証言構成「ポパイ」の時代 -ある雑誌の奇妙な航海 / 赤田祐一 証言から絵描き出す、ポパイの熱い編集部ふたたび 【人生最後の本棚】
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【人生最後の本棚】
まずはこの本に出会えたことに感謝です。筆者の方のご迷惑になりませんように。
おじさんがnoteを始めるに当たってメンズファッションのことを書こうと思い、ファッション関連の本を読んでみました。しかし、ファッション本を読むだけではカッコよくなれないといつも思います。中身が空っぽではカッコよくないのです。結局、いつも中身からカッコよくなるにはそれなりに本をきちんと読んでおかなければという結論に達します。昔からのものも含め、おじさんのお気に入りの本です。
証言構成「ポパイ」の時代 -ある雑誌の奇妙な航海 / 赤田祐一
「ポパイ本」が続いてすみません
またまた「ポパイ」のお話になってすいません。僕はこの2、3年「編集」や「編集者」というお仕事にけっこう興味があり、編集者の方々が書かれた本を読むことが増えています。【人生最後の本棚】でも編集者の方々の著された本が増えていきそうです。
前回、「popeye 物語 ‘76〜’81 若者を変えた伝説の雑誌 / 椎根和」(2008年刊)という本をご紹介しました。椎根さんはポパイの編集部の中核にいた方で、当時のポパイが、各号毎にどういうことがあって、どうやって作られて何部売れたという風にその時のことを書かれていました。いわばそこにおられた当事者の方の本でした。
こちらはポパイが大好きな編集者
実をいうと僕はこちらの「証言構成「ポパイ」の時代 -ある雑誌の奇妙な航海」という本は去年、橋本治さんの本を読む前に読んでいました。それで橋本さんの本を読んだ後に再読し、noteに記事を準備していたのですが、結局、もう一冊、椎根さんの本も読んで僕の中にある「ポパイ像」を補強しようとなった訳です。
こちらの著者の赤田祐一さんは1961年生まれです。「クイック・ジャパン」の創刊編集長をされていた方です。ポパイの編集部にいた訳でなく、ポパイが大好きな編集者の方のようです。
こちらの本は2002年刊で、椎根さんの本より6年前です。赤田さんが初期のポパイ編集部の中心人物の方々を取材され、多数の証言を集めて編まれた本でした。ということで当時の裏話やこぼれ話などは椎根さんの本と比べるとどうしてもまた聞きという形になってしまいますが、椎根さんの本とは違い、第三者の目線で沢山の当事者の方々の証言から当時のポパイの姿を浮かび上がらせています。
少し前回と内容は重複しますが、よろしければ再度お付き合いいただければと思います。本としましては、本質的にゴールが近いことから似たような内容が書かれていますので、こちらの記事からどちらかの本を選んでいただいても楽しんでいただけると思います。
「ポパイ」に興味がない方々はスルーして下さい。また、必ずしも両方読む必要はないと思います。編集上、同じ主題を浮かび上がらせる方法(編集)の違いは楽しめると思います。
さて、用意していた元の記事です。
橋本治さんが活字離れを象徴するといっていた「ポパイ」
前回、橋本治さんの「浮上せよと活字は言う」という本を読んで、以前に読んでいたこの本を思い出しました。橋本治さんによると、世の中が若者の活字離れを認めてしまい、それが現実になった現象は雑誌というかたちで現れ、その活字離れの象徴となる雑誌が「JJ」と「ポパイ」とのことでした。今回はそのポパイをつくっていた場所で何があっていたかを、当事者の方々の証言を集めて書かれた本です。
新しい時代をつくったポパイ創刊の時
「ポパイ」の創刊は1976年とあります。僕はその時11 歳です。赤田さんは16歳です。
ちなみに「平凡パンチ」が1964年に創刊、「TAKE IVY」が1965年刊とのことです。僕が生まれた頃です。
そしてポパイの編集部の方々は1976年以降に雑誌づくりをされて来た方々であるため、きっと年代的には団塊の世代より少し前の方々が中心だったのではと思われます。そして当時の大学生などの雇われライターは僕たちよりひと回り年上ということになります。
赤田さんは創刊当時15歳です。
時代を席巻したポパイ
当時、新しい雑誌の源流を作ったと言われるポパイの舞台裏を当時のスタッフの証言から浮かび上がらせています。1ドルが¥300という渡航がままならない時代にアメリカ西海岸に行き、取材して来た新しいカルチャーを紹介する雑誌でした。
「体育会系」のノリで、新しい方向性と思想を持った雑誌づくりが行われていて、ある意味、誌面づくりも試行錯誤や行き当たりばったりの連続であったように思われます。
飛ぶ鳥を落とす勢いとはこのことだったのではないかと思います。「面白そうだからやってみよう」状態です。きっと編集部は今の世の中では考えられない位にカオスな場所だったのではないでしょうか。きっと今のように効率や節約ということも言われず、歩留まりが悪くても、結果が良ければ全て良しという時代だったのだろうと思います。
この70年代後半からの喧騒の時代は、豊かになって来た時期の日本で、出版業界に限らず、マスコミ、音楽、スポーツ、ファッションとありとあらゆる分野に渡り関係した方々にとっては初めてのことだらけの「エポックメイキング」な時代だったのだろうと思います。今と違って、新しいものが次々に現れていて、そしてじわじわと受け手側も育てられて増えていった時代ではないでしょうか。
この時代にポパイの雑誌の編集に参加された古参の編集者やライターの方々は、後々、色々な場所で活躍され、今はみなさんが大御所となってご活躍されているように思います。
時代は進んで、現在
時代は進んで最近は「フジテレビ」の問題なども取り沙汰されていましたが、いい意味でも、悪い意味でも、エンタメ業界、マスコミ、ファッション業界ともに「あの頃は良かった。」というか無茶苦茶なことがあっても結果が伴えば大丈夫な時代だったのだろうと思います。
最近は当時の常識が通用しなくなり、コンプライアンスや差別など倫理的問題も重視され来ており、もう同じ業界が当時のような勢いを持ち得ることはなかなか難しいと思います。熱い時代の熱い編集部。そんな時代だったと思います。
経済成長した日本はバブルに向かい、後に僕のいる全く別の業界でも似たように滅茶苦茶な時代がありました。
僕が今の若い世代に対しておとなしいと言っても仕方がないことですが、今は超高齢化の成熟の世代の要請からなった行儀の良い世の中なのだと思います。
しかし、なんだかトランプ大統領を見ているともう一度この頃の熱い70年代当時と同じことが出来ると夢見ておられるように見えます。
とはいえ、「ポパイ」はカタログ雑誌の先駆けであり、アメリカンカルチャーを日本中に紹介して一時代を築きました。僕たちの「アメリカ大好き」を育てたのがポパイであり、ふた世代ほど時が進み、その影響はずっと続いています。
先にご紹介した「AMETORA」です。このポパイが発信した「アメリカ大好き」カルチャーが30年の長い時間をかけて日本独自のカルチャーとなり「AMETORA」となったと書かれています。
さらに、このポパイ発カルチャーを日本流に解釈してリミックスし、世界に再発信したこちらの方の本も紹介させていただきました。
2冊の「ポパイ本」
同じ主題の本が続いてしまい申し訳ありません。先に書いていたこちらの記事を没にすることも考えましたが、実を言うと、現在こちらの著者の方の後続する本を読んでいます。
というのも、最近、もう一歩進んでこのポパイ熱の源流となった当時のアメリカ西海岸にも、がぜん興味が出て来ました。そこまで遡りたいと思っています。近いうちにそちらの本もご紹介出来ればと思っています。
この当時の西海岸の流れは前回までにご紹介した「WIRED」関連の本ともじわじわとつながって来ている気がします。自分の興味がそちらに向かっていることと、他の著者の方々ともさらにつながっていきそうなのであえて公開させていただきました。
上記のWIRED関連の2冊ですが、未来予測のお話で大変面白いと思っています。そういう意味では僕の中では未来を予測していた橋本治さんとも似ている感じがあります。みなさんぜひご一読ください。
読んでいただきありがとうございます。
