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《葬送のフリーレン》ゼーリエは何者なのか?/大魔法使い四人定員説(第146話)

第146話「人類最強の戦士」までのネタバレと先の展開に関する考察・予想が含まれます。

第146話の感想・考察はこちらになります。

《葬送のフリーレン》に関する記事は下記のマガジンにまとめています。

はじめに

第146話「人類最強の戦士」におけるヴァルロスの疑問を受けて、「ゼーリエは何者なのか?」について考察します。想像が多めの考察になりますが、なるべく素直で素朴な発想を心掛けます。

また、その流れで最後に「聖杖の証」と「大魔法使い」について考察しています。(結論としては、聖杖の証は四つしか存在せず、大魔法使いは四人のみと決まっているという大魔法使い四人定員説です)

ヴァルロスの疑問(一体儂等は、何を相手にしようとしているんだろうな)

ヴァルロスは、自分よりも遥かな高みにいるレーヴェが「捨て駒になる覚悟」をもってゼーリエ暗殺計画に臨んでいることを知り、「一体儂等は、何を相手にしようとしているんだろうな」(第146話)と独り言のようにクライスに問いかけます。

クライスは無言です。おそらくは、ヴァルロスの疑問はもっともだけれども、自分には皆目見当が付かないと感じたのではないでしょうか。

ヴァルロスの問いに読者の立場で答えるなら、彼らが相手にしているのは「神話の時代の大魔法使い」です。(第10巻93話)

ただ、ヴァルロスはゼーリエが大魔法使いであることは知っていますし、神話の時代から生きていることも知っています。第14巻133話の「任務内容の最終確認」の場で情報共有されているからです。(レーヴェに会ったのはこの後でしょう)

ですから、「神話の時代の大魔法使いである」という答えはヴァルロスが求めている答えではありません。ヴァルロスもそれは承知の上で「ゼーリエとは一体何者なのか?」と問うているのです。

そうすると、ヴァルロスの疑問は読者の疑問でもあるわけです。私達もゼーリエについては「神話の時代の大魔法使い」であることくらいしか知りませんから。

そして、ここで「ゼーリエとは何者なのか?」という問いが立てられた(答えに対する読者の期待が作られた)ということは、この問いに対する答えとまではいかなくとも、何らかの手掛かりが帝国編で示される(読者の期待に対する応答がある)はずです。

その作者からのアンサーを待っても良いのですが、少し考えてみます。

※物語における読者の期待とそれへの応答については次の作文を参照ください。

ゼーリエについてわかっていること

ゼーリエについてわかっていることで、特に重要なのはこの二つでしょう。

  • 神話の時代から生きている

  • 大魔法使い

何しろこれは七崩賢・黄金郷のマハトから「お前は何者だ?」と問われたゼーリエによるセルフ・イントロダクション(自己紹介)のエッセンスですから。(第10巻93話)

第10巻93話

この二つは双方とも、ゼーリエと女神様に何らかの関係があることを推認させる要素になっています。簡単に見ておきましょう。

神話の時代から生きている

こちらは当然と言えば当然ですが…

神話の時代には女神様が顕現していたとされます。(第3巻24話)

ゼーリエが神話の時代から生きているというのなら、ゼーリエは女神様と何らかの関係があるのでは?という発想は自然でしょう。ゼーリエほどの卓越した能力を持つ魔法使いが、当時は顕現していた女神様と無関係に生きていたという方が不自然です。

大魔法使い

実はこちらも女神様との関係がありそうな要素になります。

「大魔法使い」の称号が何に由来するのかは、はっきりとはわかっていませんが、「聖杖・・の証」と呼ばれるペンダントを持っていることが大魔法使いであることの証です。(第5巻45話)

第5巻45話
第5巻45話

そして、ラントがユーベルに聖杖法院について説明した時に描かれた|聖杖《・・》法院を示す女性エルフのシルエットは祈る様なポーズをとっています。(第14巻128話。余談ですがミリアルデに似ています)

第14巻128話

「聖杖の証」と「聖杖法院」。無関係とは思えません。

とすれば、「大魔法使い」と女神様には何らかの関係があると考えても良さそうです。

ゼーリエが「神話の時代の大魔法使い」(第10巻93話)と自称している以上は、「大魔法使い」の称号は神話の時代から存在することになりますから、不思議はありません。

ゼーリエの人生の不思議

ここまで来るとほとんど答えは出ている気もしますが、もう少し別の観点から見てみます。

五人のエルフ

《葬送のフリーレン》には、タイトルにもなっている主人公のフリーレンを含めて、これまでに五人のエルフが登場しています。

  • フリーレン

  • クラフト(第3巻24話「エルフの願望」など)

  • ゼーリエ

  • ミリアルデ(第8巻69話「皇帝酒」)

  • ミーヌス(第14巻133話「銀貨」)

このうち大魔法使いミーヌスは現時点(第146話)では人となりがわかりませんので、今回は取り上げません。また、フリーレンはとても若いエルフであるため、ゼーリエの人生について考えるにはあまり参考になりません。

今回、ゼーリエの人生について考えるにあたり、クラフトとミリアルデを比較対象にしたいと思います。

クラフトとミリアルデ

この二人は似ています。クラフトもミリアルデも、エルフの永遠に近い寿命のために生きることの意味を見失うという経験をしています。(第3巻24話、第8巻69話)

第3巻24話
第3巻24話
第8巻69話

けれども、違いもあります。

ミリアルデは生きることの意味を見失ったままです。「いつも何もしないでぼーっとして」生きています。彼女にとって人生は無意味です。

第8巻69話

それに対して、クラフトは生きることの意味を取り戻しました。どのようにして取り戻したかといえば、信仰によってです。

第3巻24話

このクラフトとミリアルデの人生について、理解できないという方は少ないのではないかと想像します。

もし私が何千年も生きていれば二人と同じく生きる意味を見失ってしまうだろうと思います。その後、ミリアルデ的生き方をするのかクラフト的生き方をするのかはわかりませんが、どちらもあり得るなぁと感じます。

ゼーリエの不思議

クラフト・ミリアルデと比較してみると、ゼーリエは不思議です。

なぜなら、ゼーリエは神話の時代から生きているにも関わらず、人生に絶望していないからです。

ゼーリエという人物について考えてみます。

ゼーリエは、富・権力・名誉といった世俗的な欲とは無縁なようです。かといって、世俗を離れて隠遁生活をしているわけではありません。趣味に生きているわけでもありません。最近では大陸魔法協会を作って魔法使いたちを管理したり、魔物・魔族の討伐をしたりして、人類に貢献しています。では、人々のために世の中を良くしようという情熱があるのかというと、全くそんな感じはしません。

世間から離れるわけでもなく、積極的に世間の中に入っていこうとするわけでもなく、微妙な距離を保って世間と付き合っています。

こういったゼーリエの態度がどこからでてくるのか、どうにも掴みどころがありません。

ゼーリエと女神様

ゼーリエは初めてフリーレンに会った際に、「駄目だこの子は。野心が足りん。燃えたぎるような野心が」と言ってフリーレンを否定しています。(第5巻43話)

第5巻43話

ですから、ゼーリエは「野心」(大きな望みや目標)を持つことが重要だと考えているらしいことはわかります。

ゼーリエが神話の時代から生き続けながらも人生に絶望せずにいられる鍵は「野心」(大きな望みや目標)にあるのではないでしょうか。

では、ゼーリエ自身はどの様な「野心」(大きな望みや目標)を持っているのでしょう?

先程、ゼーリエが「神話の時代から生きている」「大魔法使い」であることから、ゼーリエと女神様の間には何らかの関係があるのでは?と推測しました。

では、ゼーリエは世界に対して果たすべき役割を女神様から与えられている存在だとしてみましょう。

そう考えてみると、ゼーリエの不思議(神話の時代から生きているにも関わらず人生に絶望していない)は解消します。ゼーリエの人生には(クラフトやミリアルデとは異なり)女神様から意味を与えられているからです。

では、ゼーリエが女神様から与えられた役割とは何なのか?

これは完全に想像ですが、たとえば…

第6巻53話

魔法や魔力を管理する役割というのはパッと思い付きますね。

世界から魔法を無くそうとするレーヴェがゼーリエ暗殺を企てる理由も、もしかするとそこにあるのかもしれません。(正直ここはわかりません。私は別の考察もしています。)

後述する大魔法使いの地位(聖杖の証)の承継時に、何らかの役割も承継するという仕組みがある可能性もあると思います。

ヴァルロスへの回答

これで冒頭で引き合いに出したヴァルロスの疑問(一体儂等は、何を相手にしようとしているんだろうな)に答えることができます。

ヴァルロスよりも遥かな高みにいて、ヴァルロスが恐怖を感じるほどの手練れであるレーヴェが「捨て駒になる覚悟」を持つほどの存在。

ヴァルロスから問われたクライスが沈黙するしかなかった問い。

その答えが「女神様」だとすれば納得できます。

ゼーリエの背後には女神様の存在があり、レーヴェや影なる戦士たちが相手にしているのは、究極的には女神様なのです。

※ゼーリエのさらに上位の存在となると、女神様かどうかはともかくとして、現時点で明らかになっている世界設定では何らかの神様的存在しかあり得ないということもあります。今後、ゼーリエよりは上、女神様よりは下、というポジションの存在が登場する可能性もありますが…。

ゼーリエの背後にいるのは本当に女神様なのか?

さて、ここからは、ここまでの話を前提にして、ちょっと発展的かつ想像の比重が高い話になります。

ゼーリエの背後に存在するのが女神様だとすると、また一つの疑問が生じます。

ゼーリエの女神様に対する考え方は未だに明らかになっていないからです。

そもそも、ゼーリエの人となりを見ていると信心深いタイプではなさそうです。自信家ですし、誰に対しても尊大な態度を取っています。ゼーリエが女神様にかしずくイメージができません。(クラフトと比較してください)

また、ゼーリエが信仰(女神様、天国、魂、魂の眠る地オレオールなど)に言及する場面はほとんどありません。私が知っているのは一か所です。ここでさえ慣用句的に「祈る」という言葉を使っているだけで、本気で神頼みをしているとは到底思えない態度です。(第143話)

第143話

まあ、ゼーリエの場合は本心がそのまま行動に表れているとは限らないのですが…

また、気になるのは、女神様と魔族、ゼーリエと魔族の関係です。

魔族は女神様を敵視しています(第12巻116話)。女神様は、魔族と戦う人類のために「女神の石碑」を残しています。つまり、女神様は人類vs.魔族という対立に関しては、明確に人類側に肩入れしている存在です。中立的な存在ではありません。

第12巻116話

※この辺りについては下記の考察で扱っています。

他方で、現在のゼーリエは魔王討伐には消極的です。ゼーリエはフランメやフリーレンの様には魔族を根絶やしにしたいといった強い恨みの感情は持っていないようです。ゼーリエは、マハトがヴァイゼを黄金化した際の様に、看過できないと判断した魔族は討伐するのですが、そうでなければ見て見ぬふりといいますか、我関せずといった態度で、持ちつ持たれつのような関係にある気もします。(ただ、神話の時代には魔族を恐怖に陥れた存在でした。第10巻93話)

とすれば、ゼーリエの背後に存在するのは、ほんとうに女神様なのか? という疑問が生じます。ゼーリエは人類vs.魔族の対立にそれほど積極的に関与するつもりがないように見えるからです。

ゼーリエの背後にいるのは、女神様のように大きな存在ではあるけれども、女神様とはまた別の存在なのではないか?という気もしてくるのです。

※ここで扱った疑問に関しては、こちらで考察しています。

大魔法使い四人定員説

別の記事にしようかとも思ったのですが、ゼーリエとも関係するので、ここで考察します。

一級魔法使い試験(第一次試験)の最中、フリーレンが大魔法使いであることが判明した時に、なぜゲナウはフリーレンを「最後の・・・大魔法使い」と呼んだのでしょう?

第5巻45話

この時のゲナウの台詞からは彼の認識について次の推測ができると思います。

  • まだ名の知られていない「無名の大魔法使い」が一人だけ・・・・存在することをゲナウは知っている

  • その他の大魔法使い全員の名をゲナウは知っている

  • その「無名の大魔法使い」=大魔法使いの最後の一人がフリーレンであると判明した→最後の大魔法使い

ゲナウは自分の知らない「無名の大魔法使い」は一人しかいないと考えているのですから、ゲナウの関知しないところで新しい大魔法使いが生まれることは(原則としては)あり得ないことになります。

言い換えれば、聖杖の証が新たに作られることはないわけです。大魔法使いの称号は神話の時代から存在するのですから、後世になって聖杖の証が新たに作られるのも妙な話ではあるので、理解できます。

つまり、大魔法使いには定員(=聖杖の証の数)があります。

ということは、ゲナウがフリーレンのことを「最後の・・・大魔法使い」と呼んだ理由は、聖杖の証は神話の時代に作られた四つしか存在せず、大魔法使いは四人と決まっているからでしょう。

なぜ四人なのかはこちらの考察を参照ください。(シュリットたちの認識している三人+フリーレン=四人です)

先程、原則・・として新しい大魔法使いが生まれることはないと言いましたが、例外・・は、大魔法使いの死亡などにより大魔法使いの地位(聖杖の証)が別の魔法使いに承継され、新たな大魔法使いが生まれる場合です。

では、ここからは推測です。

大魔法使いの称号は神話の時代から存在しますから、四つの聖杖の証も当時から存在したでしょう。

最初の大魔法使いはゼーリエです。最初はゼーリエが四つの聖杖の証すべてを持っていて管理していました。一つは自分のものです。(女神様から授かったのか、ゼーリエが作ったのか)

ゼーリエは三人の弟子を大魔法使いとして認めて、聖杖の証を一つずつ渡しました。フランメ、ミーヌス、ミリアルデです。

フランメの大魔法使いの地位(と聖杖の証)は彼女の死後フリーレンに承継されました。

こういうことだと思います。

四つの聖杖の証がどのように承継されているか(推測)

  1. ゼーリエ

  2. ゼーリエ → ミーヌス(現在はレーヴェが所持)

  3. ゼーリエ → ミリアルデ

  4. ゼーリエ → フランメ → フリーレン

さて、大魔法使いが四人と決まっているとなると、大魔法使いの地位(聖杖の証)の承継には、何か特別な意味があるのではないか?というのは自然な発想です。

聖杖の証そのものは特別な効力を持たないただのペンダントだとしても、大魔法使いの地位と共に何らかの役割を承継している可能性があると思います。

安直ですがフリーレンが各地で収集している暗黒竜の角の使途は気になります。(召喚に使うそうですが(第1話)、送り先も気になります)

おわりに

※この続きになる考察を書きましたので、ぜひお読みください。ゼーリエと女神様の不可解な関係について考えています。

帝国編の終盤では「ゼーリエは何者なのか?」という疑問に対する答え ないしは手掛かりが示されると思います。

私の考察・予想が作者の構想と一致しているかはわかりませんが、ネタの一つとしておもしろがっていただけたら嬉しいです。

聖杖の証に関する考察は、自分で言うのもなんですが、思い付いた時は頭がしびれました。これだからフリーレンの考察は止められない。フェルンはいずれ大魔法使いになると思うのですが、誰の聖杖の証を承継するのでしょうか…。そんなことも想像しました。

第5巻45話

《葬送のフリーレン》に関する記事は下記のマガジンにまとめています。

140本以上ありますが、とりあえず、初めての方にお勧めなのはこちらです。

これを読んだ上で、フランメ、ヒンメル、エーヴィヒなどで検索すると物語の全体像に関わる考察が出てきます。

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「週刊少年サンデー」の連載(最近は隔週)も追いかけて、感想・考察を書いていますので、よろしくお願いします。