まずは交流、その前にタイピング【島総②#02】/vol3 アワビいっぱい編/離島の総合的な学習②
島での2年目を迎え、総合的な学習の時間の単元を考える前に、島の子どもたちにどんな力を付けたいのかを起点に、4つの事柄を思い描いていました。
今回はその中から、他地域との交流と、それを支えるタイピングの取組について書いていきます。
前回の話 離島の総合的学習の時間②#01👇
本シリーズについて(初めて読んでいただく方へ)
本シリーズは、県内で唯一の離島にある小学校に赴任して2年目、2003年度(平成15年度)に行った総合的な学習の時間の実践記録です。
交通も通信も限られた島で、子どもたちにどんな力を身に付けさせたいのかを考えながら、地域と関わる学びやICTを活用した取組を進めてきました。
1年目には、島の海の魚介類を調べてまとめた「おさかな天国 海辺のデジタル図鑑」に取り組み、マイタウンマップ・コンクールで農林水産大臣賞をいただきました。
▶ おさかな天国(離島の総合的な学習の時間①)
本シリーズ「アワビいっぱい編」では、年度後半のアワビの中間育成・放流の実践を軸にしながら、そこへ至るまでの前半の学びとして、他地域との交流、ICTスキルの定着、発信に向けた準備段階も含めて、2年目の1年間を通した取組を記録しています。
単元単位ではなく、「学びが形になるまでの時間」そのものを描いています。
※本文中の地名・学校名・人名等は仮名を使用しています。
1 何から始めるかを考える
前回は、今年度の単元づくりというよりも、島の子どもたちにどんな力を付けたいのかを起点にして、そのための方法や手段を考えてきました。
本来であれば、まず単元を構想し、その中で育てたい力を明確にし、さらに方法や手段を検討していくのが一般的な流れでしょう。
しかし、この4月の段階では、具体的な単元としての形はまだ見えていませんでした。
それでも、付けたい力に基づいて考えた方法や手段であれば、活動として先に動き出してもよいのではないかと考えました。
活動そのものが目的になり、何を学ばせたいのかが見えなくなるよりも、付けたい力をはっきりさせた上で動き出すほうが、まだ納得がいくと感じていました。

2 4つの活動と、そこに至るまで
前回も触れましたが、この時点で島の子どもたちのために考えていた活動は4つありました。
1つ目は、テレビ会議システムを活用した継続的な交流学習によって、子どもたちの世界を広げ、他者意識を育てることです。
2つ目は、学習に役立ち、将来にもつながるタッチタイピングのスキルを身に付けさせることです。
3つ目は、地域に根ざした実践を通して、地域の方から評価される経験を重ね、子どもたちの自己肯定感を高めることです。
そして4つ目が、これまで継続して取り組んできたマイタウンマップ・コンクールを目標に、活動内容をまとめたり、Webサイトを活用したりする学びです。
この4つの中で、将来的に単元へとつながっていきそうだと感じていたのは、3つ目の地域に根ざした実践でした。
ただ、他の活動も含めて、思いつきで並べたものではありません。
そこには、前年のさまざまな場面での私自身の経験や気付きが重なっていました。
研修会に参加した際に耳にした交流学習の実践例や、学びに必要なスキルを事前に身に付けさせているという話。
島で1年間生活し、地域の方と話をする中で浮かんできたアイデア。
そして、前年から続く取組を振り返る中で感じていた、「学びを外に届ける」という手応え。
それらが重なり合い、この年の構想の下地になっていきました。
3 2つの交流を動かし始める
こうした流れの中で、前回の離島の小学校編に書いた、小中合同の打ち合わせ後に、衛星通信インターネットが切れる19時までに急いでメールを送った出来事は、この交流学習に関わるものでした。
この年、交流は2本立てで進める予定でした。
1つは、県内で最も西に位置する山間部の小学校との交流です。 約100km離れた場所にある学校で、どうせなら最も対照的な環境の学校と交流したほうが、子どもたちの視野も広がるだろうと考えました。
こちらの学校とは、5月の交歓学習で実際に訪問することが決まり、PTA総会でも保護者の方に説明を行いました。
訪問までの間は、インターネット掲示板やテレビ会議を使って、事前交流を進める予定です。
もう1つは、県外ですが同じような離島にある学校との交流です。
きっかけは、当時運営していた私のサイト「熱中時代」を通じて知り合った小学校の先生とのつながりでした。
同じような環境の学校同士で交流してみましょうという話が、掲示板を使う形でトントン拍子に進みました。
こちらは実際に会ったり、テレビ会議を行ったりはできませんでしたが、写真も貼れる掲示板を使い、珍しいものを見せ合ったり、しりとりをしたりと、相手校の先生の工夫もあって楽しい交流が続きました。
全く異なる環境の学校と、よく似た環境の学校。
この2つの交流を同時に進めていくことになったのです。
離島の学校編で、自宅でピザの試作に励んでいた午後に掲示板を設置していたのも、まさにこのためでした。
4 交流を支えるタイピングという土台
交流を進める上で、掲示板への書き込みにはタイピングのスキルが欠かせません。
もちろん、ゆっくりでも文字を打つことはできますが、限られた時間を有効に使うためには、ある程度集中的に取り組む必要があります。
新学年が始まってから、子どもたちにはタイピング練習を行わせていました。
使用していたのは「見える指」というソフトで、正しい指使いを画面で確認しながら練習できるものです。
各指の練習から始まり、あいうえお順、さらに学年ごとの言葉や文章、変換の練習へと進んでいきます。

正確さと速さの両方で満点が出たら次のステップへ進んでもよいことにし、現在の記録は掲示するようにしました。
始めてから1ヶ月足らずですが、子どもたちはずいぶん上達してきています。
授業時間ではなく、休み時間などに自主的に取り組んでいる点も、少人数ならではの良さだと感じています。
義務教育の小学校は職業訓練校ではありません。
タイピングを完璧に身に付けさせることを第一の目的にしているわけでもありません。
ただ、入力がスムーズにできるようになることや、得意なことが1つ増えることで、自信につながってくれればと考えています。
計算や漢字と同じように、基礎基本として身に付けさせてもよいのではないかと、この頃は考えていました。
次回に続く・・・
1年目の実践 総合実践のvol2、おさかな天国(マガジン離島の総合的な学習の時間①)👇👇
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