まぶたの奥に重なる質感へ
色が重なり、形をまとっては
質感を持つ。風景を反転させる鏡。光沢を帯びる
タイル。蛍光色に塗られた壁。土色の連続。隙間を
繋ぐ欠片。勢いを増す緑。絡まりあう蔦の生命力。
女木小学校に展開されている作者の記憶の断片。

はりめぐらされた素材と

世界をつなぐ記憶の断片が
現実の場に展開されていく

設けられる限界はなく

どこまでも先へと伸びる想像力で

構築される空間をくぐる

断片が隙間を埋めていく

異質なものが絡まりあいながら

島の彩りに重ねられる

積層する作者の記憶と時間が
新たな風景を作り出す

緑が増殖し、木々がうねる

空間に描かれた曲線に沿って

素材の質感をたどる

錆びゆく鉄と勢いを増す植物

時間の流れは入り混じりながら

その場に定着されるように

異質なものが組み合わされては

過去と同質化していく
瀬戸内に綴られた作品をたどり

小学校の校庭から空を見上げる

緑に覆われた巨大なブイが校庭に立つ

かつて海に浮かんだブイは

根を下ろすように女木島に定着する

鮮やかに塗り直された赤色を

びっしりと覆う緑の蔦

時間の流れを感じながら

いつか見た手押しポンプを懐かしむ

縦横に引かれた線や形に沿って

そっと置かれた錆びつくもやいが
瀬戸内の記憶をつないでいる

作者の想像力は限りなく

緑とともに繁殖しては

空へ伸びていくように

大きな赤いブイに植えられたヤシは
女木島に根を下ろし

風景の中に赤く光る
島への旅を続けては

瀬戸内に重ねられた
作者の想像力の下を訪れる

異質な形と質感と

散りばめられた色彩と
網膜に映る風景と

連続する色や形が
記憶の中で組み立てられては

まぶたの奥に重なっていく
校庭に散りばめられた記憶が質感を帯びる。休校
となった校舎の庭に、生命力があふれては根付く。
過去の作品が重なりあう。大竹伸朗氏が構築する
世界に足を踏み入れては、まぶたの奥に重なる質感
をスクラップするようにしてたどり、綴っていく。
