【解説:NFLスーパーボールハーフタイムショー(2025) / Kendrick Lamar】
2025年2月9日、NFLスーパーボールハーフタイムショーでのケンドリック・ラマーのパフォーマンスが本当に素晴らしかった!
個人的には、キング牧師の演説と並ぶ、アメリカ史に残るインパクトだったと思います。
一方「このショーの何が良かったのかよく分からない」と言う声もよく聞きます。
このショーで語られたのはいったい何だっのか、その凄さを解説したいと思います。
《ハーフタイムショー動画へのリンク》
https://youtu.be/KDorKy-13ak?si=1CvtSfOg7YsLJO_a
前提知識
ハーフタイムショーはアメリカで最も高い視聴率を誇るプログラムで、日本で言えば最盛期の紅白歌合戦みたいなもんです。
規模はもっとでかいけど。
そしてこの時のショーは、ハーフタイムショーにおける視聴率の歴代1位だったそうです。
ドレイクとのビーフ
ショーのレビューに入る前に、ケンドリックとドレイクのビーフに触れておきましょう。
ビーフとは、ラッパー同士が楽曲を通じて互いを批判し合う、ヒップホップ文化における一種のエンターテイメントです。時にマジになりますが。
ケンドリックは2023年末頃から約1年間、ドレイクとのビーフを繰り広げていました。
このビーフはヒップホップ史上最も盛り上がったビーフとされています。
そのビーフでケンドリックが放った"Not Like Us"は、グラミー賞にて「年間最優秀楽曲賞」を含む5部門(つまり全部門総ナメ)を受賞しました。
dis曲がグラミー賞って!5部門って!!
アメリカで最も高い視聴率を誇るステージで、dis曲である"Not Like Us"をやるかやらないか、というのが見どころの一つとなっていました。
このショーの目的
もう一つ、このショーの見方を押さえておきましょう。
このショーは目的にいくつかのレイヤーがあり、これを押さえておくとぐっと見やすくなります。
目的①:エンターテイメントを「視聴者」に届ける
目的②:ビーフの仕上げとして、多くの視聴者の前で「ドレイク」を葬る
目的③:ドレイクだけでなく、その後ろの中身の無い「商業主義ラッパーたち」を攻撃する
目的④:アフリカ系アメリカ人文化の偉大さと重要性を「視聴者」にアピールする
目的⑤:アメリカ社会の分断の原因である「ホワイト・アメリカ」を糾弾する
目的⑥:「視聴者」に対し真実を明らかにし、教化と融合と促す
ケンドリックはこのショーの中にこうしたメッセージを潜ませ、1つのアクションで複数ターゲットへのコンボ・エフェクトを狙います。
ケンドリック・ラマーという男は、こうしたことが抜群に上手いのです。
解説
《ステージ》
まずステージが映されます。
ステージはPlayStationのコントローラーになっています。
フットボールの"Game"とかけているのですが、これから行われる過激なパフォーマンスを思うと、「これはあくまでゲームだよ、本気に取るなよ」と伏線を張っているようにも見えます。
また、これからステージに上がるのは全てアフリカ系アメリカ人です。アメリカ社会の中でホワイト・アメリカのルールでゲームをさせられているアフリカ系アメリカ人、という隠喩でもあります。
《アンクルサム①》
司会のアンクルサムが登場します。
アンクルサム役を演じるのは俳優のサミュエル・L・ジャクソンです。

第一次世界大戦での兵士募集ポスター

アンクルサムは「ホワイト・アメリカ」の象徴ですが、それをアフリカ系アメリカ人が演じます。
もうこれだけでヤバいのですが、意味はそれだけではありません。
ケンドリックの2nd.アルバム"To Pimp a Butterfly(2015)"では、アンクルサムは、アフリカ系アメリカ人を搾取する存在ルーシー(=ルシファー:悪魔)として表現されました。
そしてサミュエル・L・ジャクソンの起用は、クエンティン・タランティーノの映画「ジャンゴ」からの文脈です。
ジャンゴの中でサミュエルは、「アフリカ系アメリカ人でありながら白人の手先となってアフリカ系アメリカ人を虐げる」スティーヴンという役で登場します。
また、サミュエルおじさんの胸元に注目すると、ラペルにある星の数は14個です。
アメリカが14州だった1790年代当時は、黒人奴隷制度が一般的でした。
当時の数字で、約70万人の黒人がアフリカから連れてこられて奴隷として使役していたのです。
約70万人という数字は当時のアメリカの人口の約16%に相当します。
つまりこのアンクルサムは、奴隷制度時代を背負ったアンクルサムなのです。
ケンドリックのコンボ狙いはもう始まっています。
表面上は「サミュエルだから『サムおじさん』なんですよ」的な体で、凄い毒がここで仕込まれます。
《1.Bodies》
GNX(最新アルバムと同名の車)の上でうずくまりながら、ケンドリックが1曲目をラップします。
1曲目"Bodies"は配信のみで発表された短い曲です。
なんと、視聴者のほとんどが知らない曲からの導入です。
若者よ、成功に向かって努力しろ
社会のせいにして被害者ヅラしてたら
そのまま死んでしまうぞ
1曲目でケンドリックがラップを始めた段階で、HIPHOPをよく聞く層からは絶賛、そうでない層からは「何が良いかわからない」という風に、視聴者の意見が二分されたといいます。
これまでハーフタイムショーで、ラッパーが単独でパフォーマンスすることはありませんでした。
通常ショーでは、ヒット曲やメロディアスで視聴者ウケする選曲が通例です。
ところが今回、ケンドリックはゴリゴリの、フックもないキャッチーでもない超攻撃型のラップ曲から入ります。
しかもほぼ誰も知らない曲。
HIPHOPファンからは「おぉ、日和らずイク気だ!スゲェ!」となり、その他からは「良さがわからない」となったわけです。
曲の間、車からは白と赤と青の衣装のダンサーがどんどん飛び出してきます。
白と赤と青はアメリカ国旗の色です。
アメリカ国旗においては、白は純真さと無垢、赤は勇気とたくましさ、青は正義と戒心を表しています。
このあとのダンサーたちのフォーメーションにも注目して下さい。
なお、この国旗ダンサーは全てアフリカ系アメリカ人です。
曲の最後では、ケンドリックがヤバいことを宣言します。
革命が今からテレビで放送されるぞ
タイミングは良いけど人選を間違えたな
宣戦布告です。
《2.Squabble Up》
宣戦布告の後、戦端を開くのが"Squabble Up(喧嘩しようぜ)"です。
ローエンドなドラムにEDMを載せたバンガー・チューン。
ゲロカッコいい~!
しかし、平和な老若男女が見るショーにおいてこれは異常事態です。
放送事故です。
《アンクルサム②》
司会のアンクルサムが怒って言います。
「ノ~、ノ~、ノ~、ノ~。
喧しいし無謀すぎる、
あまりにもゲトーすぎる!
ミスター・ラマー、
君はゲームのやり方を分かっているのか?
引き締めろ!」
ジャンゴのスティーヴンさながら、権威に媚び媚びの司会ぶりです。
ホワイト・アメリカの黒い手先であるアンクルサムは、この後もショーというゲームをコントロールしようとします。
《3.HUMBLE.》
「わっかりました~、そんじゃ"Humble(謙虚に)"しま~す」とばかりに大ヒット曲" HUMBLE."です。
ところがこの曲は謙虚とは正反対の俺様節で、「座れ、俺の前では謙虚にしろ!」という曲です。
どこまでも反抗的です。
この曲で国旗ダンサーたちはアメリカ国旗を形成します。
そのアメリカ国旗は半分に割れ、その中心にケンドリックがいます。
分断されたアメリカの中心でケンドリックが「謙虚にしろ!」とラップします。
おいおい、大丈夫か、これ。
《4.DNA》
" HUMBLE."からの爆発力そのままに"DNA"です。
これも「HIPHOP界のキングとなる資質・経験・背景はすべて自分のDNAに備えている」という俺様節ですが、また裏に別な意味もあります。
DNAは"遺伝子"と"Dead Nig*er Association(死んだアフリカ系アメリカ人協会)"のダブルミーニングです。
途中アフリカ系アメリカ人である国旗ダンサーたちが、手を繋いで横に揺れます。
ダンサーたちは労働の掛け声のようなものをあげます。この掛け声は原曲にはないものです。
これは「鎖に繋がれた黒人奴隷たちがアメリカを作ってきた」と主張しているかの様です。
この曲でこのムーブはそういうことだと思います。
黒人奴隷の労働の掛け声(ワーク・ソング)や叫び(フィールド・ハラー)からブルースが生まれ、R&B、ファンク、ロック、ポップスなど現代の主要なポピュラー音楽は、全てブルースを源流として発展してきました。
文化的な意味でもアフリカ系アメリカ人のDNAがアメリカを作って来たのです。
そして今披露されているのは、ブルース直系の子孫でありカウンター・カルチャーでもあるHIPHOPなのです。
う~む、凄い。
それにしても走りながらこの声量とキレのあるラップは凄い!
ラッパーたちはブレスコントロールのために体を鍛えると聞いたことがあります。
小田和正みたい。
《5.Euphoria》
ここでドレイクへのdis曲が来ました。
やっぱりやっちゃうんだ。
この曲、イントロのフレーズがカッコ良くてアガります。
この曲の長い歌詞の中で、このショーの為に抜いてきた部分に注目してみましょう。
ケンドリックが「エンタメ」「ドレイクdis」のダブルコンボだけで終わるはずがありません。
今までやったことのないことを言う
ゲームをやったことはあるか?
お前は銃を構える敵に向かって
ポーカーフェイスで近づいたことはあるか?
ちゃんと「ゲーム」にからめ、さらにトレイボン・マーティン事件(*)を匂わせます。
(*)トレイボン・マーティン事件:フードをかぶって歩いていたアフリカ系アメリカ人少年が、丸腰にも関わらず白人警察官に不審者とみなされ射殺された事件。これがきっかけでBLM(ブラック・ライブス・マター運動)に発展した。
《6.Man at the Garden》
自分がいかに地域や文化に対し真摯に尽くしてきたか、緩慢ではなく、静かで力強い口調で主張する曲です。
俺はその全てにふさわしい
地味ですが、ケンドリックがこの場にいることの正当性をしっかりとアピールしています。
ただ攻撃的でうるさいだけのフェイク野郎ではないということです。
また、ケンドリックのすぐ後ろではアフリカ系アメリカ人の白ダンサーが踊っています。
この白い衣装のアフリカ系アメリカ人たちは「(亡くなって)天使になったアフリカ系アメリカ人たち」を表しているのではないかと言われています。
これは、アメリカに尽くし犠牲となったアフリカ系アメリカ人たちはもっと栄誉や富を受け取るのがふさわしい、と言っています。
この画角はそういうことです。
《アンクルサム③》
3たび、ホワイト・アメリカの手先であるアンクルサムが登場し、注意を促します
「お前仲間連れてきたのか?そりゃ反則だよ。
スコア・キーパー、1点減点だ」
野球、バスケ、アメフトなど「ゲーム」において、アフリカ系アメリカ人選手の能力は際立っています。
アフリカ系アメリカ人ばかりでチームを作ったらそれはチートだよ、反則だよ、というわけです。
権威を振りかざしている様に見えて、アフリカ系アメリカ人の重要性を認めてしまっています。
また、司会が「アフリカ系アメリカ人だから」という理由で1点減点するのは明らかな不正です。
そして、アンクルサムが不正司会を当然のごとく行っている様は、こうした不正はアメリカ社会で通常行われていることだ、と言っているかのようです。
そしてカメラ目線で「1点減点」ということで、この革命だと言っているヤバいショーはあくまでゲームの一部ですよ、と視聴者に対し防御を張ることにもなっています。
《7.Peekaboo》
中身のないラッパーを「いないいないばぁ」とからかう曲ですが、ステージ上の「X」の上で披露することで、ドレイクへのdisにもなっています。
過去にドレイクともめていたラッパー"xxxtentacion"は銃撃で亡くなりました。
犯人は不明ですが、生前「俺が死んだらドレイクがやったんだ」と発言していたことから、「これドレイクが指示したんじゃね?」という都市伝説となりました。
この都市伝説をイジる意味で「X」の上で中身のないラッパー(=ドレイク)をからかっているようにも取れます。
周りでは皮肉にも「潔白」を表す白ダンサーたちが派手に踊っています。
この曲のダンサーのムーブ超カッケぇ~!
ところで、この曲でショーに抜いてきた歌詞が気になります。
いないいないばぁ
7.62口径はやつらをプランクの体勢にさせる
いないいないばぁ
俺のお出ましだ、俺の名前を汚さない方がいい
「7.62口径」はカラシニコフ、「プランクの体制」は撃たれて倒れることを意味します。
ケンドリックが「いないいないばぁ」と銃で「産業ロック勢」や「ホワイト・アメリカ」を脅しているようにも聞こえます。
《レディーズ①》
ここでスキットが入ります。
4人の女性とケンドリックの会話です。
ケンドリック「俺やりたい有名曲があるんだけどな」
女性たち「何の曲?」
(“Not Like Us”のイントロが流れる)
ケンドリック「この曲なんだけど」
女性たち「それな~!」
ケンドリック「落ち着けよ、もう少し考えて見るわ。
あいつら訴えるのが好きだからな」
女性たち「うぅ~!」
多くのファンはこのイントロが流れた時に「待ってました!」とばかりに思わず立ち上がったそうです。
ところがここでじらしが入ります。
マジ上手いわぁ~!
ちなみに女性たちは「無垢」な白色の衣装です。
「あいつら訴えるのが好きだからな」は2つの意味があります。
1つは、ドレイクが「“Not Like Us”の楽曲再生数やMV視聴数を大きく見せている」という理由でspotifyを訴えていることを指しています。
もう1つは、訴訟社会であるアメリカでこんな物騒な曲をやったら、弱い立場であるアフリカ系アメリカ人の自分はホワイト・アメリカに訴えられてしまう、という皮肉です。
《8.Luther(with SZA)》
ここで一気にムードチェンジです。
TDE時代からの後輩であるSZAをゲストに呼び、スイートなR&Bバラードをやります。
緩急上手いな~。
SZAがメロディーを導入し、一気に聞きやすくカームな雰囲気になります。
ケンドリックとSZAの掛け合いの部分なんかイイですね~。
この曲は表面はスイートなラブソングですが、「本物のラップで産業ラッパー勢を叩き潰す」というメッセージが隠れた曲です。
カームに見せて攻め攻めです。
画角に注目すると、ケンドリックが青、シザが赤の衣装です。
これは対立する2大ギャングの色であり、対立する政党の色です。
現実のアメリカ社会では対立する青と赤ですが、ステージ上では団結融合し歌っています。
二人の後ろでは「戒心」の青が二人を守るように踊っています。
《9.All the Stars(with SZA)》
続いて二人のコラボ曲です。
SZAを導入してこの曲をやらない手はありません。
ケンドリックのキレのあるラップとSZAの伸びやかな歌声の組み合わせが素晴らしい!
二人の周りを囲うダンサーは赤と白、つまり「勇敢」と「純粋」です。
ちなみにサビの歌詞” All the stars are closer“は直訳すると「全ての星が近くにある」ですが、「(星になったアフリカ系アメリカ人の)先人たちを近くに感じる」とも取れます。
そしてこの曲は映画「ブラックパンサー」のエンディング曲です。
ブラックパンサー党(アフリカ系アメリカ人民族主義運動を展開)を連想してしまうのは考えすぎかしら?
《アンクルサム④》
カームでメロディアスな2曲を聞いて、アンクルサムがご機嫌で登場してきました。
「これだよこれ、
こういうのをアメリカは求めているんだよ
その調子で最後まで…」
言い終わらないうちに"Not Like Us"のイントロが流れ、アンクルサムは「だめだこりゃ」という表情で退場します。
《レディーズ②》
"Not Like Us"のイントロの中で、再びケンドリックと4人の女性が登場します。
ケンドリック「このカルチャーは分断されているんだ
だから俺が流れる (ラップのフローとかけている)
ようにしてやる」
女性たち「本当にやるの?」
ケンドリック「40エーカーの土地と1頭のラバ。
これは音楽そのものより大事なんだ」
女性たち「マジでやんの?」
ケンドリック「あいつらはこのゲームで反則を
していたけど、俺の影響力はフェイクじゃない」
「40エーカーの土地と1頭のラバ」というのは、アフリカ系アメリカ人奴隷解放宣言時にアメリカがアフリカ系アメリカ人に約束しておきながらいまだに果たされていない補償の約束です。
このラインはこれまでのケンドリックの作品で度々出て気ました。
「…ゲームで反則をしていたけど…」は、意味が3つ、いや4つあると思います。
1つ目は「司会のアンクルサムが圧力をかけてきたが俺を止めることはできない」という意味。
2つ目は「ドレイクは裏で"Not Like Us"をやらない様にいろいろ圧力をかけたけど俺には通用しない」という意味。
3つ目は「ホワイト・アメリカはアフリカ系アメリカ人たちの影響力を止めることができない」という意味。
4つ目は《10.Not Like Us》のレビューの最後に書きます。
分断するアメリカ社会に爆弾を投下しつつ、大ヒット曲"Not Like Us"が始まります。
この導入ヤバいです。
トリハダが立ちます。
《10.Not Like Us》
ついにドレイクのお葬式が始まってしまいました。
このショーで一番盛り上がったのは、ドレイクへのdis曲です。
この曲でのケンドリックのダンスはC-Walkです。
C-Walkは、ケンドリックの出身地であるコンプトンのギャング”Crips”が相手を56したときに踊るダンスです。
カッケェ~!!
ケンドリックがカメラ目線で"Say Drake"とラップするシーンはネットミームとなりました。
満面の笑みです。

歌詞の中にはドレイクの不安定な音程を揶揄する「Aマイナーのつもりか?」というのがあり、
これは「ドレイクは小児性愛者だ」という隠語になっています。
「マイナー」は未成年者を指すスラングでもあります。
そしてケンドリックが首にぶら下げているネックレスはでっかく「a」です。
ドレイクはこの放送を見るのでしょうか?
会場の数万人が「え~まいな~~~」と合唱するのを見るのはどんな気分なんだろう。
気の毒になります。
途中テニス選手のセリーナ・ウィリアムズがC-Walkするシーンが抜かれ、これも大きな話題になりました。

セリーナはケンドリックと同じコンプトン出身で、ドレイクの元カノです。
そこまでやる!?もうやめてあげて~!
また、この曲で各色のダンサーたちは混在して踊っています。
過去にケンドリックはライブで”Not Like Us”を繰り返し演奏し、団結を呼びかけ、会場の対立する2大ギャングを融合して踊らせました。
「対ドレイク(出身はカナダ・トロント)で西海岸融合するぞ」を「抗争するギャングたちも融合してくれ」にまで昇華させたのです。
この曲は融合団結の象徴でもあり、それを分断する全アメリカに見せつけています。
曲頭の「俺の影響力はフェイクじゃない」の意味の4つ目はこれです。
《11.TV Off(with Mustard)》
「マスターーーーード!」の掛け声とともに、前曲とこの曲のプロデューサーであるMustardが呼び込まれます。
プロデューサーをステージにあげてパフォーマンスしたのはこれが初めてではないでしょうか。
この曲の中でケンドリックは、歌詞ではありますが"TV Off!"と連呼します。
冒頭の「今からTVで革命が放送されるぞ」は、詩人ギル・スコット・ヘロンの「革命はTVには映らない」からの引用ですが、最終曲ではさらに「TVを消せ!」です。
アメリカで最も視聴率の高いTV番組で「テレビを消せ!」と連呼するのは、相当ラディカルです。
もう手が付けられません。
ビートは軍楽隊のホーン・セクションのようなフレーズで、どこか全体主義を想像させます。
完全にこのショー向けに作られた曲ですね。
最後ケンドリックはカメラに向かい、リモコンを操作するようなしぐさでこの曲とショー全体を終わらせます。
TV Off、そしてゲームオーバーです。
まとめ
この13分20秒のショーは、社会的には、あの有名なキング牧師の演説に匹敵するインパクトがあったと思います。
アメリカ史に刻まれる歴史的偉業です。
キング牧師(マーティン・ルーサー・キング)はアフリカ系アメリカ人公民権運動(公民権の適用と人種差別の解消)の指導者として知られ、ノーベル平和賞を受賞しています。
また、1stアルバム"good kid, m.A.A.d city(2012)"の"Backseat Freestyle"の歌詞が思い出されます。
マーティンには夢があった
ケンドリックには夢がある
そしてエンタメ的には歴代視聴率№1が証明しています。
いや~、凄いものを見ちゃったよ。
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