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銀河フェニックス物語<出会い編>  第三十一話(17) 恋の嫉妬と仕事の妬み

第一話のスタート版
第三十話 まとめ読み版①  (11)(12)(13)(14)(15)(16

 大人になって家を出たわたしは、何度も母に言った。
「父とは、別れなさいよ。わたしと一緒に暮らそう」
 母は、困った顔でわたしに言った。
「サブリナ、わたしはやっぱり、あの人のことが好きなのよ」

 暴力による支配は愛ではない、といくら伝えても母は理解しなかった。母は父に尽くすことに生きがいを感じていた。

 恋は盲目、とはよく言ったものだ。
 この世界に男性は沢山いるのに、なぜあの父を好きだ、と言うのかわたしにはわからない。
 母は愚かだ。
 わたしは父の側に立ちたい。愛されれば支配する側になれる。

 愛したら人は負けるのだ。
 正常な判断ができなくなって、目の前のジョンのように、人生の大事なチャンスすら、棒に振ってしまう。

 わたしは後悔していた。
 きちんとジョンに連絡を取らなかったことに。

「わたしは大丈夫だから、心配しないで」と、一言声をかけておけばよかったのだ。
 わたしとしたことが、こんな簡単な選択を誤った。

 それにしても、レイターさんはお節介だ。
 今日の授賞式がジョンにとってどれだけ大切か、あの人はわかっていた。わたしたちが祝勝会を開くことも知っていたのだ。

「レイターさんが、ジョンに知らせなければよかったのに」

n27 シャツ@ネクタイなし前向きにやり色

「どうしてそんなことを言うんだい?」
 ジョンが小さな目を見開く。

「だって、わたしは怪我もしていないし、立てこもりに遭ったわけでもないのよ。人質に取られているのはティリー先輩で、ジョンが来る意味がないわ。ジョンの将来にとって、人生にとって大事な授賞式なのよ。比較したらどっちが大事か考えるまでもないわ」
 わたしは感情的になって声を荒げた。

「サブリナ、君はいつも、正しい答えを出そうとする」

横顔スーツ困ったやや口逆

「そうよ。間違ってはいけないのよ」
 間違った選択をしたら、父にぶたれてしまう。


 ジョンと出会ったのは、新入社員の頃だった。

 たまたま、社員食堂で隣の席になった。わたしは本社で働くほとんどの人の顔と役職を覚えている。
 ジョン先輩は研究所の有望株だ。わたしからあいさつした。
「新入社員のサブリナです。ジョン先輩はすごいですね、今年も早々と特許を取られて」

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 情報も集めているから雑談も得意だ。
 わたしは近くにいる同僚は不愉快にさせるけれど、少し距離があるお客さまや上司からは好感を持たれる。
 
 何度かあいさつするうちに、気がついた。ジョン先輩がわたしのことを好きだということに。

 わたしは情報を集約し計算する。
 先輩と付き合うことのメリットを。そして、デメリットと比較する。
 容姿は冴えないけれど、そこはわたしは気にしない。彼には才能がある。のんびりし過ぎているけれど、わたしが振り付ければ、出世もまちがいない。 

 いい人だ。優しく、そして、何よりわたしを愛してくれる。
 愛される側が決定権をにぎる。
 父のように、人生をコントロールする側になれる。

 ジョン先輩を彼氏にする選択は、正解だ。

 告白したのは、わたしからだった。
「先輩、わたしとつきあって下さいませんか?」  

 ジョンはまるでプロポーズのような返答をした。
「ぼ、僕は君を幸せにすることを誓うよ」

 週末にはデートをした。

 ジョンは気の利いたお店も何も知らなかった。
 わたしは、自分の行きたい映画やイベントにジョンを誘った。彼は興味があろうがなかろうが、何一つ文句を言わず、笑顔でついてくる。

 都合のいい男性だ。  (18)へ続く

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48ノ月(ヨハノツキ) ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」 レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」 ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」 レイター「なんか、すげぇな……」