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風景を描く視点を重ねて

質感、素材、風景をひとつひとつたどる旅で

視点を置いてはつなぐ。何を描くか。どこに物語
を感じるか。視点は自らの意思とは別に動き出す。
私の視点、それを俯瞰する視点。対象が語る視点。
寄っては離れ見渡して、私が綴るのはひとつの形。
人それぞれに風景は広がり、景色は幾通りもある。



道沿いに遊び心のあるなまこ壁に


素材やデザインにリズムを感じ



その上に掲げられた大黒天の褪せた鏝絵に


経過していく島の時間を思う



旅で目に映るものを拾い集め



時折、振り返り、見上げては



続く道の先へと視点をつなぐ



アートをたどり島を歩き、次なる展示へとやってきた



芸術祭の舞台となる本島の風景と、交差するアートの視点



静けさをまとう家屋の内部で作品は



過ぎ去った時間に包まれるように並べられる



モノクロで描かれた風景の下には



城と空を見上げていた石垣の石が置かれる



遠くの石垣の櫓台を望む



石が見ていた風景が描かれる



そびえる石垣の上にのぞく天守閣



作品には石が見ていた風景が描かれる


積み重なり、支えあう石垣の記憶



瀬戸内海に浮かぶ島々から、各地へと各地へ運ばれた石



私たちはここで地球にくっ付いていた。と添えられた言葉



大きく展開される作品は、採石場が描かれたもの



山の一部から切り出された石は



時代を支える素材となった



作品に添えられた石やガラスの破片は



その場所にあったもので、作品はそれ自体によって



サンドペーパーに描かれる



石が見ていた何気ない風景、視点



作品は時を経た家屋の中で静かに時を刻む



石が見ていた風景を、その石で描く。その視点に



心を動かされるように



あらためて視点の置き方に



重ね方に引き寄せられる



道端の石から生み出される奥行きのある



無二の視点からと名付けられた作品で


描かれる風景は優しさに満ちている



道端の石という存在に、またそこから見える



何気ない風景に、視点は価値を見出している



世界を作るあらゆるものは、関係しあい関わり合い



視点の置き方によって、認識され見出される価値



無二の視点から、という作品の視点を



自らの旅にも重ねれば、また風景も動き出す



太陽は高度を上げ、影は形を変えていく



建具の割り付け、カーテンの図柄、すりガラスの文様



時を経た瓦の質感にもふれながら



アートが帯びる視点に、風景を重ねるように



見上げる青い空に、のぞく芸術祭の青い幟


視点を重ねるほどに


何気ない風景も動きを持ち、日常は旅のように


旅を続けるほどに、視点をつなぎ


風景の中を歩いては、立ち止まり


日常と旅で視点を連ね、転じていく


道端に落ちる塀の影、壁面に伸びる瓦の影。太陽
との関係により影は形を変えていく。影が常に変容
するのは、太陽の動き、時間の移ろいとともに、更新
される自身の視点によるものでもある。目に映る
かけがえのない風景を構成するものに心を寄せる。


視点をどこに置くか。どのようにつなぐか。過去
から現在そして未来へ。近くから遠くへ、内から外
への視点の動きは感情の動き。驚きに満ちた寄り
の視点に、風景への理解をうながす引きの視点。
石のざらつき、しっくいの滑らかさ、土壁の凹凸、
光を反射し透過させるガラスの質感。景色は近づく
ほどに抽象化されて、素材は具体性を帯びていく。



風景に散りばめられた、小さな驚きを拾い集めて、
日常の中に旅を見ては、旅の中に日常を思う。その
ささやかな繰り返し。綴った視点と視点はつながり
合い、また新たな風景を編んでいく。体全体で空気
や質感にふれる旅。それを反芻しては、もう一度、
記憶の中を旅をする。そして綴った文章がそれぞれ
に響き合い、また新たな未来の旅と紐付いていく。



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