三題噺ショートショート_朝刊
落語家もすなる三題噺といふものを、コジも、してみむとてするなり。
企画もの、大の苦手なのである。
どんな親しい人の企画ものでも、なかなか素直には乗れない。
私は、「ルール」とか「決まり事」とか「期限」とか「締め切り」とかという制限事項が世の中で一番嫌いなのだ。
いくつになろうが、聞かん坊の悪ガキ。それが、私、kojuroだからである。
え?落語?三題噺?ヤスさん?

心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジ、別名、天の邪鬼志朗だろ。「もし書けなかったとしても、それはそれでOK。でも、やってみなきゃ、もったいない!」なんてこと言われたら、逆に書きたくなるんじゃないの?
なんのはなしですか。

わかったよ、書くよ。書く書く。書けば良いんでしょ、リトル。それで、いいんだろ?
ブラックホールよりも重い重い重い腰を上げて、半ば自暴自棄に筆を執る。
さて。では、三題噺ショートショート「」まいりましょうか。

望は、新聞の朝刊を配り終えてから早朝練習に来て。授業を受け、部活をし、帰りにも少しバイトしてから帰宅。食事を作り、弟妹の世話をし、家事をこなし、宿題と予習をし、ようやく午前様ギリギリに寝る。
それでもエースを張り。成績優秀者に名を連ねる。
我がチームは決勝戦に臨むことになった。
当日、スタメン発表の時、ようやく望が現れ。いつもの涼しい顔でマウンドに登った。
試合は均衡し。最終回の表に俺がスクイズを決め、1-0のまま、望は勝負のマウンドに登った。
勝てば天国、負ければ地獄の局面で。ヤツはロージンを放り出してポケットを空にし。外野を向いて両手を上げて大声で叫んだ。
「俺達は、負けねぇ!」
雄叫びにみんなが大声で応えた。
「うおーっ!」
見事優勝。整列して礼を済ませた途端、ヤツは、走って球場を去った。
監督が言った。
「雨で新聞は再配達。まだ残っているらしい。許してやれ」
ヤツは今、ある地方商社でバリバリのエースとして稼ぎ頭を走っている。

ヤスさんの三題噺企画の、そんなこんなを家内と語らおうとして後ろを振り向くと、空のソファーが、静かに笑っていた。
先日から家内は、あるプロジェクトで、都心のホテルに泊まり込んでいる。
シーンとした部屋の空気に、なんだか、心が追いつかない。
あの時の、家内の言葉が頭の中に響く。
まだ三題噺続けてるの?じゃ、それにちなんで、マッサー(注1)三倍返しで、ね。ペペン、ぺンッ!
……。
昼間のやりとりからすると、家内は、元気なようである。
家内が元気だと、我が家は、明るくて平和である。
だから。
これで、いいのだ。

(注1)マッサーとは、マッサージのことである。家内のさっちゃんがそうやって、略して言うのである。さっちゃんへのマッサーは私の最重要の日課である。
俺にしちゃあ、三題噺、けっこう書いたなぁ。笑

