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素材の質感に記憶を重ねて

石が生み出す空気の中



いつか訪れた四国村をもう一度歩く。風景に流れる
10年の月日に思いをはせ、散りばめられた素材に
記憶を重ねる。曲がりくねる道を上った先の、木々
の向こうに現れる打ち放しコンクリートの建物へ。




芝生に、木々に、空の背景となる



打ち放しコンクリートの質感を


そのひび割れを繰り返しなぞる



素材は均一に不均一に



現れては空を切り取る



伸びる線分が折れ曲がり



囲んでは重なって



壁と開口部によるリズムを伝う



中で待ち受けるのは動的な彫刻と



静けさを湛える空間で



繊細ながらも力強い



ぎゅっと捉えられては


旅先から日常へと心を寄せる



研ぎ澄まされた質感の素材は



光を反射し、拡散しては



吸い込むように、いつかの影の形を浮き立たせる


滑らかな素材がつなぐ光と影



しんと響く音に揺れる色が



モノクロームに映えては鮮やかに


建築家の情熱の色をなす



肌理と造形。しっとりと滑らかな素材が


生み出す質実な空間


素材に近づいては、遠ざかり



均一さとむらを帯びるコンクリートの間を歩き



ひらりと揺れる緑のテキスタイルと



折り重なる緑のゆらぎ



影は形を表し



光は風景を反転させる



素材はしっとりと


十数年の時を重ねる


線に、形に、質感に


建築家の作り出す風景を



いつかの旅に重ねるほどに



その奥行きを改めて感じては



机の前で旅をする



ロダンの彫刻も時を重ね



降り注ぐ光が今を照らす



旅で過ごした空間に



てざわりを感じる彫刻と



素材が重ねる空間に



いつかの記憶をたぐりよせる



コンクリートの温かみと緊張感



ひんやりとしたスチールの温度に


建築家が生み出した空間をたどり


打ち放しコンクリートの壁に沿って歩く。斜面に
建つ四国村ギャラリーは、風景に変化をもたらし
一体となっては、移築、復元された古民家の背景と
なり、穏やかに時を刻み、静かに空間を保ち続ける。

壁が空間の器となり風景を分割する。素材が織り
なす質と単純化された線分は重なり、現代を描く。
やがては時を語る素材ともなるコンクリートが、
そっと置かれた四国村の行く末に思いをはせて。


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