シバ丸印の会社シミュ⑤――仕事は配るものではない。群れでプルするものですワン
前回。
シバ丸株式会社では、
失敗を、
本番で待つのではなく、
訓練で先に踏めないか。
という話をしました。
仮想案件。
フローチャート。
経験マップ。
デブリーフィング。
そうやって、
「何を知っているか」
だけではなく、
どんな条件の中で、どんな判断をしてきたか。
まで、
少しずつ見えるようになりました。
前回のお話はこちら。
シバ丸印の会社シミュ④――失敗させずに、失敗から学ばせることはできるのか?
https://note.com/shibamaru_log/n/n6e35b4dbd3fb
すると。
シバ丸。
また、
嫌なところに気づきました。
「その人を、ずっと一つのプロジェクトへ固定しておく必要って、あるんでしょうか。」
……。
はい。
また、
会社の当たり前を壊し始めます。
わん。
人をプロジェクトへ入れる
普通、
プロジェクトが始まると。
PM。
PL。
エンジニア。
QA。
デザイナー。
必要な人を集めます。
そして、
Aさん、50%。
Bさん、100%。
Cさん、20%。
みたいに、
アサインします。
人を、
プロジェクトという箱へ入れる。
分かりやすい。
誰がいるかも見える。
チームも作りやすい。
でも。
④までのシバ丸株式会社では、
少し事情が変わっています。
誰が、
何を知っているか。
どんなロールを持っているか。
どんな領域の経験を持っているか。
そして、
今、
どれくらい新しい仕事を受けられる状態なのか。
GIが、
本人と一緒に確認できる。
しかも。
プロジェクト側の仕事も、
かなり細かく見える。
だったら。
人を箱へ固定するのではなく、
仕事のほうを群れへ流せばいいのでは?
シバ丸。
また、
変なことを言い出しました。
今回は、先人の知恵もちゃんと読む
ちなみに。
今回の話。
完全に、
シバ丸の妄想だけではありません。
自律的なチーム。
アジャイル組織。
マトリクス組織。
動的チーム。
社内タレントマーケットプレイス。
アメーバ経営。
世の中には、
人と仕事の結び方を柔らかくしようとした仕組みが、
すでにいろいろあります。
シバ丸。
「今回は、ちゃんと先人の知恵も読むワン」
GI。
「珍しいですね」
シバ丸。
「失礼だワン」
ただし。
そのまま持ってくるわけではありません。
柔らかい組織には、
柔らかい組織なりの事故があります。
責任が曖昧。
誰が決めるか分からない。
二人の上司から、
違う指示が来る。
人気仕事だけ取られる。
人が入れ替わりすぎて、
文脈が消える。
自由に動ける代わりに、
全員がずっと働き続ける。
……。
嫌な匂いがします。
なので。
先人の仕組みを、
もぐもぐ。
使えそうなところを残して、
また、
魔改造します。
わん。
まず、仕事の入口をぎっちぎちにする
仕事をプルする。
と聞くと。
自由で、
ゆるくて、
ふわっとした組織に聞こえるかもしれません。
逆です。
シバ丸株式会社。
むしろ、
今から誰かが引き受ける仕事の入口
は、
ぎっちぎちにします。
目的。
成果物。
完了条件。
判断基準。
依存関係。
必要ロール。
必要力量。
必要な権限。
想定負荷。
責任者。
参照すべき情報。
何が終わったら、
次へ流せるのか。
そこまで、
できるだけ明らかにする。
シバ丸。
「流動的にするのに、ガチガチだワン」
GI。
「流動的だからです」
そう。
人を固定しないなら。
仕事の側へ、
十分な文脈を持たせないといけない。
自由に動けることと、
何をやればいいか分からないことは、別です。
自由という名の丸投げ。
また出ました。
禁止です。
ただし。
未来の仕事まで、
最初から全部、
細切れにするわけではありません。
近い仕事は、
細かく。
遠い仕事は、
粗く。
分かったことが増えたら、
また分ける。
ぎっちぎちにするのは、
今からプルする仕事の入口。
未来そのものではありません。
仕事は、群れへ置く
仕事を分ける。
すると、
一つ一つが、
チケットになります。
たとえば。
API仕様レビュー
必要ロール。
QA。
必要力量。
Level 2以上。
推奨経験。
外部連携。
認証。
障害時再送。
完了条件。
重大な未決事項が残っていない。
最終判断の窓口。
○○プロジェクト品質Owner。
こんな感じ。
そして。
この仕事を、
最初から、
特定の人へ配らない。
まず、
群れへ置く。
ただし。
GIが、
いきなり候補者の名前を、
Ownerへ並べるわけでもありません。
まず、
条件を満たす本人たちへ、
チケットを見せる。
本人。
「候補に入りますワン」
そこで初めて、
Owner側へ名前が出る。
GI。
「現在、候補参加を選んでいるのは、シバAとシバBです」
シバ丸。
「ほう」
GI。
「シバAは即戦力性が高いです」
GI。
「シバBも条件を満たしており、この仕事を経験すると外部連携領域を広げられます」
ここで。
GIが見るのは、
単純な、
誰が一番強いか。
ではありません。
力量。
必要経験。
育成価値。
現在の稼働余力。
そして、
本人の意思。
最強の人へ仕事を集め続けない。
これも、
大事です。
最強の人だけが、
ずっと難しい仕事をする。
若手は、
ずっと簡単な仕事。
それでは、
④で経験を設計した意味がありません。
そして。
「今日は受けない」を選んだ人は、
候補一覧にも、
辞退者一覧にも出しません。
断った人のリストを作らない。
断ることまで、
評価材料にしない。
です。
ただし、家庭教師ノートは使わない
ここで。
④から、
一つ境界線を引きます。
④の経験マップ。
あれは、
本人の地図です。
そこには、
いろいろ残ります。
どこで迷ったか。
何を間違えたか。
何回ヒントを使ったか。
何を怖いと思ったか。
途中でやめた訓練。
本人だけの振り返り。
それは、
学習ノート。
本人のものです。
仕事の推薦へ、
そのまま流しません。
一方。
正式に修了した訓練。
確認された実務経験。
正式な資格。
現在持っているロール。
有効な権限。
本人が仕事へ持ち出すことを選んだ経験領域。
そういう、
仕事との接続に使える情報だけを、
別にする。
シバ丸株式会社では、
これを仮に、
ロールパスポート
と呼びます。
会社が見るのは、
経験マップそのものではない。
そこから、
仕事へ持ち出してよい情報だけ。
家庭教師ノートを、
配員アルゴリズムへ流さない。
失敗できる訓練を、
隠れた採用試験にはしません。
推奨はする。でも、配らない
GI。
「シバBを推奨します」
でも。
その瞬間に、
シバBの予定へ、
勝手に仕事が突っ込まれるわけではありません。
本人が見る。
目的を見る。
負荷を見る。
条件を見る。
そして。
プルする。
シバB。
「やりますワン」
そこで初めて、
接続します。
これが、
シバ丸株式会社の基本。
仕事は配るものではない。
群れでプルするものですワン。
ただし。
ここで言う「プル」は、
単に、
好きな仕事を自由に選ぶ、
という意味ではありません。
仕事を受けられる容量がある。
必要条件を満たしている。
そして、
本人が接続を選ぶ。
処理可能である。
そして、本人が引き受ける。
シバ丸株式会社では、
その二つを合わせて、
プルと呼ぶことにします。
プルは、
強制ではありません。
「まだ取れません」は、理由を見せる
もちろん。
何でも、
誰でも取れるわけではありません。
力量。
権限。
資格。
経験。
法令。
セキュリティ。
必要な条件は、
あります。
GI。
「このチケットは、まだプルできません」
シバ丸。
「ぐぬぬ」
ただし。
「まだ」の理由は、本人へ見せます。
何が足りないのか。
どんな訓練があるのか。
どの実務同行を終えればよいのか。
本人が、
確認できる。
そして。
違うと思ったら。
訂正できる。
異議も出せる。
シバ丸。
「条件が見えないゲートは、ただの壁だワン」
GI。
「異議があれば、ロールギルドへ回します」
シバ丸。
「人間が最後に見るワン」
GI。
「はい」
GIの推薦は、
命令でも、
人間の順位表でもありません。
過去の経験を使う。
でも、過去の経験だけで未来の機会を閉じない。
だから。
即戦力が必要な仕事。
育成に使える仕事。
初挑戦を受け入れられる仕事。
仕事によって、
入口も変えます。
そうしないと。
経験者を推薦する。
経験者が経験する。
もっと経験者になる。
また経験者が推薦される。
という、
経験者永久機関
ができます。
それは、
困ります。
わん。
一件だけでなく、機会の流れを見る
さらに。
一人ひとりが、
異議を出せれば終わり。
でもありません。
誰に、
どんな機会が流れたか。
初挑戦。
人気仕事。
育成枠。
地味仕事。
メンタリング。
そこに、
偏りがないか。
定期的に見る。
GIが、
「公平に推薦しています」
と言っていても。
結果を見ると、
いつも同じ犬が人気仕事。
いつも同じ犬が地味仕事。
では、
何かがおかしい。
一件の推薦だけでなく、
機会の流れ全体を監査する。
しかも。
見るのは、
個人ランキングではありません。
群れ全体の流れ。
です。
推薦ロジックも、
誰かが作った地図です。
正しいものとして、
固定しません。
今取れる仕事と、次に取れる仕事
ここで。
④の仕組みが、
かなり効きます。
今、プルできる仕事
API仕様レビュー
品質計画レビュー
金融案件のリスク整理
テスト観点レビュー
次に解放できそうな仕事
セキュリティ設計レビュー
→ 脅威分析訓練あと2件契約リスクレビュー
→ 契約境界訓練あと1件大規模障害時ファシリテーション
→ 高負荷シナリオ1件+実務同行
シバ丸。
「仕事一覧の横に、次の仕事まで見えてるワン」
GI。
「はい」
人は、
今できる仕事だけを、
延々回すわけではありません。
同時に、
次にできる仕事を増やす。
実務。
訓練。
同行。
レビュー。
資格。
シミュレーション。
そういうものを、
勤務時間の中で組み合わせる。
④の経験マップで言えば。
点になっていた経験を、
次のチケットという線へ、
つないでいく。
実務レーンと、育成レーン
ただし。
人間を、
CPUの2コアみたいに扱うわけではありません。
実務しながら、
同時に、
別の高負荷訓練を走らせる。
たぶん、
しんどい。
なので。
並列なのは、
一人の脳内処理ではなく、
キャリアのパイプライン。
です。
今日は、
実務。
午後に、
次の仕事へ向けた訓練。
別の日には、
専門家付きで、
小さな実務チケット。
そうやって、
少しずつ、
新しい流路を開ける。
実務が訓練を呼び、
訓練が次の実務を解放する。
今日の仕事をしながら。
会社全体では、
明日できる仕事も、
増やしていく。
シバ丸。
「処理しながら、処理能力まで増設してるワン」
GI。
「組織としては、そうです」
でも、人間はCPUではありません
ここ。
ちゃんと、
止めておきます。
人間を、
CPU。
メモリ。
リソース。
みたいに呼び始めると。
便利です。
でも。
便利すぎます。
そのうち。
「空きコアがありますね」
とか、
言い始める。
嫌です。
わん。
なので。
計算機から借りるのは、
並列処理の考え方。
だけ。
人を並列化するのではない。
仕事を、並列処理できるように分解する。
一人のPMが。
品質。
契約。
セキュリティ。
顧客調整。
全部、
頭の中で直列処理する。
のではなく。
必要な専門性が、
必要な瞬間だけ、
接続する。
GIが、
情報をつなぐ。
そして、
決めるべき人が、
決める。
最終判断の窓口は明示しても、
認知負荷までは集中させない。
一人で背負うことはある。
でも。
一人では背負わせない。
です。
流体的組織
ここまで考えて。
シバ丸。
会社の形が、
なんだか妙なものになってきました。
人が、
プロジェクトへ、
カチッと固定されていない。
必要なところへ、
必要な能力が接続する。
終わったら、
また離れる。
シバ丸。
「なんか会社が液体になってきたワン」
GI。
「人間を溶かさないでください」
シバ丸。
「怖いワン」
なので。
少しまともに、
呼びます。
流体的組織。
人を液体にして、
会社へ流し込む。
という意味ではありません。
人そのものではなく、
仕事との接続を流体化する。
所属。
専門性。
本人の意思。
責任。
は残す。
その上で。
必要な能力が、
必要な仕事へ、
流れ込めるようにする。
個は溶かさない。
境界だけ柔らかくする。
流体的だからこそ、流路は設計する
ここで。
シバ丸。
なぜか、
パソコンの水冷を思い出しました。
水冷PC。
冷却液が、
ケースの中を、
自由にバシャバシャしているわけではありません。
配管。
ポンプ。
バルブ。
センサー。
リザーバー。
があります。
その中を、
必要なところへ、
必要な量だけ流す。
組織も、
似ています。
仕事の定義。
流路。
GI。
需要と候補をつなぐポンプ。
ロール条件。
バルブ。
WIP上限。
流しすぎないための制限。
稼働余力。
温度を見るための手掛かり。
組織の余白。
リザーバー。
シバ丸。
「水冷会社になったワン」
GI。
「比喩です」
そして。
配管が詰まっていたら、
冷却液を増やしても冷えません。
人が足りない。
採用だ。
増員だ。
外注だ。
でも。
責任分界が曖昧。
判断基準がない。
承認経路が詰まる。
必要な情報が来ない。
特定の人しか処理できない。
それなら。
人を増やしても、
流れません。
シバ丸。
「人増やしたのに、まだ熱いワン」
GI。
「配管が詰まっています」
シバ丸。
「先にそこ直せワン」
流体的だからこそ、流路は設計する。
自由に流れることと、
野放しにすることは、
同じではありません。
文脈は、GIと訓練で先に運ぶ
ただし。
人が案件をまたぐたびに、
全部を、
初見で始めるわけではありません。
何のために、
GIがいるのか。
何のために、
④で訓練環境まで作ったのか。
という話です。
案件の目的。
背景。
用語。
過去の意思決定。
関連ルール。
よくある失敗。
必要な業界知識。
それらは、
接続前にGIがまとめる。
必要なら、
短い事前訓練もする。
つまり。
仕事へ入ってから文脈を覚えるのではなく、
入る前に文脈へ接続する。
シバ丸。
「そのためのGIだワン」
GI。
「はい」
とはいえ。
全部は、
コピーできません。
長期の顧客関係。
言葉になっていない感覚。
何年も積み重なった信頼。
設計思想の細かな経緯。
そういうものは、
残ります。
なので。
全部を、
流体化はしません。
プロジェクトには、
小さな、
安定した核を残す。
目的。
顧客文脈。
意思決定履歴。
長期的な責任。
それを持つ人たち。
その周囲へ、
必要な専門性が接続する。
核は安定させる。
周辺は流動化する。
GIと訓練で、
文脈をできるだけ運ぶ。
それでも運べないものだけ、
骨として残す。
全部、
水にはしません。
空き時間と、稼働余力は違う
この仕組みを作ると。
必ず、
悪いことを考える人が出ます。
GI。
「シバ丸、本日2時間空いています」
上司。
「じゃあ2時間分、追加で取れますね」
違います。
シバ丸。
「今日は脳みそカスカスだワン」
時間がある。
それだけで、
仕事を受けられるとは限りません。
高負荷判断を、
一日やった。
顧客交渉を、
何時間もやった。
今日は、
集中できない。
体調が悪い。
誰かの相談を、
ずっと聞いていた。
そういう日もある。
なので。
空き時間 ≠ 稼働余力。
です。
稼働余力には。
時間。
認知負荷。
身体負荷。
対人負荷。
現在のWIP。
その日の状態。
そういうものも含む。
そして。
同時にプルできる仕事には、
上限を置く。
取れるからといって、
何個でも取らない。
GIが、
顔を勝手に読んで、
「疲労度78%です」
とか、
やるわけでもありません。
本人の申告。
現在のWIP。
休憩。
本人が設定した上限。
必要最小限の情報で見る。
会社へ見えるのも、
追加チケットを受けられる。
今日は受けない。
それくらいでいい。
シバ丸。
「残り余力63%とか会社に見せるなワン」
GI。
「承知しました」
さらに。
「今日は受けない」の理由を、
会社へ説明する必要もありません。
その回数を、
人事評価へ流すこともしません。
でないと。
余力を守るための仕組みが、
勤労意欲ランキング
に化けます。
怖いです。
わん。
空いている人は、余っている人ではない
普通なら、
稼働率を見ます。
90%。
95%。
100%。
きれい。
全部埋まった。
……。
でも。
水冷PC。
リザーバーまで、
全部ギリギリ。
ポンプも限界。
ファンも限界。
温度も限界。
それ。
怖くない?
組織も、
同じです。
急な障害。
体調不良。
顧客トラブル。
新しいチャンス。
突然の支援要請。
そこへ対応するには、
余白がいる。
空いている人は、余っている人ではない。
群れの余力である。
余力は、
無駄ではありません。
変化へ対応するための容量。
です。
だから。
余力を測るのは、
100%まで詰めるためではない。
どこまでなら、安全に流せるか。
を見るため。
測れるようになると、
すぐ全部使いたくなる。
シバ丸株式会社。
そこは、
我慢します。
チケット同士が、喧嘩したら?
そして。
人が複数の仕事へ接続できるなら。
当然。
こうなります。
A案件。
「今日中です」
B案件。
「こちらも今日中です」
ロールギルド。
「レビューお願いします」
シバ丸。
「耳が、また3方向へ引っ張られてるワン」
こういうとき。
本人へ。
「うまく調整してください」
とは言いません。
それ。
指揮命令を減らしたふりをして、
調整責任を本人へ移しただけです。
全案件をまたぐWIPを見る。
Owner同士で、
優先順位を調整する。
緊急仕事を入れるなら。
何を止めるのかも、
同時に決める。
仕事を追加するなら、
止める仕事も決める。
GIは、
衝突を見つける。
影響を見せる。
選択肢を整理する。
でも。
経営上の優先順位まで、
勝手には決めません。
それでも決まらないなら、
明示された人間へ、
上げる。
……。
誰へ?
シバ丸。
「なんか、次の話の匂いがするワン」
GI。
「しますね」
誰もプルしなかったら?
もう一つ。
完全自由。
取りたい仕事だけ、
取ってください。
では、
会社は回りません。
人気仕事。
AI。
戦略。
PoC。
上流設計。
そこだけ、
犬だかり。
一方。
議事録。
ナレッジ更新。
保守。
定例レビュー。
新人支援。
誰もいない。
そして。
もっと厄介なのが。
必要なのに、誰も取らない仕事。
です。
チケット。
三日間。
未接続。
上司。
「やる気がない」
シバ丸。
「まず仕事のほうを疑えワン」
大きすぎないか。
情報不足ではないか。
期限がおかしくないか。
責任と権限が釣り合っているか。
負荷を軽く見積もっていないか。
そもそも、
なくせないか。
自動化できないか。
人が動かないときは、
まず、仕事のほうを疑う。
それでも。
必要。
緊急。
契約上も、
やらなければならない。
なら。
Ownerが、
優先順位と理由を明示して、
正式に割り当てます。
シバ丸。
「結局アサインするワン」
GI。
「例外としてです」
シバ丸。
「例外だらけになったら?」
GI。
「配管が詰まっています」
シバ丸。
「またそこかワン」
プルを基本にする。
でも、会社の責任を本人の自発性へ丸投げしない。
自由という名の丸投げ。
ここでも禁止です。
見えにくい仕事も、仕事です
普段から必要な仕事もあります。
レビュー。
後輩支援。
ナレッジ更新。
標準改善。
相談対応。
だから。
ロールごとに、
ベースライン貢献
を置きます。
PMなら。
リスク相談。
レビュー。
メンタリング。
標準改善。
QAなら。
横断レビュー。
品質知識の更新。
シナリオ改善。
後進支援。
そのロールを持つなら、
群れへ最低限これくらいは返そうね。
というもの。
ただし。
全員に、
同じ件数を課すわけでもありません。
勤務時間。
現在の役割。
その時期の負荷。
必要な配慮。
それに合わせて変える。
群れへの貢献を、
我慢比べにはしません。
そして。
もう一つ。
頼まれやすい人。
断りにくい人。
というのは、
だいたい、
決まっています。
シバ丸。
「自由に取ってるようで、
いつも同じ犬が拾ってるワン」
GI。
「はい」
だからこそ。
さっきの、
機会の流れを見る。
が効いてきます。
人気仕事だけでなく。
地味仕事が、誰へ流れているか。
そこも、
群れの側で見る。
「本人が自分で選びました」
だけで、
済ませません。
そして。
量を競わせる、
ポイントゲームにも、
しません。
ベースラインを満たしたら。
その後は、
本人の意思と余力。
プルできることと、
プルし続けなければならないことは別。
です。
人気仕事には、地味仕事が付いてきます
人気仕事にも、
必要な付帯作業があります。
シバ丸。
「AI PoCレビューやるワン」
GI。
「プル可能です」
シバ丸。
「やったワン」
GI。
「付属タスクがあります」
シバ丸。
「何が?」
GI。
「議事録整備と、若手レビュー支援です」
シバ丸。
「抱き合わせ販売だワン」
GI。
「群れです」
ただし。
これは、
人気仕事へ入るための罰金ではありません。
若手支援。
議事録。
調整。
ナレッジ更新。
こういうものは、
見えにくいから、
しばしば無料になります。
だから。
見えにくい仕事も、
チケットにして勤務時間へ戻す。
必要な時間も。
必要な負荷も。
ちゃんと仕事として扱う。
華やかな仕事だけが、
仕事ではありません。
プロジェクトは、人を固定するための箱ではない
ここまで来ると。
プロジェクトというものも、
少し変わります。
これまでは。
プロジェクト。
=
人が所属する箱。
だった。
シバ丸株式会社では。
目的。
予算。
責任。
WBS。
チケット。
を束ねる箱。
になる。
安定して持つべき核は残す。
でも。
それ以外の人まで、
ずっと囲い込む必要はない。
プロジェクトは、人を固定するための箱ではない。
目的と仕事を束ねる箱です。
シバ丸。
「人が消えたワン」
GI。
「消えてはいません」
シバ丸。
「よかったワン」
じゃあ、人はどこに所属する?
とはいえ。
人間。
完全に、
会社のクラウド上を漂ってください。
と言われても、
困ります。
シバ丸。
「帰る犬小屋がほしいワン」
はい。
なので。
所属は、
残します。
ただし。
所属に仕事を縛らない。
たとえば。
金融。
自動車。
製造。
医療。
公共。
みたいな、
業界ドメインごとの、
ホーム群れ。
ここでは。
業界知識。
規制。
顧客文脈。
長期的な関係。
業界特有のリスク。
を育てる。
もう一つ。
職能ごとの、
ロールギルド。
PM。
QA。
BA。
Security。
Architecture。
UX。
Data。
ここでは。
専門性。
ロール基準。
資格。
標準。
メンタリング。
訓練シナリオ。
を育てる。
だから。
金融ホーム群れ所属。
QAロール保持。
今日は、
自動車案件の品質レビューを、
2チケットだけプル。
みたいなことができる。
三つの軸
整理すると。
人には、
三つがあります。
どこに帰るか。
何ができるか。
今、何をするか。
どこに帰るか。
ホーム群れ。
何ができるか。
ロール。
今、
何をするか。
チケット。
普通のマトリクス組織に、
少し似ています。
でも。
業界側の上司。
職能側の上司。
プロジェクト側の上司。
3人から、
違う指示が来る。
みたいなことは、
やりません。
シバ丸。
「耳が3方向から引っ張られるワン」
怖いです。
知識の所属軸は複数。
指揮命令は、むやみに多重化しない。
所属は、
仕事を縛るためではありません。
帰る場所を作るためにある。
Executionは流す。でも、Accountabilityは流さない
実行担当。
レビュー。
調査。
分析。
支援。
こういうものは、
流動的でいい。
でも。
誰が、
この判断を最終的に引き受けるのか。
誰へ、
エスカレーションするのか。
そこまで、
流体にしてはいけません。
シバ丸。
「誰が決めるワン?」
全員。
「……。」
はい。
事故です。
なので。
Executionは流動化する。
Accountabilityは明示する。
ただし。
ここも大事。
判断者を決めることと、
全部の責任を、
その一人へ押しつけることは、
同じではありません。
品質の責任。
契約の責任。
経営の責任。
安全の責任。
雇用する会社の責任。
それぞれ、
消えません。
決める人は明示する。
組織責任まで個人へ流さない。
一人で背負うことはある。
でも。
一人では背負わせない。
責任は、一人が持つことがある。
知恵は、群れで持てばいい。
能力があるから、何でも見ていいわけではない
もう一つ。
人が、
案件をまたぐなら。
情報の扱いも、
流動化しすぎてはいけません。
能力がある。
ロールもある。
だから。
全部の案件を、
全部見られる。
ではありません。
必要なチケットをプルした期間だけ。
必要な情報だけ。
終わったら。
権限も閉じる。
能力の流路と、
情報の流路は、別々に守る。
水は流しても、
壁まで壊したら、
ただの水漏れです。
わん。
個は残る。必要な瞬間だけ、全体になる
ここまで来ると。
会社全体が、
少し変な生き物に見えてきます。
問題が起きる。
必要なロールが集まる。
GIが、
背景を渡す。
必要なら、
訓練もする。
専門性が接続する。
判断材料が集まる。
決める人が、
決める。
終わる。
また、
別の場所へ流れる。
シバ丸。
「会社全体が、一匹の生き物みたいだワン」
GI。
「ただし、個体は消えません」
シバ丸。
「溶かすなワン」
そう。
個人は、
残る。
意思も、
残る。
専門性も、
残る。
ホームも、
残る。
でも。
必要な瞬間だけ。
群れとして、
一つの問題を処理する。
個は残る。
必要な瞬間だけ、全体になる。
明日の仕事ができる群れを、今日作る
流体的組織。
必要な能力が、
必要な仕事へ流れる。
だけなら。
便利な人材配置システムで、
終わるかもしれません。
でも。
④があります。
経験を、
設計できる。
訓練できる。
次の仕事へ、
準備できる。
だから。
今日、
取れない仕事を。
明日、
取れるようにする。
今日の仕事を回しながら、
明日の仕事ができる群れも育てる。
ただし。
8時間働いたあと、
2時間訓練。
ではありません。
実務。
育成。
群れへの貢献。
休息。
余白。
全部、
勤務時間の中で配分する。
成長はする。
消耗はしない。
仕事は配るものではない
シバ丸株式会社が、
やりたいのは。
人を、
効率よく。
隙間なく。
埋めることではありません。
今できることを、
必要な場所へ。
次にできるようになることを、
育成へ。
その両方を、
群れの中でつなげる。
余力も残す。
責任も残す。
帰る場所も残す。
個人も残す。
人を流すのではない。
能力が流れる道を作る。
だから。
仕事は配るものではない。
群れでプルするものですワン。
……。
ただ。
ここまでやると。
当然。
次の疑問が出ます。
仕事を、
基本的には配らない。
進捗確認も、
GIがかなり支援する。
育成も、
GIとロールギルドが支援する。
専門判断は、
必要なロールへつなぐ。
仕事の推薦も、
GIができる。
仕事同士が衝突したら、
誰かが優先順位を調整する必要がある。
組織の責任も、
消えるわけではない。
……。
すると。
「上司って、何をするんだワン?」
シバ丸。
首をかしげました。
GI。
沈黙。
オムニママ。
にっこり。
シバ丸。
「その顔やめろワン」
わん。
シバ丸印の会社シミュ・ここまでのお話
今回だけ読むと、
突然、
会社を水冷し始めた犬に見えるので。
一応、
ここまでの流れも置いておきます。
① 守破離と「守護知能」で考える、AI時代の組織OS
シバ丸印の会社シミュ――守破離と「守護知能」で考える、AI時代の組織OS
https://note.com/shibamaru_log/n/ndb380bf71a9c
「未確定は許容する。でも、未管理は許容しない。」
そもそもの、
GIとシバ丸株式会社の始まり。
② 守護知能を、誰が守護するのか?
シバ丸印の会社シミュ②――オムニママは見ている。守護知能を誰が守護するのか?
https://note.com/shibamaru_log/n/na21c420b4026
GIが賢くなるなら。
そのGIを、
誰が止めるのか。
ここで、
オムニママが生まれました。
わん。
③ 首輪を付けた人間は、どう進化するのか?
シバ丸印の会社シミュ③――首輪を付けた人間は、どう進化するのか?
https://note.com/shibamaru_log/n/n1537f63234ae
GIによって、
人間は、
全部覚える存在から、
意味をつなぐ存在へ。
記憶力の人類から、意味接続力の人類へ。
④ 失敗させずに、失敗から学ばせることはできるのか?
シバ丸印の会社シミュ④――失敗させずに、失敗から学ばせることはできるのか?
https://note.com/shibamaru_log/n/n6e35b4dbd3fb
経験を、
偶然に任せない。
疑似経験。
経験マップ。
フローチャート。
失敗を消すのではなく、セーブデータにする。
今回の⑤は、
この経験設計を、
仕事との接続へ持ち込んだお話です。
あわせて読むと、たぶんもっと犬になります
今回の話は、
過去に書いたこの辺とも、
かなりつながっています。
経験は、勝手に経験値にはならない
https://note.com/shibamaru_log/n/nfd5ea665c146
経験を、
振り返り。
言語化し。
再利用できる形へ。
④と⑤の、
かなり直接的な祖先です。
キャリアを、クエストみたいに考えてみる
https://note.com/shibamaru_log/n/n9c4509024188
今できること。
次に解放すること。
今回の、
「今取れる仕事/次に取れる仕事」
あたりの祖先。
資格という、知識の地図
https://note.com/shibamaru_log/n/nefde91a870a6
散らばった知識を、
一枚の地図にする。
③〜⑤の、
知識。
経験。
ロール。
という流れにも、
かなり近い話です。
さて。
次回。
上司。
消えるのでしょうか。
残るのでしょうか。
それとも。
別の生き物へ、
進化するのでしょうか。
シバ丸。
まだ、
知りません。
オムニママだけが、
なぜか、
にっこりしています。
わん。
