そして視点は海につながるように
視点は絶えず切り替わる
高見島で出会った風景は移動を伴い、視点はめぐり
海へと収束する。海とつながる島のあちらこちら
に見え隠れする海を眺める。所々に置かれた古びた
椅子は記憶をまとい、海とつながる装置となる。

時の流れに触れるように

旅の記憶を引き延ばし
旅の道標ともなる色や形を紡ぐ

ひなびたトタン。使い込まれたパイプ椅子

島は椅子に満ちていて

静けさ漂う校庭で海に向かい

かつての校舎を背景にそっと置かれる

島をめぐる坂道に沿って

海との関係を結ぶように

椅子は風景に空間を与え

人と島とを接続する

椅子はかつての暮らしの気配をまとい

海との身近な接点となる

島を包む空気感を生み出すのは

高見島アートトレイルの家具のプロジェクト

重ねられる椅子の風景に

何気ない丸椅子も作品と化すように

展開された展示には

室内に外部の景色が取り込まれる

島の所々で視点をつなぎ

時をつむぐ記憶を帯びた椅子の数々

向かいあい、すれ違っては

集うような
椅子と風景と空間と

そして視点は海につながるように

島から島へと
海への風景を繰り返す先での

椅子と出会いに
体は島と接続される
BankART1929に手掛けられた

高見島でのアートの記憶は
坂と石垣と海とともに
ゆっくりと語りかけるものとなり
その記憶は体に溶け込むように
視点は旅をつなげるもの。いつかの風景が脳裏を
よぎり、体の運動とともに眼前に広がる。役目を
終え集められた椅子は、生活の記憶を忍ばせ、島と
の関係を結び合う。椅子は風景を空間にし、景色を
手の届くものへと転じる。視点は高さを変え、時は
速度を落とす。使い込まれた椅子に懐かしい手触り
を感じ、海につながる視点をその先へ運んでいく。
