【すごい博物館178】ロマンスカーミュージアム:前方展望席・2階運転席など特徴的な6車両を味わう!
鉄道好きにオススメ 登録博物館
■ロマンスカーミュージアムとは

新宿と神奈川県小田原市を結ぶ私鉄・小田急電鉄の小田原線、その途中にある海老名駅に隣接するビルに、小田急が誇る「特急ロマンスカー」の車両などを展示しているミュージアムがあります。

神奈川県西部に位置する海老名市には、小田急と相模鉄道が共同で使う海老名駅と、JR相模線の海老名駅があり、その間の約250mは高架の遊歩道で結ばれています。

その高架の脇に、小田急の歴代特急車両などを展示している、2階建ての「ロマンスカーミュージアム」があります(運営は(株)小田急エージェンシーが担当しているそうです)。

小田急はかつて、川崎市多摩区で営業していた遊園地「向ケ丘遊園」の敷地内に「鉄道資料館」を設けていましたが、平成14年(2002年)に閉園となっていたため、令和3年(2021年)にオープンしたこのミュージアムは、久々に再開された展示施設になるのだそうです。

ミュージアム前に設置されていた自動販売機をよく見ると、初代・2代・3代のロマンスカーの顔になっていて、いきなり気分が高まりました。

メインの展示会場である1Fには、歴代ロマンスカーなど7つの実物車両が並べられていて、2階にはジオラマやシミュレーター、それにショップやカフェなどが設けられていました。

遊歩道のある2Fが入口になっていて、チケットを購入してエスカレーターで1Fに向かう動線となっていました。
■1F
ヒストリーシアター

小田急電鉄の約100年に及ぶ歴史を振り返るコーナーで、昭和2年(1927年)に前身の「小田原急行鉄道」が創業した時から活躍していた「モハ1」車両が展示され、奥のスクリーンでは歴代のロマンスカーを紹介するビデオが上映されていました。

大正12年(1923年)に創立された「小田原急行鉄道(株)」は、急ピッチで敷設工事を行い、4年後の昭和2年(1927年)には「新宿~小田原」で営業を開始し、この「モハ1」電車を走らせていたということです。

創業者である利光鶴松さんの功績を伝えるコーナーでは、映画の主題歌に小田急の名前を入れたり、人気スターの声でレコードに録音した沿線名所解説を車内で流すなど、利用客拡大とサービス向上に努めていたエピソードが紹介されていました。

終戦後、昭和23年(1948年)に小田急電鉄が再スタートした際に社長を務めた安藤楢六さんの功績を伝えるコーナーもあり、特急ロマンスカーの運行や、箱根登山鉄道への乗り入れを始めた実績が解説されていました。

昭和23年(1948年)に「新宿~小田原、週末ノンストップ特急」の運行を始めた際に、2人掛けの「ロマンスシート」を搭載していたことから、宣伝文句に「ロマンスカー」という愛称を使ったところ人気が出て、それが小田急の特急の名称として定着したのだそうです(かつては他社でもロマンスカーという愛称が使われていましたが、現在は小田急が商標登録をしているそうです)。
ロマンスカーギャラリー

この館のメイン展示室といえるこの部屋には、3本の線路が敷かれ、かつてロマンスカーとして活躍していた歴代6種類の車両が展示されていました。

初代ロマンスカーの「3000形SE:Super Express、昭和32年~平成4年/1957年~1992年」は、新宿~小田原間を1時間で結ぶために開発された高速車両で、当時の狭軌鉄道世界最高速度である145Km/hを記録し、国鉄による新幹線0系の開発にも参考にされたのだそうです。

車内にはえんじ色の2人掛け座席が並んでいましたが、映画館の2人掛けシートが「ロマンスシート」と呼ばれていたことから、小田急の特急が「ロマンスカー」と呼ばれるようになったとの解説が付けられていました。

高速安定性と乗り心地の向上のため、2つの車両を跨ぐ形で車輪を付ける「連結台車」が採用されていて、車内の連結部分には円形の床板が付けられていました。

反対側に連結されていた車両は、昭和43年(1968年)に国鉄御殿場線への直通運転の為に改造が行われた姿のもので、ライトが左右離れた位置に配置され、「あさぎり」というヘッドマークも取り付けられていました。

2代目「3100形NSE:New Super Express、昭和38年~平成11年/1963年~1999年)」は、運転席を2階に移し、前面展望席を導入した特徴的な車両です。

車内の天井部分に折り畳みのハシゴがあり、そこから2階の乗務員室に運転手さんが出入りしていたようです。

なお、運転室を2階にして前面展望席を設けた車両といえば、昭和36年(1961年)でデビューの名古屋鉄道「パノラマカー」もありますが、ロマンスカー3100形NSEはこれを参考にしたのかもしれませんね。

3代目「7000形LSE:Luxury Super Express、昭和55年~平成30年/1980年~2018年)」は、2代目に続いて前面展望席が採用されています。

1Fフロアを奥に進むと、さらに3台のロマンスカーが並んでいました。

「10000形HSE:High Super Express、昭和62年~平成24年/1987年~2012年)」は、ハイデッカー構造で床を高くしたことで車窓の展望が改善されたのが特徴で、現在も譲渡先の長野電鉄では現役で走行しているのだそうです。

前面のシートに座ってみたところ、左右180度に展望が開けていて見晴らしがよく、現役時代は多くのお客さんがここで風景の変化を楽しんだことを想像できました。

車両の後方では、連結台車部分を間近に観察することもできました。

「20000形RSE:Resort Super Express、平成3年~平成24年/1991年~2012年)」は、前方展望席は採用されていませんが、2階建ての車両を連結し、「あさぎり」としてJR東海の御殿場線に乗り入れて沼津まで走行していたのだそうです。

ダブルデッカー(2階建て)車両のアッパーデッキは、特別席「スーパーシート(JRでいうグリーン車)」になっていて、幅が広い1+2の3列シートで、ゆったりとした旅を楽しめるようになっていました。

また、2階には「走る喫茶室」と称されたサービスコーナーも設けられていて、当時はここで軽食などを購入できたようです。

1階部分には、4人掛けの個室「セミコンパートメント」も設置されていて、子供連れの家族が和気あいあいの旅を楽しんでいた姿を想像してしまいました。

「50000形VSE:Value Super Express、平成17年~令和5年/2005年~2023年)」は、「白いロマンスカー」として愛された観光用の特急車両で、建築家の岡部憲明さんによるデザインで快適な車内居住性が実現されていました。

座席シートは約5°窓側を向いて配置されていて、広い窓から少しでも景色を楽しめるようになっているのだそうです。

この50000形VSEの展示は、ミュージアムの開館5周年を記念して令和8年(2026年)3月から始まったばかりで、訪問時には1Fフロアの周辺部分で、VSEの特徴を紹介する特別展示が行われていました。

解説パネルでは観光に力を入れるためにVSEが導入された経緯や、デザインコンセプトなどが解説されていたほか、1/40スケールOゲージの10両編成の模型も展示されていました。

従来のLSEの座席(左)と、VSEの座席(右)の座り心地を比較できるようになっていましたが、確かにVSEのほうが体全体を軽く包み込んでくれているような印象がありました。

「鉄道友の会」が新たに就役した車両を表彰する「ブルーリボン賞」に、ロマンスカーは8車種が選出されているのだそうで、記念の盾がずらりと並べられていました、すごい。
ロマンスカーアカデミア1

長方形の部屋の壁面には、歴代ロマンスカーを紹介する写真パネルが掲げられていたほか、机と椅子もあり休憩スペースを兼ねているようでした。

反対側の壁面には小田急電鉄の年表があり、歴代車両を紹介するビデオも放映されていました。
■2F
ジオラマパーク

新宿から小田原、そして箱根までの路線周辺の街が巨大なジオラマで再現されていて、その中をロマンスカーの模型が走り回っていました。

ジオラマ周辺にはいくつかの運転席が設けられていて、模型の電車を運転することができました(3分間100円)。

約45分ごとに「時間と距離のロマンス」と題した約9分のショーが開催されていて、プロジェクションマッピングとオリジナルソングによる神秘的な空間の中で、歴代ロマンスカーの走りを楽しむこともできました。

訪問時には、特別展示として、さいたま市にある「鉄道博物館」が所蔵する、ロマンスカー3100形NSEの1/20模型が紹介されていましたが、これはもともと昭和39年(1964年)に小田急が寄贈したものなのだそうで、いわば約62年ぶりの里帰りだったようです。
キッズロマンスカーパーク

子供たちの遊び場が設けられていて、木でできたロマンスカーの内部にも、読書やママゴトができるようになっていました(アスレチックとペーパークラフトは別料金)。

「ロマンスカーシミュレーターLite」という、運転を体験できるブースも3つ設けられ、難易度を変えながら挑戦できるようになっていました(1回300円)。
ロマンスカーアカデミア2

こちらの部屋では、インタラクティブアート「電車と作るまち」が上映されていました。

手をかざして動かすと、線路が敷かれて電車が走る映像が流れるようになっていましたが、これは小田急がかつての農村に線路を引いて街を形成・発展させてきたことを再現しているのだそうです。

「ロマンスカーシミュレーターLSE7000形」は、引退した車両の2階運転台を再利用して作られていて、実際の2階運転席から撮影した風景を見ながら運転を楽しむことができるものです(1回500円)。
ミュージアムショップTRAINS

ロマンスカーに関する文房具、模型、お菓子などが販売されていたほか、小田急の「子育て応援マスコット・もころん」のかわいいキャラクターグッズも数多く紹介されていました。
■RFステーションビューテラス

屋上のテラスに出ると、小田急と相模鉄道の海老名駅に出入りする電車を俯瞰して眺められるようになっていて、脇にはロマンスカー特急が通過時間も示されていました。

訪問時、走行するロマンスカーを見ることはできませんでしたが、海老名電車基地に停車していた「30000形EXE:Excellent Express」を確認することができて満足でした。
■まとめ

かつて箱根登山に行った際にロマンスカーにお世話になり、友人たちと快適な旅をした記憶がありますが、その裏には、初代から続くロマンスカーの「速さ」と「快適さ」へのこだわりがあったことに気が付くことができた、大満足の展示内容でした。
なお、この記事は展示の解説やホームページ等を参照して記載しました。
<良かった点・いまひとつだった点>
〇清潔感があり新車当時のロマンスカーの内外の姿を観察できた
〇ジオラマショーが芸術的で音楽の歌詞にも感動できた
〇親と子で一緒に楽しめる工夫が随所に見られた
△展示内容のわりに料金がやや高く感じた
■インフォメーション
詳細はホームページで確認を
開館日・時間
水~月曜日(火曜日は休館)
10:00 - 17:00(入場は16:30まで)
料金
大人(中学生以上):1100円
子供(小学生):400円
幼児(3歳以上):100円
アクセス
小田急小田原線の海老名駅 徒歩約2分
相模鉄道本線の海老名駅 徒歩約2分
JR相模線の海老名駅 徒歩約5分
住所
243-0438 神奈川県海老名市めぐみ町1-3
以上です、ご覧いただきありがとうございました。
<鉄道関連の記事>
鉄道博物館 ※執筆中
電車とバスの博物館 ※執筆中
原鉄道模型博物館 ※訪問予定
大勝庵 玉電と郷土の歴史館 ※訪問予定
