見出し画像

島の風景をなぞっては歩くほどに

立ち現れる景色を重ねていく

道路の真ん中でくつろぐ猫。旅に流れるゆったりと
した時間に歩調をあわせる。猫の間を縫うように、
島の風景をなぞっては、目線を上下させつつ歩く。
静けさの中にも織りなす旅のリズムを感じながら。



旅先での猫の日常の



間をそっと通りすぎる



それでもつい屈んでは、同じ時間を過ごしてみる


旅先の日常を、いつもの日々に重ねるようにして



島に咲くブーゲンビリアの下をくぐる



板塀に描かれた巨大なアリに



アートの視点がつながるように


時は過ぎゆき、宿もまた時を閉じる



視点を道の先へと持ち上げれば



緑の塔が空へとそびえる。時間には限りがあり



門の隙間から内部をのぞけば、かつて小学校であった場所



芸術祭のアートは、島の歴史と交わるように



風景の見え方をずらしていく



楽しみにしていた作品は、使われることのなくなった



幼稚園を舞台にしたもの。中を伺い知ることもできなくて



ぐるりとまわり外観にその痕跡を見つける


島をたどり、輪郭をなぞる。視点と思考と構造と



過ぎゆく時間をうらめしくも、限りある時に



島の地形の体で感じ



芸術祭の気配にふれながら


あふれだす色彩を手に取るようにして



のんびりとした島の時間を歩けば



道の真ん中の猫は、まだくつろいで


そろりと地面に目線を近づければ


見える風景も角度をかえる



島の空気を吸い込んで、青い幟をたどり



港への道を引き返す途中にも


粟島に広がる風景を伝う



石積の向こうに建つのは


海の側のレストランと宿泊施設

島に過ぎゆく時間に、建物はうつろいゆく



波打つ石畳に、揺れる石の船とアートの気配が漂う



うねる石積の先に浮かぶのは



レンガがずれては積み重なる象の彫刻


ふと現われる動物の彫刻も、旅の記憶をつなぐもの



島で展開されるのは海底探査のプロジェクト


海の底から引き上げられたレンガの記憶を


積み上げる日比野克彦氏はアートの力を



風景の中に帯びさせる。芸術祭の空気にふれ



ふと海を望む彫刻が目に留まる



サキモリという名の彫刻は、この地の歴史の上に立つ



彫刻家の思いは受け継がれ


過去から未来を見据えるようにして


海を越えて、作品との出会いを重ね


時をつなぐように立つ彫刻と


まだ見ぬ彫刻に思いをはせる


風景は色や形を変えては、視界の中に立ち上がる。
芸術祭に浮かぶアートをたどるように。目線を道の
先へ、空へ、海へと転じていく。積み重なる旅の視点
は、島の空気や時間を浮き上がらせるようにして。



いいなと思ったら応援しよう!