ととのえるとは、待つこと
ハイサイ。
ととのえ職人、五木田穣です。
ここまで、
「ととのえるとは何か」
「ととのえるとは、戻ること」
「ととのえるとは、足すことではなく引くこと」
「ととのえるとは、安心を思い出すこと」
「ととのえるとは、つながり直すこと」
「ととのえるとは、ゆるめること」
「ととのえるとは、休むこと」
「ととのえるとは、委ねること」
「ととのえるとは、受け取ること」
と書いてきました。
整えることと、調えること。
頑張る前に、自分の場所へ戻ること。
足しすぎたものを少し引いて、
抱えすぎた力をほどいていくこと。
体が安心を思い出し、
ばらばらになっていたものが少しずつつながり直していくこと。
必要以上に入っていた力を下ろし、
休める状態へ戻り、
全部を抱えすぎなくてもいいと少し委ね、
ようやく入ってこられるものを受け取っていくこと。
さらに、その先の話を書きましょう。
それは、
ととのえるとは、待つこと
だということです。
私たちは、待つことが苦手
待つことが、得意な人はあまり多くないかもしれません。
返事を待つこと。
変化を待つこと。
回復を待つこと。
相手の言葉を待つこと。
自分の感覚が追いついてくるのを待つこと。
私たちはつい、
早く何とかしたくなります。
早く、ととのえたい。
早く、楽になりたい。
早く、答えを出したい。
早く、前に進みたい。
早く、はっきりさせたい。
そう思うのは、
悪いことではありません。
苦しいときほど、そうなるのは自然なことです。
でも、
その“早く”が、
急がせすぎることで、かえってブレーキになってしまうことがあります。
ととのうまでには、
時間がかかるものです。
呼吸が戻るのにも。
安心が戻るのにも。
本音に気づくのにも。
人との関係がやわらぐのにも。
少しずつ、待つ時間が必要になります。
ととのえるとは、
ととのっていくまでの時間を、待てること
が大切になってきます。
不安なときほど、人は急ぐ
人は不安なとき、
待つことが難しくなります。
早く、答えがほしい。
早く、安心したい。
早く、終わらせたい。
早く、白黒つけたい。
まだ何もはっきりしていないのに、
結論だけでも先に欲しくなる。
そして、
急いで返事をしたり、
急いで決めたり、
急いで埋めたり、
急いで整理したりする。
でもその急ぎは、
ときに自分の感覚を置いていきます。
本当はまだ悲しいのに、
もう大丈夫なふりをする。
本当は少し怖いのに、
わかったことにして進んでしまう。
本当はまだ休みたいのに、
「もう十分休んだ」と言い聞かせて動き出してしまう。
そうやって、
気持ちや体が追いつく前に物事を進めてしまうと、
表面的にはととのっているように見えても、
どこかにズレが残ります。
だから、
待つことは、のんびりすることというより、
感覚が追いつくための余白をつくりだすこと
とも言えます。
待つとは、止まることではない
待つ、と聞くと、
何もしないことのように感じる人もいるかもしれません。
ただ立ち止まること。
受け身でいること。
流されること。
何も決めないこと。
でも、
私が言う「待つ」は、
そういうことではありません。
必要なことはする。
できることはする。
でも、
今すぐ、全部を整え切ろうとしない。
今すぐ、答えを出し切ろうとしない。
まだ熟していないものを、無理に結論へ持っていかない。
つまり、待つとは、
放置することではなく、
ととのっていくための時間を、奪いすぎないこと
とも言えます。
体には体の時間があります。
心には心の時間があります。
関係性には関係性の時間があります。
それを全部、
頭の速さだけで急がせてしまうと、
人は疲れてしまいます。
だから待つことは、
受け身な姿勢ではなく、
むしろ、主体的な姿勢です。
自分の心と体と、他者と、
丁寧な関わり方をしていくということです。
体にも心にも、ととのう時間がある
頭で、理解できることがあります。
もう終わったこと。
そんなに心配しなくてもいいこと。
少し休めばいいだけだということ。
今すぐ決めなくてもいいということ。
でも、
体や心は、
頭より少し時間がゆっくりと流れています。
頭では「もう大丈夫」と思っていても、
体はまだ緊張している。
言葉では整理できていても、
心はまだ悲しみに触れきれていない。
「わかった」と思っていても、
本当の意味ではまだ受け取れていない。
だから、
理解したから、すぐ変わるとは限らない。
決めたから、すぐ落ち着くとは限らない。
休んだから、すぐ回復するとは限らない。
そこに必要なのが、
待つということです。
少し時間を置く。
少し余白を残す。
少し急がない。
そうすると、
頭で理解していたことに、
体や心も少しずつ追いついてきます。
私は、
その時間がとても大切だと思っています。
待てると、感覚が戻ってくる
すぐに答えを出そうとしないとき、
人はようやく感じられることがあります。
本当は、何がしんどかったのか。
本当は、何を望んでいたのか。
本当は、まだ休みたかったのか。
本当は、少し寂しかったのか。
本当は、答えではなく安心がほしかったのか。
こういうことは、
急いでいる最中には見えにくいもの。
でも、
少し待つと見えてくるもの。
だから待つことは、
遠回りなんかではなく、
むしろ、感覚が追いついてくる最短距離だと言えます。
すぐに、整えようとしない。
すぐに、良くなろうとしない。
すぐに、元に戻ろうとしない。
それは、
あきらめることなんかではなく、
自分の感覚を置いていかないための、
やさしい姿勢と言えます。
待つとは、信じること
待つことが難しいのは、
不安があるからだけではなく、
信じることが少し怖いからです。
このまま待っていて大丈夫だろうか。
本当にととのっていくのだろうか。
何も起きなかったらどうしよう。
遅れたらどうしよう。
相手が変わらなかったらどうしよう。
自分が戻れなかったらどうしよう。
そう心配が前にでてくると、
人はすぐに何かをしたくなります。
でも、
待つというのは、
信じることなんです。
自分を急がせすぎなくてもいいと、信じる。
体が追いついてくる時間を、信じる。
今すぐ答えを出さなくても大丈夫かもしれないと、信じる。
相手や関係や流れにも、少し時間を渡してみる。
待つとは、
丸投げではありません。
無関心でもありません。
自分ができることをやりながら
ちゃんと周りと関わりながら、
信じて待つこと。
信じるには、安心が必要です。
必要以上の頑張りを手放し、
ゆるみ、休み、ゆだねること。
自分を信じてみる。
他者を信じてみる。
世界を信じてみる。
ただ、待つ。待ってみる。
待てるようになると、少し生きやすくなる
待てないとき、
人はずっと急いでいます。
まだ起きていないことまで心配する。
今すぐ決めなくていいことまで決めようとする。
体が追いついていないのに、前へ進もうとする。
相手の反応を急かす。
自分の回復も急かす。
それは、とても疲れます。
でも、
少し待てるようになると、
生きることは少しやさしくなります。
今はまだわからなくていい。
今日はここまででいい。
少し時間を置こう。
もう少し感じてみよう。
すぐに答えを出さなくても大丈夫かもしれない。
そう思えるだけで、
人はだいぶ楽になります。
待つことは、
弱さではなく、
受け身でもなく、
ととのっていくための大切な時間です。
ワーク①|いま、自分が急いでいるものを見る
ここで、
少しだけ自分を見てみてください。
いまの自分は、
何を急いでいるでしょうか。
たとえば、
早く元気にならなきゃ
早く返事しなきゃ
早く決めなきゃ
早く整えなきゃ
早く安心しなきゃ
早く前に進まなきゃ
早くこの気持ちを終わらせなきゃ
思いつくものを、
いくつか書いてみてください。
大切なのは、
「急いでいる自分はだめだ」と責めることではありません。
いま何を急いでいるのかを知ること。
それだけでも、
少し呼吸が深くなります。
ワーク②|ひとつだけ、待ってみる
次に、
今日の中で
ひとつだけ「待ってみる」ものを選んでみてください。
たとえば、
返事を少し急がずにみる
決める前に、ひと晩置いてみる
すぐに結論づけず、感じてみる
休んだ自分を、もう少し急かさない
相手の変化を急がない
自分の回復を急がない
小さいことでいいんです。
少し変えてみる。
すると、少しずつ変わっていく。
待つこともまた、
急に上手になるものではありません。
でも、ひとつだけでも
「今すぐじゃなくていい」を自分に渡せると、
ととのっていくための、余白が生まれます。
おわりに
ととのえるとは、待つこと。
それは、
ただ何もしないことではなく、
ととのっていくための時間を、奪いすぎないことです。
体にも、
心にも、
関係にも、
ととのうまでの時間があります。
それを急がせすぎると、
人はどこかで自分を置いていってしまう。
だから、
すぐにととのわなくてもいい。
すぐに答えが出なくてもいい。
すぐに元に戻らなくてもいい。
そうやって、
少し待てること。
そんな余裕、時間の余白をつくってみることで、
少しずつととのっていきます。
急がないこと。
奪いすぎないこと。
ととのっていく流れを、少し信じてみること。
この記事を読み終わったら、
その余韻を少し感じてみて下さい。
すぐに画面を閉じないで、自分の目を閉じてみて。
そして、呼吸を深く吐いて、ゆっくり吸ってみる。
何かをする合間に、ひと呼吸を。
少しの間を。少しの時間を。
ととのえ職人、五木田穣でした。
また次の記事で、お会いしましょう。
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つながりや安心、居場所をめぐって書いてきた流れをまとめた記事です。
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