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旅の質感を手の中に

関西を包み込む祝祭のうねりの中で


2025年、円を描くように瀬戸内をめぐる旅をした。
6章に及んだ島々のような280の断片を振り返る。


瀬戸内海に浮かぶ島々で開催されていた芸術祭。
始まりは神戸の夜の港。静かに港を発つフェリー
に乗り込んで海を越える。忙しない日々の間に
隙間を見つけ、波に浮かぶ島への旅を繰り返す。



1.小豆島 35編


風を受ける青い幟とともに



海を越え、島へと渡り



芸術祭に置かれた形と



質感をたどる旅をする



空間は自在に動きを持ち



風景は作品の中で入り混じる



旅は円の軌道に沿うように



くぐるように先へと目を向ける



旅の始まりは、自転車でめぐる小豆島




2.直島 豊島 60編


神戸の港から



海を渡る旅を繰り返す



円から螺旋へ、動的となる視点とともに



フェリーを乗り継ぎ、直島へ渡る



島と入り混じるアートに触れ



浮かぶ島々を縫うように
 

豊島で触れる砂の感触と



吹き抜ける風



空に漂う粒子に手をかざすように



島から島をたどっていく 



たゆたう波に包まれて



太陽の動きとともに島を離れる





3.本島 高見島 粟島 65編


瀬戸内の島々への旅を繰り返し



夜明け前の港を過ぎ



さらに西へと距離を伸ばす



海の輝きを重ねながら



青い幟を目印にして



円を描く旅の軌道は



波間のような瓦屋根の連続と



港に描かれた線を伝う
 

本島から高見島、粟島へと



海を渡り、島をめぐり



瀬戸内の風に身を委ねては



非日常から日常へと戻る





4.男木島 女木島 56編


日々の視点を緩やかに更新しては



旅の形を拾い集める



季節はめぐり、太陽も軌道をずらす



とらえる風景も角度をずらし



曲線をなぞるように



映り込むゆらぎを覗きこむ



転がる風景と



回転する映像をたどり



男木島から女木島と渡り



四国の歴史を刻む場所を後にして



過ぎゆく旅の時間を遠く眺める





5.犬島 27編


島をめぐる最後の旅は



行路を変え



坂を越え、海を渡る



石の記憶に包まれた島で



揺れる波間に



島並みを重ねる



光を帯びる波は干渉し合い



連なる視点は日々の見え方を変えていく



ここから向こうへ、また向こうからこの場所へ



旅の軌道に立ち上がる風景をたどり



島の質感に手をのばす






6.岡山芸術交流2025   37編


島への旅の余韻と



静かで動的な視点を携えて



円を描くように瀬戸内をめぐる旅は



島から街へ場所を変え、新たな変化を得るものとなる



対象への注意を重ねては



哲学者の思想にふれる



めぐる視点は位相を変えて



新たな風景を立ち上げる



旅に手をかざしては、ふれるように


つながり合う芸術祭の最後に訪れたのは岡山の地。
島から街へと場所を移す。重なる線は密度を変え、
構築された面が立ち上がる。視点はその隙間を縫う
ように円の軌道に沿う。旅の中で対象が動き、目線
を向け、注意を払うほどに過去から現在へと視点が
めぐる。旅に日常の視点が置き換えられては、連鎖
する。2025年の円を描いた旅は示唆に富み、身体性
を揺らしては確かな質感を握りしめるようにして。

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