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夏休み、ママちゃんの会社に電話した日🌸 子ども時代編

小学6年生の夏休みの出来事だった

ママちゃんは仕事へ出かけ、
私は低学年の弟とのんびり過ごしていた

夏休みと言っても、毎日特別な予定が
あるわけではない

今日は何をしようかと考えながら、
結局は自由な時間を楽しんでいた

その日は朝から少しだけお腹が
痛かったような気もする

何気なくトイレへ行った私は、
見慣れない赤い点が紙についているのを見つけた

今まで見たことのない色だった

便器に座ったまま、しばらく動けなかった

色々な想像が頭の中を瞬時に駆け巡る

この赤い点は血だろうか

病気なのだろうか

どこか悪いのだろうか

十二歳の私には分からないことばかりだった

弟と遊ぶ予定もあったのに、
気持ちはもう別の世界へ飛んでいた

絵を描いていても、おやつを食べていても、
頭から離れない

お腹が痛かったのも病気だからなのだろうか

不安ばかりが膨らんでいった

そして私は決意した

「ダメだ。ママちゃんに電話しよう」

当時は携帯電話などない時代だった

家の壁に貼ってあった連絡先を指でたどりながら
ママちゃんが勤める会社へ電話をかけた

名前を伝え、ママちゃんを呼んでもらう

幸い、その時ママちゃんは会社に戻っていた

電話口で私は小さな声で言った

「なんか……病気かもしれない」

半べそをかきながら、トイレで起きた出来事を
説明した

ママちゃんは少し間を置いて言った

「それは病気じゃないと思うよ。寝てなさい。
早めに帰るから」

詳しい説明はなかった

けれど、その一言で少し安心した

私はソファに横になりながら、
ママちゃんの帰宅を待った

夕方、仕事を終えたママちゃんが帰ってきた

体調を軽く確認すると、奥のタンスを開けて
紙袋を取り出した

そして言った

”これから毎月、数日間続くと思うよ。
 病気じゃないから心配しなくていい”

そう言いながら、下着を一枚持ってくるように
言われた

ダイニングテーブルに座り、紙袋から取り出した
柔らかい小さな物を下着に付ける方法を教わった

その横では、おもちゃを手に弟が何をしているのかと不思議そうに覗き込んでいた

その後、ママちゃんから簡単な説明を受けた

病気ではないこと

毎月やってくること

最初の数日は出血量が多めかもしれないこと

お腹が痛い時は無理をしなくていいこと

ただ、どうしてそんなことが起きるのか
という説明はなかった

そこはママちゃんらしい

今なら理由も仕組みも理解している

何の予備知識もなかった十二歳の私には、
あの日トイレで起きた出来事は大事件だった

本気で病気になったと思ったし、
大人になるまで生きられないかも
しれないとさえ考えた

今では笑い話だ

けれど、あの日の私にとっては人生で
初めて感じる大きな不安だった

そして、そんな私とは対照的に
ママちゃんは驚くほど落ち着いていた

今思えば、あの落ち着き方が
頼もしかったのかもしれない

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