偏愛の短歌・詩・小説Xまとめ2025年10月〜2026年1月
ごきげんよう! 花星沙夜です
体調不良と多忙のダブルパンチで作業ができず期間が空いてしまいましたが、短歌・詩・小説 Xまとめ2025年10月〜2026年1月第八弾です!
第八弾……そろそろXを辿るのが難しくなってきてしまいました。2月分もまとめたいのに! 3月も中旬に……!
過去のまとめはこちら!(すぐに読まなくても大丈夫だよ!)
長すぎる!
第八弾は「偏愛」編です。
わたくし、偏愛でしか通電しない体質のため、ひとジャンルができてしまいました。
性質上、過去のまとめとの重複もあるかもしれませんが、お気になさらず楽しんでいってください!
短歌(+解説、短歌から繋がる140字小説・詩)
愛情の回路が壊れたわたくしは偏愛でしか通電しない
普通の愛じゃダメみたいです。
幼少期に回路が変わっちゃったみたいで。
浴槽に赤いバスボムぶち込んで 髪を泳がせ君を待ちたい
わたしを失って慌てている姿に愛を感じる。でも本当に死んだらそれを観測できないから、「悪戯」という体で実行したい。
堕とすため「また伸びるよ」と甘言で 風切羽を落として笑う
風切羽(かざきりばね)は、空を飛ぶ為に必要な羽の一部で、ここに痛覚はなく、鳥が逃げ出さないよう切り落とされることがあります。
羽が生え変われば再び空を舞うことができるのですが、その時にはもう、この鳥さんは空を飛びたいと望まなくなっているかもしれませんね。
お砂糖と煮詰めて君と溶け合って救ってよほら腐らせるなら
大量の砂糖と果実を煮詰めて作るジャムは保存に適しており、瓶の中でふわふわのパンに乗る日を待つことができます。
一方で、摘み取られたまま放置された果実は「君」とひとつになることもなく腐ってしまうのでしょう。
愛情をすべて受け入れるには、手間がかかりますから。
「不死身なの」あなたが僕につく嘘はこのレベルだよ死ぬほど下手だ
愚かさも愛おし。
ゴミ箱や 冥府の穴に瑕疵の玉 どうか私に下賜しておくれ
かつて太陽系の第9惑星とされていた冥王星は非常に小さく、似たような小天体が数多くあり、定義における「瑕疵」によって、惑星ではなくなりました。
冥王星の語源はプルートー(ギリシア語でハーデス)。冥府の王よ、あの星をいただけるなら、私は特別に大切にいたします。
許されることを諦め恨ませたままでいさせる美しい愛
これを「美しい」と言ってしまっている傲慢さ。
わたくしを愛してやまぬ妖精に心労をかけ病ませてみたい
(わたくしの死後に不老の妖精がわたくしなしで生きられぬよう)
連作とは違うのかもしれませんが、続けて二首、物語となるように作りました。
なお、内容につきましては花星沙夜のガチ本音です。
未熟果のライチの毒が回るよう飢えて喰む恋がわたしを殺す
傾国の美女、楊貴妃が愛したライチ。薔薇に似た芳香と甘い味はまるで恋のよう。
しかし、熟れていないライチは有毒で、特に飢えているときに食べると低血糖を加速させ、命に関わります。
未熟な恋が飢えた心を蝕んでゆく。
カーテンの開かない部屋は牢に似て 花(きみ)の香りが染み付くばかり
外界から隔絶されたふたりの生活、好きです。
鼻先に紅も気にせずキスをする末摘花(すえつむはな)も愛らしいかな
末摘花は源氏物語に登場する女性で、赤鼻の不美人です。しかし、源氏物語の中では割と幸せな部類だったり。
愛する人の顔を汚して安心する、幸せな一瞬。
白に映ゆ一筋の紅を乱すキス わたし百まで生きたくないの
美しさが崩れる不安。百歳まで生きたくない。美しくなくなっても愛される自信がない。
握り締め手を変え品を買い与え僕は笑顔でお金を渡す
札を握り締めて手を握る権利を買う。飽きられぬよう手段を変えてブランド品を買い与える。当人が幸せならそれはそれで。
人殺し 君の言葉が届くたび 改訂されて 旧式は死ぬ
大切な人の言葉に一喜一憂して、過去に受け取った言葉の意味が変わってしまう。君はすぐに過去のわたしを殺す。
この恋は不死鳥となり戻りゆく 人は私を「Jane Doe(ジェーン・ドゥ)」と呼ぶ
「不死鳥」は、死を察すると自ら炎に飛び込んで、再び蘇る火の鳥です。
「Jane Doe」は名前が明らかでない女性の呼び名で、警察関係では「身元不明の女性遺体」を指すことがあります。
復縁を迫る彼女はストーカーとして、「恋人としての名前」を忘れられてしまいます。
恋敵 未必の故意で転落し 秘密の恋ならバレずに済んだ
「未必の故意」とは、犯罪の発生の可能性を認識しながらも、「そうなってもいい」と行為に及ぶことを指す言葉です。当然裁判にも影響します。なんだか「秘密の恋」と似てますね。転落したのが恋敵だと誰も知らなければ、容疑者として浮上しなかったかもしれないですね。
風船も凧も君の手離れたら糸を震わせ地面で死ぬの
こちらは色々な意味を込めた歌なので解説するのも無粋かな……と思ったのですが、過去記事「子を想う人の〜」でも取り上げたので、もうひとつの意味も載せることにします。
あなたはきっと人を死なせてしまうから、わたしじゃないと駄目なのよ。
産みたての この娘(こ)がいつか子を孕み 苦しむ日々を想像し泣く
「今から考えすぎよ」と周りは言うでしょうが、母という生き物は大真面目です。
人間は脳が大きいため難産なのです。母体に対して胎児は大きく、妊娠期間も長く、はっきり言えば生物的には弱点なのです。
辛い妊娠出産を乗り越えたからこそ、生まれた娘が子を望んだとき、同じ苦しみを味わうなんて……と考えてしまう。
数えきれない幸せを今あげるわたしの骨を忘れるくらい
親という生き物は往々にして心配性です。それでも子供には、大人になるまで親の不安を悟らせず、幸せに生きてほしいのです。他の動物にはない一心不乱な愛情で。他の動物が、親を忘れるのと同じくらいに。
黴が生え蛆が湧いても口にする チーズはママのミルクの果てで
母親のモチーフは色々な意味で異常だなと思い。
致死量の代替の愛 ザラザラリ 耐性は増す哀しいからだ
代替物では根治しません。
灰を帯び箱の中だけ美しく持ち主の死を見届けるeye
愛されているから使われない。そして死を見届けることしかできない。
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逢瀬まであと何日と指折りて 数えきれない星の瞬き
人間とかいうヘンテコ生物がいう恋とか愛とかって、ある意味すべて偏愛なのかも。
詩(単体)
フリルを踏みにじる。切り絵の影が伸びる。愛らしい、「愛」らしいとつけ足し、あなたの輪郭が分からなくなるほど重くなった布を、他でもない己の、縺れた足が裂く。泥が、褪せた血のように侵蝕している。あなたに被せる言葉が、オーロラみたいな薄い光だったらよかったのに。
愛せば愛すほど重たく汚れた愛を着せてしまう。
140字小説(単体)
わたしのすべてを愛する人に、わたしのすべてを整えられたいけれど、それではあまり生まれた意味がない?
相手の社会的生産性が高く、わたしの世話がそれに貢献するなら意味がある?
それとも社会性は手段であるため、わたしが幸せならそれでいい?
わかんないからしあわせな夢をみても居心地が悪いの
花星沙夜 X
人は苦しいから死にたいと思うのに、死が近づくと大抵痛くて苦しい
心の美しい、人ならざるものに、喜んで看病されたい
病魔を食べる怪異とかがいい、人のリソースを割くのは申し訳ないから
好物を食べ、さらさらのシーツでトントンされながら眠りたい
エンドルフィンを出しながら夢見心地で終わりたい
花星沙夜 X
怠惰なのに哲学だけは立派です。
(ちなみにわたしは記事の文脈によって、同じXの投稿でも、詩・小説・エッセイのジャンルを変えることがあります。怠惰なその場限りの哲学によって。てへ)
俺が彼女の全てであってほしかった。彼女は俺の全てだったから。人は死ぬ。失った方が花をプレゼントする決まりは不平等だし、枯れる花は俺たちに相応しくない。彼女は揺れるピアスが好きだった。俺は梁から揺れる一輪の花だ。そこにいる? 枯れない衝撃を君の魂に。ギブアンドテイクだろ。
愛する人を失った上に花まであげなきゃいけないなんてバグすぎる。
俺ら、花を贈る趣味もなかったし、喧嘩したときには悪かった方がちょっとしたプレゼントを買っていたし。
先に逝ったんだから、詫びにお前に会わせろや。
昔プレゼントした揺れる花のピアスみたいになって、俺も死ぬから。
今、幽霊になってそこで見てるか?
いきなり死にやがって。サプライズ返しだよ。
エッセイ
幼少期に愛情に強いコンプレックスを持ってしまったために、「理想の愛を得ること」がすべての目的となることはままある。当然理想の愛などは存在せず、更に「自分が他人に"正しい"愛を与えられない」と万死に値すると考えてしまうケースもある。そしてもう大人なので、「無償の愛」では間に合わない。
ぼかあね、底なしに精神が強いと思っていた人の、たった一言の消えそうな譫言でトラウマを悟ってしまい、救うなんて烏滸がましいと分かっていても諦めず何度も手を差し伸べるヒーロー(後のダーリン)が好きなんですよ
こちらが健気に振る舞っていても砂粒みたいなイベントから機微を察して隠してる辛いことを全部暴かれ良いところは褒められ生きづらくなるところは知らないうちに矯正され外でも生きていける素敵な人間にされた上で、外堀からじっくり固められて共依存状態になりたいよな
恋人を失いたくないがために、自分の首に刃を当てて己の命を交渉材料にする男、バカメンヘラなのに自分の命に交渉の価値があることを知っていて、アンバランスで可愛い
普段は常識人であればあるほど味わい深い
この設定で小説を書きたい。
まだワーキングメモリーが復帰しておらず、構想がフッと消えてしまうのが悲しいけれど、少しずつリハビリをして、また長編小説を書きます!
できた!
わたしのアクの強いまとめとなりました。ここまでお読みくださり感謝です。おひとりでも面白いと思っていただけたなら僥倖です!
もし……! 趣味が合う方がいらっしゃったら……! ぜひ語り合いましょう……!
短歌・詩・小説 Xまとめ2025年10月〜2026年1月、残りは「進化生物学」「その他」の予定です!
「進化生物学!?」と思われた方! これは花星沙夜の生きる力となっているジャンルです! 次回、お楽しみに!
2025年10月〜2026年1月まとめ最終回と2026年2月分もよろしくお願いします!
またお会いしましょう!
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短歌を作るにあたって、たくさんのお題を使わせていただきましたこと、感謝いたします。
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