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白い塔の下で ~トルコが足りなくなったら訪れる場所~

東京・渋谷区の代々木上原駅を出て五分ほど歩くと、白い塔が見えてくる。


ビルの隙間から、すっと空に伸びるミナレット。
初めて見たときは、思わず立ち止まった。
ここは東京のはずなのに。

いらっしゃい


東京ジャーミィは、日本最大のモスクだという。
「ジャーミィ」とはトルコ語で、モスクのこと。
正式名称は、東京ジャーミイ・ディヤーナト トルコ文化センター

中に入ると、ドーム型の天井いっぱいに、幾何学模様とカリグラフィーが広がっていた。

美しく幻想的で、しばし言葉を忘れる


青と白と赤と金。ステンドグラスを通した光が、床にやわらかく落ちている。
中でお祈りをする人たちの姿があって、その静けさに、こちらまで背筋が伸びる。


本当に海外に来たような感覚に陥る。

見学は無料で、予約もいらない。
土日祝日には、日本語のガイドツアーもある。


ガイドさんは、教義のほか、文化や背景の話をたくさんしてくれた。
一般的なイメージとはずいぶん違う。
質問はどんなことでも受け付けます、とも言ってくれて、その場の空気は思っていたよりずっと明るく親しみやすく、開かれていた。
他宗教だから、モスクだからと身構えなくていいのだ。


見学にはいくつか注意点もある。女性は肌の露出の少ない服装で。
スカーフを着用すること。持っていなくても、現地で貸してもらえる。
礼拝中の人の前を横切ったり、邪魔をしたりしないこと。
男性と女性で、礼拝が分かれているそうだ。ひとつひとつ、意味があってのことなのだろう。

こちらは中2階から見た風景
これだけ見ると日本と思えない



この場所ができたのは、思っていたよりずっと前のことだった。
今から百年ほど前、ロシア革命から逃れてきた人たちが、日本に安住の地を求めた。
その人たちの祈りの場として、モスクは建てられたのだという。

アラビア文字のカリグラフィー


老朽化で一度は取り壊され、今の建物は二〇〇〇年に、トルコからの寄付と職人の手によって、生まれ変わったものだそうだ。


そんな歴史を、私は深く語れるわけではない。
他国の政治や宗教について、踏み込んで意見を言うのは苦手だし、口を出すつもりもない。

ただ、こうして誰かの祈りの場に足を踏み入れると、それが暮らしの中に静かに存在していることを感じる。
特別なことのように構えなくても、ふとした瞬間に、文化として顔を出す。それでいいのかもしれない、と思う。

礼拝前に清めます



私はこの場所に三回ほど見学に訪れた。

外から見ているだけでは、決してわからない中の美しさ。荘厳で、静かで。
上を向いているだけで美しさに見惚れて時間が過ぎてしまう。

見るたびに、トルコで実際にモスクを訪ねたときのことを思い出す。またあの空気を吸いに行きたくなる。

あちこちの装飾が美しくて
細かいところまで見てしまう


今まで何度か記事で書いたことがあるが、私はトルコが大好きで、何度も訪れている。
トルコに行きたくなったとき、あるいは、なんとなくトルコが足りなくなったとき。電車で行けるこの場所に来ると、あの国の空気を少しだけ思い出せる。異国は、遠くにあるとは限らない。

見学のあとは、併設のショップ(ハラールマーケット)へ。お菓子や飲料、日用品や小さなおみやげ物も買える。



ここに行った日は、駅へ向かいながら、また少しだけトルコを補給できたな、と思う。



面白そうなイベントもあるので、開館時間、見学可能日時など、事前に調べてから行くことをお勧めします。
※入場料、土日祝日14:30~のガイドツアーともに無料(予約不要)



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碧乃よしえ@やさしいエッセイマンガ 最後まで読んで下さりありがとうございます。いただいた応援は、マンガや文章など、誰かの心がほっとする作品づくりに使わせていただきます。これからも一緒に楽しんでいただけたら嬉しいです。