彫刻家が描く風景をめぐる
形は、旅のモチーフとなる
建物や自然が作り出す形に目を留める。港の海沿い
に立つ彫刻は、揺らぐ波のリズムのように、風に形
を預け、ゆっくりと見え方を変えていく。それは
新宮晋氏により手掛けられた自然と共にある彫刻。

空に浮かぶ白い彫刻は

風の姿を顕在化させるように

ゆっくりと見え方を変えていく
海沿いに立つ彫刻は波の記憶を、風に託す

彫刻の白いシルエットは海と空に浮かぶように

円を描きゆっくりと回り続ける

彫刻は海に語りかけるように、風の声に耳を傾ける

振り返れば彫刻は、港に立ち並ぶ建物と
重なっては風景を作り出す

その動きに合わせるように、ひいては寄って

寄せては返す波のように

ゆるやかなリズムをたたえる彫刻の姿を

私の記憶の中に留めていく

新宮晋氏によって紡がれた波の記憶に
波打ち際を歩いたことを
繰り返す波の音に
過ぎゆく旅の風景を思い浮かべる

港に揺れる船

風に身をまかせる彫刻。港の時間はゆっくりと進む

立ち並ぶコンクリートの柱が刻むリズム

柱の表面に帯びる時間の襞

刻まれた時の流れや

円のモチーフとした形に沿って

波の記憶を帯びる彫刻の周囲をめぐる

彫刻とコンクリートの柱が生み出すリズムは

描かれた円とともに風景の中で響き合う
彫刻家が生み出す形は、どこかの風景とつながり
風景の中で時を刻む
自然と響き合う作品への旅を続けている
日常にある何気ない形、構築された意図のある形。
それらはそれぞれに意味を帯びる。自然が生み出す
形と、彫刻家によって与えられた風景を変える形。
それらはどこかつながりがある。彫刻は風に頼り、
たゆたう波の調べのようにゆっくりと動き続ける。
形の連なりと時を帯びる風景の中を旅をしている。
