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朝のすすきのに呼び出された日🌸 子ども時代編

ママちゃんは、
数社の営業職を経験していたようだ

これは、私や弟が小学生から
中学生くらいの頃の話である

親睦会や飲み会にも、
ママちゃんは子持ちの
シングルマザーにしては、
結構参加率が高かったのではないだろうか

ママちゃんが出かける日は、
弟と用意された夕食を食べ
普段は規制されていた漫画を
たくさん読んだり、
テレビを自由に見たりすることができた

子供だった私たちは、
その環境を案外歓迎していた

そんなことが何度も続くと、
子供も慣れてくる

ところがある日、朝になってもママちゃんが
帰ってこないことに気付いた

いつもなら、とっくに帰宅している時間だ

何かあったのだろうか

事故にでも遭ったのだろうか

子供ながらに不安になった

今のように携帯電話もメールも
LINEもない時代だった

連絡を取る方法は限られている

心配しながら朝を迎えた頃、
週末のモーニングショーが
始まる時間に電話が鳴った

弟が電話に出る

すると、

「うん、お姉ちゃんに代わるね」

と言って受話器を渡された

電話の向こうはママちゃんだった

「朝ごはんの準備してないから、
 弟と地下鉄に乗ってススキノまで出てこないか?
 何か食べたいもの食べよう」

そんな内容だった

どうやら無事らしい

私は少し複雑な気持ちになりながらも、
地下鉄に乗るのを楽しみにしている
弟の準備を手伝った

待ち合わせ場所を指定され、
私たちは地下鉄に乗ってススキノへ向かった

今思えば、それだけでもなかなかの話である

到着した私たちを見つけると、
ママちゃんはいつも通りだった

そして第一声は、

「迷わなかった?」

だった。

こちらは朝まで帰ってこない母親を
心配していたのに、
本人は全く意に介していない

いかにもママちゃんらしい

前日の仕事終わりからススキノへ繰り出し、
朝まで過ごしていたらしい

少し化粧も取れかかり、
眠気も残っているようだったが
元気がないわけではなかった

「何食べたい?」

確かそんな流れで、
大手ファーストフード店へ入った

好きなものを選び、
足りなければ追加もしてくれた

朝まで賑わっていたススキノの熱気が
少しずつ引いていく時間帯

私はハンバーガーを食べながら、
朝まで遊んでいたらしい若者たちや、
仕事帰りの人たちを眺めていた

周囲から見れば、
不思議な光景だったかもしれない

少し疲れた様子の中年女性と、
小中学生の姉弟が朝のファーストフード店で
食事をしているのだから

けれど、当時の私たちにとっては、
それもまたママちゃんの日常だった。

多少複雑な気持ちはあった

それでも、普段は行かない場所へ行き
好きなものを食べられる

子供にとっては少し特別な朝でもあった

今なら、こんな呼び出しはなかなか難しいだろう

けれど振り返ると、
朝ごはんを用意して帰るよりも、
子供たちを呼び出した方が合理的だと
考えたのかもしれない

それが良いか悪いかは別として、
そんな発想をするのがママちゃんだった

当時は、子供達も首をかしげながらも
我が家はこんな感じなんだろうと受け入れていた

※ ママちゃんについては、これも読まれています



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