふと、窓ガラスに映る自分に目をやった。
ソファの上で猫みたいにだらりと寝ころんだ私は、ワイドショー見てるおばちゃんそのものだった。
そんな堕落した私の先で、大粒の雨がぽたんぽたんと窓を打つ。
「雨、やまないね」
「やまねえなあ」
「世界の終わりって感じ」
「そうだなあ」
「否定してよ」
「否定できるかあ?」
むっとして海咲を睨むも、ふんぞり返ったまま、動いてない。
「筋トレしなよ」
私が言うと、海咲は鎌首もたげた蛇さながら、ゆったりと首を起こして私を睨んだ。
「飯が食えたらな、飯が」
何をいまさら。
はいはい、って私があしらったら、またむすーって感じでふんぞり返る。
だらしない。
「いいじゃない、いい減量になるし」
私が言うと、海咲は手をひらひら。
「そーっすねー」
ほんと腹立つ。
「も少しの辛抱だから。試合、またやりたいでしょ?」
念を押すように言ってみるも、海咲はうー、とか
はいはいー、とか間抜けな返事をするだけでまるで聞こうとしてくれない。
でも、それでも私は、嬉しかった。
幸せだ、なんて思うくらいに。
だってここはまるで、私たちだけの世界のようで。
世界が終わるかもしれないこの瞬間に大切な人と過ごすには、ほんと、これ以上ないってくらいに、とっておきのシチュエーションだった。
③へ続く
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