部分は重なり、連なっては全体へ
部分は全体を作る
一つ一つの部分が重なり、引かれあい、つなぎ合
わされて、全体像が形をなしていく。それらは寄る
ほどに立体感を増し、引くほどに混ざり合う。全体
に一部を感じ、部分に全体を見つけるようにして。

本島を歩く。始めに通りがかった作品に
島に散りばめられた色をたどり戻ってきた

屋内に吊り下げられた

小さな布の切れ端が重なり

部分がつながり合って全体を構成する

それらは島の住む人の記憶の欠片

作者は島の声に耳を傾ける

かつて暮らしが営まれた空間に配置された

島に住む人の衣服の数々は

過ぎ去った時間を満たすように

がらんとした空間を震わせる

かつてあった暮らし。これからも続く未来

時は流れ、人生はめぐる

いつかの生活を刻む形

光が差し込む空白の床の間

布が層をなす作品は、そこに流れる時間と
対話するように、空間に浮かび

一枚一枚の端切れはつなぎ合わされて
島の記憶となる。感情をまとう布は

過去から現在、そして未来へと
ふわりと風にゆらめくように

島の風景を色づかせる

かつては海の家であった骨組みが

新たにまとうピンクのオーガンジーの布は

風になびいては、光に揺れる

群島の風景のゆらめきを

はためく布に重ねては

一つの島の深さを感じるほどに

島の連なりに思いをはせる

大漁旗が風に翻る

風に大漁の文字が踊る
はためく布が記憶の中でなびく

瀬戸内海をめぐる旅は奥行きを増す
風が潮の香りを運ぶ。ひらりと舞う布は風景の一部
となる。島の空気、暮らしの質感、穏やかな時間。
瀬戸内海に浮かぶ島々。それらはつながり、ひとつ
の風景を生み出す。部分から全体へ。重なり、揺れ、
質感、ゆらめき。一つ一つの風景に近づくほどに
部分が浮かび、全体が立ち上がっては景色を作る。
