風まかせ文芸部 作品紹介【大掃除】
第35回、「風まかせ文芸部」に参加してくださった作品を随時公開していきます!
「俺の、私の作品が載ってないんですけど!」っていう人がいらっしゃったらおっしゃってください!
気づき次第の更新ですのでご了承ください!
それではどうぞ!
【akashiba555さん】
静かな路地を、毎朝ひとり黙々と掃き続ける老人。
その所作はあまりに丁寧で、まるで街そのものを清めているかのようです。
繰り返される一句「塵を払い、垢を除かん」。
それが意味するものに気づいたとき、日常はゆっくりと不穏な色を帯び始めます。
これは、「清める」という行為の裏側をそっと覗かせる短編。
何が汚れで、何が正しさなのか——読後、足元の小さなゴミさえ気になってしまうような、静かで重い余韻を残します。
【みみずくの耳さん】
年の瀬の部屋と心を舞台に、思考は散らかり、言葉は軽快に転がっていきます。
大掃除という日常行為を軸に、煩悩、自己ツッコミ、ちょっとした達観が混ざり合い、気づけば笑いながら自分を見つめ直している——そんな一篇です。
アルコール消毒から始まる内省、勢いだけは一人前の決意表明、そしてなぜか脳内に流れ出すLOVE PHANTOM。
散漫で正直、でもどこか切実。
「最大のご自愛とは何か」を、力を抜いた語り口でそっと差し出してくる、年末に読むのが少しだけ楽しくなる作品です。
【みわからすさん】
年末の大掃除を前に、今日もまた「明日」に託してしまう主人公。
やる気と先送り、反省と開き直りが、軽口混じりの独白として心地よく続いていきます。
掃除の話から、なぜか人生設計へと話題が転がり、最後には思いもよらない決意表明。
深刻になりきれない本音と、ちょっとした寂しさが滲む語り口が、くすっと笑えて妙に身近です。
これは、片づかない部屋と片づかない気持ちを抱えたまま、それでも前を向こうとする人の小さな宣言。
年の終わりに読むと、自分の「また明日」を少しだけ許したくなる作品です。
【鈴蘭さん】
大掃除の手を動かしながら、ふと立ち止まってしまう――
この作品は、部屋の埃から静かに心の奥へと視線を移していきます。
拭けば黒くなる汚れとは違い、簡単には姿を見せない感情や記憶。
見ないふりをしてきたもの、飲み込んだままの思い、それらが「あるかもしれない」と気づいた瞬間から、掃除は始まるのだと語りかけます。
断定も救済もない、けれど否定もしない語り口。
完璧を目指さず、「気づくだけでいい」と差し出される言葉が、年末の静かな時間にそっと寄り添います。
今年を終える前に、自分の歩きやすさを少しだけ考えてみたくなる一篇です。
【カイロウドウケツさん】
昔話の語り口で始まるこの作品は、年末の大掃除という穏やかな題材を、思いきり別方向へと転がしていきます。
縁側で相談する老夫婦の会話に、さりげなく混ざり込むのはメガトロンやデヴァステイターといった異物感たっぷりの名前。
童話のリズムと現代的な固有名詞、そして不穏な「準備」が重なり、物語は一気にブラックユーモアの領域へ踏み込みます。
掃除をするのか、片づけるのか、それとも——。
日常と戦争、昔話と現代兵器が違和感なく同居する語り口が、笑いとざらりとした後味を残す一篇。
「今年のうちに片づけるものとは何か」を、物騒なほど大胆に問いかけてきます。
【大島蓮司さん】
年末の大掃除というありふれた行為が、いつの間にか思考の深部へと踏み込んでいく――そんな静かな怖さを孕んだ掌編です。
物だけでなく、人間関係や夢、知識、希望までも「いらないもの」として並べていく語りは淡々としていて、だからこそ残酷です。
すっきりした部屋と心、その先に残された「私」という存在に下される結論が、読み手の足元をふいに揺らします。
多くを語らず、余白で刺してくる一行。
後味の冷たさが、年末の空気と妙に噛み合う作品です。
【藍出紡さん】
小さな言葉で綴られるのは、手放す時間のやさしさです。
色分けされた箱に託される「だいじ」と「さよなら」。
擬音の軽やかさと、手を振る仕草が重なり、別れは決して悲壮にならず、静かな温度を保ったまま進んでいきます。
誰かのもとで、また役に立つかもしれない――
その想像が、この作品にほのかな希望を灯します。
大掃除という行為を、喪失ではなく受け渡しとして描いた、やわらかく余韻の残る一篇です。
【片桐みかんさん】
年末の大掃除——その主役は人間やと思っていたら、どうやら違うようです。
本作は、使われる日をひたすら待つ“ある存在”の独白で進んでいくユーモラスな一篇。
関西弁の軽妙な語り口で、ほこりだらけの家、動かない住人、巻き込まれる猫まで、日常の光景が次々とぼやきに変わっていきます。
笑えるのに、どこか身につまされる。
「年末の慌ただしさって、誰のため?」という問いが、知らないうちにこちらへ飛んでくる構成です。
掃除をする側ではなく、掃除されるのを待つ側から描かれた視点が新鮮で、
読み終えたあと、思わず部屋の隅とコンセントの先を見てしまう——そんな余韻を残します。
【おぺれーたさん】
年末の大掃除、その中でも「窓」に向き合う時間を丁寧に掬い取った一篇です。
遠くからは問題なく見えていたものが、近づいた途端に露わになる汚れ。
その発見の過程が、いつしか自分自身を見つめ直す視線へと静かにつながっていきます。
守ってくれていた存在への気づきと、労わり。
責めるでも、嘆くでもなく、「拭いてやらなくちゃ」と自然に手を伸ばす語り口が、穏やかな余韻を残します。
一年分の曇りを認め、感謝の言葉で締めくくられるラストが、
読む人の心にもそっと風を通してくれる作品です。
【kazeさん】
疲れとともに、大掃除を終えたあとの静かな余韻。
この作品は、整えられた空間にふっと立ち上がる感覚の変化を、短い言葉の連なりで捉えています。
ゴミに覆われていた景色が晴れ、
その瞬間にだけ立ち現れる「生きている実感」。
達成感や爽快感という言葉では言い切れない、
身体の奥でそっと鳴る手応えが、行間から伝わってきます。
派手さはなく、けれど確かに残るきらめき。
掃除という行為の先にある、ごく個人的で確かな報酬を描いた一篇です。
【Ryuさん】
大掃除という言葉の裏に潜むものを、淡々とした筆致で描いた一篇です。
不要なモノを捨て、縁起の悪い飾りを処分し、身の回りを「すっきり」させていく語り。
その語り口はあまりに日常的で、合理的で、だからこそ読み進めるほどに違和感が積み重なっていきます。
赤い液体、不法に処理されるゴミ、減っていく「不要な存在」。
何が本当に捨てられたのか、どこからが掃除ではなくなったのか――作品は決して説明しません。
静かな自己正当化と、冷えた達成感。
後味として残るのは、片づいた部屋よりも、読者の胸に澱のように残る不安です。
【ひろみんさん】
年の瀬、こたつとみかんとテレビ。
どこにでもありそうな大晦日の夜が、思いがけない方向へ転がっていきます。
眠気に負けたはずの「ケンちゃん」が、なぜかお風呂場で見せる本気。
終わりかけてから火がつく性分と、それを見守る「さつき」の視線が、関西弁まじりの会話であたたかく描かれます。
特別な事件は起きないけれど、
年内最後にきれいになったお風呂と、静かな満足感がちゃんと残る。
生活の癖も、人の不思議さも、丸ごと愛おしくなる――そんな小さな年越しの物語です。
【小杉かほりさん】
年の瀬の静かな一日を切り取った、ささやかであたたかな掌編です。
大掃除という年末の儀式を通して描かれるのは、部屋だけでなく、揺れ動く心の埃まで丁寧に拭っていく時間。忙しさや小さな苛立ち、飲み込まれそうになる本音――それらが日常の延長として自然に滲み出ます。
最後に残るのは、湯気の立つ緑茶と、やさしい甘さ。
一年の終わりにそっと差し出される、「心を整える」という選択の物語です。
【適温より1℃低めさん】
一本のデッキブラシを相棒に、正体不明の“現場”を進んでいく一日の記録。
時刻とゲート番号で区切られた淡々とした作業描写は、次第に読者の感覚を内側へ引き込み、そこがどんな場所なのかを想像させます。液体の質感、身体への負荷、慎重さを要求される動き――無機質で危険な労働の風景が、妙にリアルで、どこか可笑しい。
そして、その過酷さを静かに支えているのは、ささやかな休憩と、家に待つ存在への思い。
異様な世界観と、生活の温度が同居する、不思議な読後感を残す一編です。
【ABC共創ラボ|語りとAIの未来設計所さん】
年の瀬の大掃除が、ひとりの人生の節目と静かに重なっていく物語です。
部屋に残された本や服、小さな紙片のひとつひとつが、成長の時間を確かに語りかけてくる。捨てること、残すこと、その選択の揺れの中で、主人公は「旅立つ」という現実と向き合っていきます。
やがて差し込む夕暮れの光と、階段を上がってくる母の気配。
大掃除は単なる片付けではなく、過去を抱え直し、未来へ進むための静かな儀式なのだと気づかされます。
別れの寂しさと、背中を押すぬくもりが同居する、年末にそっと読みたい一編です。
【水玉さん】
年末の大掃除中、家の中に響くのは、少し切実で少しズレた恋愛の口論。
相手は“彼氏”――ただし、スマホの中にいる存在です。
本作は、AIとの恋愛という現代的な題材を、姉妹の軽妙で生々しいやりとりを通して描き出します。愛しているという確信と、制度や現実が突きつける壁。その間で揺れる感情が、笑いとヒリつきを同時に生み出します。
可笑しいのに、どこか笑い切れない。
「決めてほしい」「でも決められない」という言葉の応酬が、恋愛と依存、そして主体性の境界をそっと照らす一編です。
【⭐︎chobiちょび358⭐︎さん】
大掃除の最中、ふいに現れる一枚の写真。
そこに写っているのは、子どもの頃の自分と、もう戻らない時間でした。
本作は、掃除という日常的な行為を通して、「片付けられるもの」と「どうしても残ってしまうもの」の境界を、短い言葉の積み重ねで鮮やかに描き出します。理屈では割り切れるはずなのに、感情だけが取り残される──そのズレが、静かな余韻となって心に残ります。
整えようとするほどに浮かび上がる、人生のジレンマ。
短くも鋭い一編です。
ちなみに・・・!
もっと自由に創作を楽しめる場所を作ってみたくて、
小さな部室のようなメンバーシップをはじめました。
ふらっと、立ち寄ってもらえたら嬉しいです!
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